『機動戦士ガンダム 水星の魔女』18話感想&考察。ついに“ゆりかご”からスレッタが…でも『祝福』の歌詞に希望を見たくなる

てけおん
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 5月21日に放送&配信されたアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第18話(Season2 第6話)“空っぽな私たち”の感想や考察をお届けします。

【16話でプロスペラが地球寮に来たことについてなどの考察を追記しました】

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』18話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

プロスペラの“人間臭さ”が強く出ていたエピソード

 プロスペラ……。最後のシーンのあの顔とセリフがこの回の印象をかっさらっていってしまいました。「ああ、プロスペラもまた人間だったんだな」と。しっかりと自分の中で優先順位を付けているけれど、決して冷徹ではない。だからこそ仮面を被る必要があったんでしょう。

 エリーとの会話で目元を出したのは、もちろん本音であるという演出ですよね。そこでプロスペラはスレッタのことを見て、気遣うような言葉を口にしていました。

 元々スレッタに対してある程度の情は持っていたのでしょうが、優先度の高いエリーのこと――スコアエイトに到達すること――ができた今だからこそスレッタに対しても彼女なりの気持ちを向けることができたのかもなと。

 これまでの話の展開を見ていて思うところですが、もしもエアリアルのパーメットスコアがエイトに到達する前の状態であったとしたら、プロスペラはスレッタを道具として利用し続けることをためらわなかったでしょう。このへんは筆者の見立てなので、外れていることは大いにあるとは思います。

 でも人の感情なんてゼロイチで語れるものでもなし。娘の似姿とは言え、17歳まで育てて(そばにいなかった時間は多かったろうにせよ)いれば、情がわいても不思議ではありません。

 それがいいことなのか悪いことなのか……。筆者は決して悪いことだとは思いませんし、人間って結構“余裕があるからこそ生まれる感情”ってありません? それはダブスタとか矛盾とかではなく、単に“人間あるある”のひとつだと感じました。

 仮面の奥に隠していたのと、本心を悟らせないような余裕ある態度(虚勢と言ってもいいかもしれません)で他人には見せずに済ませていたけれど、本当の本当には冷徹になり切れなかったプロスペラの姿に、何か人間味のようなものを感じてしまいました。

 真にスレッタのことをパーツとしてしか見ていない冷徹な人間だったら、さっさと処分してしまう手だってあったでしょうし、小説『ゆりかごの星』でエアリアルに向けて語っている“目的”をはたすための手ごまとして使うことだってできたでしょう。まあどちらもエアリアルに大反対されそうですが。

 もちろん、スレッタに対しては洗脳じみたことをやってきているわけで、決してプロスペラが“いい人”だ……みたいな話ではありません。

ぐゎんだむぅ~!?

 第2話でのヴィムとプロスペラのやり取りがここにつながってくるとは……。というわけで新たなガンダム、シュバルゼッテが組み立て途中の姿で登場しました。プロスペラの誘導もあって、“株式会社ガンダムの理念を生かした機体”になりそうな気がしますが、作中でどういった形で運用されるのでしょうか? また誰が乗るのでしょうか?

 筆者はミオリネが操縦するか、スレッタとミオリネの複座式みたいな想像をしてしまいましたが、どうなるでしょうね? それにしても「ぐゎんだむぅ~!?」と叫ぶミオリネの驚きっぷりがおもしろいシーンでしたね。

 ……とおもしろがっていたら、今度は「ぐゎんだむぅ~!?」と視聴者が驚くはめに。正確には“エアリアルをサポートするMS型GUNDビット”ということですが。こちらはこちらで早く劇中で動く姿を見てみたい!!

プロスペラはシャディクの企みに勘づいた?

 今回、プロスペラとシャディクの会話シーンがありましたが、どちらも狸……ではありましたが、“ガンダム”をキーワードにグラスレー、そしてシャディクの不自然さを突いたプロスペラが1枚上手のように感じました。

 シャディクはシャディクで、会話の最中に入室してきたミオリネとグエルをうまいこと利用して自分に不利な話題を切り上げていたようにも思えました。わざわざ座り位置を変えたりしたのも上手いなと。もしそうだとしても、プロスペラならシャディクの思惑を見抜いていそうな気もしますが。

“僕”という一人称がついに!!

 これまで筆者は『水星の魔女』の感想&考察を出してきた中で、小説『ゆりかごの星』での違和感から「“僕”=エリクトであるとするなら……」というように書いてきました。これは「エアリアルの中にいる存在とエリクト(エリー)って実は別なんじゃ?」という考えがあってのことでした。

 今回アニメの中で初めて“僕”という一人称をエリーが使っていて、ようやく小説の“僕”とエリーをイコールで結んでもいいんじゃないかなと少しだけ思えました。真実はどうであれ、エアリアルの中にある存在は、自身のことをエリーとして認識しているのは間違いなさそうです。これは「君たちは僕の遺伝子から作られた……」という言葉からの推察となります。

 そんなわけでエリーからスレッタの存在がどういうものであるのかが語られます。もう気になる言葉のオンパレード!

 “鍵”
 “データストームでしか生きられないエリーの代わり”
 “エリーの身体、エリーの手足”
 “エリーの拡張意識”
 “君たちは僕の遺伝子から作られたリプリチャイルド”
 “カヴンの子”

 “鍵”というのは、スコアエイトに達するため、ということでしょう。それがなぜリプリチャイルド――スレッタである必要があったのか? というところが気にはなりますが。

 “君たち”というのは、スレッタおよびエリクトと似た姿をした存在たちのこと。“リプリチャイルド”はクローンに似たようなもの……と理解しました。“カヴンの子”はエリクトのリプリチャイルドたちを指す言葉ですね。

 同時にここで気になったのは、“エリクトはなぜ死んだのか?”というもの。病気だったのか事故だったのか、あらかじめわかっていたことだったのか偶発的なことだったのか……。作中でひょっとしたら語られないことかもしれませんが、死因はいったいどういうものだったのでしょう?

 またエリクトが亡くなったと思われるとき、ルブリスのシェルユニットがスコアシックス(?)を思わせる発光を見せていたのも気になりました。

 エリクトが亡くなったタイミングについて考察を追記します。エルノラが、亡くなったと思われるエリクトの頬をいつくしむようになでるシーン。もしもあのタイミングがエリクトが亡くなったまさにその時で、ルブリスのシェルユニットがスコアシックス(?)を思わせる発光をしたのも同時だとしたら、ルブリスのかたわらにはスレッタと思われる赤ん坊がいたことになります。

 であれば、エリクトが亡くなる前から彼女のリプリチャイルドが存在したと言っていいでしょう。そうなると、リプリチャイルドが作られた理由が気になるところです。

 GUNDフォーマットの研究を進めるため、エリクトがデータストーム内で生きることが予見されたので彼女を救うため、はたまた戦力確保のためなど、いくつかパッと思い浮かぶことはありますが、推察していくにはまだまだパーツが足りないですね。

その他気になったこと

●今回温室のシーンでは、スレッタとチュチュにスポットが当たっていました。サブタイトル通り本当にスレッタが空っぽなんであれば、あのシーンにチュチュはいなかったと思うんですよね。冒頭のシーンでもそうですが、スレッタはスレッタでちゃんと地球寮で過ごすうちに仲間を作れていた。そういうことなんだと思います。

●シャディクと話していたエナオから「議会連合に報告しておくわ」というセリフが。シャディクは宇宙議会連合ともつながりを持っているようでした。シャディクのことですし、何らかのメリットがあってつながっているかとは思いますが……。

●18話である意味もっともインパクトがあったのは、懺悔するマルタンの前に突如現れたセセリアではないでしょうか。1980年代にやっていたとあるバラエティをほうふつとさせる登場の仕方で思わず笑っちゃいました。罪悪感にさいなまれたマルタンの夢……みたいなオチを疑ってしまいましたよ。やはり印象に残った方も多かったようで、Twitterのトレンドワードにも●●●●懺悔室が入っていました。

●……とまあ、セセリアのインパクトにすべてを持っていかれてしまいましたが、マルタンの告白がきっかけとなって、地球寮のメンバーが反スペーシアン組織“フォルドの夜明け”とつながっていることがセセリアにバレてしまうかもしれないことって、そんなに軽いことではないと思うんですよね。シャディクにとっての向かい風となる可能性、あると思います。

●ペイル社はまだまだ大きな動きはなし。その中で独自のAIシステムで物事を決めていることなどが明かされました。ミオリネとシャディクの総裁選の勝敗予想のようなものが出ていましたが、これもペイル社のAIシステムではじき出されたものでしょうか?

