楽園からのロボットだらけの廃墟の街へ…。急転直下のSFストーリーは圧巻! アクションRPG『Atomic Heart』をレビュー

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※PS5/PS4版『Atomic Heart』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。

 MundfishからPC(Steam)/Xbox版が2月21日、PS5/PS4版が4月13日に発売されるアクションRPG『Atomic Heart』のレビューをお届けします。

 本作は、1955年の架空のソ連を舞台に現実とは異なる技術発展をしてきた世界観を有する一人称視点のアクションRPGです。なお、パッケージ版は各販売店にて予約を受け付け中です。

 そんな独特な世界観で注目を集めている『Atomic Heart』のPC版のレビューをお届けします。

物語のスピード感。ギャップの寒暖差で風邪引くレベル!

 テクノロジーが発達した1955年の架空のソ連という、かなり尖った設定の『Atomic Heart』。どれくらい尖っているかというと、1955年の時点で自立機動型のアンドロイドが街で人間と生活していたり、ドローン型のメカが空輸で荷物を配達していたり、ジュースを歩き(?)売りしていたりするほど。

 そんな楽園が実は空中都市だったり、同じような空中都市がいくつも存在していたりと、架空の1955年とはいえ、あまりの超技術にちょっと笑いが出ました。

 主人公は任務でドローン付きの普通車で地上に降りるのですが、そこで突如、暴走ドローンに襲われて墜落。おまけにその先には暴走した人型ロボットが何体も待ち構えている状態。

 なんとか窮地を脱するも、再び暴走ドローンに襲われて気を失ったところでタイトルロゴ。凄まじい世界観と没入感の導入は圧巻でした。

 それだけに留まらず、その先では暴走したロボット相手にアサルトライフルとロケットランチャーで応戦する勇ましい婆ちゃん。アクション映画ばりに覚悟が決まってる婆ちゃんを尻目に、主人公はバカでかいロボットに襲われて地下施設に迷い込むことになります。

 楽園からロボット暴走。廃墟と化した街に銃器で応戦する婆ちゃんと、世界観への感情の処理もままならない状態で遠慮なしに起こる展開の寒暖差たるや。風邪引く勢いですよ!

 最後の婆ちゃんなんて明らかに主人公より強いんですが、「やっぱりソビエトの女性は強いよな……」と勢いで納得してました。

探索がスムーズで、ひたすらに遊びやすい

 主人公の左腕にはチャールズと呼ばれるAI機能を持つグローブが装備されており、彼を介してこの世界におけるさまざまな機能にアクセスできることが冒頭で説明されます。

 例えば“スキャン”は周辺にいる敵やアイテムの存在を教えてくれるもので、目に見える範囲だけでなく壁を通して位置が判別できる便利な機能です。

 本作はいわゆる素材を集めて武器の改造や機能の拡張をしていくタイプのゲームですので、“スキャン”によるムダのない探索は非常に助かりますし、取り逃しもなく遊ぶ上でとにかくストレスフリー。

 アイテムを拾う、人に話しかけるといった、いわゆるインタラクトを押しっぱなしにしているとカーソルをあわせているだけでアイテムの回収も行ってくれるため、ユーザビリティもよく考えられていると思います。

 そのほかゲームが本格化する最初のエリアが建物内から始まり、とくに似た景色や構造が続く上にミニマップがないため迷う人も多いかと思いますが、ガイドマーカーもしっかりしています。

 物語が少し進めば広大なフィールドの探索も解禁され、世界の広がりもしっかり感じられます。それに応じて監視カメラへのハッキングなど、チャールズを介してできることも徐々に増えていくのもお約束です。

 とくに嬉しいのは、探索しているだけで新しい武器や武器の拡張パーツを見付けられる点。小難しいイベントやサイドクエスト的なものナシに得られるので、ゲームのスピード感を損なわないところがいいですね。

武器と特殊能力の拡張性がとにかく自由

 戦闘は武器とチャールズを介した特殊能力で戦います。武器は近接武器や銃器があり、またスタミナゲージがないので攻撃だけに集中できるところが非常にいい点。

 武器も最序盤から弾丸消費型、エネルギー消費型が手に入るほか、弾薬を作成できる設計図も入手できます。弾薬作成の要求素材がとんでもなく少ないので、とくに弾切れも気にせず使えます。

 またチャールズの特殊能力は電撃の“SHOK”から敵を凍らせる“フロストバイト”、周辺を浮かせる“マステレキネシス”など超能力に近いものが使用可能。どれもリチャージ式なので、時間経過で再使用可能でコストがかからないと至れり尽くせり。

 弾薬生成もでき、リチャージ式の超能力と攻撃面だけ見れば強力ですが、その反面に敵の攻撃は結構苛烈。集団で襲ってくることも多く、さらにロボットだけでなく動きの素早い生体の敵も登場するため、各要素を利用することが前提のバランスになっていると感じました。

 武器や能力に関してもっとも良い点は、スキルリセットや武器の解体で改造や能力強化に使用した素材が返却されること。状況に応じたカスタマイズを適用でき、さまざまな遊び方を気軽にできるのは素晴らしい要素だと思います。

ディストピア的な世界観。SFが好きな人に!

 幸せな空中都市から一転、地上ではロボットたちが襲ってくるというディストピアめいた設定。1955年にしては、とんでも技術ですが、オートメーション化された世界の技術を至るところで感じ取れますし、SF好きとしても堪能できる作品です。

 孤独になりがちなこの手のゲームで、チャールズというしゃべるAIとの会話も映画的でおもしろく、また冒頭のたくましいソビエト婆ちゃんといったアクの強い人間もしっかり登場します。

 ロボットと多く会敵する中で人間との遭遇が嬉しくもあり、またその出会う人間もどこかはっちゃけてて、いいアクセントになっているなと感じました。

 敵の攻撃は激しいですが、セーブポイントも多く前述のカスタマイズのやり直しも効くので、試行錯誤のしがいも大いにあります。

 とくに無機物のロボットと有機物の生体で弱点が異なり、有効な特殊能力も変わってくるため遭遇する敵の傾向からどう能力を振り分けるかを組んでいるときの楽しさ。

 無機質なロボット相手の連続で、人間の温かみが薄れがちな中で、ゲームオーバー時やセーブポイントに置かれているちょっとしたアニメーションも個人的には好きです。とくにゲームオーバー時のアニメーションは専用ものが用意されており、遊び心も満載。

 武器と特殊能力を駆使するゲームだけでも魅力的ですが、そこに壮大なSFの世界観が混ざっており、行く末の非常に気になる物語を是非ご自身の目でお確かめください!

■通常版

■リミテッドエディション

© 2023 Atomic Heart, the game developed by Mundfish and published by 4Divinity under license of Slimao Limited dba Mundfish. Atomic Heart and Mundfish are registered trademarks of Slimao Limited dba Mundfish. © 2022-2023 4Divinity Pte. Ltd. All Rights Reserved. 4Divinity is a company of GCL. All other trademarks and logos belong to their respective owners.

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