これが仕事ってモンだ――舐めてんじゃねぇぞ、学生。(ヴァン)【軌跡シリーズ名言集】
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- Zenon
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日本ファルコムの名作ストーリーRPG『軌跡』シリーズの名言集をお届けします。
本記事で紹介するのは、『黎の軌跡』主人公、ヴァン・アークライドのセリフ。軌跡シリーズ主人公随一の“大人”である彼の名言を紹介していきましょう。
※本記事内には物語のネタバレを含む表現がありますので、ご注意ください。
これが仕事ってモンだ――舐めてんじゃねぇぞ、学生。(ヴァン)
●序章_旧市街の裏解決屋(英雄伝説 黎の軌跡)
ヴァンはカルバード共和国の首都イーディスにある旧市街の片隅で、“裏解決屋(スプリガン)”という仕事をしている社会人です。いわゆる“何でも屋”のようなもので、彼の流儀に沿った内容であれば誰からのどんな依頼でも引き受けます。警察や遊撃士など一般人が頼るべき組織に相談しにくい、または相談できないことですら引き受ける、非合法スレスレのグレーな稼業ということですね。
実際、彼が引き受ける仕事は違法薬物の運搬(ただし、人を助けるもの)だったり、行方不明になった半グレ(不良)の捜索だったりと、もし警察に相談すれば依頼人の身が危うくなるようなものもあります。
それでも受けるのは、ヴァンなりの信条があってのこと。表と裏の“狭間”で困っている人たちの想いをすくい上げることが、彼の仕事へのこだわりの1つです。
そんな独自の仕事観を持ったヴァンのもとをある日、1人の女学生が訪れます。共和国きっての名門校《アラミス高等学校》の1年生、アニエス・クローデルです。
依頼内容は、曾祖父の遺産である古い《導力器(オーブメント)》を捜索してほしいというもの。一度はヴァンも警察や遊撃士を頼れと断ろうとしますが、アニエスは「事情があって彼らには相談できない」と食い下がります。
すると、手土産として持参した限定ケーキが、ヴァンにまさかのクリティカルヒット!
キリッと念押ししつつも依頼を承諾したヴァン。以降、“裏解決屋を動かすには甘いもの”という方程式が、裏社会の情報網に広まったとか、広まっていないとか……。
「遊撃士協会より割高の依頼料は別で払ってもらうぞ」とお金の話も済ませ、調査に乗り出します。盗品関連に詳しい情報屋に話を聞き、独自の嗅覚で《導力器》の場所にアタリを付けていきました。
その過程で情報屋がマフィアと争って亡くなってしまったり、警察の取り調べに同席したりと、平和な日常を生きる“ただの学生”にとってはヘビーな1日を過ごすアニエス。ヴァンはマフィアも絡んできて危険なので、あとは自分だけでやると彼女に帰るよう促しますが……。
アニエスは《導力器》のせいで人が亡くなったことに責任を感じ、最後まで立ち会って見届けたいと話します。
その強い眼差しにヴァンは「仕方ない、依頼人はアンタだ」と折れ、同行を認めることに。結果、《導力器》の確保には成功するものの、マフィアとの戦いでヴァンたちは危険な目に遭ってしまいます。
マフィアは薬物強化で身体能力をブーストし、ヴァンを圧倒。
しかし、ピンチ時にアニエスと《導力器》が光り、意志を持つホロウAI《メア》の導きでヴァンは《黎を纏いし魔装鬼 グレンデル》へと変身します。
グレンデルの力でマフィアを倒したものの、激しく消耗してしまったヴァン。その場に来たCID(中央情報省)と遊撃士協会にマフィアの後始末を任せ、ひと足先に事務所へ帰還します。
そこでアニエスの手当てを受けながら《導力器》にまつわる裏の事情が語られますが、そこは本記事では省略。思っていた以上に危険なことにヴァンを巻き込んでしまったと感じたアニエスは、以降の調査は自分だけで取り組もうと“依頼達成”の報酬をヴァンに渡そうとします。
