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『機動戦士ガンダム 水星の魔女』17話感想&考察。あの曲が流れ「グエル…!!」と思ったら震えるほどのスゴい展開が!

てけおん
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 5月7日に放送&配信されたアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第17話(Season2 第5話)“大切なもの”の感想や考察をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』17話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

プロスペラの出す条件にミオリネは……

 16話のラストシーン、プロスペラとミオリネの会話から17話は始まりました。プロスペラはミオリネとの会話――取引の際に「もう1回、スレッタとエアリアルには決闘をさせてほしいの」と言いました。あと1回でスコア8に至る確信があったように思えますが、はたして。その後に続く「でもあの子、おとなしくエアリアルを降りてくれるのかしら?」と言ったほうまで含めてプロスペラの狙いだったような気すらしてきます。

 こういう言い方をすればミオリネはスレッタをエアリアルから降ろすように動くことは予想できるでしょうし。事実、スレッタはエアリアルを降りることになりました。プロスペラからしてみれば、言うことを何でも聞いてしまうスレッタをエアリアルから降ろすことはさほど手間でもない……ように思えますが、実はそうでもなかったのでしょうか? 結果としてミオリネとスレッタはすれ違ってしまっただけに思えます。この後もスレッタはミオリネにメールを送るのでしょうか?

温室でグエルがスレッタに告白!

 そして今回の大きな見どころのひとつは、なんと言ってもこの温室のシーンでしょう! スレッタの窮地に駆け付けたグエルが見事な手際で彼女を救い、そして告白まで!! とはいえここでのグエルの告白は、成就することよりも心の整理を付けに来たといったほうがしっくりするような感じではありましたが。

 グエルの中で現時点での“大切なもの”はきちんと順位が付いたんだな、ということがうかがえるシーンでした。また、告白の際に「好き」と言うだけでなく「大切なんだ」という言葉を使うのも、今のグエルらしいなと。どういう結果にせよ、グエルの心の中にはスレッタのスペースがあるんだなと思わせてくれました。

 しかし5号……このシーンではなんとも三下っぽい言動でグエルの引き立て役になってしまいました。5号を取り押さえた時にグエルが発した「ここ(温室)を壊したら謝るだけじゃすまなくなる」という言葉もまた印象的でした。『水星の魔女』では温室のシーンにおけるやり取りは、その人物の心の在り方について描写しているものが多いですが、かつて1話で温室を荒らしまくったグエルがこんなことを言うとは……。ここでお尻をペンペンされたあの狂犬のようだった男が……。いろんな意味でジーンと来てしまいました。

スレッタVSグエル、3度目の決闘は……!?

 温室のシーンとあわせて今回の大きな見どころだったのがスレッタとグエルの3度目の決闘! これは本当にどっちが勝つんだろう? と固唾をのんで見入ってしまいました。

 しかし17話での決闘にまつわる描写は、3話のものと対になっていて見ごたえがありましたね! 3話では意思拡張AIを搭載したことについて激昂していたグエルでしたが、「プライドだけじゃレッタ・マーキュリーには勝てないさ」と言って見せました。

 また、AIが操縦桿を動かすシーン。3話では手が離れていましたが、17話ではしっかりと握っていました。エアリアルの左腕を落とした直後、見事にガンビットの攻撃をよけきってみせたグエル。レネが「んだよあの動き」とこぼすほどのすさまじい回避でしたが、あれは本調子ではないとはいえグエルの操縦技術とAIとが組み合わさってのものだったのかもしれませんね。

 オーバーライドでドローン兵器2機を奪われた後のグエルの反応も素晴らしいもので、正直あんなのよく防げたなと驚いてしまいました。

 また3話ではスレッタに勝たせるために決闘の外で動いていたミオリネでしたが、今回はスレッタを負けさせるために動いていたのも対照的でしたね。

 父を殺してしまったことや地球で死を間近に見た時のことがフラッシュバックするなど、グエルが本調子ではない描写にヒヤヒヤもしましたが、グエルが見事勝利を手にする形となりました。正直なこと言うと「グエル、生きててくれてよかったな~」ってのが視聴終了後すぐの感想でした。決闘でハッピーバースデイの曲が流れた時、思わず“prologue”が脳裏をよぎりまして……。これグエル死ぬんじゃないかって気が気じゃありませんでした。

スレッタはどうなってしまうのか?

 スレッタを負けに追い込んだミオリネの行動。スレッタのことを案じてのことではあるのですが……どうしてもデリングに似ているように見えてしまいます。この辺は親子ってことなんでしょうかね? グエルに策に加わってもらう際に「私もなくしたくないの“大切なもの”を」と言ったミオリネ。その中にはスレッタも含まれているとは思いますし。

 おそらくは、プロスペラと離れさせるため(自分といるとクワイエット・ゼロ絡みで結局プロスペラとスレッタが離れられなくなるので)にあえて説明もせずキツい言葉を選んでいたのでしょう。そう考えると、なんとも不器用というか損な性分してるな~と。

