レビュー:短時間で遊べる第二次世界大戦ストラテジー『Total Tank Generals』は敵陣を肉迫攻撃で突破するのが気持ちいい!【電撃インディー#454】

柏又
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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、Noobs From Porland開発、505 Games販売のシミュレーション『Total Tank Generals』のレビューをお届けします。

 電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

第二次世界大戦で名をはせた将軍たちの活躍をなぞるキャンペーンがアツい!

 見てわかる通り、本作は第二次世界大戦を舞台としたターン制のシミュレーションゲームです。プレイヤーは、ヘックス(六角形)で区切られたマップで戦車や歩兵などのユニットを操作し、マップ上の重要拠点をすべて占領することが目的となります。

 ゲームのメインとなる“運動(キャンペーン)”モードでは、ドイツのエルヴィン・ロンメルとアメリカのジョージ・パットン、ソ連のゲオルギー・ジューコフの3人からプレイするシナリオを選択できます。

 収録マップは、たとえばロンメルなら1940年のフランス侵攻から北アフリカの一連の戦いまで、ジューコフなら1941年のモスクワ反抗からベルリンの戦いまでと、彼らがもっとも活躍した時期の戦いの数々に挑戦できます。

 つまりは、ゲームとして一番おいしいところをプレイできるマップが集まっているというわけで、これはなかなかのものですね。

将軍が所属する軍ごとの特徴も再現!

 また、選んだ将軍の所属国ごとに部隊編成に特徴があるところも見逃せません。

 本作には、ユニットのタイプごとにマップに配置できる上限があるのですが、このポイントはドイツなら戦車、ソ連なら歩兵タイプの上限が高くなっています。アメリカは空軍の運用コストが低く押さえられているほか、航空機の回避性能が高い点が特徴です。

 それぞれの特色を生かした部隊編成や戦術を活用できるのも本作の魅力といえるでしょう。

実写映像を多用したゲーム映像がシブイ!

 ゲームのグラフィックは、ヘックスマップが乗った台座の上にミニチュアを配置して行う感じになっています。マップサイズはかなりコンパクトで、システムに慣れると1、2時間くらいでひとつのマップをクリアできるでしょう。あまりゲームを遊ぶ時間が取れない人でも挑戦しやすい内容だと思います。

 また、当時の映像が随所で使われているところもポイント高いです。マップの開始前とクリア時には現在も残るニュース映像などを利用したムービーが流れ、ユニットの情報はその兵器の写真入りで表示されます。

 ユニットの写真については、同じ兵器でもいくつか異なる写真が用意されていて、ユニットごとの個性のようなものが感じられる作りになっているのもいいですね。グラフィックは現代のテクノロジーですが、そこに当時の映像が入ることで第二次世界大戦の雰囲気を感じられる、素晴らしい作りになっています。

ユニットには経験値でレベルアップする要素も

 本作のユニットは戦いで経験値を得てレベルアップするシステムが採用されています。レベルアップしたユニットは、充足(耐久力)の上限がアップするほか、特殊能力(パーク)を3つのうちから1つ選んで習得できます。

 ユニットはレベルアップでただ強くなるだけではなく、特殊能力によってプレイヤーの戦術に影響を与えるのも本作の特徴といえるでしょう。

 たとえば、プレイヤーの視界外で敵が“警戒攻撃”を使って待ち伏せていそうな状況で、視程を拡張した偵察装甲車や、敵の警戒攻撃を受けない“ステルス”のパークを習得した突撃歩兵があれば、かなり有利に戦えるはずです。

 ユニットを成長させて自分好みのパークで強化していくのも本作の楽しみといえます。

包囲や突撃といった要素をヘックスマップ上で再現したゲームデザインが最高!

 ヘックスマップで兵器同士が激突するシミュレーションゲームといえば、日本では1985年に初代が発売された『大戦略』シリーズが有名ですね。本作は、同じヘックスマップ上で戦うシミュレーションゲームとして、まったく異なると言っていいほど多くの新しいシステムが採用されています。

 コンピュータが担当する敵軍はかなり頭がよく、同じマップやターンを繰り返した際、同じ行動をとるとは限らない柔軟さを持っています。そのため、歯ごたえのあるゲームプレイが楽しめるでしょう。

ユニットはAPの範囲内で自由に行動可能!

 各ユニットはAP(アクションポイント)を消費して移動や攻撃を行います。攻撃してから移動してもその逆でも、必要なAPがあれば自由。ユニットによっては、移動を一切しなければ1ターンに2回攻撃できるものもあります。

 そして1回攻撃するだけのAPが残っていれば、残りのAPをすべて消費してその場で“警戒攻撃”状態になれます。警戒攻撃状態のユニットは、敵ターン中に射程ヘックス内に入ったユニットへ自動的に不意打ちを喰らわせることが可能です。

 また、戦闘で充足などが消耗したユニットは、そのターンでまだ何も行動していない状態のみ、全APを消費してその場で補給を行い回復が可能です。

 補給まわりのシステムは単純ですが、敵ユニットに隣接されていない場合のみ、かつそのターンは行動不能となるのがリスクですね。

敵の警戒攻撃を見破る偵察の重要性

 さきほど触れた警戒攻撃は、もちろん敵ユニットも活用してきます。射程の長い対戦車砲や高射砲、駆逐戦車の警戒攻撃に引っ掛かると戦車でも大ダメージを受ける危険があります。

 ここで役立つのが偵察装甲車や騎兵。これらのユニットは高いAPを駆使して広範囲の移動が可能で、先行して敵ユニットの位置を探り出すことが得意です。

 本作のユニットは対装甲と対非装甲の2つの攻撃力が設定されていて、先ほど挙げた射程の長い敵はだいたい対装甲ユニットへの攻撃力が高いです。非装甲タイプの騎兵を使って探れば、警戒攻撃を受けても低いダメージで乗り切れるでしょう。

 また、偵察装甲車にはユニットの視程内に入った敵の警戒攻撃を解除する能力を最初から持っているので、敵に見つからずに先に視程内に潜り込める状況ならば、危険な待ち伏せを無力化できます。

 さらにユニットや都市などの拠点は基本的に2ヘックスの視程を持っていますが、森林や市街地などの地形によっては、その先を見通せない場所もあります。たとえば森を盾にするように間合いを詰めていくような機動をさせられるのも、本作ならではといえるでしょう。

敵の士気を喪失させて撤退させることも可能

 本作のユニットには攻撃や防御といったステータスに加えて“士気”の要素が組み込まれています。ユニットの士気値は、敵から攻撃を受けることで命中に関係なく減少し、ゼロになるとそのユニットは現在いるヘックスから撤退します。

 占領したい拠点に陣取る敵は、全滅させようと思うとかなりの手間がかかりますが、射程の長い野砲などで集中攻撃すれば全滅させるよりも簡単に、その場から撤退させて自軍が占領可能となります。

 本作のユニットは歩兵が1ヘックス、戦車や装甲車が2ヘックス、駆逐戦車や対戦車砲、高射砲が3ヘックスの射程を持っているので、うまく組み合わせれば敵を一方的に攻撃することも可能。さらに1ヘックスに3ユニットまで配置できるので、攻撃を集中させることも容易です。

 そして、敵ユニットを取り囲んだ状態で士気をゼロにすると、その場で降伏してユニットを消滅させられます。条件はやや難しいですが、敵を一気にせん滅する手段があるのはゲームスピードのアップにつながるのでありがたいですね。

一気に勝負を決める肉迫攻撃が気持ちいい!

 本作は隣接したユニットに対してハイリスクハイリターンの“肉迫攻撃”が可能です。

 肉迫攻撃は通常の2倍の弾薬を消費して隣接ユニットに強引に攻撃を仕掛ける、いわゆる突撃。成功すると敵に大ダメージを与え、かつ士気をゼロにしてそのユニットから追い出すことが可能です。しかし、失敗するとこちらの士気と充足が大ダメージを受けてしまうリスクがあります。

 肉迫攻撃の成功率は、ユニットの士気や性能、それに歩兵が警戒攻撃時に掘る塹壕のレベルが大きく影響を及ぼします。成功率は事前にわかるので、いけそうなら積極的に仕掛けたいですね。

 肉迫攻撃のシステムは成功した時の爽快感もあって、シミュレーションゲームではあまり味わえない楽しさがあります。

空軍はポイントを消費して利用

 本作には空軍ユニットはなく、空港を占領した数に応じて毎ターンたまるポイントを消費して各種支援を受けるという簡略されたシステムになっています。爆撃や偵察のほか、任意のポイントに空挺部隊を降下させることも可能です。

 ただし、支援を要請した地点の付近に高射砲が配置されていると自動で迎撃を受けます。航空機が撃破されると支援は無効となるので、対空砲の位置には注意です。敵の空軍には、対空砲のほかに迎撃機を配置しておくことが可能。空軍のシステムが簡略化されていても重要なことは変わりありませんね。

低価格で遊べるシミュレーションゲームとしては破格の面白さ! 時間があまりない人にもおススメ!

 ここまで紹介してきた『Total Tank Generals』。シミュレーションゲームとしてややこしくなり過ぎない程度に、いろいろなシステムが盛り込まれていて非常に面白いです。細かなシステムはヘルプを読めばだいたい解決します。

 コンパクトなマップで短時間で遊べるので、仕事などで時間があまりとれない人にはうれしい要素なのではと感じました。そのかわり、ターン制限がやや厳しめに設定されていますが、マップを始める前に“難易度スケーリング”を調整すると、ある程度は解消できるでしょう。

 第二次世界大戦が題材のゲームに興味があるならストライクな内容ですし、よくできたシミュレーションゲームを探しているなら当たりだと思います。開発はポーランドですが、ムービーの字幕が抜けていることを除けば日本語訳はわりとしっかりしていて、ゲームを遊ぶ分には問題ないレベルです。

 Steamにはロンメルキャンペーンの最初のマップ“アラスの戦い”が遊べる無料のデモ版があるので、まずはそこからチェックしてみるのもアリですね。


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