『バーチャファイターeスポーツ』最強のプロ選手は“創造神”とんちゃん! セガ公式大会フォトレポート

栗田親方
公開日時

 3月19日(日)に開催された『Virtua Fighter esports』のセガ公式プロ大会「VIRTUA FIGHTER esports PRO CHAMPIONSHIP 2023」で優勝したのは、あまりの強さに“銀河系最強”とまで言われていた“とんちゃん”選手でした!

 約70点の写真とともに、『バーチャファイター』の長い歴史のなかでも初となる、セガ公式プロ大会の模様をレポートします。

  • ▲優勝賞金100万円! 初のプロ大会を制したのは、ジャッキー、ブラッド、アキラの3キャラを使って闘ったとんちゃん選手。おめでとうございます!

  • ▲準優勝のじゃんぬ選手にも30万円の賞金が! 最後はとんちゃん選手のアキラの前に一歩およばずでしたが、ジャッキー一筋で大健闘!!

大会アーカイブ動画

“自分以外はどんぐり”という大胆不敵な決意表明を有言実行!

 本大会は、7人のプロ選手が2つのブロックに分かれてリーグ戦を行い、1位抜けした選手同士で決勝戦を行うという流れでした。

  • ▲事前に決まっていたブロック分け。※びた選手は体調不良により辞退

⇒【参考】各プレイヤーの紹介・大会前の優勝予想

 予選Aブロックを得失セット差で勝ち抜いたとんちゃん選手が、Bブロックを同じく得失セット差で抜けてきたじゃんぬ選手を決勝で下して優勝。

 大会前のインタビュー動画(下記)で言い放った「ボクは正義。それ以外は全員どんぐり」という超強気なコメントを、見事に有言実行した形です。

 過去の『バーチャファイター』シリーズの公式大会では、「強気な発言をしたプレイヤーは負ける」というジンクスがありましたが、そんな過去は一切関係ないとばかりに圧倒的な強さを見せつけました。

 唯一、予選ではヨゴ選手に負けてしまいましたが、得失セット差で1位抜けが確定したあとだったため、もし勝利が必須の試合だったら結果が変わっていた可能性もありそうですね。

  • ▲初のプロ大会優勝者に贈られた称号は“創造神”。これまで通り名のように呼ばれていた“銀河系最強”を超えるスケールのデカさ!

大会結果まとめ

 ここからは、大会中に撮影した選手たちの写真(撮影:イトラ)とともに、試合の内容をレポートしていきます。

  • ▲決戦を前にした7人のプロ選手。さすがに緊張感が高まっている気配。
  • ▲前代未聞の“プレイヤー相関図”も話題になりました。最強と言われるだけあり、とんちゃんに当たりたくない人が多過ぎですね(笑)。

予選リーグ結果一覧

Aブロック

 全員が1勝1敗で並んだものの、得失セット差でとんちゃん選手が勝ち抜けました。

 とんちゃん選手が3タテで倒したカメレオン選手がヨゴ選手に3-2で勝利したため、とんちゃん選手はヨゴ選手から1セットでも取れば1位という計算ができていたようです(セット数が並んでも、得失ラウンド数で勝利)。

結果 選手名 メインキャラ 活動エリア
1位 とんちゃん ジャッキー 東京都 渋谷
2位 ヨゴ カゲ 愛知県 豊田市
3位 カメレオン パイ 中国地方

Bブロック

 こちらも全勝したプレイヤーはおらず、2勝1敗で並んだバルゴ選手とじゃんぬ選手の2人のうち、得失セット差で勝ったじゃんぬ選手が勝ち抜けました。

 じゃんぬ選手は1試合目で負けたものの、バルゴ選手との直接対決で3-1とリードを広げたのが大きかったですね。

 最有力候補と言われていた赤丹しわぽ選手が4位になっているあたり、実力伯仲のプロ対決の厳しさがうかがえます。

結果 選手名 メインキャラ 活動エリア
1位 じゃんぬ ジャッキー 大阪府 大阪市
2位 バルゴ ジャン 東京都 池袋
3位 レオラオ ゴウ 東京都 池袋
4位 赤丹しわぽ パイ 東京都(八王子/渋谷/池袋/秋葉原/大山)

