“ハンゲーム”創始者・千良鉉氏が語る、生まれ変わった“ハンゲ”再建への道
- 文
- 宮居春馬
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オンラインゲームポータルサイト“ハンゲーム”が、10月16日をもって“ハンゲ(hange)”にサービス名を変更。その意図や今後の展望について、ココネの取締役会長であり“ハンゲーム”創業者でもある千良鉉(チョン・ヤンヒョン)氏に語っていただきました。
そもそも、日本でゲームポータルサイト“ハンゲーム”が生まれたのは、2000年のことです。当時、ハンゲームジャパンという社名(2003年にNHN Japanに社名変更)で千氏によって創立され、19年が経過した今もサービスを継続しています。
千氏が2009年に当時のNHN Japanを離脱したことで、一度はその手から離れた“ハンゲーム”でしたが、千氏が創立したココネが、今年8月1日にNHN ハンゲームを完全子会社化したことで、再び創始者のもとに戻ってくることとなりました。
今回の完全子会社化により、NHN ハンゲームはcocone fukuokaに社名を変更。“ハンゲーム”も“ハンゲ(hange)”にサービス名が変更されました(※)。“ハンゲ”というサービス名は、お客様間で浸透していたハンゲームの通称であり、お客様にとってはなじみ深い呼び名です。
※ココネが買収したのは“日本のハンゲーム事業”のみであり、韓国ではNHN Corpが“ハンゲーム”という名称のまま運営を続けています。
この“ハンゲ”へのサービス名変更について、千氏は「サービスの改修をしていくにあたり、お客様に親近感を持っていただきたいと思い、親しみのある名前にしました」と語っています。
また、現在“ハンゲ”から遠ざかっているユーザーも少なくないため、そういった方々にカムバックしてもらいたいという狙いもあり、懐かしく感じていただける「ハンゲ」というサービス名にしたとのこと。
→cocone fukuoka 公式サイト
→“ハンゲ(hange)”トップページ
“ハンゲ”について詳しく話を聞いていく前に、まずは今回NHN ハンゲームを子会社化し、cocone fukuokaとした経緯について尋ねてみました。
この問いに対して千氏は、“ハンゲーム”というサービスは、創業当時の2000年以降、世の中がナローバンドからブロードバンドに変化していく流れの中で、それまでとは異なるエンターテインメントに対して、お客様のニーズが拡がっていくと考えたところから始まったものだとコメント。
千氏が“ハンゲーム”を離れて10年を超える時の流れのなかで、デバイスもPCからスマートフォンにシフトし、お客様のニーズも変化してきました。全盛期ほどの元気がなくなった“ハンゲーム”に、創業者としてもう一度向き合い、もっと飛躍させたいという想いを語ってくれました。
千氏が“ハンゲーム”を離れて10年を超える時の流れのなかで、デバイスもPCからスマートフォンにシフトし、お客様のニーズも変化してきました。全盛期ほどの元気がなくなった“ハンゲーム”に、創業者としてもう一度向き合い、もっと飛躍させたいという想いを語ってくれました。
今後の展開について、具体的にはどのように考えているのか深く掘り下げてみると、“ハンゲーム”はオンラインゲーム市場が形成されていった2000年代では、アバターやコミュニティサービス、無料ゲームといった新しいビジネススタイルで人気を博していましたが、今戻ってきて、在任当時のサービスとあまり変わっていなかったことに驚いた、と千氏は言います。
まずは、変更が必要なところは今の時代にあったものに変えていきたいという意思を見せながらも、千氏は“ハンゲ”に対して懐かしいと思ってくれるお客様も大事にしたい想いがあることを強調。
かつて“ハンゲーム”は、無料ゲームというコンテンツによって集客していましたが、“ハンゲ”でもお客様に気軽に集まって遊んでもらうためにハードルを低くし、集まった方々のニーズにあわせたサービスの提供をしていきたい、というビジョンも口にしています。
“ハンゲ”は、PCとモバイルのユーザーが混在していることも特徴的ですが、現在はスマホ向けのアプリ市場が非常に盛り上がっています。“ハンゲ”もこの流れに乗り、スマホアプリへの展開を考えているのかという質問が出ると、千氏は「スマホの時代すら過ぎ去ろうとしているのではないか」と言及。モバイルへの展開も考えているものの、お客様のニーズに沿った形でのアプローチの仕方を模索している段階であると付け加えました。
また、今後のコンテンツの拡充については、“ハンゲ”というポータル内にコンテンツを集めるだけではなく、「ハンゲ」の形を維持しつつも、今の時代のニーズを形にした新しいサービスもお客様に提案して行きたい、といった内容の発言もありました。ポータル外部へどのようなアプローチをしていくのかは、今後の動向を見守りたいところです。
かつて“ハンゲーム”を立ち上げる際にも、千氏はコンテンツの選別に苦心したことも明かしています。当時、韓国では集客力の高かった花札などのコンテンツが日本ではあまり振るわず、日本サービスでは麻雀やトランプゲームの大富豪などを実装することになったとのこと。
さらに、日本ではお客様ユーザー同士のコミュニティを重要視されている傾向を感じたため、コミュニティ性の強化を進めることになったのだそう。収益モデルのメインがアバターであったところも日本独自の文化であり、驚いたポイントでもあったと言います。
では、「今のハンゲに足りないものは何か?」と聞いてみたところ、千氏は包み隠さず「ほとんど足りていない」と回答。時代の流れ、それに伴うお客様の嗜好の変化に合わせて、サービスも変化(進化)が必要だと語りました。
これまでの“ハンゲーム”というサービスの中で、今の顧客のニーズにあっていない部分(例えばポータルという形式など)を維持しようとしてはいけないということは、cocone fukuokaの社員とも話し合っている段階だそうです。人間の本能が、そして時代が求めるものに沿って、自分たちができることを考えてサービスとして作っていこうとしている、といった内容の発言をされています。
そのうえで重要だと語ったのは、自分たちが好きなことで上手くやっていくのではなく、お客様が求めるものが何かを考えること。高いゲーム性を好む層とアバターを好む層など、嗜好の異なるお客様を抱える“ハンゲ”は、もっと違う展開をしていかなくてはいけないとのことです。
そうしたうえで千氏は、私たちが今の“ハンゲ”で目指すは、かつてのように日本一のポータルサイトではなく、時代にあったサービスを提供していくこと、と語りました。
これまでハンゲームを遊んできてくださったお客様にとっては、慣れているものへの愛着や居心地の良さがあることも事実なので、完全に切り替えるということではなく、自然に選択していただけるような新しいサービスの形を提案していきたい。
そして、“ハンゲーム”に触れたことのない新しい層にも、“新たな楽しさ”を提供できるようなものにしたいと考えている。たやすいことではないが挑戦であると締めくくりました。
© cocone fukuoka corp.
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