突然のホラーに心臓キュッ!! 『Ib(イヴ)』は怖いけどエンディングがどれも最高【東城咲耶子のおすすめインディーゲーム】
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- 東城咲耶子
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電撃オンラインユーザーのみなさん、こんにちは! 私、東城咲耶子がひたすらおすすめのインディーゲームをゆるく紹介する“東城咲耶子のおすすめインディーゲーム”第6回がやってきました。
気がつけばあっという間に6回目ですね。早い!
ゲームのしすぎでゲームする時間が足りない! 東城です! よろしくお願いします!
いつも楽しみにしてくださっている方も、初めて見てくれた方もありがとうございます。
語りたい作品が無限にあるので、まだまだお付き合いいただけたらと思います。
今回ご紹介するのは、ちょっと懐かしい作品です。
『Ib(イヴ)』
イヴ! 今から11年前の2012年にインディーゲームデベロッパーのkouriさんがPC向けのフリーゲームとして公開した、美術館を探索する2Dホラーアドベンチャーゲームです。
私がずっと大好きな思い出の作品!
2022年にSteamで発売されたリメイク版の『Ib』があり、2023年3月9日には、Nintendo Switchでもリメイク版が発売されました! めでたい!
今回の記事では、フリーゲーム版を当時、リメイク版(Steam)を最近プレイした感想をお届けします。
謎解きに集中しているときに来る突然のホラーに心臓キュッ!!
主人公のイヴは、美術館で開催された“ゲルテナ展”に家族と訪れ、いつの間にかはぐれて1人ぼっちで館内に閉じ込められてしまいます。
誰もいない美術館で、美しい美術品たちが自我を持ち襲ってきたり、戦ったり、逃げたり、ときには通じ合ったり……な“ナイトミュージアム”的ホラーです。
難しい漢字も読めないくらいの幼いイヴですが、探索を進めていくと、同じように美術館に閉じ込められた仲間たちに出会います。
1人はギャリー。紫色の髪をした、お姉さんみたいな話し方をする背の高い男の人です。優しい! いい大人!
もう1人はメアリー。ふわふわロングの金髪で、イヴちゃんと同い年くらいのお嬢様みたいな女の子です。可愛い~。
3人で力を合わせながら、どうしたら美術館から脱出できるのか、なぜ閉じ込められてしまったのか、そもそもここは本当に美術館なのか、などなど、謎を解き明かしていきます。
この世界のルールとして、美術品たちに自我はあるものの自力で扉は開けられません。
美術品に襲われるたびに、猛烈なダッシュと神回避でイヴたちは次の部屋へと切り抜けていきます。
当時、今よりホラーゲームが苦手だったので「2Dならそんなに怖くないだろうから私でも出来るかな~」と始めたのですが、そんなことはまったくありませんでした……。
すっごく怖い! 2Dなのがむしろ想像力働いちゃって余計に怖い!
追いかけられる怖さもありますが、物語を進めるために解かなくてはいけないギミックがいたるところにあって、探索のメインは謎解きです。
ゲームに慣れている人なら難易度はそんなに高くないと思うのですが、謎解きに集中しているときに来る突然のホラーに、心臓がキュッてしますよね……。
バラバラに行動しなくてはいけない展開もあって、ギャリーを操作して大人だからこそできることをしたり、子どもたちがそれをサポートしたり、ギャリーという大人がいること、イヴとメアリーが子どもであることが、謎解き的にもきちんと意味があるところがおもしろいポイントです!
ちなみに、リメイク版はありとあらゆる絵が描きおろされていて、謎解きやストーリー、コンプリート要素などもがっつり増えています。
追加要素だらけで最高でした。助かる~。
リメイク版はフリーゲーム版でほしかった要素満載です!
2Dならではのホラー演出がお上手で、フリーゲーム版のころからしっかり怖いのですが、リメイク版ではさらに工夫が凝らされていて怖さが増しています……!
そして、ゾッとする瞬間はストーリーそのものにも散りばめられています。
メアリーと2人きりで雑談をしていると、おもむろに「もしここから出られるのが2人だけだったらどうする?」と聞かれて、選択肢に「3人一緒がいいな~」が存在しない、というシーンとか……。
メアリーかギャリーかどっちを選ぶのかと、2択で聞かれている状況が不穏すぎて「えっ、ギャリーなんて言ったらこの場で刺されない!? 大丈夫!?」と震えました。
愛の重さにビビリましたが、女の子が女の子にめちゃデカ感情を抱いているところ、いいよね……。そこからしか得られない栄養素がある……!
ほかにもギャリーと2人きりでお話しするシーンもしっかりあるのですが、どちらとも会話のパターンがものすごくたくさん用意されていて、キャラクターを深掘りしてくれることでどんどん思い入れが生まれていきます。
初見の気持ちを今でもよく覚えているのですが「メアリー、イヴのこと大好きだな!?」と「ギャリー、ママだな!?」でした(笑)
どっちも良いキャラすぎる~! 推せる~!
ホラーや謎解きのおもしろさだけでなく、それぞれがイヴをどう大切に思っているか細かく描いてくれるところが、私の『Ib』大好きポイントの1つです!
また、3人とも初対面という関係性が絶妙で、信頼が築かれていくさまが、それぞれのパーソナルな情報に触れるたびにぐわんぐわん心が揺さぶられます……。
プレイヤーの代理ということで主人公のイヴは喋らないのですが、寡黙に美術品たちから逃げる姿に「メンタルが強い子どもだな……」とメタ的に思ってしまいがちなところもしっかり予測されていて、イヴの精神状態も周りの言葉で丁寧に描写してくれます。
「ああ、ちゃんと子どもなんだなぁ」と感じるたびに、お父さんお母さんと離れてこんな状況になってしまった彼女を、なんとかして救ってあげたい気持ちで心をぐっと掴まれました。良い……。
しかも、偶然集まった3人がこの探索を通して何を手に入れるのか、3人の関係がどうなるのかはマルチエンディングなのです。
リメイク版では、エンディングがなんと7種類! からのちょっとしたセリフが違う派生のエンディングもあります。
フリーゲーム版で感じた「こんなエンディングもあったらいいのになー」がすべて補完されていました。ありがてぇ~!
トゥルーエンドはもちろん、その他の全エンディングが私は好きです……!
いわゆるバッドエンディングっぽいものもありますが、それもまた……切なくて良いのですよ……。
あー! 見て欲しい〜!
いろいろな考察が捗る『Ib』ですが、深層心理によって、同じ物を見ていてもそれぞれ違う物が見えているというシーンが私はすごく印象的で、美術品を通して人は何を見るのかみたいな哲学的なメッセージもあるのかなぁ、なんて思いました。
長く愛されている理由が盛りだくさんの奥深いゲームです!
ぜひイヴたちとの美術館探索、楽しんでください!
行こうぜ! ゲルテナ展!
それでは、またー!
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