『LOOP8(ループエイト)』のシステム解説。人間関係を構築する“カレルシステム”が深過ぎ! 踏み込み過ぎての闇落ち注意!!

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 6月1日発売予定の完全新作ジュブナイルRPG『LOOP8(ループエイト)』は、古来からの厄災・ケガイによって人類の希望が打ち砕かれた世界を舞台に、主人公・ニニの日常を描いたジュブナイルRPGです。

 『高機動幻想ガンパレード・マーチ』など、AIを活用したゲームを世に贈り出した芝村裕吏さんが、ゲームデザインとシナリオを手がけることでも期待を集めている本作を、かつて『高機動幻想ガンパレード・マーチ』にハマりまくったライターが先行プレイしました。

 前回の序盤戦のプレイレポートに続き、今回は本作での独自システムに関して、詳しくレビューしていきます。

『LOOP8(ループエイト)』記事バックナンバー

ループする世界での日常と非日常

 ゲームの基本的な流れは、主人公ニニを操作し、8月から始まる学校を中心にした日常と、ケガイと呼ばれる災厄と戦う非日常を繰り返しながら、この世界をリアルタイムに“生きて”いくことになります。

 日常においては、朝に起床して、学校に行き、放課後商店街に立ち寄り……といった、誰もが一度は経験のある、まさに青春時代のひと時が描かれます。

 そして、その日常と隣り合わせにあるのが、ケガイという存在に脅かされる、非日常です。ケガイは人間を地球から追いだし、宇宙へと追いやった謎の存在。人の心の弱さにつけ入り、人に憑依し、そして人の日常に陰を落とします。

 この日常と非日常が入り混じった世界で、同じ8月をLOOP(ループ)しながら、街の住人との交流や、ケガイとの戦いを繰り返していくことになるのです。

ゲームは完全にループ前提! “知識”を生かして周回せよ!

 このゲームはタイトル通り、同じ8月を繰り返す(=世界はループしている)ことが前提となっています。

 同じ日々を繰り返すことで、ケガイと戦うための力を蓄えたり、街の人とより深い仲になっていくことができるのです。

 ループするとキャラクターたちの人間関係は初期値に戻り、住民たちも、主人公のことを忘れてしまいます。それでも、プレイヤーがこれまでの周回で得た“知識”は消えません。この“知識”をうまく使い、1カ月という限られた期間で、目的達成を目指していくことになるのです。

 前回の記事でも書きましたが、遊んでいる感覚は同じ芝村裕吏氏が制作に携わった『高機動幻想ガンパレード・マーチ』とよく似ています。ただし本作の場合、戦闘はかなりシンプルになっており、どちらかといえばアドベンチャーゲームに近くなっているといえるでしょう。

5日のスパンで発生するケガイとの戦い

 ゲームの流れをさらに詳しく説明しましょう。まず、日常を過ごす間に、ケガイという存在が街に侵入し、街の住人の誰かに憑依します。

 こうなると、神社から黄泉比良坂と呼ばれる場所に行くことができるようになり、そこを探索し、どこかに潜んでいる、ケガイに憑依された住人と戦わなくてはなりません。

 そして、5日以内にその人を倒さないと、世界が滅ぶのです。ただし世界が滅んでもゲームオーバーではなく、ループして最初からやり直しになるだけです。

 時間制限は、正直、かなりタイトに感じました。また、誰に憑依するかわからないのは、とても緊張感があります。ずっと仲良くしていたのに、ボスになってしまう……なんてこともあるのです。

黄泉比良坂の探索

 黄泉比良坂の探索は、3人までパーティを組むことができ、3人で協力して試練をこなし、特定のアイテムを集め、黄泉比良坂のどこかにある障壁を開ければボス戦となります。

 ちなみに黄泉比良坂に連れていけるキャラクターは決まっており、一緒に連れていけないキャラクターもいます。

 道中(マップ自体は街と同じ)は、ザコのケガイがうろつき回り、話しかけると情報をくれます。情報は、ボスになったキャラクターに関する裏面の設定で、知れば知るほどそのキャラクターを深く理解できるのです。

 つまり、ケガイに憑依されないとわからない情報もあるということ。本当の姿を知りたい、でも戦いたくない……という、アンビバレントな気分を味わえます。これも1つの魅力かもしれませんね。

 また、ザコのケガイとは時々戦闘になります。ザコ戦闘はとくに経験値などはないですが、戦闘後に“加護”をもらえることがあるので、積極的に戦っていきたいところです。ちなみに主人公を始め、黄泉比良坂に連れて行けるキャラクターは、日常での行動によるステータスの上昇によって技を覚えていきます。

バトルはシンプルでわかりやすい!

