『機動戦士ガンダム 水星の魔女』13話(Season2 1話)はスレッタの最後のセリフに覚悟と希望を見た【感想&考察】

てけおん
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 4月9日に放送&配信されたアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第13話(Season2 第1話)“大地からの使者”の感想や考察をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』13話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

視聴者の情緒をかき回しまくった12話から作中では2週間が経過

 13話は、決闘シーンからスタート。口上がすらすらと言えるようになったスレッタに緊張した様子はなく、連戦形式の決闘をこともなさげに快勝。「有利なのは挑戦者のはずなんですけど……」というセリフも聞こえましたが、そこまでのお膳立てがあっても勝てないくらいスレッタと改修型エアリアル(以下、“改修型エアリアル”のことを“エアリアル”と表記します)の強さがダンチという描かれ方でしたね。ちなみにこの連戦に登場した5機については用語集に追記されていますので、ご覧になってみてはいかがでしょうか?

 OPについては、記事の後段で詳しく見ていきたいと思います。

 一転して学園で地球寮のメンバーがたむろしているシーンに。プラント・クエタの事件から作中では2週間が過ぎていますが、その時間は決して長いものではなく、決闘時にエアリアルが相手を撃墜するところでリリッケやマルタンは表情をこわばらせていました。

 ここで事件に関することにかん口令が敷かれているであろうことがヌーノの口から語られます。ここで震えるリリッケの手をスレッタが優しく包み込みますが、リリッケの表情に怖がるような様子はなし。彼女たちにはスレッタがテロリストのメンバーを殺害したことなども伝えられてはいないようです。

 エアリアルのマニュピレータの後処理や、スレッタの衣服の処理などは、シャディクまたはプロスペラあたりが手を回したのでしょうか? 温室の場面ではプロスペラがスレッタのケアをする描写がありますが、事件後もこうして電話などで時折スレッタと話していたんでしょうね。敵に手を下したことに疑問を抱くそぶりを見せていたスレッタですが、プロスペラの言葉によって“前向きに考える”ようになっていたのが印象的でした。

 スレッタは、ミオリネに(約束通り?)メールを送っているようですが、ミオリネからの返事はないようです。

かん口令でどこまで内緒になっているの?

 少し時間を戻してかん口令がどこまで及んでいるのかも気になるところです。決闘でスレッタに「花嫁はいただくぜ!」という言葉が飛んでいたことから、決闘に何かを賭けて戦う、というものや“花嫁=ミオリネを娶ったものが次期総裁候補”みたいな話は生きていそう(Season1でシャディクが「ミオリネと御三家の持つ株をあわせて……」と株の所持率について触れていたので、本来はそこまで単純な話ではないとは思いますが)。ということは、デリングの状態に関する情報は御三家レベルでしか知っていなさそうですね。

 上記の部分や、デリングが眠るシーンで「治療には長期を要します」という言い回しをしていたことから、このままリタイアするほどの怪我というわけでもなさそうです。

 決闘ではその他、エアリアルに対して「見た目が変わったって!」という言葉も飛びます。12話をご覧になった人はご存知の通り、現在のエアリアルは長距離大火力を備えるなどスペックが変わっています。奇しくも上のセリフを言った相手はエアリアルに接近戦を挑みますが、もしも長距離火力のことを知っていたらこういうセリフではなかったんじゃないかな~という気がします。

結束する御三家、ですが……

 シーンは変わって会議室。御三家の面々がプラント・クエタの事件について話しています。

 この事件について使用されていたデスルターは、11話のボブ……ではなくグエルの言葉によると「旧型だがテロリスト如きが簡単に手に入れられるモノじゃない」ということで、その責任をジェターク社のCEO代理となったラウダが問い詰められていました。しかし、サリウスによってその流れは変えられ、“フォルドの夜明け”討伐に向けてグループ一丸となってあたろうという形で会議は終わります。

 これは日本的なものの見方ですのでどこまで当てはめていいのか……というところですが、この会議の席次を見ると、ラウダの席はペイル・テクノロジーズの4人よりも上座にあたる位置。話題がさっと流れていったことからも、責任の追及は形式的なものなんだろうなという気がします。サリウスも藪をつついて……というのはイヤでしょうし、事前に手を回していそうですよね。

