『Dead Island 2』をレビュー。求められていた“血みどろグロなゾンビアクション”がド直球でやってきた!

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 Deep Silverが、2023年4月21日に発売したPS5/PS4/Xbox SeriesX|S/Xbox One/PC(Epic Games Store)用ソフト『Dead Island 2(デッド アイランド 2)』。このレビューでは、Epic Games Storeで販売されている海外版を遊んだ感想をお届けします。

【注意】ゴア表現が非常に多い作品となっており、このレビュー内でもグロテスクなシーンが登場します。苦手な方は下にある美しい夕暮れ時のスクリーンショットをお楽しみいただくだけにとどめてくださいね。

 『Dead Island 2』は、前作『Dead Island』から12年ぶりとなる正統続編。アメリカの西海岸・ロサンゼルスを舞台に、多彩な攻撃手段でゾンビを破壊していく1人称視点のホラーアクションです。家庭用機版の日本における発売は未定ですが、PC(Epic Games Store)版はテキスト及びインターフェースが日本語に対応。音声は英語ですが日本語字幕もあり、国内でのプレイが可能となっています。

【最後の注意】ゴア表現が非常に多い作品となっており、このレビュー内でもグロテスクなシーンが登場します。大事なことなので2回書きました。以下、スクロールしたらすぐ血です。

セレブたちの楽園が地獄の血みどろ空間に! コテコテだけどそこがいい!

 鈍器で殴る! 腕が吹き飛ぶ! 臓物吹き飛ぶ! 頭吹き飛ぶ! 倫理観や申し訳なさも吹き飛ぶ! 目に映るゾンビは原型がないほど、グッチャグチャのドッロドロにぶち壊せ!

 ああ、うん。これは間違いなく、日本で家庭用版の発売が未定なのもわかる……と思うほどの激しいゴア表現に圧倒される本作。2014年に発表されてから延期を重ね、その間に開発スタジオがYager Development、Sumo Digital、Dambuster Studiosと変更に変更を重ねたことでも話題になりましたが、なんと12年ぶりの続編が出ました! 今度こそ本当に出たのです!!

 延期を重ねた作品というと不安に感じる方もいるかもしれませんが、そこは抜かりなし。B級ホラーゾンビ映画を見るように、お菓子やジュースを片手に笑いながらグッチャグチャのゾンビバトルを楽しむ。手堅く楽しい作品に仕上がっています。公式Twitterでは動画も公開されていますね。

 一応、間に外伝もあることはあるのですが2011年の前作から12年ぶり。かなり長い期間が空いていることもあり、前作を知らずに遊んでも大丈夫です。前作主人公の1人であるサム・Bなどの懐かしいキャラクターも登場するので、前作を知っているとより楽しめますが、ぶっちゃけゾンビが出てきて大変なことになった世界……くらいの知識で十分楽しめます。

 それくらい、ゲームの中身はオーソドックスなゾンビアポカリプス物。ゾンビがひしめくロサンゼルスから逃げ出そうとした飛行機のなかにゾンビが混じっていた! 大惨事! 飛行機に乗り合わせた6人のなかから1人の主人公(スレイヤー)を選んで地獄と化したロサンゼルスを生き延びろ! というわかりやすい導入から物語が始まります。

 ゾンビに噛まれても免疫を持っていた主人公が、世界を救うために免疫を研究できる場所を目指す、というわかりやすいストーリーです。人間同士のいざこざもスパイス。基本はゾンビがひしめく場所を抜けて生存者と出会い、自分の目的を果たすために突き進む。実にわかりやすいゾンビ物ですね。懐かしさすら感じるほどですが、それがいい。それでいい。

 操作できるキャラクターは6人のなかから選べますが、自分は最初にカーソルがあったジェイコブでスタートしました。ノリは軽いものの生存者を見捨てられない気持ちの良い人物だったので、プレイしていて不快感もありませんでした。キャラクターごとに異なる固有スキルが用意されていますが、レベルアップや探索で汎用スキルが手に入り、それらを付け替えてカスタマイズできるので好みで選んでしまっていいかも。