 しかもスレッタ目線で見ると「エアリアルもミオリネさんもいなくなっちゃった……」という状況なわけで。元々自己肯定感の高いタイプでもないですし、ホルダーでもなくなってしまったとなると、地球寮の面々に頼るのではなく、むしろプロスペラへの依存が深まってしまうようにも思えるのですが……どうなるのでしょうか? いっそのこと、どこかのキング・オブ・ハートよろしくスレッタにちゃんと気持ちを伝えておいたほうがいいように思えてしまいました。

 さて、17話はスレッタの慟哭とミオリネの冷たい言葉で終わったわけですが、来週5月14日は総集編です(ナビゲーターは誰なんでしょうね? 楽しみです)。気になって気になってしかたがない18話“空っぽな私たち”は5月21日の放送となります。

 タイトルからしてスレッタがメインの回となりそうですが、もしもそうだとして、エアリアルもミオリネも失ってしまったスレッタは、どんな姿を見せるのでしょうか? 再来週が来るのが待ち遠しいです!

その他気になったこと

●ベネリットグループを取り巻く政治的な図式が大きく動いた回でもありました。

 グループの次期総裁候補は、商品としてのガンダムを軸にして固まったグラスレー社+ペイル社。それに対抗するのは、グエルが代表になったジェターク社を後ろ盾にしたミオリネ。16話でシャディクは「御三家のどこかが(ミオリネの)後ろ盾になれば、あるいは……」と、ミオリネがデリングの後継になる可能性について口にしていましたが、それが現実のものとなってしまいました。

 クワイエット・ゼロ成功のため、ミオリネは次期総裁を目指すことに。ここまではプロスペラの狙い通りですが、グラスレー社とベイル社がどういう動きを見せるのかが気になります。

●16話では責任感がある一面を見せていたセセリアですが、17話では復帰したグエルをさっそく煽っていて、なんだかイキイキしているようにも見えました。グエルにスカされたあとの「えっ?」もかわいかったです。

●ミオリネがグエルを引き込む際、プロスペラについて話していたようだったので、今後グエルは“ミオリネ側”で動いてくれるんだろうな……と。また、学校の外でいろいろなことを経験してきたグエルの「そんな世界はないよ」という言葉がとても重く感じました。案外グエルって、アーシアンとスペーシアンの架け橋的な立場になってくれるのかもしれませんね。

●めちゃくちゃ細かいことですが、グエルの髪って誰が切ったんでしょう? ミオリネに「はさみとバリカンを貸してくれ」と言っていたのと、ジェターク寮の面々が短髪にしたグエルの姿に驚いていたことから察すると……まさかのミオリネ!? だったりするんでしょうか。もしそうだとしたらそのシーンが見たい。

●グエルとの決闘の終盤、エリクトが放った「ごめんね」ってセリフにはどういう意味が込められていたんでしょうか? いつもいつもこの感想記事で引き合いに出してしまう小説『ゆりかごの星』ですが、小説での“僕”=エリクトであるとするなら、間違いなくスレッタのことを“大切なもの”として見ているからこその「ごめんね」だとは思うんですよね。

 スレッタを負けさせてしまうことについてだったのか、プロスプラの企みに乗ってしまっていることについてだったのか、ミオリネとやりたいことを語るスレッタの願いをかなえさせてあげられなかったことなのか……。いくつもあるかとは思いますが、「ごめんね」という言葉をエアリアルが選んだことについては、少なくともスレッタにとっては前向きな要素として見ていいのではないかと思っています。

●サリウス誘拐シーンの手札を切って、グラスレー社に取り入った5号。要領のよさは本作随一かもしれませんね。ただ、シャディクはペイル社と協力体制を築こうとしているわけですし、むしろ都合のいいように使われてしまいそうな気も……。5号の明日はどっちだ!? そしてファラクトはどうなってしまうんでしょうか?

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2

【スタッフ】※敬称略
企画・制作:サンライズ
監督:小林寛
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
原作:矢立肇/富野由悠季
キャラクターデザイン原案:モグモ
メインキャラクターデザイン:田頭真理恵
キャラクターデザイン:戸井田珠里/高谷浩利
メカニカルデザイン:JNTHED/海老川兼武/稲田航/形部一平/寺岡賢司/柳瀬敬之
チーフメカアニメーター:久壽米木信弥/鈴木勘太/前田清明
副監督:安藤良/綿田慎也
テクニカルディレクター:宮原洋平
設定考証:白土晴一
SF考証:高島雄哉
メカニカルコーディネーター:関西リョウジ
設定協力:HISADAKE
プロップデザイン:絵を描くPETER/えすてぃお
美術デザイン:岡田有章/森岡賢一/金平和茂/玉盛順一朗/上津康義
コンセプトアート:林絢?
美術監督:佐藤歩
色彩設計:菊地和子
音響監督:明田川仁
撮影監督:小寺翔太
3DCGディレクター:宮風慎一
モニターグラフィックス:関香織
編集:重村建吾
音楽:大間々昂
製作:バンダイナムコフィルムワークス/創通/MBS

【出演声優】※敬称略
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那
ミオリネ・レンブラン:Lynn
グエル・ジェターク:阿座上洋平
エラン・ケレス:花江夏樹
シャディク・ゼネリ:古川 慎
ニカ・ナナウラ:宮本侑芽
チュアチュリー・パンランチ:富田美憂
デリング・レンブラン:内田直哉

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