 会議の後、サリウスから活動制限を命じられるシャディクですが、ウルとソーンの出どころを聞かれても知らないと言います。12話の考察記事でも触れた通り、ソフィとノレアは“フォルドの夜明けに派遣されている”パイロットです。その乗機であるウルとソーンを含め、シャディクは何か知っているような気もします。

 その後、エナオたちと話すシャディクの様子はひょうひょうとしたもの。「父さんを引きずり込むよ」というシャディク。今後の動きが気になるところですね。

ソフィとノレアが地球寮に!

 Aパートの終わりでは、ソフィとノレアが地球寮に転入してきました。そこではソフィの持つぬいぐるみが“お父さん”や“お母さん”“妹”などと呼ばれていることが明かされます。確かに11話を見るとソフィが寝床にしていると思われる場所にはたくさんのぬいぐるみがありました。

 ですが、学園で過ごすうちにぬいぐるみの中にハロが混ざっていて、元々の位置にあったぬいぐるみがぞんざいに扱われていたりするカットも。ソフィが移り気な性格であること表現しているためのものである気がしました。ただ、OPにも一瞬映っていますので、何らか意味があるんじゃないかな~と考えてもしまいますが……。

 また、しれっと地球寮になじんでいるエラン(強化人士5号)の様子がおもしろかったですね。冒頭ではセセリアに「別人なんじゃないのぉ~?」なんて言われていたりも。この辺、5号またはペイル社側に何か考えがあったりするのでしょうかね?

 そんな5号ですが、ノレアが学園について「反吐が出る」と吐き捨てたことに「気が合いそうだなぁ」と独りごちているシーンも。彼の根っこの部分はまだまだ見えてきませんが、何かがありそうな気配だけはビンビン伝わってきますね。ノレアとの会話の直後に「おっ?」と何かに気付いた様子を見せる5号ですが、いったい何に気付いたんでしょうか?

スレッタのセリフに覚悟と希望を見た

 格納庫でノレアが“あるもの”を調査するシーン。ここでソフィは「プリンスに調べろって言われたの?」とノレアに声をかけます。ノレアは返事をしませんが、ソフィとノレアにはプリンス――つまりはシャディクから命令が下ることがあっても不思議ではないとわかるやり取りですね。(一応書いておきますが、“プリンス”がシャディクのみではない可能性や、命令が“フォルドの夜明け”を経由して届いている可能性もあります)

 本編を見てほしいので詳しい流れについては省きますが、ここでスレッタはノレアに決闘を持ち掛けます。その際、脳裏にミオリネのことが浮かんだスレッタは「ごめんなさい」とここにいないミオリネに謝るのですが、スレッタが本当にミオリネのことを大切に思っているんだなということが伝わる非常にいいシーンだと思いました。めっちゃ好き。

 決闘を持ち掛けるスレッタを笑うソフィは「モビルスーツは人殺しの道具だよ?」と言います。ここでスレッタは「違います。ガンダムは人を救うモビルスーツになるんです」と答えます。彼女は決して、ソフィの言葉が事実であることを理解していないわけではないんです。でも「なるんです」と返すんですよね。これもまた、とてもいいセリフで、株式会社ガンダムがどういうものであるのか、どうしたいと思っているのか――スレッタなりの覚悟がにじみ出たセリフだと感じました。

 本作に置いて“ガンダム”という言葉は呪いが乗せられています。それを祝福とすることができるのか? 主人公であるスレッタの「するんです」という言葉には、彼女が“どうしたいのか?”が表れている。だからこのセリフが好きなんだと思います。

 正直12話のラストで「スレッタ、どうなっちゃうんだろうか? プロスペラの人形になってしまうの?」というものがありましたし、それは今も少しあります。プロスペラの影響を受け続けていることは間違いないのですが、それでもスレッタの考えが現れているであろうこのセリフに希望を見出したいです。

 次回14話のサブタイトルは“彼女たちのネガイ -What They Wish For-”。どんな話になるのか、気になって仕方ありません!!

