時代が早すぎた? ジャンプの隠れた名作『PSYREN―サイレン―』がアニメ化しなかったのはなぜなのか

キジカク
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 『武装錬金』『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』など、連載終了後にアニメ化されることもある『ジャンプ』作品。中には、未だにファンからアニメ化を待望されている作品もたくさん眠っています。そのひとつが岩代俊明先生の作品『PSYREN―サイレン―』。

 この記事では、そんな『PSYREN』にスポットを当て、どうしてアニメ化されなかったのか? 今後アニメ化する可能性はあるのか? などを考察しながら、本作の魅力にも触れてみたいと思います。

中二病には刺さる? センスが光る『ジャンプ』の名作

 『PSYREN』は『週刊少年ジャンプ』で2008年から2010年にかけて連載された作品(全16巻)です。まずは本作の導入部分をさくっとご紹介しましょう。

イントロダクション

 報酬1万円でトラブルを解決する活動をしていた高校1年生の主人公・夜科(よしな)アゲハ。彼はある日、公衆電話に放置されていた“謎のテレホンカード”を拾います。

 その後アゲハは、同級生である雨宮桜子も同じテレホンカードを持っていると知ります。ですが桜子は「助けてよ……」という言葉を最後に行方不明に。

 雨宮についてさまざまな噂が飛び交う中、アゲハが入手した謎のテレホンカードは全国で連続する失踪事件“神隠し”につながる手がかりになると発覚。しかもアゲハの持つ“未使用”のテレホンカードには、手がかりとして500万円の値打ちがあるというのです!

 謎のテレホンカード、連続失踪事件、行方不明になった桜子――それらの陰には共通するある単語がちらつきます。そう、“サイレン”という単語が。

 幼いころ桜子に助けてもらったアゲハは、彼女のために“サイレン”の謎に迫る覚悟を決めテレホンカードを使用します。それがきっかけとなり、アゲハは“サイレン”と呼ばれる世界へ。アゲハは命を懸けた戦いに巻き込まれていくのですが……。

なぜアニメ化されなかったのか?

 ひとえにこれは、時代が早かったのかなと思います。ここ最近を見渡してみると、例えば『チェンソーマン』のように“ひと昔前の少年漫画らしさ”とは一線を画した作品が人気を博し、アニメ化しています。Webなどで見られる意見でも、シリアスなストーリー展開に対して「時代が早すぎた」「大人向けだった」という意見も。

 また、サイレン世界と元の世界を渡りながら展開する本作ですが、そうした世界を渡り歩く――異世界転移・転生系のアニメがポピュラーになったのもここ数年のこと。この点でも「時代が早すぎた」と言えるかもしれません。

今ならイケる?『PSYREN-サイレン-』のアニメ化はあり得るのか?

 最終回から10年以上経った現在では、“異世界もの”や“ダークファンタジー”のアニメ化も珍しくありません。ここからは『PSYREN』が今アニメ化しても十分にウケそうな要素をピックアップして、アニメ化の可能性の有無を考察してみましょう。

正統派の“能力バトル”

 『PSYREN』では“PSI(サイ)”と呼ばれる超能力を武器に、さまざまな戦いが繰り広げられます。

 “PSI”は“ライズ”“トランス”“バースト”に能力が細分化されていて、各キャラの能力も多種多様。ちなみに主人公のアゲハが繰り出す能力は、触れるものすべてを消し去り、相手の“PSI”すら飲み込む“暴王の月(メルゼズ・ドア)”と、追尾可能な遠距離攻撃“暴王の流星(メルゼズ・ランス)”。中二病にはかなり刺さる性能とネーミングセンスです。

主人公・アゲハのキャラクター性

 『ジャンプ』をはじめ、少年漫画の主人公は、物事の解決の手段としてあまり“人殺し”を選択しないケースがあります。そんななか、アゲハは目的のため、大切なものを守るため、時には敵を殺すことも。その在り方は“正義の味方”的なものとは言えず、どちらかと言えば“ダークヒーロー”と表すほうが近いもの。揺るがない姿勢は非常にカッコイイのですが、それゆえに対象年齢が高くなってしまったとも言えます。

ストーリー展開によって変化するキャラクターたちの容姿

 作中では“テレホンカードによって飛ばされた世界”を旅することになるアゲハたち。詳細はネタバレになるので伏せますが、キャラによっては子どもの姿と大人の姿の両方が登場するケースもあります。中にはかなりセクシーに成長するキャラも……。そうした姿のギャップを楽しめるのも『PSYREN』の魅力と言えるでしょう。

 過去の例から言えば、冒頭で挙げた2作品や『レベルE』のように連載終了後にアニメ化されることもあります。闇の深い主人公が活躍する同作にも、アニメ化のチャンスが巡って来る可能性はあるかもしれません。というか、筆者は楽しみにしています!!

 この記事で取り上げた『PSYREN』は、ジャンプ+で読むことができます。第1~3話は無料となっていますので、ご覧になってみてはいかがでしょうか? 他にもジャンプ+では岩代俊明先生の『みえるひと』も読めますので、興味がある人はぜひご一読を。

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