『アニポケ』リコとニャオハを応援したくなる…。王道さが心地よい第3話【感想】

江波戸るく
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 アニメ『ポケットモンスター』について、人生の半分どころか3分の2以上を“ポケモン”と生きてきたライターによる感想記事をお届けします。

【注意】以下のテキストでは、『ポケットモンスター』3話“ニャオハとなら、きっと”の物語に関する記述があります。

連れ去られたニャオハ、立ち上がるリコ。無事に取り戻せるのか……?

 主人公がいきなり相棒のポケモンと離れ離れになる、という急展開を見せた前回の続きとなる3話。フリードに助けられたリコは、ライジングボルテッカーズが所有する飛行船“ブレイブアサギ号”で目を覚まします。

 何が何だか分からないうちにペンダントを巡る騒動に巻き込まれてしまったリコですが、フリードたちと行動を共にしている時にはもう、ニャオハを助けに行く、という強い想いがその瞳に宿っていました。第1話を見た際の第一印象ではやや内気な少女、といった感じでしたが、やるときはやる子なのだと伝わります(あの大ジャンプをした時点で、かなり度胸があるのだと思いましたが……それほど、ニャオハの存在がリコの中で大きいということでもありますね)。

 一方、ニャオハは相変わらずのマイペースさで、エクスプローラーズに所属するコニアを魅了してしまう場面も。あんなにカワイイなきごえ+すりすりされたら陥落してしまうのも無理はありません。リコのペンダントを狙う理由がまだはっきりしない謎の組織ではありますが、こういった姿を見せられると、完全に悪ではないのではないか……? とも感じてしまいます。

 とはいえ、1匹になったニャオハは不安そうな表情を浮かべます。気ままさの裏側には、リコと離れ離れになってしまったことへの寂しさが滲んでいるようにも見えます。

 イワンコと一緒にコニアを追跡し、アジトの場所を突き止めたリコは、ニャオハを助けるために行きたい、と同行していたフリードに頼みます。戦えるポケモンがおらず、危険が伴うと分かっていても、大切な相棒のためにここまで来た身です。引き返す選択肢はない、ということが声色からも伝わってきますね。

 そんなリコを「それでも危ないから駄目だ」と止めるのではなく、彼女にできることをすぐに判断して同行を許可するフリードは良い大人キャラだなと感じます。後で仲間たちからも呆れられていますが、もうちょっと情報共有をしてほしいな、とは思いつつ(笑)。

 潜入したエクスプローラーズのアジトではアメジオのソウブレイズとフリードのキャプテンピカチュウのバトルが再び繰り広げられますが、キャプテンピカチュウは自ら帽子を放っていることに今更気付きました。飛行船の中に予備がたくさんあるのでしょうか……。貫禄があって、サトシのピカチュウとはまた違った印象を受けるのがイイですね。

 ニャオハを奪還するための作戦の中で、フリードとキャプテンピカチュウ&リザードンが強い信頼で結ばれていることを再認識しましたが、彼らの出会いや、個性豊かな面子が集うライジングボルテッカーズ結成の経緯もとても気になるところ。いつか語られる時は来ると思っていますが、その時が待ち遠しいです。

リコの一歩は小さくも大きい。ロイとの出会いにも期待!

 フリードの機転もあり、無事にニャオハを取り戻したリコ。彼の作戦が功を奏したと言えますが、リコが勇気を出してアジトへ向かい、自分でニャオハへ手を伸ばして掴んだことにこそ、意味があったはずです。既に彼女の小さな成長が感じられますね。応援したくなる主人公像だと思いました。

 アニメ『ポケットモンスター』を見ていると、定期的に、自分が初めて“ポケモン”という存在に触れた瞬間のことを思い出します。今回の新シリーズでも、ワクワクしながらゲームボーイを手にして、最初の1匹と一緒にマサラタウンから旅立ったあの(今となっては遠い)日が脳裏に浮かびました。あとから見ると小さな草むらも、その時はなんだか大きく感じられたのを覚えています。

 3つ並んだモンスターボールの中から頼りになる相棒を選ぶあの瞬間は、いつまで経っても色褪せません。何も分からない未知の世界へ繋がる道でも、相棒や仲間とならきっと怖くはないし、何が起こっても乗り越えられる。祖母からそのような話を聞いていたリコも、そんな想いを抱いてはじまりの一歩を踏み出しました。まさに王道!

 個人的に、ライジングボルテッカーズの面々にリコが「一緒に連れて行ってください」ではなく「もう少し付き合ってください」と頼むところが印象的でした。含まれた意味は同じかもしれませんが、リコの中には「巻き込んでしまった」という感情がまだ少しだけあるのでしょうか。ただ、そう言ったリコの表情に暗さは感じられませんでした。ニャオハと一緒に、飛行船から“新しい景色”を見たとき、リコの中で何かが吹っ切れたのかもしれません。

 世界の謎を巡る大冒険は長い長いものとなりそうですが、リコがこの先どんな旅路を辿るのか、期待が高まります! 初回放送時に抱いた「リコは学生だけど、授業どうするんだろう?」という疑問へはまさかの“リモート参加”という回答が提示されましたが……。とても今時。

 そしてロイは次回から本格的に登場しそうなので、こちらも楽しみです。公式Twitterさんが使用していた“#リコロイ”というハッシュタグも可愛くて気になるところ。

アニメ『ポケットモンスター』

【スタッフ】※敬称略
監督:でんさおり
クリエイティブディレクター:冨安大貴
アクションディレクター:矢嶋哲生
シリーズ構成:佐藤大
キャラクターデザイン:山崎玲愛
サブキャラクターデザイン:伊藤京子
音響監督:三間雅文
音楽:コーニッシュ
アニメーション制作:OLM

【出演声優】※敬称略
リコ:鈴木みのり
ロイ:寺崎裕香
フリード:八代拓
オリオ:佐倉綾音
マードック:三宅健太
モリー:真堂圭
ランドウ:塾一久
アメジオ:堀江瞬
ジル:田邊幸輔
コニア:志田有彩
ぐるみん:青山吉能
キャプテンピカチュウ:大谷育江


江波戸るく:永遠に新米のライター兼編集者。業が深いと判断したキャラクターを“海溝”と定めて沈むことに生きがいを見いだす。『ポケットモンスター』シリーズとは幼稚園の頃からの付き合い。



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