『Venture to the Vile』体験版レビュー。ゴシックホラー的な陰鬱さ+奥行きを利用したパズル要素が魅力なメトロイドヴァニア【電撃インディー#465】
- 文
- まさん
- 公開日時
- 最終更新
電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、アニプレックスが2024年にPC(Steam)他で配信を予定しているダークファンタジーアクションアドベンチャー『Venture to the Vile(ベンチャー トゥ ザ ヴァイル)』の体験版レビューをお届けします。
本作は、『Bioshock Infinite』や『Grand Theft Auto IV』、『Assassin's Creed Origins』など、AAAタイトルの開発に関わった実績を持つメンバーが、カナダのモントリオールに新しく設立した開発会社“Studio Cut to Bits”のデビュー作です。それまで携わってきたようなオープンワールドゲームではなく、奥行きが存在するメトロイドヴァニア(※サイドビュー型のマップを探索する2Dアクションアドベンチャーのこと)となっています。
なお、この記事で取り上げている体験版は、2023年7月14日~16日の3日間(14日はビジネスデー、15、16日は一般ユーザーも参加可能)にわたって京都市勧業館みやこめっせで開催される“BitSummit Let's Go!!(ビットサミット レッツゴー!!)”のアニプレックスブースでもプレイできます。プレイした人は、“特製3Dステッカー(非売品)”がもらえますよ。
美しくも陰惨で謎に満ちた世界、そして主人公の行く末が気になる!
物語の舞台は、“ヴァイル”と呼ばれる謎のモンスターが存在する世界。動物の仮面をかぶった主人公は、行方不明の親友エラを探して旅をしながらヴァイルに立ち向かい、街の真実を探っていくことになります。
体験版では、おそらくゲーム冒頭と思われる部分とボス戦までを遊べるのですが、とにかく雰囲気が禍々しい! アクションには付きもののダメージを受けるトゲのような植物――言ってみれば、この世界ではありふれたもの――ですら、その形で不気味さをアピールしてきています。体力ゲージのアイコンまで心臓ですよ、心臓。画面を見てもらえばわかりますが、いわゆるカワイイハートマークじゃなくて、カワイクないガチめの心臓のやつです。ストーリー的なものは体験版部分だとほぼ描かれていないのに、こうしたはしばしから陰鬱さが伝わってくるようです。
そもそも、なぜ主人公は仮面を被っているのでしょうか? ヴァイルとは、いったいなんなのか? それすらもわかりません。途中でルートをはずれると、植物のヴァイルらしきものに引っ掛かって困っている女性を救出するイベントがあるのですが、彼女まで仮面を被っています。登場人物たちにとっては当たり前と思われる格好と、私たちが生きる現実における常識とのズレが違和感を生み出し、不気味さをいやがおうにも煽ります。
ちなみに、本作ではヴァイルの力を手にすることでプレイヤーキャラクター自身にも変化が起きるとのこと。体験版でもその片鱗を確認することができます。プレイヤーキャラクターの変化がストーリーとどう絡んでいくのかなども含めて、続きが気になる!
奥行きがある構造に頭を悩ませそうなメトロイドヴァニア
記事タイトルやゲームはいわゆるのメトロイドヴァニア。最近人気のジャンルですが、特徴的なのが“奥行き”ですね。このジャンルのゲームは高低差があるのはもちろん、上下左右に長い複雑な構造をしているものが多いのですが、本作には奥行きが存在。画面の手前と奥に移動できる場所があり、そちらを行ったり来たりしながら探索する構造です。
右へ向かって一直線に進んでも行き止まりだったりするので、奥に移動してギミックを解除したり、手前に移動してから備え付けてあるロープにつかまって一気に抜けたりと、体験版の(たぶん)冒頭部分だけでもさまざまなギミックが仕込まれていました。先へ進むためには、奥側に向かってから一度左に行って手前に戻るなど、奥行きを存分に生かした仕掛けが楽しそう。複雑で迷いそうな予感もありましたが、奥に行ける場所自体は決まっているので、それほど難しく考えなくても大丈夫でしょう。
体験版では、ダブルジャンプと武器を使って攻撃するくらいのシンプルな操作だけで遊べます。ただ、動き自体には少々クセがあるようにも感じられました。とくに、飛んでいる敵や動きが素早いボスには先読みするように動かないと追い付かないときも。また、敵の攻撃に合わせて発動することで攻撃をいなせる“パリィ”もありましたが、これも意外とシビア。勢いよく飛んでくる攻撃に対してパリィを当てるとカウンターできるのですが、失敗するとダメージを受けてしまうのでタイミングが重要です。
体験版のラストでは、バッタのようなボスのヴァイルと対決。縦と横へスピーディに動き、画面外へ飛び出していくヴァイルを捉えるのはなかなか難しいのですが、一定時間動き回ると疲れて止まるので攻撃チャンス! ある程度ダメージを与えると、衝撃波の範囲攻撃や地面にトゲを生やす攻撃を使ってくるので、結構序盤にしてはいやらしいボスですね。とはいえ、自分はこの手のジャンルに慣れているので苦戦しませんでした。アクションが得意な人なら、難易度としては、そこまで難しくないのかもしれません。あくまでも体験版の範囲ですが。
道中にはサブクエストも存在しており、先ほども書いたように正規ルートをはずれると女性を救出するイベントを発見できました。彼らのクエストをこなすことで、世界観への理解が深まるらしく、そうした面でも探索を楽しむ要素が用意されています。もちろん、無視しても先に進めるのですが、謎が多い世界だけになるべくこなして秘密を暴きたいところ。主人公自身の変化と合わせて、先が気になるゲームですね。
なお、今回遊べたバージョンは本編の発売が2024年予定ということもあり、あくまでも開発途中の体験版という印象。まだまだ謎が多いゲームですが、開発チームの実績からも期待できそうな本作。Bitsummitへ行くかたは、ぜひプレイしてみてください!
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります