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この書記官…沼かもしれない。『原神』で刺さるキャラに出会ってしまった、とあるライターの話

江波戸るく
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 (良い意味で)とんでもないキャラに出会ってしまった――。この世の中に存在する数多の作品に触れていると、そういった感情を抱くことは少なくないと思います。キャラの描き方が上手いなあ、とか、それは反則だな、と感じた時にはそのキャラに落とされていることもあります。沼というのはいつも唐突なものですね。

 そんな筆者はオープンワールドRPG『原神』で、とあるキャラがさっくりと刺さってしまったため、勢いでこの記事を書いています。

※以下の内容には魔神任務第3章、及びアルハイゼンのキャラクターストーリーに関する記述を含みます。

カッコイイ×意外な一面=良い

 2022年8月、旅人のテイワットでの旅も4つ目の国に突入しました。知恵の国、と呼ばれるスメールの旅を進める中で訪れたオルモス港にて、旅人はとある人物と出会います。

 情報を集めるため、アフマルの目に属する人たちを探る旅人とパイモンのもとへ突然現れ、相手へ正論(と、表現してよいものか若干迷いますが)をぶつけて武力対談の場を作り、立ち去って行った男。彼にはそのつもりはなかったようですが、モラを騙し取られるところだった2人は助けられることとなります。

 アルハイゼン、と呼ばれたその人は、のちの魔神任務で大きな活躍を見せる存在でもありました……が、この時点では、ただ者ではなさそうな雰囲気を持つ、教令院に所属しているらしいお兄さん、という感じです。

 クールそうな雰囲気と低めの声を持ちますが、それゆえか、時々見せる口調の柔らかさが印象に強く残るアルハイゼン。「うん」「~してあげるから」「はい、これ」などを見て画面を二度見してしまった時もありましたが、紛れもなく彼から発されている言葉でした。個性の出し方がとても良いですね。

 その後のストーリーにてアルハイゼンは、囚われの身である草神の救出作戦の協力者のひとりとなるわけですが、キャラクターの描かれ方が上手いので、急斜面を滑り落ちるように引っ張られていきました。

 敵なのか、味方なのか? と警戒してしまった時期もありましたが、見事にやられた気分です。直球すぎる物言いといい、某所で見せた迫真の演技といい、推しという区分に入れるのにそう時間はかかりませんでした。

 公式から公開されていたスメールPVで既に(自分に刺さるだろう、という)前兆はありましたが、キャラクターの魅力は当然、蓋を開けるまでは分かりません。ただ、魔神任務を経て「実装されたら絶対にお迎えしなければ……」という気持ちにさせられたことには違いありませんでした。

●動画:【原神】スメールPV

自称・文弱の書記官。……文弱?

 そんなアルハイゼンですが、ver3.4にて待望のプレイアブル実装がされました。(旅人以外の)草元素を操る面々の中では、初の片手剣キャラクターとなります。さっそく激化をメインにした編成に入ってもらいましたが、火力が高めなので頼もしいです。琢光鏡を管理しながら戦う、というのが面白いですね。

 剣を振るだけでなく時々蹴り、伴って発生する追撃で敵をなぎ倒していく……。実装された彼を動かせば動かすほど、魔神任務中に自身を“文弱”と言ったことに対して疑問符が出てきますが、本人はさほど気に留めていないのでしょう。

  • ▲命ノ星座第6重にはこんな効果も。琢光鏡が3枚以上必要なので、発動するための手順はかなり限られますが、火力は確実に上がります。文弱、とは。

 また、実装された後の楽しみの1つが、プロフィールから閲覧が可能になるキャラクターストーリーやボイスです。生い立ちやほかのキャラクターとの関係を深堀りしているものもあるので、好感度を上げて開けていくのが楽しい部分でもあります。

 気になるところが多かったので、秘境の周回を繰り返して好感度をちまちまと上げていき、キャラクターストーリーを開いていきましたが……そこにあったアルハイゼンの過去、家族との関係を辿る文章には確かなあたたかさがあり、人間味に溢れていました。

 両親を事故で早くに亡くし、祖母に育てられたアルハイゼン。その祖母も教令院・知論派に入る前に亡くしてしまい、彼女からは財産と、小さな書庫を受け継いだとあります。


 キャラクターストーリーには子どもの頃から聡明だったと記されていますが、読んでいて目に留まったのが「特別だということはいつだって富なのよ。絶対に覚えておいてね」という、アルハイゼンの祖母の言葉です。

 「特別」であることも、ある種の財産だと思わないか――魔神任務中に見られた台詞の裏には、かつて彼が祖母からもらったその言葉があるのだと察することができます。

 優れた頭脳を持ち、合理的で冷静な人物、というのが率直な印象になるアルハイゼンではありますが、家族から与えられた愛情が今の彼を形成しており、その根底には穏やかで純朴と言ってもいいものがあるように見えます。

 一見空気を読めていない、と感じられる発言も、ある意味彼が純粋であるがゆえのものなのか。前述した、柔らかい喋り方もここに紐づいているのか……など、色々と考えてしまいますね。

  • ▲家に帰りたい、というこの台詞には同意した旅人も多いのでは。

 そして、既に引き返せない領域に来てしまっていると気づきましたが、潔く手遅れだと認めることにしました。推しが増えるのは悪いことではないのです。何より、ゲームをプレイするのが更に楽しくなります。

  • ▲このジト目(?)のような表情は珍しいなとも感じてしまいましたが……。彼の望む平穏が守られた証拠でもあるのでしょうか。

 『原神』の人物の描き方が好きだなと感じることも多いので、これからもテイワットでの旅を楽しみつつ、この世界で生きている彼らの描写をじっくりと見ていきたいと思います。

 順調に増え続けている推したちを強くするために、終わりのない聖遺物の収集へと挑みながら……。


江波戸るく:永遠に新米のライター兼編集者。業が深いと判断したキャラクターを“海溝”と定めて沈むことに生きがいを見いだす。


※画像はPS5版のものです。
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