レビュー:『戦場のフーガ2』を終盤まで遊んだ評価は? 戦争×復讐×ケモノがテーマの悲しくも最高な復讐劇ドラマで、シミュレーションRPGとしての戦略性も高い!
- 文
- 染谷 広人
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サイバーコネクトツーより、5月11日に発売したPS4/PS5/Nintendo Switch/Xbox One/Xbox Series X|S/PC(Steam/Epic Game Store/ Microsoft Store)用ソフト『戦場のフーガ2』。そのNintendo Switch版のレビューをお届けします。
本作は“復讐3部作”と銘打たれたシリーズの2作目で、2021年に発売された『戦場のフーガ』の続編。前作から1年後の物語が描かれ、本作でも巨大戦車に乗り込んで敵と戦います。
ドラマティックシミュレーションRPGというジャンルが示す通り、プレイした人の心を揺さぶるほど絶望と希望、そして命の重さを感じられる作品に仕上がっています。
時津祐介氏が描く愛らしいイヌヒト、ネコヒトといった獣人の子どもたちが、戦争に巻き込まれていくという見た目とのギャップが激しいストーリーは、本作のテーマ“戦争×復讐×ケモノ”そのものといえるでしょう。
心が締め付けられるストーリーと憎悪の復讐劇
前述でも説明しましたが、本作は前作に引き続き戦争に巻き込まれる子どもたちが戦いに身を投じていきます。それに加えて『戦場のフーガ2』では、“復讐3部作”の名にふさわしい復讐劇が描かれます。
この展開、前作のトゥルーエンド(子どもが全員生存が条件)を見ている自分にとっては、かなり心が痛くなりました。子どもたちみんな幸せになっていてほしかったのに、どうして再びこんな絶望を子どもたちに与えるのかと。
しかし、だからこそ復讐劇としての重みが増します。前作は侵略してきた国に対する憎しみはあれど、子どもたちの戦う理由は平和を取り戻すのが主目的でした。本作では明確に“復讐”がテーマです。マルトの絶望が復讐相手の憎悪に変わるのが生々しく、戦争の恐怖を感じさせます。
『戦場のフーガ』シリーズは、とにかくストーリーが練られている作品で、プレイしているとサウンドノベルやアニメ作品を観賞しているかのように感じられます。
もちろん前作をプレイしている方が、より本作の物語に感情移入できるのは間違いありません。ただ、本作からプレイしても作中で前作の出来事は語られるので、十分に『戦場のフーガ2』の物語を楽しむことができますよ。
ゲーム進行はシンプルだがルート選びが重要
『戦場のフーガ』シリーズは章構成で、基本的には巨大戦車に乗って進行ルートに沿って進んでいきます。通ったマス目でバトル、インターミッション、アイテム入手、回復などが発生する仕組みです。
分岐点では進行ルートを選択。高難易度のルートほど経験値やアイテムが多く手に入りますが、そのぶん強敵が待ち構えています。
ゲーム慣れしている人は、ついつい高難易度のルートを選びがちですが、本作はバトルの難易度が高め。HPが少ない時は低難易度のルートを選んで回復を優先するのも重要です。
また、本作では新たに飛行船サービスが追加。貨幣を支払うことで、ショップの利用、進行ルートの変更、補給で回復マスの追加、空襲で敵のマスを排除できます。
進行ルートの最後にはボス戦が待ち受けています。なお、ボス戦前にはインターミッションと回復のマスがあるので、ボス相手はほぼ万全の状態で挑むことが可能です。
バトルの難易度は高め! こまかな編成で最適な戦略を立てよう
バトルは前作同様に、2人1組で最大3組までの子どもたちを配置して戦うタイムラインバトルが採用。攻撃属性は命中率がマシンガン、グレネード、キャノンの3種類で、アタッカーに配置した子どもによって変化します。
ほとんどの敵には弱点属性が設定されており、弱点属性を突けば敵の行動順を遅らせることが可能です。
しかし、本作は弱点属性だけを突いていれば楽勝という難易度ではありません。HPやSPはバトル後も引き継がれるので、次のバトルを意識して、いかに効率よく敵にダメージを与え、自身の被害を最小限に抑えるのが大事です。
バトル中は子どもたちの配置が変更可能(1回選んだあとは3回行動するまで再編成不可)なので、戦況に合わせて配置を変更するのが必須。攻撃属性を変える時だけでなく、行動順を変更する際に役立ちます。
また、絶好調時に発動するヒーロー効果や常時発動するサポート効果、スキルも重要です。これらを意識して配置をこまめに変更していきましょう。
親愛度レベルを上げて絆イベントを発生させた子ども同士を編成して戦わせていると、ゲージが溜まって協力必殺技が使用可能。そのため、できるだけ親愛度レベルの高い子どもを組み合わせるのも重要です。
アイテムの使用と防御も大事。アイテムは有限で購入するのに貨幣が必要ですが強力なものが多いので、ピンチの時は積極的に使いましょう。防御も被ダメージを軽減できるので、無理に攻撃を仕掛けるよりも役立つ場面が多かったです。
そのほか、本作では新たにリーダースキルが追加。ストーリー上で発生するジャッジメントチャンスの選択肢で“共感”と“覚悟”の値が変動し、それに応じてさまざまなリーダースキルが習得できます。
あとはボス戦でのみ使用できる、『戦場のフーガ』シリーズを代表するソウルキャノン。子どもの一人を犠牲にして放つ忌まわしき最終兵器で、前作ではプレイヤーが犠牲となる子どもを選びましたが、本作ではピンチになると自動で犠牲になる子どもが選ばれてカウントダウンが始まります。
ソウルキャノンを阻止するには、発射までに敵を倒すか。もうひとつの超兵器・マーナガルムの使用のみ。マーナガルムを使う際は子どもを選択する形になりますが、犠牲にはならず一時的な戦闘不能で済みます。
そのため、ソウルキャノンで選ばれた子どもをマーナガルムの使用で選べば、子どもの犠牲は防げます。ただし、ピンチが続けば、新たな子どもがソウルキャノンの犠牲に選ばれてしまいますが……。
豊富なやり込み要素で周回プレイも楽しめる
本作ではインターミッションで、親愛レベル、戦車の装備、各施設の強化などが行えますが、1回のインターミッションでできることは限られており、1周目のプレイですべてを強化することはできません。進行ルートでも、2周目以降でないと選べないところが存在しました。
そもそも前作にはノーマルエンドとトゥルーエンドがあったように、本作には複数のエンディングが用意されています。ゲーム内のライブラリでは5種類のエンディングが確認できました。そのため『戦場のフーガ』ファンには、本作も周回プレイをおすすめします。
プレイフィールで前作よりも快適に遊びやすくなっている『戦場のフーガ2』。過酷だが希望が残されている重厚な物語、シンプルながら戦略性の高いシミュレーションRPGが好きな人におすすめの作品です。
前作『戦場のフーガ』もアップデートで遊びやすくなっているので、『戦場のフーガ2』とセットで両作品を遊んでみてください!
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