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家にいながら脱出ゲーム!『少年探偵団と丘の上の奇妙なカラクリ屋敷』開発者インタビュー

終末のバンギア。/市野ルギア
公開日時

 KADOKAWAが販売・運営する新しいアナログゲームブランド“カドアナ”から発売されたNintendo Switchダウンロード専用謎解き脱出ゲーム『少年探偵団と丘の上の奇妙なカラクリ屋敷』。“家にいながら謎解き脱出ゲーム”をコンセプトに開発された、本格的な謎解き脱出ゲームが楽しめる作品です。

 本作の特徴は、公式サイトで配布されている“紙の謎”をダウンロードしてプリントアウトし、ゲームとリアル(紙の謎)を行き来して謎を解いていくというスタイルを導入したゲームで、難易度も小学生高学年からを推奨としている本格的な謎解き脱出ゲームとなっています。

 この記事は、本作のタイトル楽曲を担当した創作ユニット『終末のバンギア。』がインタビューアーを務め、カドアナのプロデューサー/遠山竜也(以下、遠山)氏と、本作の“謎”を手掛ける株式会社BOUKEN WORKSの代表取締役/吉野禎央(以下、吉野)氏、クリエイティブ部 部長/池田佳世(以下、池田)氏をお迎えして、開発の経緯や秘話などをお聞きし、本作の魅力をお伝えします。

  • ▲左より、吉野氏、池田氏、遠山氏

『少年探偵団と丘の上の奇妙なカラクリ屋敷』制作秘話

――まずお聞きしたいのですが“カドアナ”とは、どんなブランドでしょう?

遠山氏:KADOKAWAが販売・運営する新しいアナログゲームブランドとして、昨年(2022年)10月末ごろからスタートしました。

 内容としてはボードゲームやカードゲーム、マーダーミステリーなどのアナログゲームを中心に開発、販売するブランドで、KADOKAWAの持つ多数のIPを使用したゲームなどを提供していきます。

 そして本作はNintendo Switchと連動した、アナログゲーム部分とデジタルなコンシューマゲーム部分を融合させたスタイルのゲームとなっています。

――今回はNintendo Switchとアナログゲームを連動させた試みのゲームということですね。『少年探偵団と丘の上の奇妙なカラクリ屋敷』はいつごろから企画をスタートされたのですか?

遠山氏:企画自体は、2020年の社内コンペに参加したころに立ち上げたものです。社内の承認を得る為にプロトタイプ版を用意したりし、実際に開発がはじまったのは2022年になってからです。

 コロナ禍で、外でのイベントが制限されるようになってしまったこともあり、実際のイベントでやっているような脱出ゲームを自宅でできないか……と開発をはじめました。

――当初は、本(書籍)とゲームがセットになる予定だったとお聞きしましたが……。

遠山氏:そうですね当初の企画段階では、“紙の謎”をプリントアウトするのではなく、本(書籍)で販売したいと考えていましたが、よりご家族や友人とも遊べるかたちにと考えたときに、自宅などで手軽にプリントアウトできたほうがよいのかな……と、この仕様に落ち着きました。

――いまはご自宅やコンビニでも手軽にプリントアウトできますもんね……ゲームもダウンロードして、ご自宅や近所のコンビニで“紙の謎”も印刷できるなら、より作品を手に取りやすいかもしれません。“紙の謎”をプリントアウトするのに用紙などの規定はありますか?

池田氏:紙のサイズが全ページで同じであれば、A4サイズやA3サイズでも、カラープリントや白黒プリントでも“謎”が解けるようになっています。

――今回のゲームは、基本ひとりで遊ぶ感じですか?

池田氏:ひとりでも遊べますがNintendo Switchのゲーム画面をテレビに映して、ご家族や友人とみんなでワイワイしながら遊んでいただけるといいな……と思いながら作りました。

――時期的に春休みやゴールデンウィークに、家族や友人を呼んでとか……みんなで役割分担をしてコミュニケーションをとりながら遊べたら楽しそうですね!

吉野氏:“謎”自体の難易度は、家族で楽しめる難易度を想定しているので、お子様一人では解けないかもしれません。ぜひ、家族一丸となって謎解きに挑戦してみてください。

 ストーリーは小学生でも受け入れやすいような内容になっていますし、行き詰まったときのヒントもゲーム内に実装されていますので、難しい謎もそのヒントを見れば解けるようになっています。

――本作はどんなストーリーなのでしょうか?

遠山氏:わりとシンプルで、3人の小学生の主人公たちのもとに、ある屋敷からの招待状がきたことで、その屋敷に行って“謎”を解くことになる。というストーリーになっています。

アナログとデジタルを行き来する“謎解き”作りの開発秘話

――“家にいながら脱出ゲーム”ってわかりやすいキャッチですよね。 アナログ部分である“紙の謎”とNintendo Switchを使った謎の開発で、通常の謎解きや脱出ゲームを作成するのとは違う難しさはありましたか?

池田氏:今回はゲーム機を使って、なおかつ“紙の謎”を使うということで……、ゲームだけで完結してしまってはダメだし、紙だけで完結してしまってもいけない……。両方ないと解けない“謎”のバリエーションを考えなくてはいけないという難しさはありました。

――ゲームと紙との連動って、実際はどんなことをしながら謎解きをしていくのでしょうか?

