『原神』カーヴェの“良さ”が染みたVer.3.6。背景の重さ含めて(色々な意味で)想像以上だった…

江波戸るく
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 HoYoverseのオープンワールドRPG『原神』。早いもので、Ver.3.7へのアップデートが明日となりましたが、アップデートが目前になると、直近のバージョンのことを振り返りたくなります。

 Ver.3.6で一番印象に残ったのはメインとも言えるイベント“盛典と慧業”でした。学院トーナメントのことを思い返すと、同時に「もう伝説任務では……?」と言いたくなる物語を見せてくれたカーヴェのことを色々と思い出します。

※以下の文章には魔神任務、カーヴェのキャラクターストーリー、及びVer.3.6イベント“盛典と慧業”の内容を含みます。

あらゆる面で想像以上のキャラだったカーヴェ。実装されるまで分からなかった背景の重さ、鉛のごとく……

 スメールで、建築デザイナーとして名を馳せるカーヴェ。旅人がこの地で出会った協力者や草神とともに、渦を巻く陰謀を打ち破った魔神任務の終盤、大きな戦いが終わって一旦平穏が訪れた後に出会う(というより、一方的にアルハイゼンとのやり取りを見ているという感じでしたが)人物です。

 以前掲載したアルハイゼンの記事内で触れていますが、スメールを覆おうとしていた危機が去り、彼にとっての日常が少し戻ってきたことの証拠でもあるのでしょうか。

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 とはいえ、カーヴェの名前自体はスメール実装時から街の掲示板などに出ており、「アルハイゼンのルームメイトらしいから、いつかプレイアブルキャラとして登場するのでは?」とも囁かれていました。

 Ver.3.2“虚空の鼓動、熾盛の劫火”へのアップデートが行われる数日前、突如カーヴェの作中カット&声優情報が公開されましたが、「想像を上回る綺麗なお兄さんが出てきた」と感じたのを昨日のように思い出せます。

 酒好きであること、妙論派出身の有名な建築家でありながら何故か多額の借金を背負っていること、あのアルハイゼンのルームメイトである……という情報をもとに脳内がイメージしていたカーヴェ像とは、(良い意味で)異なる雰囲気を帯びていました。

 その後、アルハイゼンの実戦紹介PVや伝説任務でも姿が見られましたが、カーヴェが大きな活躍をしたのは、プレイアブル実装されたVer.3.6のイベント“盛典と慧業”と言っても過言ではないはず。このイベントを経て、カーヴェが好きになった方も多いと思います。

学院トーナメント、キャラクターストーリーを経て語られたもの

●動画:【原神】盛典と慧業ストーリームービー「栄冠」

 スメールで開催された学院トーナメントで優勝し、証である“才識の冠”を手にしたカーヴェですが、その冠にはサーチェンという学者の意識が宿っていました。曰く、かつて世界に絶望したという彼は、教令院に預けた財産(報酬)とともに、世界を正しい方向へと導いてくれる人物が現れるのを待っていたとのことです。

 一生かかっても使いきれない、と言われるほどのサーチェンの財産を引き継ぐこともできましたが、カーヴェはそれを拒みます。才識の冠をその場で壊し、財産は寄付することを選んだ彼の手によって、何人もの学者を苦しめた、冠を取り囲む1つの物語は終わりを迎えました。

 才識の冠を通して、財産を渡すこと、己の考えを語りかけてきたサーチェンの誘いを「苦難を強いられる人々をたくさん見てきたと言ったな?」「あなたの事業で、彼らを助けてやってくれ」と言い切って断る場面が、特に印象に残っています。

 “盛典と慧業”のカーヴェに関しては、彼の内にある優しさと、そこに伴う痛みの断片が伝わるストーリーだったな……と思いました。

  • ▲イベントの最後、サーチェンとカーヴェの父親に関する真相を語る会話イベントも。まさか分岐する仕様だったとは……細かい。旅人が告げるか、アルハイゼンが告げるか――どちらを見た方が多いのか、少々気になるところです。

 実装された後に読めるキャラクターストーリーでは、カーヴェがなぜ行き過ぎた思いやりの心を持つに至ったのかが語られています。詳細は割愛しますが、幼いカーヴェの何気ない言葉がきっかけで父親は学院トーナメントへ参加し、のちに失踪。そう日が経たないうちに、彼が砂漠で事故死したとの報せが入り、母親は心を壊してしまいました。

 あの時自分がトーナメントのことを提案しなければ、父は試合に参加しなかったかもしれない。死なずに済んだかもしれない――カーヴェはその時から罪悪感に囚われ続けており、それがやがて、己の身を顧みない善意へと変わってしまったようです。

 想像以上に背景が重く、それゆえの危うさが拭いきれないですが、この性格やそこから生まれる振る舞いもまた、カーヴェの持つ“良さ”の1つだと思います。胃が痛くなる気配はしますが……。

 イベントの最後あたりで「もう過ぎたことだし、人間は前を向いてなきゃならないんだ」と言っていたのを信じても大丈夫、と捉えたいですね(ただ、この言葉が聞けるのはサーチェンに関する調査のことを隠す選択肢のほうなので、もう片方の場合だとまた印象が変わりそうです)。

使用武器は予想外の両手剣。開花ダメージで回復できるありがたさ

 彼のキャラクターデザインが公開された際、真っ先に感じたのが「持っている鞄は武器じゃなさそうだし、戦っているところが想像つかない。法器か弓ならしっくりくるかな?」ということだったのですが、実装情報で判明した得物はまさかの両手剣でした。

 Ver.3.6のPVでは“メラック”によって攻撃を行っている姿が公開されました。つまり、カーヴェ自身が武器を振ることがほぼなく、モーションがとても個性的です。落下攻撃を行ったあと、衝撃で痺れたのか手をぶらぶらさせているのも細かくて良いですね。

  • ▲カーヴェのオート工具箱こと“メラック”。人の言葉を発することはできませんが、彼を戦いの場でもサポートする存在です。彼がメラックのことを「一番重要なのは、口がきけないこと。グダグダ言って僕を腹立たせることもない」と言った際、少し寂しそうな表情をしていましたが、本当はお話がしたい?

 開花反応を駆使して戦っていると、草原核の破裂に巻き込まれて受けるダメージが地味に痛いことが多いですが、カーヴェは天賦“創造者の役目”のおかげでカバーしやすいのが嬉しいポイントです。

  • ▲命ノ星座第1重では、元素スキル使用後の一定時間、草元素耐性&治癒効果にバフが得られます。

 この“草原核のダメージが命中するとHPが回復する”という天賦からは(考えすぎだとは思うのですが)、どことなく苦難の道を歩んできたカーヴェらしさを感じます。誰と組むのがよいのか、色々と試して活躍させてあげたいですね。

●動画:【原神】キャラクター実戦紹介 カーヴェ(CV:内田雄馬)「篤厚なる天穹の織り手」

 そして、名前がそのままTwitterトレンドに入ってしまうほどの衝撃を旅人に与えた、カーヴェのデートイベント・第一幕“苦しみと幸せの振り子”は明日のアップデート後に追加されます。

 彼の過去、背負っているものを思うと何が語られるのかと若干ヒヤヒヤしますが、“盛典と慧業”のコサックギツネのくだりのような、ほのぼのとした場面があることにも微かに期待をしておきます。

  • ▲このあと、一緒に走っていくところも微笑ましかったです。

江波戸るく:永遠に新米のライター兼編集者。業が深いと判断したキャラクターを“海溝”と定めて沈むことに生きがいを見いだす。


※画像はPS5版のものです。
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