●スレッタが泣くシーンで締めくくられた18話。宇宙空間でのことではありますが“スレッタの泣き声は誰にも届かない”とも取れるようで……。見ているこちらも本当に悲しい気持ちになってしまいました。

●でもスレッタはエアリアルという“ゆりかご”からようやく今出てきたとも言えるわけで。小説『ゆりかごの星』を見る限り、エアリアルはスレッタに対して悪意を持っていないとは思いますが……もうちょっと言葉を選んでくれてもよかったように思います。お母さん(プロスペラ)も、前回のお嫁さん(ミオリネ)もね!

第16話で、プロスペラが地球寮を訪ねていたことについて追記します。「彼女に限っては、何の目的もなく動くような人物ではないと思っています」と書きました。ウルやソーンとのつながりを確認するためかな? というセンもありますが、この時の印象で「スレッタをこの学園に残しても大丈夫じゃないかしら」と思ったのかもしれませんね。

●もう1個追記。第8話で株式会社ガンダムのPVを見たプロスペラは笑っていました。当時の感想では「どうしてもいい意味には取れない……のですが、まだ真意はわかりません」という書き方をしていました。てっきり「何もわかってないわね」というたぐいのものかなと思っていたわけです。でも第18話を見た後だと、ただ単にガッチガチに緊張しているスレッタの様子を見て笑ってしまっただけかも? とも思えるようになりました。

●ちょっとこの先の展開予想というか、もしも明るい未来があるとしたら。筆者はやっぱり本作のOPテーマである『祝福』や『slash』の歌詞に希望を見てしまう(見たくなってしまう)んですよね。

 スレッタからすると、母親にもエアリアルにも見捨てられてしまったように終わってしまった18話。スレッタにとっては本当につらい展開が続いていますね……。次回19話“一番じゃないやり方”はどういった展開になるのでしょうか? スレッタには心から笑顔を浮かべる日が来てほしいところです。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2

【スタッフ】※敬称略
企画・制作:サンライズ
監督:小林寛
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
原作:矢立肇/富野由悠季
キャラクターデザイン原案:モグモ
メインキャラクターデザイン:田頭真理恵
キャラクターデザイン:戸井田珠里/高谷浩利
メカニカルデザイン:JNTHED/海老川兼武/稲田航/形部一平/寺岡賢司/柳瀬敬之
チーフメカアニメーター:久壽米木信弥/鈴木勘太/前田清明
副監督:安藤良/綿田慎也
テクニカルディレクター:宮原洋平
設定考証:白土晴一
SF考証:高島雄哉
メカニカルコーディネーター:関西リョウジ
設定協力:HISADAKE
プロップデザイン:絵を描くPETER/えすてぃお
美術デザイン:岡田有章/森岡賢一/金平和茂/玉盛順一朗/上津康義
コンセプトアート:林絢?
美術監督:佐藤歩
色彩設計:菊地和子
音響監督:明田川仁
撮影監督:小寺翔太
3DCGディレクター:宮風慎一
モニターグラフィックス:関香織
編集:重村建吾
音楽:大間々昂
製作:バンダイナムコフィルムワークス/創通/MBS

【出演声優】※敬称略
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那
ミオリネ・レンブラン:Lynn
グエル・ジェターク:阿座上洋平
エラン・ケレス:花江夏樹
シャディク・ゼネリ:古川 慎
ニカ・ナナウラ:宮本侑芽
チュアチュリー・パンランチ:富田美憂
デリング・レンブラン:内田直哉

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