プロスペラとミオリネ、再び会話する

 Cパートでは、ミオリネとプロスペラの対話が描かれます。ここでは“クワイエット・ゼロ”について、少しだけ情報が明かされます。プロスペラ曰く「GUNDフォーマットのネットワークを利用して戦争のない世界に書き換える」プロジェクトだそうですが……。イマイチよくわかりませんね。何をどうするのかという具体的なところが見えてこない。

 これはおそらく“嘘は言ってないけど全貌は明かしていない”という類のものでしょうね。プロジェクトの具体的な部分は明かさないのはもちろん、元々はプロスペラのものだったこのプロジェクトを「デリング総裁が極秘裏に進めていたプロジェクト」「お父様の大願よ」とだけ説明します。そしてこのプロジェクトを引き継いでほしい、と……。まだまだプロスペラの狙いはわかりませんが、怪しいことこの上なしですね。

OP・ED映像が情報の塊過ぎた

 さあ、そしてついに流れたSeason2のOP・ED映像! なんというか、情報の塊だったのでじっくりと見ていきたいと思います。まあ勝手な解釈ではありますので流し読み程度でひとつ。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2 オープニング映像(ノンクレジット)|yama「slash」

 在れた荒野のような大地に立つスレッタとミオリネ。地球なのかどうか気になるところですが……?

 次々とキャラが切り替わっていくシーン。水の中に沈んでいくようなミオリネにちょっと不安が掻き立てられます。シリアスな表情を浮かべるエラン。これは5号なのでしょうか? だとするとちょっと意外な表情です。

 そしてグエル……。この表情はどう理解すればいいんでしょうか? 瞳もとても静かな印象ですね。しかし、立ち上がってどこかへ向かって進んでいくようです。彼の行く先に何が待っているのでしょう?

 サビとともに姿を現すエアリアルに不安げな表情を向けるスレッタ。エアリアルとの間に何か溝が生まれてしまうことを予感させるような……。さらに、Season1でファラクトとの戦いの際に現れた幼い人型の光も気になります。

 モビルスーツの戦闘シーンでは、ウルとソーン、あとは御三家の機体、そしてエアリアルが写ります。この辺はSeason1と同じく展開によって差し変わっていきそう。

 エリクトとエルノラ、トマトを挟んでいることからミオリネとその母と思われるカットも挿入されます。OPにこれが入っているってことは、やっぱり意味があるってことだとは思うんですよね。

彼らが進んでいく方向

 たくさんの人物が登場するOPですが、筆者が気になったのは彼らが進んでいく方向。簡単にまとめてみました。

●画面右側に向かって進んでいく

 スレッタ。スレッタはこの他いろんな方向に向かって進んでいく描写があります。

●画面奥に向かって進んでいく

 ソフィ、ノレア。

 グエルは奥に向かっていますが、少しだけ右奥側でもあります。また1:15あたりのスレッタもグエルと同じく右奥側に進んでいく描写があります。0:23のスレッタは奥に向かってぴょんと一歩跳ねていますね。

 画面手前を向きながら奥側に沈むような演出のミオリネ、そしてエアリアルの中にいる存在(と思われる人型の光)も画面手前を向きながら奥側に沈むような描かれ方をしていますね。

●画面手前に進んでくる

 ラウダ、1:23あたりのスレッタも。

●画面左側に向かって進んでいく

 プロスペラ、グラスレー寮の面々。OPのプロスペラは仮面を外しています。

●特に動きなし

 シャディク、エラン、セセリア、ロウジ、地球寮の面々。エランは正確に言うなら乗り物に乗って下に向かって降りていますが。

 その他、それぞれが見ている方向にも意味がありそうな気がします。その辺を気にしてOPを見てみるとおもしろいかもしれませんよ。

 続いてEDも見てみましょう。

 EDテーマ『Red:Birthmark』を歌うのは、アイナ・ジ・エンドさん。“Birthmark”とは、生まれつきあるほくろ・あざなどを意味する言葉のようです。

 EDでは、線で描かれるミオリネとカラーで描かれたスレッタが触れ合おうとしてすれ違ってしまいます。そしてスレッタは赤い線で描かれたエアリアルに手を差し出すも……なんと胸を貫かれ、青い光をまき散らします。OPでスレッタがエアリアルに不安そうなまなざしを向けていたこととあわせて見ると、めっちゃ不穏です。