Aブロックの各試合

【Aブロック:1試合目】とんちゃん vs カメレオン

 初のプロゲーマーが誕生する大会において、カメレオン選手がとんちゃん選手を倒してプロライセンスを獲得したという因縁のある対決。

 その際は「圧倒的にとんちゃんが有利」という下馬評をくつがえしたカメレオン選手でしたが、今回は下馬評どおりに3-0ストレートで大敗してしまいました。

 しかも。とんちゃん選手は3試合で2ラウンドしか取られなかったため、最終的にはこの大勝が1位抜けへの大きなアドバンテージとなるのでした。

  • ▲とんちゃん選手。

  • ▲カメレオン選手。

【Aブロック:2試合目】ヨゴ vs カメレオン

 負ければ敗退が確定するカメレオン選手ですが、初代プロゲーマーの意地を見せてフルセット&フルラウンドのギリギリの闘いを3-2で勝利!

 パイの性能を活かした細かい連係と思い切りのいい投げ技により、業界最高クラスのガード能力を持つヨゴ選手を崩すことに成功しました。

 ヨゴ選手が有利という見方が多かった組み合わせですが、初戦を0-3で落とすなど立ち上がりの鈍さもあり、すでに1試合を終えて軽快に動いていたカメレオン選手に先手を取られ続けた印象です。

  • ▲ヨゴ選手。

  • ▲カメレオン選手。

【Aブロック:3試合目】ヨゴ vs とんちゃん

 カメレオン選手に負けたヨゴ選手は、結論としては3-0ストレートでとんちゃん選手に勝たないと1位抜けが難しい状態でした。

 のちにとんちゃん選手がインタビューで語っていましたが、「とにかく1試合とればOK」ということで、いつもの自分とは違う闘い方をしたとのこと。

 1試合を取り返されたあと、これまで公式大会では見せたことのないブラッドを使用したのも、すでに1位抜けを確信した余裕の表れだったのかもしません。

 “最強の矛”vs“最強の盾”とも評された注目の試合はヨゴ選手の勝利となりましたが、得失セット差で決まるリーグ戦という性質上、最後は消化試合といえる状態になってしまったのが残念なところでした。

  • ▲ヨゴ選手。

  • ▲とんちゃん選手。

Bブロックの各試合

 1位抜けはじゃんぬ選手。2勝1敗で並んだバルゴ選手との得失セット差は、わずか1セット差でした。

 赤丹しわぽ選手との最終戦では、3-1で勝てばじゃんぬ選手が1位抜け、3-2だとバルゴ選手との得失ラウンド差で決まるというギリギリの展開。

 結果的には、バルゴ選手との直接対決に3-1で勝利したのが非常に大きかったといえますね。


  • ▲最終戦で1位抜けを決め、喜ぶじゃんぬ選手。

【Bブロック:1試合目】レオラオ vs じゃんぬ

 Bブロックは初戦からフルセットの接戦ながら、先にリーチをかけていたレオラオ選手が逃げ切って勝利しました。

 最年長のレオラオ選手はじゃんぬ選手のスピードに押されるシーンも多かったのですが、要所の読み合いで大ダメージを奪うことに成功。特に最終戦では、じゃんぬ選手が動くタイミングに合わせて蒼弓(46P)を当てまくるなど、老獪なプレイが効いていました。

 初戦を落としたじゃんぬ選手はこのあと見事な逆転劇を見せるわけですが、2-3の僅差という“負け方”が命をつなぐ結果となりましたね。

  • ▲レオラオ選手。

  • ▲じゃんぬ選手。

【Bブロック:2試合目】赤丹しわぽ vs バルゴ

 同じ大会でプロライセンスを獲得した両者が再度激突。前回は赤丹しわぽ選手が勝利しましたが、今回はバルゴ選手がなんと3-0ストレートでリベンジを達成しました。

 赤丹しわぽ選手はメインキャラのパイを使って2試合とられたあと、キャラをブラッドに替えて逆転を狙いますが、ギリギリおよばず敗北。結果としてはこの得失セット数の差が大きく響き、予選突破が困難になってしまいました。

 とんちゃん選手の最大のライバルと目されていた赤丹しわぽ選手ですが、大舞台での緊張感(本人談)から動きに精彩を欠いていた点は、今後の課題といえそうです。

 逆にバルゴ選手は大きなアドバンテージを得て、この時点では1位抜けに最も近い状態だったのですが……。

  • ▲赤丹しわぽ選手。

  • ▲バルゴ選手。

【Bブロック:3試合目】赤丹しわぽ vs レオラオ

 負ければ予選落ちが確定する赤丹しわぽ選手ですが、1-1で迎えた3試合目でエル・ブレイズを投入。結果としては3-2でレオラオ選手を下しました。

 大会後に聞いたところ、「パイの調子が悪いのでいろんなキャラを試した」ということでしたが、ゴウに対して相性のいい技が多いブレイズが見事に刺さる結果となりました。

 レオラオ選手も対ブレイズの初戦を取って先にリーチをかけたのですが、その後は続投したブレイズに翻弄されてしまった形です。

 これで両者ともに1勝1敗となりましたが、“負け方”に大きな差があるため、レオラオ選手は1位抜けのチャンスが十分あるものの、赤丹しわぽ選手の1位抜けはかなり厳しい状態となりました。

  • ▲赤丹しわぽ選手。

  • ▲レオラオ選手。

【Bブロック:4試合目】バルゴ vs じゃんぬ

 バルゴ選手が勝てば、1位抜けに大きく近づく重要な試合。しかし、初戦を落として後がないじゃんぬ選手が底力を発動し、キレッキレの立ち回りでバルゴ選手を3-1と圧倒します。

 結果論ではありますが、バルゴ選手があと1試合とっていれば1位抜けを決めることができました。

 直接対決での1試合の差は2セットの差となるので、この“負け方”が悲劇の序章だったといえそうです。

 下世話な話ですが、1位抜けできれば賞金30万円が確定するので、リーグ戦での闘い方は今まで以上に気を使いそうですね(もちろん全勝すれば話は早いんですが……)。

  • ▲バルゴ選手。

  • ▲じゃんぬ選手。

【Bブロック:5試合目】レオラオ vs バルゴ

 プレイヤー相関図でレオラオ選手が「弱そうw 一番戦いたい」と煽っていたバルゴ選手との因縁の(?)対決。

 序盤はそのコメント通り、レオラオ選手が3-1、3-1と危なげなく2連勝してリーチをかけます。

 このままレオラオ選手が勝利していれば、得失セット差で1位抜けがほぼ決定的な状態でしたが、バルゴ選手が怒涛の逆3タテで“帝王”を撃破。2勝1敗で全試合を終え、1位抜けを最終戦の結果にゆだねる形となりました。

 なお、レオラオ選手は1勝2敗での予選落ちが確定。同時に赤丹しわぽ選手も、得失セット差の都合で1位抜けができないことが確定しています。

  • ▲レオラオ選手。

  • ▲バルゴ選手。

【Bブロック:6試合目】じゃんぬ vs 赤丹しわぽ

 5試合目の結果により、じゃんぬ選手は3-1で勝てば1位抜け確定。3-2で勝てばバルゴ選手との得失ラウンド数で決まるという、リーグ戦ならではの複雑な展開に。

 対する赤丹しわぽ選手は、すでに1位抜けがなくなった状態。もちろん勝つつもりで闘うと思われますが、どうしてもモチベーション的には苦しいところです……。

 その雰囲気を最も危惧していたのは、赤丹しわぽ選手が頑張ってくれないと1位抜けができない状況のバルゴ選手。この試合中のバルゴ選手の一喜一憂ぶりは、ある意味で今大会でも最高の盛り上がりを見せていました(笑)。

