『エルデンリングTRPG』体験会レポート! 圧倒的な原作再現度とボリュームはファン必見で初心者でも楽しめる

Ak
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 世界的人気を誇るアクションRPG『ELDEN RING(エルデンリング)』をテーマにしたテーブルトークRPG『ELDEN RING TRPG』が好評発売中です。

 この記事では、発売に合わせて開催された本作のメディア体験会の模様をレポート。実際にプレイしてみて分かったその魅力を紹介するほか、本作の生みの親である加藤ヒロノリさんへのインタビューも掲載します。

タイトル:ELDEN RING TRPG(エルデンリングティーアールピージー)
著者:加藤ヒロノリ/グループSNE
カバーイラスト:末弥純
判型:A4判 三方背BOX入り(3冊分冊)
ブック①=192P、ブック②=96P、ブック③=336P
レーベル:富士見書房 ゲーム関係単行本
編集部:ゲーム・企画書籍編集部
版元:KADOKAWA
発売日:2023年6月20日予定
定価:5500円+税

3冊を収録した超豪華仕様!

 まずは本商品の仕様をチェック。ルールブック、スキル&シートブック、エネミー&シナリオブックの3冊がボックスに収納された豪華仕様となっています。


 装丁はかなり高級感があり、とくに3冊を収納する箱はしっかりした作り。持つとずっしりと重いです。

 横から見るとかなり分厚い! 分冊になっているので1冊1冊は見やすくなっていますが、3冊合わせるとかなりのボリュームです。

 つぎに3冊それぞれの収録内容について解説していきます。

ルールブック

 基本的なルールが掲載されたルールブック。素性のステータスやダメージの計算式、武器データなど、プレイヤーが必要なデータがひと通り掲載されています。

 『エルデンリング』の世界観も解説されているので、まずこの本を読んで基本部分を確認しておくといいでしょう。

スキル&シートブック

 主にプレイヤーが使用する本。

 素性やスキル(戦技や魔術などが相当)、遺灰のデータが掲載されており、キャラクターシートやマップシートなど、書き込み前提でコピーして使うページも収録。

 コピーしやすいように中綴じになっており、薄くて読みやすいのがうれしいポイント。

エネミー&シナリオブック

 主にゲームマスター(GM)が使用する本。

 エネミーデータやシナリオなど、GMのみが確認できるデータが収録されています。膨大なデータが収録されているので最も分厚いです。

 ネタバレになるのでプレイヤー側は事前に読まないほうがいいですが、単純な読み物としても読み応えがある内容ですね。

実際のゲームの流れとともに本作の魅力を紹介!

 今回の体験会では、なんと本作『ELDEN RING TRPG』のゲームデザイナーである、加藤ヒロノリさん自らがGMを担当してくれるという贅沢なゲーム体験ができました!

 プレイヤーとして参加したのは、自分を含めてメディア&関係者4名。実際のゲームではプレイヤーは2~4人、GMが1人いれば遊ぶことができます。原作でのマルチプレイと同様、基本的には参加人数が増えるほど難易度も下がるとのこと。人数が足りないぶんは、遺灰(NPCのような存在)を使用できるようです。

 用意すべきものは、下記の通り。そこまで必要なものは多くないですが、サイコロが各自6個必要になる点は要注意。

・『ELDEN RING TRPG』(最低1冊。参加者1人ごとに1冊が推奨)
・6面体サイコロ6個以上(参加者1人ごとに)
・消せる筆記用具(鉛筆など)
・BOOK2収録の『ELDEN RING TRPG』シート類のコピー
・トランプ1セット