池田氏:紙を手元で折ってみないと解けない“謎”があったり……紙に描かれている絵が、ゲーム内では動いていて、その動きを見ながら謎を解くことが必要になったり…とか。

 たとえば、プリントアウトした“紙の謎”に時計の絵があるのですが、ゲームではその時計の針を動かせるようになっていて、針を動かすことで起こるゲーム内の変化を見ながら答えを導きだしていく……というような謎解きがあったりします。

――なるほど! ゲームで動かしつつ、紙に書き込んで“謎”を解いたりするのですね。それは、新しいな! と感じますね……そもそも“謎”って、どうやって考えているのですか?

池田氏:“オチ”から考えることが多いですね。 基本的に、まずは物語が最後どう帰着するのかを先に決めて、そこから細分化していって、このパートでこれを解いてもらおうというような作り方をしています。

 今回の場合は、謎解きのパターンに変化をつけたかったので、各章ごとに担当者を決めて“謎”を考えていきました。

――今回の謎解きの問題を考える段階で気をつけたことなどあれば教えてください。

吉野氏:Nintendo Switchの機能を使う上でどういう動き(コントロール)をしたらおもしろいのか……というのはいろいろ試しましたね。

 ゲームだからこそできること……たとえば音を使ったギミックとか、あとは……さきほど池田も言いましたが、飽きがこないように各章ごとに、謎のバリエーションを変えていくように気をつけました。

――BOUKEN WORKSさんは、イベント用の脱出ゲームの“謎”を作るとき、玄人向けの難しい“謎”も作ったりするのですか?

吉野氏:ケースバイケースですね。イベントの要望に応じて難易度を調整しています。ただ、ものすごく難易度の高い“謎”はそこまで得意ではなくて……それよりも物語性のある謎解きのほうが得意ではあります。

――謎解きの検証はどのようにされるのですか?

池田氏:何度か実際に解いてもらってどれぐらいの時間かかるか検証して、それによってヒントの内容や難易度などを調整していきます。

――実際、お子さんに謎解きを試してもらう……とかそういうことも?

吉野氏:今回、いちばんはじめのころにやってもらいましたね。

――普段の生活から謎解きについて考えを巡らせていることが多いですか?

池田氏:そうですね……。謎解きというか、普段はずっと“ネタ”を探していたりします。 直接“謎”になるかどうかというよりは、物語にこういう要素を入れたらおもしろそうとか、なにか使えそうな“ネタ”はずっと探しています。

――流行の“ネタ”を盛り込むことも?

池田氏:とても流行ったネタはチェックして盛り込むこともありますね。

アナログゲームイベントと本作のタイトル曲

――カドアナさんは近々アナログゲームのイベントに出展されると伺いましたが。

遠山氏:はい。5月13日(土)と14日(日)に東京ビッグサイトで開催される“ゲームマーケット2023”に出展予定です。

 今回はカードゲームやボードゲームなどのいわゆるアナログのイベントになるので、『少年探偵団と丘の上の奇妙なカラクリ屋敷』の出展はないのですが、ほかにもカドアナブランドの新作カードゲームをいろいろ出展します。

 『うんこカレー』とか『出雲学園書紀』や『これどっち?どうぶつ』など……ぜひお時間ありましたら、遊びにいらしてください。

――どれも気になりますね。とくに『うんこカレー』ってネーミングが……。 BOUKEN WORKSさんも出展されますか?

吉野氏:はい。私たちも出展予定です。マーダーミステリー系や謎解きのゲームを数多くそろえていますので、ご来場の際はぜひお立ち寄りください。

――最後になりますが……今回タイトル曲を、『終末のバンギア。』で制作させていただきましたが、イメージ的にいかがでしたでしょうか?

遠山氏:私自身あまり音楽に詳しくないもので、マルっとお任せしてしまった感じなのですが、タイトルに沿うようなイメージで、良い曲だなと思っています。

――ありがとうございます! プロデューサーからお墨付きをいただいて安心しました……。ゲームのタイトル曲ってスタートボタン押しちゃうと聴けなくなっちゃうので、私たちとしては、ひとまずスタートボタンを押すまえに、一回と言わず……何度でも聴いていただけたらなと思います。

 本日はお忙しいなか、ありがとうございました。

『少年探偵団と丘の上の奇妙なカラクリ屋敷』とは?

 本作は、ダウンロードした『少年探偵団と丘の上の奇妙なカラクリ屋敷』と公式サイトでダウンロード、プリントアウトした紙の謎、ペン、ハサミで遊ぶ、謎解き脱出ゲームです。

 3人のキャラクターを動かしゲームの舞台となる屋敷を探索し、そこに隠された“謎”を解き明かすことがゲームの目的となります。

 手に取って実際に“書き込む”、“折る”、“切る”といったアナログ要素のある謎や、Nintendo Switchを活かした動きや音を利用したデジタル要素など、さまざまな謎が用意されています。

製品情報

商品名
少年探偵団と丘の上の奇妙なカラクリ屋敷
価格
1,980円(税込)
発売日
2023年3月23日
プレイ人数
1~
プラットフォーム
Nintendo Switch
ジャンル
謎解き

『終末のバンギア。』プロフィール

 2019年より活動している、対となる白と黒の歌と絵の作品を創っているユニットです。対となる歌は歌詞を入れ替えて歌えるのが作風です。

 入れ替えて歌うことにより、その歌詞の持つ別の側面が見えてきます。代表的な楽曲にはシリーズコンセプトを設け、歌に出てくるキャラクターたちをキャラクタライズしています。

・『創作御伽(おとぎ)ウタ』シリーズ
・『歌詞の決まってない歌』シリーズ
首都圏を中心にライブやイベント出展活動中。

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