小説『サマナーズウォー』2巻をレビュー。召喚獣・ヴァルキリーのお風呂シーンも!? 1巻の伏線回収が気持ちええ…

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 電撃文庫から6月9日に発売された小説『サマナーズウォー/召喚士大戦2 導かれしもの』(著者:榊一郎、イラスト:toi8、執筆協力:木尾寿久(Elephante Ltd.))のレビューをお届けします。

 本作は、2014年6月から配信されている、ターン制戦略MMO『サマナーズウォー』を原案として、オリジナルの物語を紡ぐノベライズ作品です。前作『サマナーズウォー/召喚士大戦1 喚び出されしもの』の続編です。

 著者は、『ドラゴンズ・ウィル』でデビューし、アニメ化にもされた『アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者』や『棺姫のチャイカ』などを手掛ける、榊一郎さん。

 イラストは、『まおゆう魔王勇者』シリーズや、『ロータス戦記』シリーズ、『チェインクロニクル』のメインキャラクターデザインなどを務めるtoi8さんが担当されています。

 この記事では、『サマナーズウォー/召喚士大戦2 導かれしもの』について、実際に本作を読んだ筆者が注目ポイントをお届け。なお、レビューには若干のネタバレが含まれるので注意ください。

■『サマナーズウォー/召喚士大戦2 導かれしもの』

旅に出た召喚士・ユウゴたち。主人公の父親“オウマ”が語る真実とは

 前作で、銃を持つ傭兵の兄貴分・モーガン、かつて敵として姿を現した妹分・リゼルとともに旅に出た召喚士・ユウゴたち。彼らを待ち受けるのは、世界の敵として認識されている、ユウゴの父親・オウマです。2巻ではオウマとの対決が大きく描かれます。

 旅の道中は、ユウゴとリゼルの模擬戦闘、お風呂を沸かして召喚獣と入るなど、さまざまなことが起こります。もちろん、旅は愉快なものではなく、ユウゴたちにはさまざまな困難が襲い掛かってしまう。ハラハラした展開も、本作の魅力の1つです。

 そして、ユウゴの父親・オウマとの対決も本作で描かれます。オウマが語る真実は、ユウゴを惑わせ、読者すらも心を揺さぶるでしょう……。その中で、「正義とは、悪とは」をモーガンがユウゴたちに教えてくれることや、リゼルが抱えるユウゴへの想いなど、読みどころガッツリでした!

 ユウゴの目的である“オウマ”との邂逅も果たされる2巻は、きちんと1巻の伏線を回収する内容。詳しく話すとネタバレになるのですが、きちんとキレイにまとまっています。1巻を読んだ人はぜひ。1巻を読んでいない人は、1巻からぜひ。

より関係が密になった召喚獣との絆にほっこりする

 本作の特徴である、召喚士と召喚獣。2巻では、ユウゴとユウゴの召喚獣“カミラ”、リゼルとリゼルの召喚獣“バーレイグ”の関係がより親密になります。

 リゼルに至っては、“カミラ”と一緒にお風呂にも入ったりもしますが、ここに至る経緯は大きな見どころのひとつ。……いやもちろんサービスシーン的な意味合いももちろんありますが、今書いたように“ここに至る経緯”こそ大きな意味があるなと思いました。

 なぜかと言うと、この世界における召喚士と召喚獣の関係性は、一般的には絆で結ばれるような間柄ではなく、強い魔術師とそれに使役される強力な存在――くらいのものでしかありません。

 そんな世界で育ちながらも、ユウゴは幼い時から召喚獣と一緒にいたからなのか、はたまた純粋さからなのか、まるで人間と相対するかのように召喚獣と接しています。そしてユウゴの召喚獣“カミラ”も、そんなユウゴの対応に感化されたのか、召喚獣としてだけでなく、時には強い信頼関係で結ばれた相棒のようにユウゴを助けます。

 ユウゴの召喚獣の扱いはリゼルやモーガンにも影響します。そう、彼らもまた召喚獣を大切な存在として認識していくのです。ユウゴの純粋さに、周りも影響されていくのは見どころのひとつですね。他の召喚士では考えられない絆の深さに、思わずほっこりすること間違いなし。召喚獣との関係性が好きな人は、より本作の世界にハマっていくでしょう。

 それが色濃く表れているシーンのひとつが、リゼルとカミラのお風呂シーンなわけです。

ファンタジー好きは満足できる1冊です!

 本作の特徴は、なんといっても召喚士、召喚獣同士のバトルです。1巻同様、ヴァルキリーのカミラを筆頭に、小説でしか味わえない緊迫したバトルシーンが展開していきます。

 1巻では、“1人につき操れる召喚獣は1体”という召喚士のルールを破り、複数の召喚獣を操るキャラクターも登場しました。このあたりの伏線も、第2巻で回収されていきます。

 本来守りに特化した力を持つ“ヴァルキリー”がどのように戦うのか? 敵にして父であるオウマが繰り出す召喚獣に対して、豊かな発想力を武器に立ちまわるユウゴの戦闘は、大きな見どころのひとつです。

 1巻でも登場した謎の少女“カティ”の正体、ユウゴとリゼルの関係、憎むべきき父親オウマを前にしたユウゴが選んだ行動は……?

 原案アプリを知っている人はもちろんのこと、知らなくても楽しめる作りになっているので、王道ファンタジー好きにはぜひ読んでいただきたい作品となっています。

■『サマナーズウォー/召喚士大戦2 導かれしもの』

© Com2uS ・Toei Animation

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