 ヘアバンドが吹き飛んだスレッタに走る青い文様。prologueで見せたエリクトの顔に浮かんでいたものを思わせますね。

 その後はガンビットを操るスレッタだったり、複数人のスレッタが手をつないだり……。ようやくドレス姿のスレッタとミオリネが手をつないだと思えば、柔らかな笑顔のスレッタに対して、どこかぼうっとした表情のミオリネ……。最後のカットもミオリネの目だけ少し見えるものの、スレッタの表情はまったく見えず。いろいろな意味で怖い雰囲気のただよう映像となっていました。

その他気になったこと

 さて、ここからは筆者が13話を見て気になったことを、たまに推測を交えながらつらつらと書いていきたいと思います。

■「出どころはわかった?」と尋ねるプロスペラ

 スレッタとの電話が終わった後のプロスペラのセリフ。これはウルとソーンのことを指しているように思えますが、どうなんでしょう? もしそうだとすれば、“ルブリス”の名を冠しているウルとソーンですが、オックス・アースやヴァナディース機関とつながりのない機体ということでしょうか?

 ペイル社にいたベルメリアのように、元ヴァナディース機関のメンバーが別の企業や組織にいて……という線も十分に考えられそうですね。

■ニカ姉の目指すもの

 今回のお話で、ニカの目的がノレアの口から明かされます。それは、“地球と宇宙の架け橋になる”というもの。Season1ではこの辺りが明かされていなかったので、ニカが復讐などスペーシアンへの敵意を動機に動いているのかな? というものがずっと頭に引っかかっていたのですが、どうやらそうではなさそう。

 ノレアに脅されるニカの表情は写りませんでしたが、時折こうしてニカの表情を見せない描き方がありますよね。どんな顔をしているのかちょっと見てみたい気もします。

 そういえば同じ地球寮のヌーノもまた孤児であることが8話で明かされていました。この辺、何か物語に絡んできたりするのかも気になるところ。

■マルタンはどう動くのか?

 12話でのニカの動きを怪しく思っているマルタン。13話では直接ニカにそのことを問いただします。しかしマルタンの疑惑は残ったまま……。これが悪い方向に転がらないことを切に願います。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2

【スタッフ】※敬称略
企画・制作:サンライズ
監督:小林寛
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
原作:矢立肇/富野由悠季
キャラクターデザイン原案:モグモ
メインキャラクターデザイン:田頭真理恵
キャラクターデザイン:戸井田珠里/高谷浩利
メカニカルデザイン:JNTHED/海老川兼武/稲田航/形部一平/寺岡賢司/柳瀬敬之
チーフメカアニメーター:久壽米木信弥/鈴木勘太/前田清明
副監督:安藤良/綿田慎也
テクニカルディレクター:宮原洋平
設定考証:白土晴一
SF考証:高島雄哉
メカニカルコーディネーター:関西リョウジ
設定協力:HISADAKE
プロップデザイン:絵を描くPETER/えすてぃお
美術デザイン:岡田有章/森岡賢一/金平和茂/玉盛順一朗/上津康義
コンセプトアート:林絢雯
美術監督:佐藤歩
色彩設計:菊地和子
音響監督:明田川仁
撮影監督:小寺翔太
3DCGディレクター:宮風慎一
モニターグラフィックス:関香織
編集:重村建吾
音楽:大間々昂
製作:バンダイナムコフィルムワークス/創通/MBS

【出演声優】※敬称略
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那
ミオリネ・レンブラン:Lynn
グエル・ジェターク:阿座上洋平
エラン・ケレス:花江夏樹
シャディク・ゼネリ:古川 慎
ニカ・ナナウラ:宮本侑芽
チュアチュリー・パンランチ:富田美憂
デリング・レンブラン:内田直哉

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