 ここからは、TPRGって何? という読者にも分かりやすいように、実際のゲームの流れをザックリと追いながら本作の魅力を紹介していきます。

プレイヤーごとに素性や経歴を決める

 まずはプレイヤーごとに素性を決めます。本作では原作に登場した10種類と、本作オリジナルの4種類の合計14種類から素性を選択可能。

  • ▲調香師。

  • ▲斥候。

  • ▲闘奴。

  • ▲導き手。

 オリジナルの素性は調香師、斥候、闘奴、導き手。それぞれ初期から所持している武器が異なり、ユニークな特徴を持ちます。

 原作から登場する素性はスキルなどの面で非常に再現度が高く、基本的に原作同様の活躍を期待できます。ただし初期スキルがあとで変えられなくなっているなど、原作よりも素性の選択が重要になっている印象。

 自分はイラストがカッコよかったのと、二刀流が使いたかったので剣士を選択! 二刀流はガードができないものの攻撃力が高く、敵の強靭を崩しやすい点が強力な戦闘スタイルです。

 その後、プレイヤーキャラクターの経歴やプロフィールを決めていきます。経歴はダイスを振ってルールブックを元に決定。名前や年齢、体型などそのほかのプロフィールは自分で自由に決めていくことになります。この辺り、キャラクターのイメージを思いつけないTRPG初心者の場合は、プレイヤー自身を反映したものがわかりやすそうです。

ホストを中心にマップを探索していく

 続いてはプレイヤーの中からホストPCを決定。原作でいう“鉤指の主”ですね。原作と同様に、ゲーム進行に強い決定権を持ちます。

 本作では、シナリオの進行度に応じたマップシートを探索していきます。基本的にはホストPCがどんな順番でマップを探索するのかを決定しますが、もちろん仲間と相談しながら決めてもOK。

 マス目上に再現されたマップシートを移動しながら、それぞれのマップで発生するイベントに挑んでいきます。

マップでランダム発生するイベントを達成して報酬を獲得!

 今回の体験会ではチュートリアルシナリオ“王を待つ礼拝堂”をプレイできました。

 原作序盤の、漂着墓地に到達するまでのシナリオですね。原作ではかなり短いですが、本作ではここでゲームの基本を覚えやすいように、シナリオやイベントが拡張されています。

 マップではダイスを振り、その目に応じたイベントが発生。イベントによってはバトルが発生しますが、何もおこらずアイテムが入手できる場合も。ダイスは2個振って、片方の目を選択できるので、同じ内容のイベントを避けるなどの選択もできます。マップ内での規定イベント発生回数が終わると、次のマップへ移動可能。

 こうしてマップを探索していくのが、ゲームの基本的な流れです。

戦略的で楽しい戦闘!

 マップ上で戦闘が発生すると、プレイヤーごとにダイスを振って行動を選択していきます。

 行動順はトランプによって決定し、いわゆるターン性バトルのように展開。1ターンごとに基本5個のダイスを振ることが可能で、その5個のダイスを攻撃や防御に割り振って使用します。

 エネミーの攻撃への対処のためにダイスを残しておくか、あるいは防御を捨てて全てのダイスを攻撃のために使うかなど、プレイヤーごとに戦略を練るのが楽しい! ちょうど、このダイスが原作のスタミナのような位置付けですね。

 このあたり、原作の“不用意に攻めすぎるとスタミナを切らしてやられる”という要素がうまく再現されています。

 ダイスは攻撃や防御だけでなく、スキルやアイテムの使用、両手持ちなどの装備の変化にも割り振れます。目が悪いダイスは出目に関係ないスキル使用のために使うなど、状況に応じた判断が重要に!

 さらに敵には強靭値も設定されており、強靭値を減らすことで行動を妨害できます。相手の行動順が遅いときにうまく強靭値を減らして、そのターンの行動をできなくさせたときは最高に気持ちいい!

 チュートリアルシナリオでは原作同様、礼拝堂を進みながら最終的に“接ぎ木の貴公子”と戦うことができました。非常に体力の高い強敵でしたが、4人で連携しながら強靭値を削ることでなんとか撃破! およそ3~4時間ほどでシナリオクリアとなりました。

原作再現度の高さと圧倒的なボリューム感は原作ファン必見!

