10周年が見えてきた!でも…。『スクスト2』9周年インタビューで今後の展開や新要素、目指している場所が明らかに

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 スクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『スクールガールストライカーズ2』が4月10日に9周年を迎えたことを記念して、プロデューサーの赤塩裕之さんにインタビューを実施しました。

 インタビュー前編に続く今回は、今後の展開についてお聞きしました。

◆9年たっても、女の子の掘り下げがまだまだできていない!?

――『スクスト』では斜め上なことだけではなく新しいことにも挑戦している印象があります。例えば、隊長さんの選択によってストーリーが決まるエピソード Chiralもそうでした。

赤塩:隊長さんの選択がどうなってもいいように、どちらのストーリーも考えておかないといけなかったので、かなり大変でしたね。実際に野菜を育てた“エテルノベジタブル大作戦!”なども、「またやってほしい!」という声を聞くことがあるんですけど……なかなか大変です(苦笑)。

――「またやってほしい」という声もあるとのことですが、新しいイベントとのバランス調整はどのようにしているのでしょうか。

赤塩:過去のイベントとは別に、常に新しいものを準備し続けるのは責務だと思っています。過去に実施したものをまたやってほしいということは聞くのですが、今やるとしたらどういう形にしたら隊長さんに喜んでもらえるのかを考えてアレンジして、単純な焼き直しにならないようにしています。そうしないとワクワクしませんし、過去の反省点も活かせませんしね。

 ただ、新しいことにチャレンジすることで次の施策に影響が出てしまうのは、隊長さんにとってプラスにはならないので、このバランスを大事にしています。

 と、いろいろと言いましたが、それでもやっぱり、過去にやったイベントが好評で「またやってほしい!」という声をもらえるのはうれしいですし、励みにもなりますね。

――前編でもすこし触れましたが、過去のイベントなどの焼き直しをしないといった開発スタッフの熱量には並々ならぬものが感じられます。毎年恒例にはなっていますが、人気投票も同じような内容ではなく、毎回テーマが変わっていたりと、新しいものになっていますよね。

赤塩:企画を考えるうえで、過去にやったものの内容だけ変えるというのが、コストがかからないというのは事実で、それが功を奏する場合もあります。

 ですが、『スクスト』では、より面白いものにするために、いまやるとしたらどういったアレンジが必要かという議論を活発に行っています。それで人気投票という雛型は同じでも、毎回新しいテーマになっているわけです。

 この議論というのが毎回白熱してしまうんですよね(笑)。

――イベントやキャンペーンもそうですが、コスチュームの数など、女の子たちへの熱量も高いと思うのですが。

赤塩:『スクスト』に登場する女の子って、実際にいそうな感じなのが魅力のひとつで、コスチュームなども実際に着ていそうなものを製作しています。当初から、女の子の実在感は強みだと思っていて、それをなくさないようにこれまで開発を続けられていると思っています。そうできたのも開発現場で頼れるスタッフに恵まれたからというのが大きいですね。

 9年もたちましたが、それぞれの女の子の掘り下げがまだ足りてないと思っていて、考えていることは山ほどあるのですが、時間の関係で全然できていません。そういったところをこれからもシナリオなどで掘り下げていければと思っています。

 ……あと30年くらい続けないと深掘りは終わらないんじゃないかなって、不安に思うこともありますけど(笑)。

――9年たってもまだ掘り下げが足りないと考えているのですね。

赤塩:出し惜しみをしていたり、手を抜いていたりするわけではないのですが、「もっと、この女の子たちはかわいいはず!」というジレンマはあります。それだけ個々の女の子たちが魅力的だからなんですけど。

 魅力を深堀するキーワードの1つとして「ギャップ」を大事にしています。メインストーリーではシリアスだけど、イベントで日常風景を描いたりして、女の子の魅力を掘り下げていくという。シリアスさと女の子たちの幸せな風景といったギャップは『スクスト』にとって、ひとつのキーワードになってくるのかなと思います。

 普通だと、メインストーリーでシリアスな場面があったあと、すぐのイベントですごくふざけたりしませんよね。でもこれを切り分けて考えているところも『スクスト』ならではだと思います。