 個人的には防御や回避を多用するゲームという印象があったので、防御系と体力回復の固有スキルがあるRYAN(ライアン)のほうが良かったかな……とあとから思ったりもしたのですが、戦い方やカスタマイズでいくらでもカバーできる差だと思います。

 南国リゾートの美しい風景とグロ~いゾンビというギャップが『Dead Island』シリーズの魅力ですが、今回の舞台はアメリカ西海岸。セレブの住む高級住宅街や映画の撮影スタジオという派手なロケーションは、前作とはまた違った方向の“地上の楽園”といった様相です。豪華な建物の数々は物悲しくも美しく、探索の楽しさもバッチリ。ゾンビのバリエーションも多いので、ボスも通常のゾンビも生きていたころの生活を想像できて申し訳ない……と思いつつも、豪快に破壊するのが気持ちよくなってしまいます。

 配信者やフードデリバリーのゾンビが出てくるのも、現代ならでは。ゾンビパニック前にネット上で炎上していた配信者のゾンビを物理的に炎上させてみたり、自分のウェディングケーキを破壊しながら降ってきた花嫁のボスゾンビを刃物で倒して「ケーキ入刀みたいだな……」と思わず考えたり、ゾンビ物らしいバカバカしいシチュエーションとブラックさに思わずニヤリ。セレブたちがプールではしゃいでるな……と思って近づいたらみんなゾンビだったり、登場人物たちも悲惨な状況でシニカルなジョークを飛ばしたりと、B級ゾンビ映画のような笑いを誘うロケーションがそこかしこにあります。素晴らしいですね。

 こうしたゾンビたちを容赦なく殴って頭やら腕やらがぶっしゅぶしゅと吹き飛ぶのが、本作の気持ちよさ。これは確かに日本の家庭用ハードでは規制なしに発売できないだろうというくらいのゴア表現で、血しぶきがこれでもかと出まくる! ホラー映画のなかに入り込んだ感覚でガンガンぶっ倒す! 普段、自分のなかに眠っている熱い破壊衝動と血が騒ぐ! こういうのをやりたかったと言わんばかりのスプラッターなホラー感がたまりません。

 オープンワールドではなくエリア制なのですが、1つ1つのフィールドは広めで入れる建物もしっかりあります。探索すれば武器や改造素材が拾えますし、ゾンビアポカリプスが発生した当時の記録といった収集要素やサイドクエストもあるので、探索のし甲斐もあり。ストーリーを追うだけなら黄色いマーカーに沿って移動していけばいいですし、メインだけを追っても攻略できるバランスなのですが寄り道も楽しいです。

 行ける範囲はストーリーの進行によって追加されていく形ですが、一度行ったエリアはゲートを通って戻ることが可能。ただし、マップから目的地を選択する“ファストトラベル”が解禁されるのは中盤以降なので、自分は解禁されてから本格的に探索しました。バトルのほうで後述しますが、その頃になると銃や後述する“フューリーモード”といった強力な攻撃手段が出そろうので探索もしやすくなります。

拾った武器で急場をしのぎ、泥臭く立ち回りながらゾンビを叩き潰せ!

 本作は1人称視点(FPS)のゾンビアクション。パイプやゴルフクラブなどの近接武器で戦うことが多く、中盤でとあるイベントをこなすまでは銃が手に入りません。武器になりそうなものを拾ってぶん殴る。ゾンビに対して力で対抗するゲームなのですが……ただ、力押しするだけでは大量のゾンビにやられてしまいます。1体ならなんとかなるのですが、マジでゾンビが多い! 作業台で現金を支払って強化したり、火や電気がでるように改造したり、武器を強化するのも重要です。

 こんな世界ですが、お金も必要なのが世知辛い……。お気に入りの武器は“マッチレベル”をすることでレベルに合った攻撃力になるので、自分の好きなスタイルで戦っていけます。これが地味にうれしかった……。武器の修理で耐久度も回復できるので、武器がなくなって困ることはありませんでした。

 持ち歩けるアイテムについては、常に所持できる武器が8個+予備の8個で16個と十分多いんですよね。進めていくとガンガン拾えるので、むしろ余ってしまうことも。スクラップにして解体してもいいですが、安全地帯にいるトレーダーに売って資金にしたほうが後々楽なので、常に16個の所持数を満杯で持つ必要はありません。使い捨てする感覚でバンバン使ってしまいましょう。拾うだけでもなんとかなるくらいの入手量です。出し惜しみせず、ゾンビをボコボコにしてやりましょう!