 本作をプレイしてみて一番印象的だったのは、やっぱり原作再現度の高さ。原作の壮大な世界観や自由度の高い育成要素がうまくTPRGとしてのシステムに落とし込んであり、新たな『エルデンリング』の世界を旅している気分でした。

 今回遊べたのはチュートリアルシナリオだけでしたが、実際にはゲームのエンディングまで全てのマップが収録されています。マルチエンディングで、さらに2周目のプレイにも対応しているとのこと。

 各シナリオのクリア時間はおよそ3~5時間ほどですが、シナリオは外伝含めて22種類が収録。全部遊ぼうとすると120時間以上かかるとのことです。凄まじいボリューム感で『エルデンリング』の世界の広大さが再現されています。

 本作はTRPGとしては比較的ルールが簡略化されているため、TRPG初心者であっても『エルデンリング』のファンであれば確実に楽しめます。とくにGMは選択肢の多くが自動化されているので、敷居が低いです。

 多くのTRPGでは、あらかじめGMやプレイヤーに対して世界観の説明が詳細になされることが多いですが、本作は世界観の説明は必要最低限で始まり、遊びながら狭間の地がどのような場所か判明していくようになっています。そのため完全に原作の『エルデンリング』を知らない人でも、問題なく遊べます。

 ゲームバランスとしては4人では難易度はそこまで高くない印象ですが、あくまでチュートリアルシナリオを遊んでの感触。実際のゲームではマレニアなどの強敵にも挑めるとのことで、原作並の歯ごたえと達成感を味わえそうで楽しみです!

ゲームデザイナー・加藤ヒロノリさんインタビュー

 さらにゲーム終了後は、本作の作者である加藤ヒロノリさんにインタビューを実施。制作の裏話や原作への想いなどを聞くことができました。

加藤ヒロノリ:グループSNE所属のゲームデザイナー。トレーディングカードゲーム『モンスター・コレクション』シリーズなど、数々のアナログゲームに携わる。

――まずは、加藤さんのフロム・ソフトウェア作品のプレイ履歴について教えてください。

加藤ヒロノリ(以下、加藤。敬称略):初めての出会いは『ARMORED CORE(アーマード・コア)』でした。ストーリーモードよりも先に対戦モードにはまってしまい、友達とふたり、延々と戦っていた記憶があります。次にプレイしたのは『Demon's Souls(デモンズソウル)』でしたが、そのときは難易度が高くて途中で心が折れてしまいました。その後、『DARK SOULS(ダークソウル)』シリーズはキャラ枠が埋まって消さなきゃいけなくなったくらいに、すべて何度もクリア済みです。『Bloodborne』(ブラッドボーン)もなんとかクリアまで。ただ『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』は難しくて、鉄砲を撃ってくるボス(蛇の目 シラフジ)あたりでこちらも心が折れてしまいました。私の息子はトロフィーをコンプリートしていましたが(笑)。多分、キャラクタービルドなどの、RPG要素が濃い作品のほうが好きなんだと思います。

――本作の制作期間はどのくらいですか?

加藤:企画自体は一昨年の冬くらいですが、実際に着手し始めたのは去年の4月くらいです。1年以上はかかっていますね。当初は2月発売予定だったのですが、分量が増えたせいで時間がかかってしまって……。

――本作の制作において、フロム・ソフトウェアさんはどのくらい監修されているのでしょうか?

加藤:いくつか修正している箇所もありますが、あくまで原作とは異なるTRPG作品として、基本的には自由に作らせていただきました。

――シナリオはすべて原作準拠なのでしょうか。

加藤:基本的にはゲームと同じシナリオです。ただ、もちろんプレイヤー自身の手でシナリオを作ることは可能で、ルールブックの最後のほうにはオリジナルシナリオの書き方も書いてあります。ただその場合、まずは自作ダンジョン、慣れてきたらレガシーダンジョンというふうに、順を追って作っていくのがオススメです。

――マップを自由に探索できますが、その結果ボスエネミーとの戦闘が簡単になりすぎませんか?

