『劇場版アイドリッシュセブン』帰ってきたモンジェネおじさんがライブ全曲を語る(ライブレポート前編)

原常樹
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 どうもみなさんこんにちは。ライターの原常樹と申します。

 筆者は過去に男性目線から『アイドリッシュセブン』の魅力に迫る記事を連載形式で担当。その際は珠玉の名曲「MONSTER GENERATiON」を愛する自称“モンジェネおじさん”として、自由奔放な記事を書かせていただいておりました。

 ご存じの方いらっしゃいましたら改めて……お久しぶりでございます!

モンジェネおじさんが語る『アイドリッシュセブン』連載記事はこちら

 さて、筆者が今回このようなコラム記事を久々に書いているのは、もちろん『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』を紹介するため。

 現在全国各地の劇場で開催中のこちらのライブは、IDOLiSH7、ŹOOĻ、TRIGGER、Re:valeの各グループに所属する総勢16人のアイドルたちの魅力がこれでもかというほどに詰まったステージとなっています。今回はこちらの<DAY 1>を男性目線、そして『アイドリッシュセブン』のひとりのファンの目線から語っていきたいと思います。

 劇場に足を運んだことがあって「ライブ楽しかったな~」と思い出に浸りたい、もしくは「アイドルたちをもっと好きになりたい!」と感じている方の一助になれればという想いでこちらの記事を書いています。MCに関してはなるべく触れない方針ですが、セットリストやライブの内容については大いにネタバレをしているので、こちらご容赦いただけますと幸いです。また、筆者の私的な感想も多分に含まれることをご容赦ください。

 念のためにもう一度。

今回の記事は<DAY 1>に関する重大なネタバレがございます。どうかご留意ください。

 それでは、さっそく流れを追っていきましょう!

■開幕前

 ライブならではの感覚といえば、外せないのが開幕前の照明が落ちた会場での“開幕を待ちながらドキドキする高揚感”。未だに難しい部分はありますが、想いをためにためて歓声を上げてアイドルたちを迎え入れるというのもライブならではの醍醐味ですよね。今回は、我々のそういった想いを会場を彩る美しいペンライトの光が代弁してくれるわけで……なんともありがたい限りです。

 そして、スクリーンに映し出されたのは悠久の大自然を感じさせる映像。若葉が芽吹いて大樹となり、地平線まで空間を覆い尽くすような一面の銀河を背に青々と豊かに葉を茂らせる……。ものすごく壮大なビジュアルですが、今回のこのステージに立つ16人のアイドルはそんな美しい光景にも負けていません。スクリーンに映し出された彼らの顔を見ていると、この日も最高のパフォーマンスで星々にも負けないような輝きを放ってくれる──そんな確信が不思議と心に生じるもの。

 となれば、あとは心のままにライブを楽しむだけ! それだけでいいのだと筆者は考えています。もちろん、この日も楽しむ準備はいつでもOK。

■M01. MONSTER GENERATiON/IDOLiSH7

 IDOLiSH7のファンにとっては魂に刻まれているであろう楽曲「MONSTER GENERATiON」。アプリでひたすらこの曲のライブを演奏し続け、いつしか“モンジェネおじさん”を自称するようになった筆者ももちろん、そのひとりです。イントロを聞いた瞬間、当然のように膝から崩れ落ちました。……いや今回のライブの1曲目にふさわしいナンバーということで覚悟もしていたんですけど、それを上回るパワーで披露されたものだから、筆者は“エモさの潮流”にただただ呑まれるしかありませんでした。

 今回のステージで目を引いたのは、IDOLiSH7がこれまでステージで見せたことがなかった“ダンサー”を交えての演出。もともと7人メンバーがいるからこそ、7人だけで広い世界を表現できるのが彼らの持ち味ではありますが、今回のようにダンサーが加わることでその世界観にさらなる奥行きが生まれた気がします。傘を小道具として用いているのも素晴らしい。小さい頃、傘を振り回して親に怒られまくった身(※危ないので絶対にダメ)としては、彼らのステージに不思議な親近感を持つとともにその美しい所作に見惚れてしまいました。ステージ上の舞台装置として使うことでこんなにも優雅なパフォーマンスに繋がるものなんですね……。

 衣装もスタイリッシュかつスマートで遠目から見る7人の姿はまるで騎士のよう。とくに一織と三月はシルエットが優美で、ペリース(肩のマント)がふたりで左右対称になっているというあたりも心の奥底をくすぐられる感じがします。いや、本当にカッコいいんですよ……!

 あと個人的には大和の傘を使ったダイナミックなパフォーマンスと、長身で傘をステッキのように使いこなすナギの優雅な所作、“Diving to dream!”の前にハイジャンプをしてからピョンと小さく飛び跳ねる環が推しポイントです。ぜひみなさんもご注目ください。

■M02. RESTART POiNTER/IDOLiSH7

 直前のMCで陸が語っていたように、IDOLiSH7にとっては転換点、そして飛躍のきっかけにもなったのが「RESTART POiNTER」です。歌い始めた陸を優しくじっと見つめる一織、歌い出しが終わってから陸のお尻をポンと叩いて檄を飛ばし、それに陸が楽しそうに応える姿があまりにも最高でした。あの瞬間、おそらく筆者はものすごいニヤケ顔になっていたと思うので、暗い劇場での公演でよかったと今さらに思っています……。いや、あんなの誰が見てもニヤニヤしちゃうでしょ!

 壮五の“まだ見えない~”というAメロの歌唱が始まる直前まで、メンバーがみんなではしゃいでいるのも歌い慣れた楽曲だからこそ。安定感のあるメンバーたちのパフォーマンスを横方向から抜いたカメラアングルも楽しくて最高です。サビに入ったときのメンバーたちの周りをぐるりと回りながらナメるカメラワークも伝統芸という“これ!”という感じで素晴らしい。

 間奏で一織と陸がセンターステージに移動、メインステージに残ったほかのメンバーと共にファンサービスをするところもひたすらに最高です。環がハチャメチャに飛び跳ねすぎて、壮五から「環くん、危ないよ!」と心配されているところもMEZZO"の関係性を内包しているようで最高です。

 個人的にはラストのサビの前に花道で見せた一織と陸の動きも注目度高し。ふたりがシンクロした動きで拳を突き出し、そのあと優雅に身を翻してメインステージに戻っていく所作にはついつい見惚れてしまいました。

■M03. ZONE OF OVERLAP/ŹOOĻ

 見事な旅の出発を飾ったIDOLiSH7からバトンを託されたのはŹOOĻ。ステージは真紅のライトに照らされて、瞬く間に強烈な熱を帯びた溶鉱炉へと変化します。大きな階段もセットのひとつとして組み込みつつ、巳波の優美なソロパートと共に降りてくるところで曲のボルテージを高め、降りきったところで強烈なダンスパフォーマンスで昇華させる……この流れも見事でした。4人の並びも最適解というか、中央の悠とトウマが曲の要所を歌い、サイドに位置する巳波と虎於が大きな動きのパフォーマンスでそれを支えるという構図も機能的に美しいんですよね。ŹOOĻ黎明期の己の個性を押し出したパフォーマンスからは一転、この日のステージは4人の息もピッタリで調和を感じるほど。

 “どんな傷でも必要だって思えるように”というトウマのソロパートと共に、階段の上からマグマ状のフィールドが流れ落ちて広がり、ファイアーボールが噴出するという熱い演出もたまりません。必然的に真下からライトアップされる形となった4人のビジュアルがまたクールで、キレキレのダンスの圧に心が嬉しい悲鳴を上げていきます! 最後の“HERE WE GO!”で大きな火柱が立ち上った瞬間、きっと多くの観客がそのパワーに呑まれたはず。最高の演出も相まって、おじさんも身体が溶解するかと思いました……。

 オススメしたいポイントは、遠目からでも細部の意匠までこだわって作られているアジア風の衣裳。あしらわれている花も美しいし、巳波と虎於の長い袖丈も艶やかなのに決してあざとくなく、きれいなシルエットとして成立しているのが素晴らしいなと。

■M04. Bang!Bang!Bang!/ŹOOĻ

 続く楽曲は「Bang!Bang!Bang!」。<DAY 1>前半戦のŹOOĻは破壊力のあるナンバーを揃えてきました。

 まばゆい光線が飛び交うステージの上で、ŹOOĻならではのフィジカルを押し出したパフォーマンスを披露していきます。楽曲の緩急も気持ちよく、各自のソロパートを優美に繋ぎ、サビで一気に爆発&加速するような変幻自在のパフォーマンスで観客の視線を釘づけにしていきます。