しかしヴァンはその封筒を受け取ったのち、中から1万ミラだけを抜いてアニエスへ返します。
自分の受ける依頼の基本料は、1時間1000ミラ+諸経費。アニエスが迷惑料と称したヴァンの怪我に対する費用は危険手当として計上するものの、そこから依頼人に手伝わせたことや危険に晒したことを差し引いて、成功報酬1万ミラが関の山だと語ります。
そこで出たセリフが、今回の名言となります。
「これが仕事ってモンだーー舐めてんじゃねぇぞ、学生」
このセリフにはさまざまな意味が込められていると感じますが、なかでも“大人の強がり”が出ているのが、自分はとても良いと思いました。
別にグレーな稼業なわけですし、不真面目な所長だったらそのまま5万を懐へしまっていたことでしょう。どこぞの士官学院の教師や警察の青年であれば受け取った上で“今後の協力”を約束していたと思います。または一切受け取らず「全部任せなさい!」と今後の調査まで引き受けるような遊撃士もいるかもしれません。
ヴァンはそのどれでもなく、あくまでこれは“仕事”なんだと言い切り、必要経費だけを受け取ってこの話をキッチリとクローズします。彼女が持ち込んだ依頼の調査で怪我をしたことを、気にする必要は一切ないのだと。迷惑料という“子どもの強がり”で差し出したお金なんて受け取らないぞ、と言っているわけですね。
大人である以上、お金はいくらだって欲しいはずですが、そんなことをおくびにも出さずクールに封筒を差し出す彼の姿に、自分は“大人の強がり”を感じました。そういうのって、最高にかっこいいですよね(あるいは普通にヴァンは自然体なのかもしれませんが)。
個人的に興味が出てきたからと、情報を提供してくれるならという交換条件で今後の協力を申し出るヴァン。一見するとお互いにメリットのありそうな交換条件ですが、それが彼の建前であることは明白です。
アニエスもヴァンの真意にちゃんと気付き、彼の示してくれた大人の建前と気遣いに対する申し訳なさと、今後もヴァンの力を借りられる安堵が入り混じった表情を浮かべます。
その交換条件でこれからも2人は《導力器》の捜索を行なっていくことを決めたわけですが、ここでアニエスが反転攻勢。「ここでアルバイトさせてください」と申し出ます。
目に見えてうろたえるヴァン。話は綺麗にまとまったはずなのに、どうしてそんなことを言い出すんだと本気で困惑している様子。
先ほどの「舐めてんじゃねぇぞ、学生」に対して「学生にも譲れないものはあるんです」と返すアニエス。そのあと、コーヒー豆の場所確認やケーキの切り分けをテキパキと行なう彼女に、ヴァンは「速攻で馴染んでんじゃねぇ!」と叫ぶことしかできませんでした……。
はい、というわけでヴァンの名言「これが仕事ってモンだーー舐めてんじゃねぇぞ、学生。」をお送りしました。
作中でヴァンの“仕事に対する流儀”の話は多く出てきますが、自分が一番印象に残ったセリフはここでした。何というか、苦い社会を生き抜いてきた大人の渋みのようなものを感じるひと言だったと思うんですよね。
また“学生”と呼び掛けている点は、ヴァンが“大人であろうとしている”印象を受けました。実際、彼はまだ24歳(『黎の軌跡』開始時)で、過去シリーズに登場したオジサマたちと比べれば全然若々しく、クルマやスイーツが絡むと目を輝かせて饒舌になるという子どもらしい面も残しています。
かつて自分も通った学生という年代。それを懐かしみつつ、もう自分は“大人”なのだとつとめて振る舞っているようにも思えるのです。『黎II』までプレイしたあとだと、ちょっとそんなヴァンの内心を推察してみるのも楽しいですね。
シリアスなものからコメディ的なものまで、軌跡シリーズにはほかにも数々の名言が存在します。今後もそれらをピックアップしてお届けしていく予定なので、お楽しみに!
※画面はPS4『英雄伝説 黎の軌跡』のものです。
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