――38人も登場する女の子がいるとそれを描くだけでも大変そうです。

赤塩:9年も『スクスト』が続いた秘訣として、隊長さんと開発陣の熱量というのがあると思いますが、人気などに関係なく、すべての女の子を平等に扱っているという点もあると思います。

 コスチュームがひとつ追加されたら全員分追加するといったことはほかのゲームではあまり見られませんし、正直に言えば効率がいいとは言えませんが、平等に愛を注いでいるというところが隊長さんに支持していただけているのではないでしょうか。

――ほかのゲームだと衣装が追加されるのは、ピックアップされた数人のキャラクターだけということが多いと思います。

赤塩:9年間にさまざなコスチュームを出してきましたが、だんだんネタもなくなってきました(笑)。SNSで隊長さんがコスチュームの案などの意見を出してくれていたりして、これが本当にありがたいんですよね。その意見を見て、そこから着想を得たコスチュームを作ることもあります。なので、声をもらえるとありがたいです。

――9年間も続いたからこそのぜいたくな悩みですね(笑)。

赤塩:もうこの世のありとあらゆるスポーツのコスチュームが出たんじゃないかと錯覚したりもしますが、まだ出てないものがあったりするんですよね。ちなみに水着も毎年デザインが違いますが、実は現実世界のトレンドをかなり意識しています。だから、『スクスト2』の水着や私服を見ていくと、実はその年の流行を知るのに役立つ部分もありますね。

 SNSの意見から着想を得てコスチュームを作ることもあると言いましたが、開発スタッフは隊長さんの声を非常に大事にしていて、お問い合わせやSNS、年末のモシュネへの質問などのすべてに目を通しています。開発の関係でいいアイデアだからといって即実装できるとは限らないのですが、コスチュームも含めて、さまざまなご意見をいただけるとうれしく思います。

――熱量がすごいです! 9年もサービスが続けられた秘訣には、すべての女の子を平等に扱っていて、さらに隊長さんやスタッフが高い熱量を持っているのが大事だったのですね。

赤塩:9年もサービスを続けていると、議論などもルーティン化していくと思われているかもしれないですが、実際はそんなことはなく、いまでもリリースされたばかりの新作ゲームの会議かと思うくらい、隊長さんの求めているものに関しての議論が白熱します。

 これを続けられたことが、9年間サービスを続けられた原動力になっているのは間違いないと思います。いい意味で隊長さんのことを100%は理解しきれていないからこそ、こういった議論が白熱してしまうということかもしれません。

――9年もたつとルーティン化してしまいそうですが、実際はそんなことはないということですね。

赤塩:もちろん、長年、サービスを続けてきたことで、効率化されている部分はありますけどね。やっぱり、当たり前のことを当たり前にやっているのも大事だと思います。

◆気になるエピソードAlcor完結後は?

――最新のエピソードAlcorは、SF色がいつも以上に強く、かつ不気味な雰囲気もあってとても面白いものになっていると思いますが、制作には苦労したのでしょうか。

赤塩:エピソードAlcorを制作するにあたって、かなり初期の段階で、何話でこういったことが起きるなど、シリーズ構成を詳細に決めていました。なので、第1話を公開する前から面白いストーリーになっているという自信がありました。

 ただ、エピソードAlcorは『スクスト』の世界(チャンネル)の設定にかなり足を踏み込んだストーリーになっているので、これまでのエピソードや既出設定と整合性をとるのにものすごく苦労しました。設定まわりのことをあいまいにしてしまうとごまかしがきかないことはわかっていたので、メインライターも大変な苦労をしたと聞いています。

 どんな作品でも制作陣より詳しい方もいらっしゃるので、そういった方にも楽しんでもらえるように整合性をとりました。

 エピソードAlcorから新しく登場した鎮目ひびきは、ストーリーの途中からきわどい立ち位置に変わっていくので、隊長さんにとって少なからずストレスになるのではと危惧していました。だからこそ、隊長さんにストレスを与えることになったとしても、納得してもらえるような内容にするということにも苦労しましたね。その結果ですが、かなりインパクトのあるキャラクターになったのかなと思います。

