レビュー：コンプラなんてクソくらえ。『Hell Pie（ヘル・パイ）』は最低な世界観だけど最高の箱庭3Dアクション【電撃インディー#440】

　電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、Beep JapanとHeadsupが4月6日にNintendo Switch/PS5/PS4で日本語版をダウンロード発売した『Hell Pie（ヘル・パイ）』を紹介します。

　電撃オンラインでは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます！

サタンのバースデーパイのために、不潔で悪趣味な食材を集める

　本作は、悪魔のネイトを操作して、ペットの天使ナゲットといっしょにサタンのバースデーパイのために、多彩なワールドを回って不潔で悪趣味な食材を集める、箱庭系3Dアクションです。

　最初に言っておきますが、ナゲットを利用したフックアクションを活用して進むアクションは、難易度が高めだけど完成度も高く、やり込み要素が豊富な作品となっています。

　ただ、間違いなく人を選ぶ作品でもあります。不潔でグロくて卑猥で、悪趣味の塊そのものといえる世界が舞台だからです。

　サタンの気分で殺害される社員が集まるブラック企業、クジラの体内にあるスシレストラン、うんちが多種族を虐殺する下水道、人間を材料にした食肉加工場、客や従業員が悪魔にすべて食べられているピザ屋とか……。

　集める食材もすべてヤバいもの。うーん、普通の人なら見ていて不快になるものばかりです。結膜炎の眼球、タンポン、批評家の心臓、酒やフルーツのゲロ、性感染症のダニとか……。

　こんな悪趣味なゲームを誰がやるんだ！　と思った方、間違いなく正常な思考です。でも、インディーゲームでは、ある意味ですべてが許されるもの。だって、昨今のコンプライアンスとか考えたら、大手企業さんはこういう作品を作れません。世間から袋叩きされるので（汗）。

　そんな怖いもの見たさを求める方、歯ごたえとやりごたえのあるアクションが好きな方、そしてこういった悪趣味系なゲームが大好きな方に、『Hell Pie』はおすすめできる作品です。

　最初に言いましたが、本作は箱庭系3Dアクションとして完成度の高い作品です。フックアクションを駆使して、悪意にあふれたワールドを冒険することになります。

　ジャンプやフックアクションは、操作感に少しクセがあるので、とにかく転落死が多く、何度もやり直すことがあるでしょう。ただ、チェックポイントからやり直せるので、そこまでストレスにはならなかったです。

　道中は、たまにナゲットがヒントを出してくれますが、基本的には自分で試行錯誤して進むことが多かったです。“ここは二段ジャンプでフックアクション1回してダッシュ”といったように、自分ならではの攻略方法を探すのが楽しいですね。

　また、各ワールドにはパイの食材以外に、ネイトやナゲットを強化するアイテムも隠されています。ユニラムといういけにえを捧げれば、ダッシュや周囲を照らせる悪魔の角を入手可能。ナゲットのエサとなるキャンディミートを手に入れれば、プレイが快適になるスキルを習得できます。

　それぞれのワールドには、レベルと呼ばれるダンジョンのようなステージも存在。ここでも食材や各種アイテムを入手することが可能で、ボスが登場することもあります。

　レベルやギミックの位置はマップで確認することができ、アイテムが何個隠されているかもわかります。これを目安に、各ワールドを探索していきましょう。

　なお、各ワールドでは紫の石が落ちており、それを一定数集めると、個性豊かすぎる衣装と交換することができます。クソッタレな世界観の作品なので、それに合ったイカれたコーディネートを楽しみましょう。

　どうしても世界観は賛否両論分かれてしまう作品ですが、やり込み要素が豊富で、じっくりと遊べるアクション『Hell Pie』。低価格なのにゲームボリュームは十分なので、ぜひ、悪趣味極まる世界へと飛び込んでみてください。

　電撃インディーでは、インディーゲームの中から最高のタイトルを決める“電撃インディー大賞2023”を開催します。

　投票していただいた人の中から、抽選で3名様にAmazonギフト券3,000円分をプレゼント！　ぜひ皆さんのおすすめのインディーゲームを教えてください。なお、締切は4月23日（日）23:59までです。

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