レビュー:ミュージカル仕立てのボス戦は必見! 『Figment 2: Creed Valley』はこだわりの音と演出が楽しい【電撃インディー#414】
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- 電撃オンライン
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電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、Bedtime Digital GamesのNintendo Switch/PS5/PS4/Xbox/PC(Steam)向けソフト『Figment 2: Creed Valley(フィグメント2:クリードヴァレイ)』のレビューをお届けします。
本作のPS5/Xbox/PC(Steam)版は3月10日に発売され、Nintendo Switch版は3月16日に、PS4版は近日発売予定となっています。本レビューではSteam版のプレイを元にしています。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
舞台は人の心の中!? 絵本のような世界を冒険しよう!
『Figment 2: Creed Valley』は、人の心の中を舞台としたアクションアドベンチャーゲーム。本作は『Figment』シリーズの2作目にあたりますが、前作をプレイしていなくとも楽しめる内容となっています。
まるで絵本のなかにそのまま入り込んでしまったかのような、美しいグラフィックと、細かい部分まで丁寧につくられた音や演出が魅力の作品です。
主人公は、心の中の勇気をつかさどっているダスティーと、楽天家な相棒のパイパー。2人はとても仲がよく、冒険を進めているあいだに繰り広げられる会話は、思わずクスッと笑ってしまうような陽気なやり取りが多いです。
本作には、ローカル協力モードが搭載されており、協力プレイをする際はパイパーを操作することができます。1人でストーリーを進めるシングルモードでは、プレイヤーはダスティーを操作することになります。
ダスティーたちが冒険をする心の世界は、悪夢におかされ、機能不全に陥ってしまっています。そのため、心の中のモヤモヤとした不満や不安をそのまま具現化したような、黒い渦や悪意を持った敵が次々と登場します。
黒い渦や敵に触れてしまうとダメージを受けてしまうため、上手く回避をしながら、ダスティーの持つ剣で敵を倒していきましょう。攻撃と回避を使い分ける必要はありますが、操作の難易度はそれほど高くありません。
攻撃ボタンを連続で押していけば、どんどん敵を斬り倒してくれます。テンポよくズバズバと剣を振ってくれるため、音やエフェクトとも組み合わさって、プレイしていてとても気持ちが良いです。
特に、回避をした直後に攻撃ボタンを押すと発動する派生攻撃は、剣を上から叩きつけるような動きでとてもカッコよく、かつ爽快感もあり、筆者のお気に入りの技!
画面左側にある、逆さまになった試験管のようなものが、主人公の体力ゲージ。もしダメージを受けてしまっても、フィールドに落ちている緑色の玉を拾えば回復します。
回復用の玉はかなり豊富に用意されているため、ステージ道中の攻略にあたっては、さほど苦労することはないでしょう。
それに対して、ボス戦では数が限られるため、少し慎重に進める必要があります。回避に専念しながらスキをうかがう戦法がオススメです。
まずはボスの動きをよく見て、それから攻撃をはじめることを意識すると、上手く倒すことができました。アクションが苦手という方でも、落ち着いて対処すればクリアできる難易度だと感じました。
ミュージカル仕立てのボス戦は必見! こだわりの演出でついつい夢中に
本作の最大の魅力は、なんといってもミュージカルのような雰囲気で繰り広げられる強敵とのバトルです。
本作にはさまざまなボスが登場しますが、彼らはみなステージの上の役者のように、歌ったりパフォーマンスを披露したりしながら、主人公へ攻撃をしかけてきます。
敵とは言え、その演出は見ているだけでも楽しく、思わずワクワクしてしまいます。彼らが歌っている歌詞の内容も、心の中にある本音を表現したようなものが多く、こちらの心の中を見透かされているようで、ドキッとすることがあります。
バトル中はなかなか、歌詞の内容すべてを把握することは難しいのですが、ついついじっくり読んでしまい、うっかり攻撃を受けてしまうことも……(笑)。
また、本作のボス戦では、攻略のためのギミックが用意されていることがあります。
例えば、一番はじめの大きなイノシシとの戦いでは、ステージに大量の黒いモヤモヤが出現。これは触れるとダメージを受けてしまいますが、光を当てると消えるため、動き回るスポットライトの下に上手く立ちながら、攻撃の機会をうかがいましょう。
上手くイノシシ本体に強い光を当てると、正体が現れ、実はこんなに小さな姿だったという衝撃の事実が判明。大きく見える不安も、冷静に考えてみると案外小さなものだった、ということがありますが、その表れなのかもしれませんね。
こうしたステージ演出に関連したギミックが楽しいのも、本作の魅力。イノシシの次に登場するボスは、サーカスに似た舞台で、ジャグリングのようにボールを操りながら攻撃をしかけてきます。
ぐるぐるとステージの中を回りながら追いかけてくるボールが、急に向きを変えたり、一箇所に集まってきたりと、トリッキーな攻撃に振り回されて、筆者は一度ゲームオーバーになってしまいました。
負けるのは悔しいのですが、それと同じだけ楽しいと感じられるのが、本作のボス戦の良いところ。
手を替え品を替えといった感じで、次々と違ったステージを見せてくれるため、「次はどんなボスが出てくるのだろう?」というワクワクする気持ちでいっぱいに!
それぐらい、こちらを夢中にさせてくれる演出や、こだわりが詰まったボス戦となっています。
ストーリーの続きが気になることはもちろんですが、「早く次のボスに会いたい」という気持ちが強く、本作を遊ぶ手が止まらなくなってしまいますね!
開いた心と閉じた心、スイッチを切り替えてパズルを解こう!
本作では、冒険を進めていく中で、パズルが登場することがあります。動く足場をタイミングよく渡りながら進んだり、スイッチを切り替えて進む道を確保したりと、種類はさまざま。
例えば上の画像のフィールドでは、道端に置かれた“視点スイッチ”を攻撃することで、心の状態が変化し、主人公が進める場所が変わります。
スイッチを剣で攻撃して切り替えると、フィールドの雰囲気が一変。なんだかちょっと不気味な感じがしますね。あちこちにある目が、一様にダスティーをじっと見つめているのが、なんとも言えず恐ろしいです。
人の心をテーマにしているだけあって、ただ明るく楽しいだけではなく、どこかほの暗い部分も感じられるのが、人間の心の複雑さを表現しているようで興味深いところ。
冒険の舞台となっているこの心は、ある人物のものなのですが、心の中の世界を見ても分かる通り、この人物は大きな悩みや不安を抱えています。
どんな不安や悩みなのか、ということはストーリーを進めていく中でだんだんと明かされていくのですが、家族とのすれ違いや、仕事と家庭のバランスに関することなど、決して他人事ではないリアルさがあります。
特に、大人になってから悩みが増えてしまった、という方にはかなり刺さる内容となっています。筆者も、思わずウンウンと頷きながら物語を追ってしまいました。
自分の心の中にも、悩みや不安と立ち向かってくれるダスティーやパイパーのような存在がいたらなあ、と思いつつ、プレイをしているこちらも勇気がもらえるような作品となっていますので、ぜひ遊んでみてはいかがでしょうか。
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