加藤:基本的には難易度は下がりますが、本作には“悪意”というシステムがあり、探索に時間をかけすぎるとエネミーが強化されるなど、GMに有利になっていきます。どこまで時間をかけて探索するか、悪意と戦力のバランスが重要になります。各エピソードの冒頭には“悪意適正レベル”が記されていて、プレイヤーキャラクターのレベルがそれを超えると強力な悪意が発揮されてしまいます。そのレベルに成長するまでにそのエピソードをクリアする、というくらいがいいバランスになりますね。

――エンディングは原作と同じ数がありますか? また分岐の条件はどうなっているのでしょう?

加藤:エンディングはちゃんと原作と同じ数だけ用意されています。原作と同様、特定のフラグを立てると分岐するようにしています。ルールブックには収録されていませんが、特設サイトからイベントフラグ管理チェックシートをダウンロードできるようにする予定です。

――クリア時間はどのくらいかかる想定でしょうか。

加藤:テストプレイでは途中で検証のためにプレイを止めたりしたので、正確な時間ではないですが、1回のセッションが4~5時間ほどでした。ですから全シナリオを通してプレイした場合、100時間は超えると思います。

――リモートでもほかのプレイヤーと遊ぶことはできますか?

加藤:基本的な情報量は多くないので可能です。トランプを配るのも、GMがトランプを見て数値を伝えたり、ツールを使ったりすれば問題ないと思います。

――やろうと思えば、GMを含めてソロでのプレイもできたりするのでしょうか。

加藤:エネミーがGMの意志と関係なく動かせるので、できることはできます。流石にたいへんなので推奨はしませんが。(笑)

――TRPGオリジナルの素性を入れた理由をお聞かせください。

加藤:初期から持っている武器のバランスをとるため、というのが主な理由です。原作では鞭と弓と拳を初期武器とする素性がないので。それらの武器から、新しい素性を発想しました。正確には、原作では侍などが初期武器として弓を持っているんですけど、TRPG版では序盤の選択肢が増えすぎると難しくなるので、刀だけになっていたりします。

――戦技などの要素は、原作からどうアレンジされていますか?

加藤:原作では攻撃系の戦技が多くなるので、本作ではアレンジを加えてバリエーションを出しています。例えば杖の戦技の“回れ回れ”などは、ガード系の戦技になっていますね。“回転斬り”なども、パッシブ能力を加えたりしています。あとは、『SEKIRO』的な要素として、侍の戦技に“弾き”も入れています。

――原作よりも素性の選択が大事になっているように感じました。

加藤:そうですね。素性ごとの初期スキルはあとから変更できないので(生まれ変わりでは可能)、そこで個性が出てきます。原作ではプレイヤーひとりでクリアできる必要がありますが、TRPGでは役割分担が可能なので、各プレイヤーの役割が被らないようにしているわけです。

――本作では『エルデンリング』ファンとTPPGファン、どちらをメインターゲットとしていますか?

加藤:まずは「ゲームとしておもしろいものを作ろう」と考えて、さらに原作ファンも楽しめるよう、再現度の高さを追求しました。あとは、原作ファンがこのゲームからTRPGに初めて触れることを意識して作っています。ぜひ多くの方にプレイしていただきたいです。

(C)Hironori Katou/Group SNE,2023
(C)Bandai Namco Entertainment Inc. / (C)2023 FromSoftware, Inc.

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ELDEN RING(エルデンリング)

  • メーカー: フロム・ソフトウェア
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: ARPG
  • 発売日: 2022年2月25日
  • 希望小売価格: 9,240円(税込)

ELDEN RING(エルデンリング)

  • メーカー: フロム・ソフトウェア
  • 対応機種: PS5
  • ジャンル: ARPG
  • 発売日: 2022年2月25日
  • 希望小売価格: 9,240円(税込)

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