レビュー:リアル系ロボットストラテジー『Phantom Brigade』は敵の動きを先読みして行動を決めるシステムがおもしろい!【電撃インディー#416】

柏又
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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はBrace Yourself Gamesより発売中のシミュレーションRPG『Phantom Brigade』のレビューをお届けします。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

往年のロボットアニメやゲーム好きの琴線に触れるカッコイイメカを指揮して戦う!

 本作は、見ての通り二足歩行ロボット4機からなる部隊を指揮して戦います。登場する機体は、メーカーが量産する兵器でいわゆるリアル系のロボットにあたります。機体はメカフレームと呼ばれる基礎に胴体と脚、左右の腕パーツを組み込んで完成します。

 武器は原則として左右の腕にひとつずつ装備可能。武器にはアサルトライフルやハンドガン、ショットガンといった銃のほかミサイル、さらには格闘武器や盾までと非常に多彩な種類がそろっています。

 プレイヤーの好みにカスタマイズした機体が戦場を歩き回って戦う姿はとてもかっこよく、数多くのロボットアニメやゲームで育った筆者にはたまらないものがあります。

 メカが動くシーンはなんどでもリプレイ可能で、カメラアングルも自由に変えられるのでうまく作戦がハマったシーンや見ごたえのある場面はなんどでも繰り返し見てついついニヤニヤしちゃいますね。1ターンあたりの戦闘時間は動画にして数十秒くらいのボリュームなので、録画してSNSなどに気軽にアップロードするのにも向いていると感じました。

 ちなみにリプレイ中はテンキーの+で仮面表示を消してメカの戦う様子だけ見ることも可能です。

敵の5秒先の動きを見て最適な自軍の行動を決める独特のシステムがおもしろい!

 本作は1ターンごとに行動を決めるターンベース性と敵味方が同時に行動するリアルタイム性を融合した独特のシステムでゲームが進行します。

 プレイヤーが指揮をとる部隊“ファントムブリゲイド”は、5秒先まで敵の動きが分かる“予測システム”を装備しています。ターンが開始されるとまず、敵ユニットの5秒先の動きが画面下のタイムラインとマップ上のシルエットで表示されます。

 タイムラインは動画編集ソフトを使ったことがある人には見覚えがあるかも知れません。“3秒間走って1秒待機続いて1秒走る”といった感じの機体の行動を視覚化したものです。プレイヤーは敵の動きを見ながら機体ごとに行動計画を決めていきます。

 たとえば“●秒間物陰で待機して敵の攻撃をやり過ごしてから、あの場所まで移動しつつこの敵に攻撃。”というちょっとややこしい感じの動きもこのシステムならわりと簡単にできるというわけです。全機の行動が決まったら実行を選ぶと両軍の機体が同時に行動を開始します。

 5秒間ながら敵の行動が分かるという全能感、細かい指示を視覚的に分かりやすくしているタイムライン、そしてカメラアングルを自由に変えて機体が動くさまをじっくり何度でも鑑賞できる実行フェイズ。本作のシステムは、カッコイイメカが戦うビジュアルとシミュレーションとしての分かりやすさを両立させた素晴らしいものになっています。

モビルベースで部隊を移動させ、地域を解放する要素もあなどれない!

 ファントムブリゲイドは、敵の奇襲によって全土を占領された軍のはぐれ部隊です。予測システムによって難を逃れた彼らは敵の支配するこの地に帰還。ホームガードと呼ばれる地元部隊の動きに合わせて地域の解放を目指します。

 ファントムブリゲイドの移動の足となるのはモビルベースと呼ばれる移動基地です。モビルベースは、機体の修理整備のほか、パーツの製造やベース自体の改造も行えるなど移動するにもかかわらずほとんどのことができます。

 プレイヤーはモビルベースを移動させてワールドマップを移動、敵部隊や占領された町などの場所に移動するとシミュレーションパートに移行します。

 敵部隊や支配地域には探知範囲があり、モビルベースが範囲内に入ると偵察部隊を繰り出したり迎撃すべく接近してくるなど、こちらに対してアプローチをかけてきます。積極的に戦闘するのもありですが、戦闘を繰り返すと地域のエスカレーションゲージ(警戒度)があがり出現する敵が強くなるというデメリットも。こちらの手に負えないレベルまで敵が強くなるともはや攻略は不可能です。

