『どうする家康』9話感想。正信が寝返った理由が判明! 家康と本音をぶつけ合うシーンがグッとくる

電撃オンライン
公開日時

 毎週日曜20時からNHKで放送の大河ドラマ『どうする家康』。第9回“守るべきもの”のレビューをお届けします。

信じるか殺すか…家康の成長を手助けした忠吉に感謝!

 前話では、三河一向一揆によって家臣の裏切りが続出。さらに本多正信に裏切られたことも発覚し、家康は途方に暮れてしまいます。そこへ現れたのが長老の鳥居忠吉。人間不信に陥った家康に対して、「主君が家臣を信じなければ、家臣は主君を信じません」と言葉をかけます。

 しかし不安にかられている家康は「信じて……裏切られたらどうする」となかなか前に踏み出せない様子。そこで忠吉が出したもう1つの道は、「謀反の疑いが少しでもある者をことごとく殺す」というものでした。

 たとえ裏切りにあっても家臣を信じ続けるか、それとも疑いのある者たちを一人残らず処刑するか…。究極の選択を突きつけられた家康は、悩んだ末に“家臣たちを信じること”を心に決め、家臣たちに向かって「わしはお前達を信じる」と宣言しました。

 古くから松平(家康の家系)を支えてきた忠吉の助言がなければ、家康はずっと覚悟を決めきれずに“崩壊”へと繋がっていたのではないでしょうか。忠吉がいかに大事な存在であるかがわかるシーンでしたが、何より家康が“疑いのある家臣を殺す”という選択をとらなかったことにもひと安心しました。

和睦と方便……家康の“覚悟を決めたウソ”が見ていて辛い

 家康が家臣を信じることで団結力が強まったものの、一向一揆は依然苦戦が続く状態……。そこで家康の叔父・水野信元は「寺と和睦せぇ」「“全て元通りに戻す”と言って手打ちにしろ」と提案します。しかしこの和睦は形だけのもので、実際は“一揆を鎮めた後、丸裸になった寺を潰していく”という計画でした。

 その後、和睦の話を聞いた正信はすぐに方便であることを察して、空誓上人に「罠じゃ」と伝えます。当然空誓上人も罠だと予想しましたが、“これ以上子どもたちを戦わせたくない”という思いから和睦を受け入れることに――。

 そして家康と和睦を結ぶ際、空誓上人は「わしの目見て“寺は必ず元通りにする”とおっしゃってくださらんか」と訴えかけます。その言葉を聞いた家康はしっかり目を見て「寺は……元通り致す」と言ったものの、実際は方便であるため、家康の目にはうっすらと涙が浮かんでいる印象を受けました。

 本当は家康も正直に真実を打ち明けたかったのかもしれません。しかしこのままでは不毛な戦い(一向一揆)が長引くうえに、“元に戻す”という約束を守れば三河自体が崩壊してしまいます。それを防ぐために家康は覚悟を決めて“ウソ”をついたのでしょう。こうした背景を考えると、“ウソをついている家康自身が一番辛いのではないか”と思えてくるようなシーンでした。

そういうことだったのか……正信が裏切った理由に思わず納得

 こうして無事に終わりを迎えた一向一揆。家康は反逆をおこなった者たちを処罰していくのかと思いきや、裏切り者である夏目広次の“謀反の罪”を不問にしてあげます。そして自身の命を狙った正信にも温情をかけようとしますが、正信は「過ちだの悔いておるだの、左様なことはたとえウソでも申すことができません」と突っぱねるのでした。

 終いには「過ちを犯したのは殿」と言い放ち、「殿が……お前が民を楽にしてやれるのなら、誰も仏にすがらずに済むのじゃ。そのために民はお前にたらふく米を食わせているんじゃ。己はそれを成さずして、民から救いの場を奪うとは何事じゃ。この大たわけが!」と、家康に本音をぶつけます。

 どうやら正信が寺側についたのは、彼なりの思いや理由があったようです。ここで彼の言葉を聞いた家康は「とうに悔いておる。わしは……ずっと悔いておる」と号泣。家康と正信がお互いの本音をさらけ出すシーンは、観ているだけでも思わず胸が熱くなりました。

 忠吉や正信などとやり取りする中で、少しずつ成長していく様子が見られた家康。もともと優柔不断で臆病な性格がどのように変わっていくのか、今後も見守っていきたいところです。

Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation). All rights reserved.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら