レビュー:良ゲー発見。探索もバトル(精神戦)も熱いミステリーRPG『異夢迷都(イム メイト)』で闇を暴け【電撃インディー#413】

なんでもゆうこ
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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、Arrowiz開発、PLAION /Prime Matter販売のミステリーRPG『異夢迷都(イム メイト) 果てなき螺旋』を紹介します。

 『異夢迷都(イム メイト) 果てなき螺旋』はPS4/PS5/Nintendo Switchでパッケージ版が、PS4/PS5/Nintendo Switch/Xbox One/Xbox Series/PC(Steam)でダウンロード版が発売中です。本記事はPS5版をベースに執筆しています。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

■PS4版

■PS5版

■Switch版

旧上海風の未来都市で巻き起こる事件

 JRPGにインスパイアされて制作された『異夢迷都(イム メイト) 果てなき螺旋』はターン制を採用したミステリーRPGです。

 舞台は旧上海を思わせる近未来都市の新都。政府や外部に接触を試みるもののすべて失敗し、完全に外界と断絶した孤立状態の新都には、独自の政府や警備組織が存在します。

 主人公は街の中心部・蘭香城に住むしがない私立探偵の“何某(なにがし)”。ゲーム冒頭で彼は知人から“嗟来の食(さらいのし)”という貨物を調査してほしいとの依頼を受け、貨物の流れを追ううちに異次元空間である“巣窟”に入り込んでしまいます。

 巣窟は人間の強い感情を食らう異形の怪物“凶渦”がはびこるダンジョンで、弁は立つものの戦闘能力のない何某は万事休す! この絶体絶命の状況を救うのが、記憶喪失の道士でもう1人の主人公“鍾馗(しょうき)”です。

 鍾馗が道を切り開き、巣窟で嗟来の食を発見できたものの多くはすでに運び去られている状態。どうして貨物を追ううちに巣窟に入り込んだのか、そして誰が何の目的で運んでいるのか……。

 謎を残しつつ巣窟を脱出すると、2人は貨物と凶渦との関係を解明するため協力関係を結ぶことになります。

 どこかひょうひょうとしつつも街の未来を憂う何某と、毒舌家で凶渦のせん滅に燃える鍾馗。性格や能力が異なる彼らが軽口を叩き合ったり時に言い争ったりするのは一見危ういようでも、同じ目的のため協力は惜しまない。

 そこに喧嘩を吹っ掛けるのが好きな義賊の“胡蝶”や壮絶な過去を持つ老兵の“煙鬼”などの仲間が加わっていくのですが、彼らの掛け合いはまさに個性と個性のぶつかり合い。言葉選びや感情表現からJRPGとはまた違った文化が感じられます。

 さらに、ここまで読んでくれた方はきっとお気付きになられたと思うのですが、本作には難読漢字が登場します。

 例えば、鍾馗の“馗”の字1つを取っても漢検1級に出題される難しさ。そのほか、アジトの“犭九狳沼(きゅうよしょう)”(犭九はけものへんに九)、ボス凶渦の“饕餮(とうてつ)”など、思わず頭を抱えてしまう言葉が次々と……。

 でも、エキゾチックな街並みだけでなく、こういった難読漢字や中国由来の単語によっても旧上海風の世界観が構築されていると私は思うんです。難読漢字が出てきたら読みと言葉の意味を調べ、世界観を補完し、同時に知識欲も満たす。もちろん読みがなが表示されているほうが便利なのですが、調べるのは調べるでなかなか楽しいもの。

新都の探索では何某が精神世界へ侵入

 本作では2人の主人公の役割分担が決まっていて、街では何某を操って情報を集め、その情報をもとに鍾馗で巣窟へ赴いて戦っていくことなります。

 ダンジョンについてはのちほど触れるとして、まずは街の説明をしていきましょう。

 街ではマップを使って目的地へ移動できるほか、人々との会話が可能です。街の“!!”や“?”マークがついた場所や人物にアクセスすれば、メインクエストおよびサイドクエストが発生&進行していく仕組みとなります。

 そのほか、情報を得る手段として“天眼グローブ”という手袋型デバイスを使う方法があります。何某が出会う人々は必ずしも友好的ではありません。非友好的な相手の口を割らせないとゲームが進まない……。

 そんな時は、天眼グローブでターゲットの精神世界に入りマインドブレイクさせることに。精神世界ではカードを使用し“心を閉ざした者”の精神力を0にすると、相手から情報を引き出すことができます。そう、本作を進めるうえでカードバトルは避けては通れないのです!