 戦闘は、主人公が使う技を選択していくだけのシンプルシステム。仲間はすべてAIが操作します。攻撃には属性として“友情”“愛情”“憎悪”の3つがあり、この順番に攻撃力が高くなっていきます。ただし、“憎悪”は相手を強くしてしまう可能性があるので、状況を考えて使う必要があります。

 また、戦闘の特徴としては、主人公は見鬼の才・先見と、見鬼の才・天眼という能力を使えます。先見は、敵味方の行動を知ることができ、天眼は、敵味方にかかっているバフ・デバフの状況を知ることができるのです。

 仲間が何をしようとしているか、敵が誰を狙っているかがわかるので、これを参考に戦略を組み立てていくことが基本です。

 本作ではアイテムもなければ装備もないので、基本的にボスの感情に合わせてこちらの属性を選択していくだけです。とてもシンプルでわかりやすいのですが、そのぶん、“これは勝てない”と思ったときの対策が難しいと感じました。

 アイテムでゴリ押しもできないですし、良い装備に買い替えることもできません。何より期間の制限がシビアです。たった5日では、仲間キャラクターの育成状況によっては、次の期間制限内にどうしても勝てないということも起こります。

 そんな場合どうすればいいか。そう、ループするのです!

 前述したように、本作はループが前提。ボスに負けるだけでなく、特定のキャラクターに話しかけることでも強制的にループできるので、ガシガシループすればいいのです!

ループを加速させる“加護”

 ループすると、感情や能力は初期値に戻りますが、前回までに上げた数値までは、上がりやすくなります。おかげでループを繰り返すと、ステータスも感情値も、序盤から面白いように上がっていくようになります。

 そして、そのループをより面白くしているのが“加護”システムです。本作の街のいたるところにあるポイントには神様が宿っており、調べることで、特定の神の“加護”を得られる場合があります。

 “加護”には、能力値アップや感情値アップの効果があり、ステータスや感情値を底上げしてくれます。この“加護”は、主人公だけでなく、仲間をパーティに入れておけば、仲間も“加護”を得られることがポイント。

 重要なのは、この“加護”はループしても残ることです。つまり、“加護”をたくさん集めておけば、次回のループで初期値が高くなるわけです。

 ちなみに何がもらえるかはランダムで、特定のイベントをこなさないともらえない場合もあるようです。

 訓練や会話も重要ですが、この“加護”を集めることが一番重要。ときには“加護”を集めるためのループというのも、ありかもしれません。

 ちなみに“加護”は、どれくらい集めたかをメニューで確認できます。収集要素の1つとなっているので、やり込み派には嬉しいシステムです。

人間関係を制御するカレルシステムが深い

 本作の大きな要素となる人間関係の構築。それを制御しているのが本作独自のシステム“カレルシステム”です。これは、プレイヤーの行動や会話などで行った選択や行動に応じて周囲のキャラクターの感情や人間関係が常に変化していくシステム。

 これにより、セリフや選択肢が変わるだけでなく、発生するイベント、敵対するキャラクターなど、ゲームの進行自体が変化するのです。

 キャラクターたちの行動は、その場の雰囲気や本人の欲求、ほかのキャラクターとの関係性によっても変化。まるで生身の人間のように、言動を変化させるので、リアルな人間関係を構築することができるのです。

 イベントや会話のバリーションも凄まじく、ときに思いがけない行動を見せてくれる場合もあります。数回ループしたくらいでは、まったく底が見えないほどでした。

RPG要素は低めだが、広がりも感じさせる!

 ゲーム全体としてRPG要素が薄めになっているので、RPG的な面白さを期待していると残念な部分もあります。

 また、行動できるのは自宅と高校の間のいくつかのスポットのみで、範囲としてはかなり狭いです。しかしそれが、逆に終焉間近の世界の、いい意味での“閉塞感”を感じさせ、世界への没入感を高めてくれています。本当にこの街以外の世界があるのだろうかという、どことなく不安な気持ちにさせてくれるのです。

 さらにバトルは、必殺技やアイテムもなく、仲間の操作はAI任せなので、ちょっと物足りなさを感じる人はいると思います。ただ、会話を中心にした人間関係の構築はかなり深くなっているので、キャラクターとの交流はたっぷり楽しめます!

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LOOP8(ループエイト)

  • メーカー: マーベラス
  • 対応機種: PS4/Switch/Xbox One/Steam
  • ジャンル: RPG
  • 発売日: 2023年6月1日
  • 希望小売価格: 5,980円

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