 歌唱のメリハリもしっかりと聞いており、1番での悠の“凝り固まったルールを~”からサビに向けて高めていくような歌声は唯一無二。ここ以外でも、要所要所では悠の気持ちのこもった歌唱が散りばめられており、彼の歌声は聴く者の魂に突き刺さるようなパワーを秘めているのだと再確認させられました。そして、トウマのラップもさすがというか……。楽曲をクライマックスに持っていくまでの重要な転換で、あの心地よいフロウを用意していることで観客のボルテージも自然と高まっていった印象です。

 ソロパートを歌い上げてシームレスにブレイクダンスへと繋ぐ虎於、そんな虎於を飛び越えてソロパートを歌い上げてからハイキックを繰り出すトウマ……と、まるでアクション映画の1シーンを眺めているかのような動きは手に汗を握ります。これぞまさにŹOOĻの真骨頂。演出としては奇をてらったものではありませんでしたが、だからこそŹOOĻ本来の高いパフォーマンス能力がいかんなく発揮されていたように感じます。

■M05. DAYBREAK INTERLUDE/TRIGGER

 そして、ŹOOĻのあとに登場したのはTRIGGER(これだけでもなんだかグッと来るんですけど)。「DAYBREAK INTERLUDE」のイントロが流れ、“We are TRIGGER!”というウィスパーが流れると会場には黄色い歓声が響き渡ります。いや、登場からして格好いいのだから無理もありません……。

 あの小室哲哉氏の作曲ということでも注目を集め、今やTRIGGERには欠かせないナンバーとなった「DAYBREAK INTERLUDE」。Aメロが始まってからは3人が歌い継いでいく形になるんですが、楽や龍之介の艶やかな所作がこれまたたまらないんですよ! 遠くからでも匂い立つような色気と、キレキレの動きに宿ったクールなイメージが同居しているから男性の目線から見てもたまらない。カメラもしっかりとアップでひとりずつ抜いてくれているのでお礼を言いたくなります。本当にありがとうございます!

 “WOW WOW”と熱狂を煽りながらも決して乱れることなく、筋の通った美しさを持ったTRIGGER。楽曲の中に“目指す”というフレーズが登場するたびに、真っ直ぐ前を指差す姿もまた印象的です。サビで爆発していたのも“まさにこれが見たかった”という冷熱あわせもったこの3人ならではの美しさ。何度見ても興奮冷めやらぬステージですね。

■M06. Last Dimension/TRIGGER

 オーロラを想起させるような薄手の幕が下がるステージに、絶え間なく降り注ぐ雪。融雪の水が滴り落ちるかのような階段の上には、コンテンポラリーダンサーまで登場して優美な景色が形作られていきます。そんな中でTRIGGERが歌ったのは「Last Dimension」。こちらはイメージに合わせたSymphonic Editionとなっていました。

 前曲に比べると振りつけは緩やかで優美ですが、だからこそ、3人の表情やその歌声の美しさが際立つというか。3人の衣裳がどこか厚手でウィンター感があったのもこの舞台を映えさせるためだと思うと納得のいくものがあります。また、ライティングが変化したことで胸元や首元、そして背中にもあしらわれたジュエルの輝きが鮮やかに目立っているのも素晴らしい。

 なお、劇場からだと客席のペンライトもしっかり目に入る角度だったので、それも含めてひとつの“美しい光景”として成立していたイメージがあります。とくに花道を通ってセンターステージへと移動している最中の、3人の物憂げな表情が今でも強く印象に残っているというか。最後に手を左胸に当てて、彼らがキレイにお辞儀をする姿まで含めてが息を呑むような美しさで、筆者はまるで大聖堂に飾られている宗教画を見たかのような感覚にとらわれました。TRIGGERはアイドルであり、芸術……でもあるのかもしれません。

■M07. NO DOUBT/Re:vale

 前半戦の殿を務めたのはRe:vale。TRIGGERに呼びこまれて登場したふたりは、中世ヨーロッパ風の建造物をバックに「NO DOUBT」を披露します。窓から差し込む光を模した複数の丸いスポットライトを背に受けながらパフォーマンスを展開。

 ドラマチックな楽曲構成に合わせて、百と千は互いにポジションをスイッチしながら、主にソロパートを通じてひとつの楽曲の世界観を形作っていきます。憂いを帯びた表情で訴えかけたり、お互いに手を差し伸べたり、もはや歌劇の演出といった方がしっくり来るかもしれません。そして、ふたりの歌声がサビで合わさった瞬間に、彼らのダンスは一気に激しく加速していきます。

 中性的な動きでゾクゾクとさせてくれる百と、長身痩躯から繰り出されるキレのある千のコンビネーションもバツグン。このあたりはさすが絶対王者といったところでしょうか。最後に背中合わせで向き直るところなんて、もうカッコいい以外に言葉が見つかりません……。

 曲中ではふたりが頭を振るような動きも多いため、髪が光の粒子をまとってなびく場面も多く、これがまた美しい! 筆者個人的にはぜひ注目してほしいポイントです。

■M08. Re-raise/Re:vale

 夫婦漫才全開のMCのあと、ジャジーな旋律が会場に響き渡るとステージは豪奢なホールへと早変わり。サングラスをかけたダンサーや、ハットとスーツでオシャレにキメたホーン隊も登場して、「Re-raise」の大人な雰囲気を演出します。曲調はシックでムーディーなのに振りつけがスタイリッシュかつエネルギッシュなのもこの曲の持ち味。間奏でステージが暗転した瞬間に、ふたりがハイタッチをかわすところもなんだか微笑ましくなってしまいます。

 楽曲のクライマックスには、もはやRe:valeの定番アイテムともなった(?)アンティークソファが“セリ”に乗ってステージに登場。楽曲のフィナーレで艶めかしくポーズを決めながら座ると会場には黄色い歓声が響き渡りました。この大人な感じは、さすがにこのふたりならではですよね……。

 余談ですが、筆者が経営するフォトスタジオには、まさにこのステージで登場したものに近いサイズ&デザインのアンティークソファがあるので、あのポーズを自分でも再現できないのかと試してみたのですが、だいぶ残念なことになりました……。激しい振りつけを踊ったあとにあそこまで綺麗に座ってみせるのは、アイドルとしてのしっかりとした体幹があってこそなんだなと。

 うちのスタジオのソファはサイズ感的には近いもののかなりの重量。この規模のアイテムを舞台装置に組み込んでいると思うと、改めてライブのスケールの大きさを感じてしまいます。

 そして、ラストのMCで百が立ち上がっても、マイペースにイスに座り続けていた千の姿にはなんだかちょっと笑ってしまいました。

 ──ということで、以上が前半戦のレポートとなります。いやぁ、なんだかメチャメチャ長くなってしまいましたね……。それぐらい紹介したいポイントがいっぱいあったということなのですが。

 後半戦は別の記事にまとめたいと思いますので、よろしければ引き続きご覧ください。

 それではまたお会いしましょう。

『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』作品概要

【公開日】
2023年5月20日(土)<DAY 1>
2023年5月21日(日)<DAY 2>
2023年5月22日(月)~<DAY 1>&<DAY 2>
※5月22日以降は<DAY 1>公演・<DAY 2>公演、お好きな方を選んでご覧頂けます。
各公演の上映スケジュールについては、後日各上映劇場サイト等にてご確認ください。

【メインスタッフ】
原作:バンダイナムコオンライン・都志見文太
監督:錦織 博・山本健介
脚本:都志見文太
キャラクター原案:種村有菜
CGチーフディレクター:井野元英二
キャラクターデザイン:宮崎 瞳
美術ボード:大久保錦一
色彩設計:三笠 修
総撮影監督・ルック開発:若林 優
編集:瀧川三智・須藤 瞳・仙土真希・山岸歩奈実
編集スーパーバイザー:西山 茂
音楽制作:ランティス
音響監督:濱野高年
制作:オレンジ
製作:劇場版アイナナ製作委員会
配給:バンダイナムコフィルムワークス・バンダイナムコオンライン・東映

【メインキャスト】
<IDOLiSH7>
七瀬 陸:小野賢章
和泉一織:増田俊樹
二階堂大和:白井悠介
和泉三月:代永 翼
四葉 環:KENN
逢坂壮五:阿部 敦
六弥ナギ:江口拓也
<TRIGGER>
八乙女 楽:羽多野 渉
九条 天:斉藤壮馬
十 龍之介:佐藤拓也
<Re:vale>
百:保志総一朗
千:立花慎之介
<ŹOOĻ>
亥清 悠:広瀬裕也
狗丸トウマ:木村 昴
棗 巳波:西山宏太朗
御堂虎於:近藤 隆


©BNOI/劇場版アイナナ製作委員会

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