レビュー:クトゥルフ風釣りアドベンチャー『DREGDE』は不気味な海で正気を保ちながら漁業にいそしむ感じがたまらない!【電撃インディー#448】
- 文
- 柏又
- 公開日時
- 最終更新
電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はBlack Salt Games開発、Team17販売のフィッシングアドベンチャー『DREDGE』をPS5版をもとにレビューします。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
漁師として生計を立てつつ謎を解く独特のゲームシステムがおもしろい!
プレイヤーは、漁師募集の新聞広告を見て舞台となる群島のひとつ、“グレートマロー”にやってきた主人公となり、漁師として釣れた魚を町に卸して報酬を得ます。
また、主人公は船に乗って自由に行動できるため、グレートマローのほかにもあちこちの島に住む人たちからクエストを受けることになります。
とくに、世界各地に隠された遺物を集めるクエストは本作のメインストーリーとなっていて、ひとつ見つけるごとに特殊な能力が習得できるのです。
自分のペースで漁をしながら、各地にいる人々のクエストをこなしていくゲームシステムは、プレイヤー側の自由度の幅が広く取ってあって非常におもしろいですね。
難しくはないが釣り場によって頭を使う漁業要素が楽しい!
本作は、釣竿をはじめとするさまざまな漁具を用いて魚を獲ることができます。
竿やウインチで魚を釣るシステムはリズムゲームに近い感じで、タイミングよくボタンを押すと釣り上げが早くなります。
釣り自体はそこまで難しくないのですが、魚ごとに画面表示が異なるのでプレイヤーが退屈しないように作られていると感じました。
釣った魚は船倉に保管して町まで持ち帰ります。船倉のスペースに魚をはじめとする荷物を入れるのはパズルゲームのような趣があってなかなか楽しいですね。
衝突などで船体がダメージを受けると船倉スペースのマス目が破壊されて、そこにあった荷物が失われるので注意したいところです。
漁場は沿岸や浅瀬のほかマングローブや火山など7つのタイプに分かれていて、それぞれ対応した漁具が必要となります。最初は沿岸釣り用の竿のみですが、クエストなどで研究用パーツを集めると新たな漁具を開発できます。
また、釣り竿のほかにウインチやトローリング用の漁網、設置式のカニ捕りカゴなど漁具のタイプも豊富。ただし、船内で漁具を設置できるスペースは限りがあるので、必然的に漁場に応じた漁具の組み合わせが必要となります。
最初は必要な漁具を集めるだけで大丈夫ですが、特定の漁場で狙った魚を獲るとなると漁具の組み合わせを考えさせられますね。
ゲームのメインともいえる漁業要素は、限られたスペースを生かして最大の収穫を得るためにプレイヤーのとれる選択の幅が広くてかなり楽しめると思います。
主人公のSAN値を削る昼夜の仕様が興味深い!
この地域では、夜になると海上に霧が立ち込めて視界が効かなくなります。
主人公はこの霧のせいで、岸壁に衝突して乗っていた船を失った過去が……。さらにこの地域の霧は、先が見通せなくなるだけではなく、遭遇した人の精神に作用するのです。
夜間、霧のなかを航行していると画面上に主人公の正気度を示す“パニックメーター”に目玉が表示されます。
これは、主人公が正気を失ってパニックに陥っていることを示していて、これが続くと死亡することはないですが、カラスの群れに襲われて積荷の魚を奪われたり、謎の化け物や竜巻に襲われたりとろくなことがありません。パニック状態は港に停泊して休憩すると回復します。
お金稼ぎのための漁であれば、夜間を避ければいいのですが、クエストのなかには当然のように夜間のみ釣れる魚を要求されるものがいくつもあるのです。
プレイヤーにとっては厳しいリスクを求められる夜間の漁ですが、普段の穏やかな海が暗くなると主人公に牙をむく恐怖と、周囲の光景が不気味に変化するパニック状態時の雰囲気がクトゥルフ神話作品風の趣があってたまりませんね。
奇妙な依頼主の探す遺物を集める不気味なストーリー
先述したとおり、本作には謎の人物の依頼を受けて不思議な遺物を探すメインストーリーがあります。遺物が眠るのはマップの4隅にある海域でいずれも化け物のような魚が船を襲います。
主人公は、それぞれの海域に住む人々から情報を集めて遺物を探索します。
化け物のような魚を倒すために住人に協力したり、爆薬を使って障害物を破壊するなど探索関連のクエストはいずれもバリエーションが豊富でなかなかに楽しませてくれます。
基本的に探索の順番はどこからでもOKなところも自由度が高くていい感じですね。
また、依頼主の思わせぶりな態度と言動も謎が謎を呼ぶ感じで不気味な雰囲気を醸し出しています。
実はエンディングが複数用意されていたりもするので探し物が好きな人は結構ハマるんじゃないかと思います。
コツコツプレイやクトゥルフ神話のような世界観が好きな人におすすめ!
ここまで解説してきた『DREDGE』。海外産のゲームですが翻訳はしっかりしていて独特の不気味な雰囲気をバッチリ楽しめます。
漁に出て取れた魚を売ってお金を稼ぎ、漁具や船を強化していくゲームの基本的な流れは、難しくはないけれどもすぐに退屈してしまうほど単調でもないバランスで、コツコツプレイして積み上げていく遊びたかが好きな人に向いていると筆者は感じました。
また、クトゥルフ神話にインスパイアされた世界観はどこか陰鬱としていて、この手のお話が好きな人にはたまらないものがあると思います。
本編ではあまり触れませんでしたが、釣りをしていてたまに獲れる奇形種と呼ばれる魚の造形もグロテスクで世界観を盛り上げてくれます。
インディゲームだけに価格もお手頃なので、ぜひチェックしてほしいです。
DREDGE© Black Salt Games Limited, published under licence by TEAM17 Digital Limited.
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります