カセットテープ版『アルスラーン戦記』を発掘。塩沢兼人、浪川大輔のナルサスもいいけど大塚芳忠ボイスも好き【実家押し入れガチャ】

文: そみん

公開日時: 2023年03月05日(日) 11:30

　なくしたと思っていた宝物、捨てたと思っていた思い出……実家の押し入れに眠っていませんか？　時には黒歴史の罠も待つ禁断の場所をあさった（ガチャった）ら……カセットテープ版『アルスラーン戦記』が出てきました！

塩沢兼人、浪川大輔のナルサスもいいけど大塚芳忠ボイスも好き

　今でもアルスラーン十六翼将はそらで言えるほど、学生時代に熱中した田中芳樹先生の『アルスラーン戦記』。1986年の1巻『王都炎上』からリアルタイムで読んできた自分としては、何度か「もう、完結は無理か……」とあきらめそうになりながら、2017年12月にまさかの完結を迎えて本当に驚いたものです。

　最近だと荒川弘先生のコミカライズが進んでおり、漫画やアニメで『アルスラーン戦記』を知った方も多いのではないでしょうか。ついに『風塵乱舞』まで来ており、第一部完結が近づいてきてワクワクですな！　……昭和世代的には中村地里先生のASUKAファンタジーDX版の漫画が思い出深いですけど。

　いきなり余談ですが、小説の最終16巻発売日に何の因果か自分は仕事で日本最北にあるマクドナルド（北海道・稚内）に日帰り取材に行ってまして。北海道の空港での飛行機待ち中、空港内の回転寿司で晩飯を食いつつ、最終16巻を読了するという謎に密度の濃い1日を過ごしたことを走馬灯のように思い出すわけであります。

マクドナルド100店舗巡り48店舗目：稚内店。日本最北端のマクドナルドのモニュメント&ドナルドと記念撮影 #めしクエ #マクドナルド #マクドナルド100店舗巡り pic.twitter.com/Q2Pkw9czt5
— そめやん (@someyan2017) December 16, 2017

飛行機待ちの間にアルスラーン戦記の最終巻を読み進めよう。中学時代にハマった小説の完結を、40歳を過ぎてから楽しめるとは思わなんだ。この機会にグインサーガとか魔界医師メフィストとかロードス島とか読み直して、中二魂を充電しようかな
— そめやん (@someyan2017) December 16, 2017

　さておき、カドカワカセットブック版『アルスラーン戦記』ですが、まだCDも出ていない昭和の時代、カセットテープでの音声ドラマもいくつか展開していました。いまでいうネットラジオドラマ、少し前のドラマCDのような系譜ですね。

　CDなどのようにトラックサーチができないので、自分の聞きたいところまで早送りなどで探し当てていた感覚……今さらながら、なつかしい。

▲テープがたわんじゃった時は、穴の部分にペンや指を刺して、くるくるテープを巻いたりしてね……って、通じます？　小学生の息子には通じませんでした。

　てか、A面とB面があって、入れる向きによって異なる音が再生されるとか、A面のテープのおしりがB面の頭に、B面のテープのおしりがA面の頭にあたる構造とか、文章で説明しようとするとよくわからなくなりますな（苦笑）。

　ドラマの中身はアニメを音声で再現したような形で、いわゆる朗読劇ではないので、本当にアニメ感覚で楽しめます。ちゃんとステレオで臨場感がありますしね。

　今回見つけた2巻は1989年5月1日発行と書かれており、30年以上前のものですが、ちゃんと再生できますし、内容もまったく古くないというか、普通に聞き入っちゃうレベルですね。

　というのも、声優さんが本当にレジェンド級の方々ばかりでして……。一部キャストはのちのアニメ映画版と共通していますが、カセット文庫版ならではの声優さんも多いです。

　2巻を例にとると……。

・アルスラーン：関俊彦
・ダリューン：鈴置洋孝
　※6～7巻は田中秀幸
・ナルサス：大塚芳忠
・ギーヴ：矢尾一樹
・ファランギース：勝生真沙子
・エラム：佐々木望
・銀仮面（ヒルメス）：池田秀一
・アルフリード：佐々木優子
・ギスカール：中尾隆聖

　とまあ、すごい方たちばかり。個人的にはメルレインの中原茂さんも神キャスト。2015年に放送されたTVアニメ版の声優さんもイメージ通りの方ばかりですが、カセットブック版もドンズバですぜ。特に自分にとっては、最初に声として聞いたのがカセットブック版でしたからね。

　なかでもカセットブック版ならではなのが、個人的にはナルサスです。劇場アニメでは塩沢兼人さん、TVアニメでは浪川大輔さんと、華奢な色男イメージが強いナルサスですが、カセットブック版は大塚芳忠さんが演じており、やや豪快なイメージ。そこがまた、すごくいいんですよね！

　そういえばカセットブック1巻には田中芳樹先生の音声インタビューも収録されており、そのころから“皆殺しの田中”の話題も出ていて苦笑せざるを得なかったり。まあ、『銀河英雄伝説』の流れもありましたし、『アルスラーン戦記』もどんどん主要人物が死んでいく落陽的な物語であることは、刊行当初から宣言されてましたしね。（とはいえ、第2部は心が苦しかったですけど）

　とまあ、『アルスラーン戦記』について語り続けると終わらなくなるので、このへんで。ともあれ、視覚はもちろん、匂いや音に紐づいた記憶というのもなかなか深いものがあり、カセットブックを聞き直したら学生時代の思い出がいろいろよみがえってきました。これを機会に小説も全巻読み直そうっと。