 そこで、敵の索敵範囲の外を移動するほか、索敵範囲が狭くなるステルスモードや一時的に高速移動できるブーストモードを使うなどメリハリのついた行動が要求されるのです。

 さらに、敵に支配されたエリアを開放するには、ホームガードを蜂起させて支配権を敵と争わせる必要があります。蜂起したホームガードは各地で敵軍と交戦しますが、たいていの場合、ファントムブリゲイドが加勢しないとそのままでは敗北します。

 蜂起が開始されると両軍の占領ゲージが表示されますが、ホームガードが交戦地域で敗北するとこちらの戦力ゲージが減少。逆にファントムブリゲイドの加勢によって勝利すると敵軍の戦力ゲージが減ります。敵軍の戦力ゲージがゼロになるとそのエリアを解放して自軍の基地を置くことができます。

 敵の支配地で行動している感じを良く再現しているなかなか興味深いシステムなのですが、先にあげたエスカレーションゲージの関係もあり、敵の強さが手に負える範囲のうちに地域を解放するのは初期設定だとちょっと難しいかもしれません。

 難易度設定でエスカレーションゲージの上昇と低下の速度だけを変更可能なので、厳しいと感じたら調整するのも手ですね。

破壊された敵機からパーツをサルベージするハック&スラッシュ的要素も◎

 敵に支配された地域で行動する本作では、ロボットのパーツや武器をお店で買うことはできません。戦闘終了後に破壊された敵機からパーツや武器をサルベージして部隊の強化に活用していくのです。

 戦闘が終了するとサルベージ画面に入り、回収可能な装備のリストが表示。無傷で手に入るものもありますが、ほとんどは破壊されているので修理して装備として回収するか、分解して物資として持ち帰るか、もしくは放棄するかのいずれかを選択します。

 サルベージには予算が決められていて、破壊された装備をサルベージするにはコストがかかります。予算の範囲内でどこまで多くの報酬を得られるか。プレイヤーの判断力が試されるところでしょう。

 パーツには性能のほか、レベルやレアリティの概念があり、同じ種類のものであればこれらが高い方がより高性能の場合が多いです。敵機を完全破壊せずにパイロットをコンカッション(気絶)させたり、追い詰めて機体を捨てさせるとより良いものが手に入りやすいそうなので、戦闘の采配も考慮するといいかもしれないですね。

 また分解で入手できる物資は“ワークステーション”で機体や武器をクラフトしたり、モビルベースをアップグレードするのに使えます。めぼしいパーツがなかったときは分解して手持ちの物資を潤沢にするのもありでしょう。

 戦闘を繰り返し、敵からより良い装備を入手して自軍を強化する要素はハック&スラッシュゲームのようなおもしろさがあり、ゲームを続けるモチベーションにもなっています。

相反するシステムを両立させたシミュレーションゲームの傑作! ロボットゲームが好きなら買うしかない!

 ここまで魅力を紹介してきた『Phantom Brigade』。3月1日の正式リリースまで約2年のアーリーアクセス期間を経てきただけあって、本作のシステムは非常に洗練されていて遊んでいて楽しく、登場するメカも非常にかっこよく動くので戦う様子を鑑賞するのもいい感じです。

 とくに、敵の動きを見て行動を後出しじゃんけんのように決めたらあとは見ているだけというところが筆者的にはお気に入りですね。手元が忙しかったりするとメカがかっこよくても見ている余裕がなかったりするので、じっくり動くさまを鑑賞できるのは本当に素晴らしいです。

 シミュレーションゲーム好きならマストバイの内容ですし、そこまでシミュレーションに明るくないけれども、画面写真を見てメカが気に入ったのであれば、難易度も細かく調整できるので買っても問題はないと思います。

 本作は海外タイトルではあるのですが、登場人物のセリフの翻訳があやしい以外は日本語環境で問題なく遊べていることも書いておきます。

 わりと長めに遊べるデモ版もありますし、ロボットアニメやゲームが好きならハマれるタイトルだと思うのでぜひプレイしてほしいですね。


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