 ……と言いたいところなのですが、なにせゾンビの数が多いので近接武器だけでは大変。うまく誘導できる移動中はともかく、イベント戦では1対多数になるシチュエーションが山盛りです。攻撃力も高く、最初から燃えていたり、感電していたり、振動付きの大声でこちらを転ばせてきたり、こちらを巻き込むゾンビもたくさんいます。最初は、どう立ち回るかわからず逆にボコボコにされてしまうかもしれません。漏電しているケーブルを使って感電させたり、燃えている場所に誘導したりといった地形を活用したり、ヤバいゾンビから片づけたりと必死にもがいて戦う楽しさったら、もうたまらない!

 臨機応変な対応が求められるので、戦闘が単調になりにくいのもいいですね。イベント中じゃなければ、走って逃げちゃってもいいのです。

 最初はイベント戦で次から次へとゾンビが出てきて驚いたのですが、慣れてくると1対多数でも全然不利を感じないくらい。対抗手段が1つじゃないですし、地形やスキルを活用できる分、プレイヤーのほうが有利に立ち回れるのです。スキルによる恩恵は大きく、たとえば“ドロップキック”は下手なゾンビならまとめて蹴り飛ばせるほど強力。序盤はピョンピョン飛び跳ねてドロップキックしまくりでした。よくよく考えると、すごい絵面。

 ゾンビは攻撃し続けると安定性を失っていき、こちらが相手の攻撃を直前で回避すると体勢を崩します。その状態になれば、カウンターを入れて大ダメージを与えられるのもポイント。カウンター中は特殊な演出が入るので、ほかのゾンビから攻撃を受けません。しかも、スキルのなかにはカウンターを決めることで体力が回復するものも。回避とカウンター回復を駆使して戦えば、ゾンビも回復ポイントに見えてくる……かもしれません。油断したら死ぬんですけどね。マジでゾンビ強い。でも、直前からリトライできるのでやられても気にならないでしょう。

銃やカーブボール、フューリーモードが解禁されて主人公がどんどん強くなる!

 序盤は近接武器やワナで必死に戦い、ゾンビの頭部や内臓を吹き飛ばしながら肉体言語で死体の山を築いていく楽しさがありますが、ゲームを進めていくことでプレイヤーの有利になる要素が増加。とくに重要なのが“カーブボール”と呼ばれるシステムです。

 これは、一度使うとクールタイムが発生する代わりに使用回数が無限の特殊な武器。火炎瓶などの状態異常にさせるものから、単純に攻撃力が高いものまで種類も豊富です。カーブボールをうまく使い分けることで戦いがグッと楽になります。とくに、ボス戦では相手になかなか近づけないこともあるので火を消化したり、相手をしばらく気絶させたりできるカーブボールの使い分けが重要。クールタイムが終わったら、即投げるくらいの感覚で使えます。

 途中で銃などの遠距離攻撃ができる武器が手に入るとプレイスタイルが一変! 銃を乱射することで、ゾンビがあっという間に肉片へ早変わり! ただし、弾丸は作業台で作ることもできますが、近接武器よりも手に入りにくいので多用するのは危険です。大量のゾンビを相手にするときや攻撃してもひるみにくいタフなゾンビと戦う時など、苦戦しそうな場面で使っていきましょう。

 遠距離武器も改造できるので、状態異常の特殊効果を持たせるとより便利な存在になります。火や電撃の特殊効果は、本当に使い勝手がいい。炎と電撃が効かないゾンビが入り混じるので、戦いながら必死で武器を持ち替えることになりますが、それだけの価値があります。

 さらに、本作では“フューリーモード”と呼ばれる特殊能力も存在。ゲーム中盤で解禁されるフューリーモードは、ゲージを貯めることで自らのうちに眠るゾンビの力を解放。一定時間、体力が自動回復しつつ素手でゾンビたちを倒せるくらい攻撃力が上がります。無敵ではないので過信は禁物なのですが、両手でバッタバッタとゾンビを薙ぎ払えるのは快感!

