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スクエニ、セガ、コナミのNFTやWeb3に対する今後のビジョンは?【NFTokyo2023】

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 6月22日にNFTカンファレンス“Non Fungible Tokyo 2023”が開催されました。

 本イベントは2018年に日本で初めて開催されたNFTカンファレンス、Tokyo Blockchain Game Conferenceから始まり、今回6回目の開催となります。

 プログラムの1つとして、司会をOasysの松原亮さんが務め、スクウェア・エニックスの畑圭輔さん、セガ/セガサミーホールディングスの堀江悦子さん、コナミデジタルエンタテインメントの金友健さんが登壇し、「日本の大企業がWeb3業界に参入し、どのように課題を解決していくのか?」というセッションが行われました。

日本の大企業がWeb3業界に参入し、どのように課題を解決していくのか?

――セガさんが掲げる“SuperGame”にどのような形でブロックチェーンが関わっていく可能性があるのか。ブロックチェーンのビジョンを教えてください。

セガ堀江さん:私たちは中長期的な成長戦略の主軸として、オンライン型でグローバルな展開をしていくAAA(トリプルエー)クラスのタイトルとして“SuperGame(スーパーゲーム)”というものを掲げて開発を進めています。

 このゲームのなかで将来的にいろいろなタイプのユーザーの方にゲームに関わっていただけるのではないかと思っておりまして、そういった環境を今構築しています。

 今まで通りゲームを遊びに来てくれる人やゲームを見に来てくれる人、アイテムを作ってくれる人、それをコレクションしてくれる人などいろいろなタイプの方々がいて、それを含めて私たちは“ゲーマー”という風に呼んでいくことになるんだろうなという、そういった世界観を想像しております。

 ブロックチェーンという技術に期待しているところでもあるんですけれども、将来的にはメタバースのようなデジタル空間のなかで、アイテムの取引などを通じて、経済活動に近いものが行われていくという風に思っておりまして、そういったことも含めて行えるようになっていくのが“スーパーゲーム”、結果としてメタバースのような空間になったらいいなと思っています。

 それを実現するためには、ブロックチェーンは重要な技術の1つなんだろうなと思って期待をしているというところです。今はそこに向けて、ナレッジを貯めていくということでいろいろな会社さんと日々コミュニケーションを取らせていただいております。

 また、新しい企画も近いうちに発表できるようになるのではないかと思っておりますので、ご期待いただければと思います。

――『資産性ミリオンアーサー』や『SYMBIOGENESIS』などはそれぞれどういった位置づけやビジョンで取り組む予定なのでしょうか?

スクエニ畑さん:『資産性ミリオンアーサー』は2021年10月からローンチしているので、結構早めな段階からチャレンジさせていただいているのですが、もともとのコンセプト自体はマストアダプションを狙いたいというところを主軸において、そこはブレずにきています。

 そこで採用したのが『LINEブロックチェーン』でして、『LINE』自体は日本国内でも使用されている方も年齢層問わず多いというところに、NFTマーケットやチェーン、取引所がついているオールインワンのパッケージ化されたプラットフォームというものがあったので、我々としてはそこにコンテンツをのせてローンチしてみようではないかというところから、割と直感的に選んだ部分があります。

 実際出してみると、最初はデジタル資産に対しての期待値がすごい高いので、最初の販売は瞬殺だったりとかしていたのですが、第4弾、5弾くらい重ねてNFTを販売していくと、当然売り上げなども減ってきていて、ユーザーからも「このシールのユーティリティはなんなんだ」というところも問われることが増えてきたところもありまして、あわせてゲームコンテンツの開発に踏み切ったというのが1つ背景としてあります。

 ゲームコンテンツを作るうえでも、我々、ソーシャルゲームであったりコンソールゲームのノウハウが当然あるわけなのですが、私自身もゲームを日々プレイしているなかで、ゲームをする時間や環境が変わってきているのかなと普段の生活のなかでも感じておりました。

 やはり都会だと電車通勤が多いので、そのなかで最近は動画視聴をされている方が多くて、昔みたいにソーシャルゲームをバンバン電車のなかで暇つぶしにプレイする方も減ってきているのかなと考えたときに、あまり可処分時間をゴリゴリ取りに行くようなゲームを作ってもしょうがないと思ったので、『資産性ミリオンアーサー』でマストアダプションを取りたいというのもありましたし、5分10分ぐらいで遊べるコンテンツを作ってリリースをしたというところが、非常にウケてホルダーの数も着実に増えている状況なので、今後のロードマップとしてもそういったところはブレずにコンテンツをしっかり成長させていくところは変わらずやっていきたいと思います。

 『SYMBIOGENESIS』の方は、よりWeb3系のユーザーに向けて作ったところはあるのですが、1万体のキャラクターとストーリーとそれに紐づくコミュニティを用意したときに、どのような化学反応が起こるのか、壮大な実験を行うようなプロジェクトにはなっています。

 独占と分配という形で、自分が情報を独占するのか人に分配して与えるのかといったところをコンセプトにしてはいるのですが、それが実際コミュニティを通じてどう変化したり、どういうことが起こるのかを試してみたいというところから、やっているプロジェクトになります。

 NFTのキャラクターを買った人しか読めないストーリーというのが付いてくるのですが、それをレプリカとして販売することもできますが、それすらもユーザーに委ねているという形なので、独占する人が増えてしまった場合、そもそもストーリーがちゃんと進行するのかや、謎解きができるのか…。分配しすぎたときに、コンテンツ自体がすぐに消化されてしまうのかなどそういった部分を含めてやってみようという形でチャレンジしています。

――コナミさんといえばIPがリアルと結びついているもの(『桃鉄』やスポーツ系のゲームなど)が多いイメージで、単なるゲームというよりゲームだけではなくてリアルに広がるようなユースケースも考えられると思いますがそのあたりいかがでしょうか。

コナミ金友さん:ゲームでエコシステムを作ろうというのを1つの目的になっているプロジェクトって、メインで多いと思いますが、すごいハードルが高いじゃないですか。ただ、よくよく考えると、Web3でユーザー体験って何があるかというと、継続的に連続性のある体験ができるというところだと思います。

 例えば、デバイスなどの枠組みにとらわれずに乗り越えていけるというところだと思うのですが、そうすると、ゲームという枠組みにとらわれずにほかのサービスと繋がるというのも当然あって、それの軸になるのがNFTなのではないかと思っています。

 NFTに1つの利用価値しかないと誰も決めてはいないので、それであれば1つのNFTがいろいろな利用価値を持っていろいろなところで使えるというのは、リアルの世界とデジタルの世界を繋ぐことができる今までなかったデジタルデータ、それがNFTなのだろうという風に思います。

 そうなると、1つのゲームのなかでエコシステムを作るというよりも、リアルも含めたいろいろなところで一緒にエコシステムを作っていくというのは1つのやり方としてありそうだなという気はしていて、いろいろなユースケースがあるはずなのですけれども、ゲームに限らず、こんなサービスのユースケースをNFTで考えているよという会社さんがたくさんいらっしゃると思うのですが、ぜひお話させていただきたいと思っておりますし、そういう風に繋がっていくことで結局それがユーザーの体験のアップデートにもなっていくと面白そうだなと思っています。

 本セッションでは、上記以外にもNFTやWeb3業界について語られているので、ぜひアーカイブもご覧ください。

※画像は公式Twitterのものです。

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