――『スクスト』のメインストーリーはハードなものが多い印象ですが、エピソードAlcorは特にそう感じました。

赤塩:読んでいる人を裏切るような展開もあったりしますからね。隊長さんの間では初期のエピソード1~3を特に好きという方も多く、今回のエピソードAlcorはそこでの設定とも関係しています。だからこそ我々としても下手なものを出せないというプレッシャーがありましたが、高い評価をいただいていて、うれしく思っています。

――ちなみに降神三姉妹や湊小春、隼坂翠などストーリー中に登場した女の子がストライカーとして登場しましたが、鎮目ひびきに関しては考えられているのでしょうか。

赤塩:将来的なストライカー入りは、現時点では否定も肯定もできません。

 エピソードChiralでは、隊長さんの投票でストーリーが決まるという形をとっていました。なので、先ほども話したように投票の結果に関係なく、どちらのストーリーも用意していて、選ばれなかった方のストーリーは公開していません。それは湊小春と隼坂翠に関しても同じで、投票の結果、翠が死んでしまうことになり、小春がストライカー入りすることになりました。

 それまでのストーリーと同じように選ばれなかった方、つまり翠は投票の結果、選ばれなかったということになるので、その時点でストライカー入りする予定は0%でした。

 ですが、その後、検討に検討を重ねた結果、ストライカー入りすることにしたという経緯があります。

――エピソードChiralの時と状況は違いますが、むやみにストライカー入りさせないということですね。話は戻りますが、エピソードAlcorは冥導世界のストライカーが操られているような感じで敵として登場するのも不気味でした。

赤塩:ストライカーが敵として登場するのもそうですが、これを見たときにどう感じてほしいかを考えて、丁寧に演出を作ったので、怖さや不気味さを感じてもらえたかなと思います。

――エピソードAlcorでは、鎮目ひびきと敵対することになり、そのストーリーの最終戦がイベントにあわせて開催されました。

赤塩:リアルタイムでストーリーを楽しんでいただいている隊長さんが、最終戦をイベントと連動させることでより感情移入して楽しんでもらえるのではないでしょうか。運営型のゲームだからこそ、こういった連動した企画ができるのだと思います。

――そこまで考えてストーリーとイベントを連動させているのですね。

赤塩:ストーリーとイベントが連動している以上、スケジュールはかなり大変になってきます(笑)。単発のイベントだとスケジュールをずらせないこともないのですが、リアルタイムでやっているので、ずらしてしまうとタイミング的な違和感が出てきてしまうので、ずらせないです。

 そんな敵対していたひびきも、9周年のマルチメモカで38人のメンバーと共に踊っているのも『スクスト』らしいギャップですかね(笑)。

――そんな力を入れて制作されたエピソードAlcorも完結しましたが、この次のエピソードはどうなるのでしょうか。

赤塩:新しいエピソードは絶賛開発中です。そこまでお待たせせずに提供できるのではないかと。

 これまでもエピソードを制作するときには、まず、最終話を読み終えた後に隊長さんにどのような読後感を感じてほしいかということを考えるところから始めます。もちろん、今回も行っているのですが、これまでにない感じの読後感を得られるエピソードになるのではないかと思っています。

――それは楽しみです。新しいエピソードの制作は、9周年の柱のひとつになっているとも思います。少し気が早いですが、もう10周年が見えてきているということで、そちらにも期待が高まります。

赤塩:隊長さんに「ありがとう」と言いたいですし、10周年は派手にお祝いしたいですね。華やかな演出やプロモーションを行っていきたいとは考えています。

 9周年のお祝いはするのですが、10周年というのが見えている以上、9周年を迎えたことが当たり前のような気持ちで走って行きたいと思っています。だからと言って、9周年に手を抜くというわけではなく、さまざまなものを用意していますので期待してください。

――9周年や10周年も楽しみですが、具体的な話として、コンテンツの追加など新しい要素については何か考えられているのでしょうか。

赤塩:9周年のどこかのタイミングになると思うのですが、『スクスト』の一番の強みにしている3Dコスチュームに関する革命を起こせそうな新仕様を考えています。用意できるのは、秋ごろだと思うのですが、これまでできなかったことができるようになります。