 カードは攻撃カードとスキルカードの2種類あり、説得力で相手を攻撃し、抵抗力で相手の攻撃を防ぎます。

 バトル開始時にはあらかじめ用意されたデッキを選ぶのですが、この選択がかなり重要。カードの使用順が重要なものや抵抗力を利用するものなどデッキごとに異なる効果が設定されており、プレイヤーはカードの特性を理解してバトルを進めていく必要があります。

 心を閉ざした者は“心魔”という浮遊物を出現させており、これがやっかいな存在。心魔がいることで攻撃力がアップするなど、相手は様々な恩恵を受けています。

 心魔たちを倒しても数ターン後には復活してしまうため、どの心魔から倒し、効率よく相手にダメージを与えていけるかが勝敗の鍵を握ります。

 ちなみに私はカードバトルは好きな方ですが、相手によっては何度もリトライ後にようやく勝利できることも……。実はカードバトルに負けたあとバトルをスキップできるのですが、悔しいじゃないですか。ああ、探偵稼業も楽じゃない。

ターン制バトルでは敵の弱点を突け

 巣窟で凶渦に遭遇すると、スキルを使用してのターン制バトルが展開されます。

 スキルは大きく分けて仲間が持つ固有の“キャラスキル”と武器に付与されている“武器スキル”の2種類。キャラスキルにより攻撃特化型、回復型、タンク型など役割分担はある程度決まっているのですが、鍾馗なら刀か槍、胡蝶ならば手裏剣かナックルというように、武器の種類を選ぶことができます。

 これにより使用できる武器スキルも変わり、結果として戦い方に変化をつけることが可能です。

 また、スキルには“CD”が設定されており“CD:3ターン”なら使用後3ターン経過するとそのスキルが再度使えるようになります。

 なお、攻撃シーンではボイスとともになめらかなアニメーションが表示され、これがなかなかの爽快感!

 大技は演出が派手なことが多いため再使用可能になったら迷わず使いたいのですが、CDは次の戦闘まで持ち越し扱いなので、ボス戦が近いようなら“CD:0ターン”のスキルを連発するのがおすすめです。

 もう1つ、戦闘をスムーズに行ううえで欠かせないことが粉砕、貫通、斬撃、特殊ダメージ耐性といった属性の存在。

 凶渦を弱点属性のスキルで攻撃することで“WEAK”の文字とともに大ダメージを与えられます。

 反対に耐性があるスキルでの攻撃では“RESIST”と表示され与ダメージは減少します。

 本作では通常の敵でもレベルによっては脅威となるため弱点を的確に突いていく戦いは必須なのですが、装備している武器によっては相性が悪いことも。

 そんなときは、普段攻撃を主体にしている仲間でもその戦闘中はアイテムでチームを回復させるなどして難局を切り抜けました。

 そのほかレベルアップで手に入るタレントポイントで“キャラタレント”を習得し、HPや攻撃力、防御力などを伸ばしていくのも重要な要素。

 キャラタレントでは専用スキルを覚えたり、好みの武器スキルを強化したりとプレイスタイルを追求していくことができます。

 タレントポイントは有限ですがお金でリセット可能なので、攻撃力、防御力などの基本ステータスを上げたら思うままにツリーを伸ばしてみるのもいいかもしれませんね。

 ちなみに、本作には仲間1人1人のHPやレベル、防具の概念がありません。その代わりとなるのが“チームHP”や“チームレベル”で、攻撃を受けるとチームHPが減少し、0になればゲームオーバー。勝利して経験値が入るとチームレベルが上がっていきます。

 いわゆる防具にあたるのが“チーム装備”で、装備には種類ごとに“HP強化”“防御強化”“斬撃強化”などの効果が付与されています。

 効果の発動には装備編成画面でチップのような各装備を一定数配置し、さらにスロットから伸びる線同士を繋ぐ必要があります。装備の配置はまるでパズルのようですが、バトルの勝敗を決める要素でもあるため手は抜けません。

 キャラタレントを習得し、装備を整え、チームレベルを上げたら準備万端、いよいよボス戦です!

 各章のボスは強力な技を放つほか、回復したり、撃破に条件があったりと一筋縄ではいかない難敵ばかり。正直、メインクエストをこなした程度では勝てないほどの強さなので、無理だと思ったらいったん街に戻りましょう。

 街でやり残したサイドクエストを終え、ボスダンジョンと同程度の危険度のランダム巣窟をクリアした頃には、よりよい武器や装備を手に入れているはず。さあ、今こそリベンジの時!

 2人の主人公を使っての街と巣窟でのバトルのほか、育成&プレイスタイルの追求とどこまでも密度の濃い『異夢迷都(イム メイト) 果てなき螺旋』。ガッツリ遊べるだけでなく、エキゾチックな雰囲気もあわせ持つこの作品は、一風変わったRPGにどっぷり浸りたい人にはたまらない1本と言えそうです!

■PS4版

■PS5版

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