 序盤はハァハァ言いながら拾った武器でなんとかしのぎ、中盤からは銃やフューリーモードでここぞという時に大暴れ! 場慣れしたゾンビ物の主人公みたいに、今度はこちらから仕掛けてやれと言わんばかりの暴れっぷりが楽しめます。むしろ、使いこなさないと負けてしまうくらいゾンビの数も増えていやらしさも倍増。やるか、やられるか。返り血を浴びながらグロテスクな死体の山を築いていく楽しさは、規制がない海外ゲームだからこそ。ぜひ、PC環境を整えて味わってほしい快感です。

求められていたものがそのままの形で現れた。“飢え”を満たしてくれるストレートなゾンビ物

 本作は、もともと2014年に制作が発表されたゾンビ物ということもあり、今見ると驚くくらいストレートで王道なゾンビゲーです。陽気で美しい西海岸に不釣り合いなゾンビの群れのギャップも、今となってはドがつくくらいストレート。絶望しながらもジョークを忘れず、酔っぱらったり、自暴自棄になったりしながら隠れ住む人々の描写や、皮肉たっぷりのイベントも胸やけするくらいのシチュエーションなのですが、逆にそこがイイ! 

 死んでいる被害者にすら、ドラマを感じられる配置になっているのが好きですね。たくさんの現金に囲まれたまま死んでいる人を見たときは、その人間らしいしょうもなさに笑いつつ、現金を回収している自分自身にも笑ってしまいました。これこれ、こういうのがイイんですよ!

 ゲーム自体も目新しいシステムや斬新なスタイルのアクションというよりも、本来ならば2014年当時に出ていたであろうゲームの正当進化といったプレイ感。余計なことをせずにまとまったゲームで、求めていたものがきちんと出てきてくれた満足感があります。

 ゴア表現もやり過ぎなくらいのこだわり。グロすぎて、ある意味ギャグとして楽しめてしまうほどです。ローディング画面で内臓むき出しのゾンビが回転しているくらいの扱い。もう、清々しいくらいのホラー表現ですね。部位破壊の表現にもこだわっていますし、“ゾンビと戦っている雰囲気”がバッチリ出ています。あまりにもゴアが続くので、だんだん慣れてきちゃうんですよ。まるで、自分がゾンビ物のヒーローになったような気持ちになれるでしょう。

 ここまでグロいと、日本では家庭用機で出せないだろうと思うほどの突き抜けっぷりなのですが、PC版はきちんとした日本語で遊べますし、これでこそグロ表現ありのホラーゲーム。ゴア表現が大丈夫な人なら、ゾンビをバカスカ倒しまくって脳汁ドバーな気持ちよさを味わえる。そんな作品です。

 オープンワールドではないですが探索の要素も過不足なく、隠しドアを開けてアイテムを取るための“ヒューズ”を買うか、改造に資金を回すか、自分のプレイスタイルに合わせてアイテムや資金をどうやってやりくりしていくかに頭を悩ませることも。1周目でやりきってもいいのですが、主人公を変えて周回するのも楽しそうです。

 何より、美しい西海岸でゾンビをぶち壊していくのは単純に楽しい! 自分のなかの破壊衝動が満たされてスッキリするゲームですね。作品の内容的に決して小さな子どもや万人にオススメできる作品ではないですし、PCの海外版のみというハードルはあります。ですがスカッとするゾンビゲーを遊びたい人はハードルを飛び越える価値は確実にある。そんな良作ゲームですよ!

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