 ほかにも混沌プラトーンは作りこんだコンテンツで、これを使ってどんな楽しいイベントができるのか考えています。

――エピソードAlcorとの連動もこれまでにない試みでしたし、期待が高まります。

赤塩:混沌プラトーンは、いろいろと使いやすいコンテンツだと思っています。それに、混沌プラトーン自体もまだまだ改善の余地があり、ブラッシュアップしながらいろいろとできないか模索中です。

 大きい要素に隠れがちですが、細かいところの仕様変更や調整などは更新のたびに行っています。隊長さんからいただいた要望など、すぐに直せそうなものはできるだけ早く対応していきたいと思っていますし、これからも続けていくのは変わらないです。地味かもしれませんが、かなり便利になっていたりするのもあって、気付いてもらえるとうれしいですね。

◆エイプリルフールは若手チームが主導。新たな意見でチームも活性化

――新しいコンテンツではないですが、今年もエイプリルフールネタには力が入っていました。

赤塩:今年のエイブルフールネタを作るにあたって、『スクスト』として初めての試みをしました。企画やグラフィック、プログラマーといった役職を若手のメンバーから選出してエイプリルフールネタを作るチームを結成したんですよね。そのチームを中心にネタを考えるところから、仕様製作、スケジュール管理、実装までを行いました。

 初めての試みでしたが、とてもよかったと思っているのが、若手のメンバーが最初から作って、反応をもらって、最終的に隊長さんに届けるというところまで体験できたということです。これは今後の『スクスト2』の開発にも活かせるいい経験になったのではないかと思います。長く携わっている人では考えつかないようなことを提案してくれるので、フレッシュな力はプラスになると思っています。

――エイプリルフールネタは4月1日限定というのが多いですが、今年は6日間にわたって開催されたことから、力の入り具合を感じました。

赤塩:『スクスト』ならではの、斜め上に力を入れすぎたことがにじみでたエイプリルフールネタになったと思います(笑)。純粋にコンテンツとしても、新鮮な見た目になっていたので、楽しんでいただけていればうれしいです。

 かなり力が入っているということもありますし、プレイしていただいた隊長さんにはどんな意見でもいいので、率直な意見をいただきたいです。

――エピソードAlcor のクライマックスやエイプリルフールなどの力の入れようを見ていると9周年は最初から飛ばしている印象です。

赤塩:9周年もやることは盛りだくさんです!さまざまなキャンペーンを実施中ですので、ぜひお楽しみください。

――9周年にもかなり力が入っているのがわかりました。ちょっと早いかもしれませんが、来年の10周年に向けて抱負などをお聞かせください。

赤塩:10周年ということが特別ではないといえば嘘になります。今は、10周年を迎えるときに『スクスト2』がどういう状態になっていることが、隊長さんにとって嬉しいことなのかを逆算して、9周年の戦略を考えています。

 先のことを考えすぎても良くないですし、気にしすぎないのも良くないので、10周年という遠くを見ながら、近くの9周年を見ていけば、それが最高の10周年につながるのではないかと思っています。

 運営型ゲームだと何があるかわかりませんし、もし無理をして我々に何かあると10周年をお届けできなくなってしまうので、バランスを考えて慎重に行っています。

――ここまで来たら9周年は当たり前で10周年も見据えている隊長さんもいると思いますし、個人的にも楽しみにしています! ここまでいろいろとお聞きしましたが、最後に隊長さんに一言メッセージをお願いします。

赤塩:9年も続いているので、システムなどが改善されて遊びやすくなっています。長く続いているタイトルを途中から遊び始めるのはちょっと、という気持ちもわかりますが、今だからこそ遊んでみてほしいと思います。

 また、長く続いたタイトルということで、隊長さんとの距離が非常に近く、一緒に運営しているように感じています。もちろん、距離が近いのは、いいことなのですが、その距離感に甘えてはいけなくて、もし甘えてしまったらクリエイター失格だと思います。ですので、そういった距離感に甘えないようにしながら、いっしょに楽しめるコンテンツをお届けしていきたいと思います。なので、これからも楽しみにしていただけたら幸いです。

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スクールガールストライカーズ2

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2014年4月10日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

スクールガールストライカーズ2

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2014年5月8日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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