 結果としては、パイが敗れたあとにジェフリー→ブラッドとキャラを替えつつ闘った赤丹しわぽ選手が1-3で敗北。得失セット差でじゃんぬ選手が1位抜けを果たしました。

  • ▲じゃんぬ選手。

  • ▲赤丹しわぽ選手。

決勝戦

 決勝戦で相対するは、本作最強キャラとも言われるジャッキー使いの2人。この両者はプロライセンス獲得後の決勝戦でも当たっていますが、そのときはとんちゃん選手が3-0で圧勝しています。

 当然ながらリベンジに燃えるじゃんぬ選手。関西最強ジャッキーの意地を見せたいところです。

  • ▲決勝戦の組み合わせ。
  • ▲決勝戦の前に顔を合わせるファイナリストの2人。普段はジャッキー仲間としてチームを組むこともある両者が、この大舞台で雌雄を決します。

  • ▲決勝戦に向けて意気込みを語るじゃんぬ選手&とんちゃん選手。

 のちのインタビューにより、この時点での両者の心構えに大きな違いがあったことが分かりました。

 とんちゃん選手は「人対策(※相手プレイヤーのクセを事前につかんでおくなど)は全然していない。変なことを考えなくても、試合中に組み立てながら最後には勝てるので、必要ない」という“最強”のプレイヤーならではの自信のある心構え。

 対するじゃんぬ選手は、「人対策はバリバリやりました。『VFes』が始まってからの動画をチェックして、過去の試合内容を振り返りながら要所を押さえた」という努力家らしい準備でこの大会に臨んでいたようです。

 この対策の差が表れたか、なんと1試合目はじゃんぬ選手が同キャラ戦を制し、先手をとっていきます。



  • ▲試合中の2人。

 そして迎えた2試合目、とんちゃん選手がピックしたのは『バーチャファイター』シリーズの主人公であるアキラ。しかも『VF1』のポリゴンモデルです。

 大会後、「バーチャ初のプロ大会は、このキャラで勝つと盛り上がるんじゃないかと思った」と語っていたとんちゃん選手。戦略的にも、ジャッキー同キャラはあまりしたくないため、最初からじゃんぬ選手にはアキラを出そうと思っていたとのこと(※初戦はメインキャラ固定のため、2試合目から登場)。

 この作戦が功を奏し、アキラを使っての初戦は敗れたものの、その後はじわじわと勝ち星を重ね、5-3で優勝を果たしました。

  • ▲白虎双掌打でジャッキーを壁に押し付けるポリゴンアキラ。

 以前の大会でアキラを使ったときはカメレオン選手に負けているのですが、実力が出やすい5試合先取ということでメンタル的にも余裕があったと思われます。ややコンボミスは目立ったものの、立ち回りでじゃんぬ選手を圧倒していた印象でした。

 じゃんぬ選手も最後までほぼ互角の闘いを演じましたが、最後はいわゆる“カステラ”ステージ(壁コンボやリングアウトが発生しやすい細長いステージ)にて力尽きました。



  • ▲優勝を決めて喜ぶとんちゃん選手。ちょうどWBC期間中ということもあり、“ペッパーミル”パフォーマンスを披露していました(野球好き)。“”

シーズン1を終えて、シーズン2の展望は?

 大会後には青木CPから、この大会で幕を閉じた“シーズン1”を締めくくるコメントが聞けました。

 まだ詳細は発表できないようですが、「すでに今後の予定は決まっており、発表のタイミングを待っているところ。あらためて今後の予定をお伝えする機会を設けようと思っている」という気になるお話がありました。

 また、シレっと「今年も来年も引き続きよろしくです」というお話もあり、今後も長いスパンで『バーチャファイターeスポーツ』を盛り上げていこうという確固たる意志を感じることができました。

 ちなみに次の大きなイベントは、3月31日(金)~4月2日(日)に開催される「EVO Japan 2023」。まずは、ここで何かしらの発表があることを期待したいですね!

  • ▲『Virtua Fighter esports』チーフプロデューサーの青木盛治氏。

  • ▲実況・解説を務めたウルフ使いの組長氏。

  • ▲実況・解説を務めたラウ使いのわさこん氏。

フォトギャラリー(撮影:イトラ)

 これまでに掲載した写真ほか、大会中の雰囲気が伝わるさまざまな写真を時系列順に並べておきます。





































































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