レビュー:ローグライクシティビルダー『Against the Storm』の感想は…ランダムに支給される建物で目的達成するところがおもしろい!【電撃インディー#408】

柏又
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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はHooded HorseよりSteamでアーリーアクセス中のシティビルダーゲーム『Against the Storm』のレビューをお届けします。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

強大な災害で滅ぶ世界を開拓する独特のファンタジー世界

 本作はダークファンタジーな世界観をもつシティビルダーゲーム。ゲームの舞台はすべてを破壊する強大な嵐“ブライトストーム”によって文明が破壊された世界です。

 この世界では、女王が治める“スモルダリング・シティ”のみがブライトストームから逃れられる唯一の地となっています。

 プレイヤーは女王から任命された総督となってスモルダリング・シティ周辺の土地を開拓、女王からの指令を達成するほかさまざまな手段で名声を高めることが本作の目的です。

 しかし、開拓団には“森の敵意”と呼ばれる自然の脅威が襲いかかります。森の敵意はプレイヤーが入植地を発展させる行動に応じて高まり、おびえる住人の士気を下げるほか年に一度訪れる嵐の間、さまざまな悪影響を及ぼすのです。

 わりとハードな世界観のなか、どこまで入植地を増やせるかチャレンジするのが本作のだいご味。シティビルダーゲームとはいってもひとつの土地をじっくり開発するゲームではなく、制限だらけのなかで名声をマックスまで高めるというクリア要素のあるゲームに仕上がっています。

周囲を覆う森を切りひらいて入植地を開拓せよ!

 本作の入植地は、住人のよりどころとなる“古代の焚火”を中心に発展します。焚火の周りは選んだ環境によって異なる樹木が生い茂る森となっていて、プレイヤーは“木こりのキャンプ”を使って木を切り倒し、焚火の燃料や建材、生産材料を兼ねる木材を入手しつつ、入植地を拡大していきます。

 森のなかには霧で覆われた“空き地”があちこちに存在。木を切り倒して入植地と空き地をつなげると、空き地の霧が晴れてなかにある資源や食料を採取できます。

 また、空き地には取り残された住人や放棄された物資などがあることも。これらは“空き地イベント”と呼ばれていて、住人を配置して調査することで住人や資源などを獲得できるのです。

 ひときわ広い“危険”や“禁断”と呼ばれる空き地では、調査せずに放置すると住人が死亡するなど入植地に悪影響の出るイベントが発生します。

 これらのイベントは調査に資源が必要だったり、調査中にも入植地に悪影響を及ぼしますが、その分、クリアした際の報酬も大きいのでタイミングよく空き地を開放させて調査していきたいところです。

 建物を建てて資源を集めるだけではなく、森を切りひらいて空き地を開放していくことが本作独特のゲームシステムです。マップは毎回ランダムで生成され、また選んだ環境によって入手できる資源もかなり異なるので、リプレイ性はばっちりですね。

ランダムでもらえる建物を駆使して、いかに目的を達成できるかが腕の見せ所!

 本作でもっとも重要なのが、ほとんどの建物がランダムで渡される設計図から建築可能になるということ。

 簡単な資源の採取や森の伐採に必要な建物は最初から使えますが、畑で作物を栽培したり、食材を加工して入植者が喜ぶ食事を作るなど、入植地の発展には設計図で得られる建物が不可欠です。

 幸いにも要求される資源や食材はいくつかの選択肢があるので、プレイヤーは現在入手できるもののなかからなにが作れるのか、もしくは欲しいものを作るためにどの建物が必要かを考えながら設計図を選んでいくことになります。

 うまい具合に欲しいものを生産できればいいですが、手に入らない場合にどうやって目標を達成すべきか考えるのもおもしろいですね。

 ランダムゆえに思い通りにならないもどかしさはもちろんありますが、ローグライクゲームの繰り返しプレイしても異なる展開が楽しめる要素をうまく組み込んでいると筆者は感じました。

名声を高めるための手段がいろいろ選べるのもポイントが高い!

 ゲームの目的は画面下の青い名声ゲージをマックスにすること。名声を高める方法が複数用意されているところもこのゲームを奥深くしているポイントのひとつです。

 もっとも確実な方法が女王の使者が持ってくる指令を達成すること。指令には物資や資源のほか、特定の入植者の士気を一定以上に保つ内容や、入植者の欲求を一定数満たすといったものがあり、達成すると名声ポイントが上がって女王の怒りが下がります。

 ただし、プレイヤーが持っている設計図では建築もしくは生産できないものを要求されることも……。指令は複数から選べるので自分が達成可能なものを選ぶ必要があります。

 また、空き地イベントのなかには獲得したものをスモルダリング・シティへ送ることで名声ポイントを得られるものがあります。

 ただ、得られる名声ポイントよりもイベントで得られるメリットのほうが魅力的な場合もあり、なかなかにプレイヤーを悩ませてくれます。

 また、名声ポイントが得やすいイベントは調査に物資が必要となる場合も多く、簡単ではありません。

 さらに、入植者の士気を高めることでも名声が得られます。本作には現在4つの種族(4月にもう1種族追加予定)が存在し、入植はこのうちの3種族で行われます。

 種族にはそれぞれ士気値が設定されていて、これが0以下の状態が一定時間続くと入植地から逃亡者がでます。

 逆に住居や食事、嗜好など種族ごとに存在する欲求を満たすことで士気は上昇。設定された閾値に達すると経過時間に応じて少しずつ名声ポイントが上昇するのです。

 筆者は基本的に指令を達成しつつ、必要な物資の生産手段を整えて空き地イベントで名声ポイントを稼ぐプレイスタイルですが、資源に余裕があるので入植者へのサービスを手厚くした結果、士気の上昇でかなり名声ポイントを稼げたケースもあったのでなかなか侮れないですね。

 先ほど挙げたランダムで入手する設計図をにらみつつ、最適な名声ポイント稼ぎを考えるのはかなりおもしろいですし、繰り返しプレイしても飽きないですね。

ゲーム開始初期のいろいろやりくりするプレイが好きな人ならストライクな内容

 ここまで紹介した『Against the Storm』。与えられる設計図がランダムなため、自分の理想の入植地をじっくり作るプレイはほぼできません。

 しかし、過酷な環境のなかでいちから入植地を作り上げるというだいご味を繰り返し楽しめる、非常にリプレイ性が高いシティビルダーになっていると感じました。

 難易度は、一番低い“入植者”はかなり簡単ですが、次の“開拓者”以上に上げると本格的にシビアなゲームプレイが楽しめます。

 筆者は下から3つ目の“熟練者”で遊んでいて、慣れたところで難易度を次の“総督”に上げようかなと考えているところです。

 難易度は総督の上に20段階まで設定できるそうなので、シビアなプレイを追求したい人はかなり楽しめることでしょう。

 シティビルダー好きでも開始初期のあれこれやりくりしている感じが好きな人、また、シティビルダーはそれほど経験がない人でもローグライクなゲームが好きなら挑戦する価値があると思います。

 本作はアーリーアクセス中ではありますが、ゲームの基本部分はほぼできていて現在は2週間に1度のペースでバランス調整や要素の追加などが行われています。変な不具合などもないので安心して遊べます。

 無料で遊べるデモ版も用意されていますし、価格もお手頃なので動作環境のPCがあるならぜひプレイしてほしいですね。


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