『機動戦士ガンダム 水星の魔女』最終回(24話)感想&考察。愛にあふれた最高の最終回でした

てけおん
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 7月2日に放送&配信されたアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第24話(Season2 第12話)“最終回”の感想や考察をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』24話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

“目一杯の祝福”と愛にあふれた物語

 最終回のサブタイトルは“目一杯の祝福を君に”でしたが、まさしくその通りのエピソードでした。実に見ごたえがありました。

 母の命令におそらく初めて明確に逆らったスレッタ。その理由は母への愛に根差したもので、スレッタらしいなと思ったのですが……その直後、4号が出てきて本当にびっくりしました。

 4号が出てきて「また困ってる?」と言った時、ああ、と思わず声が漏れてしまいました。ここで出てきてくれるのか。スレッタに力を貸してくれるのか、と。BGMもSeason1の2話でスレッタと4号が初めて出会った時と同じものでしたね。

 筆者はどこかで4号は生きていてくれないものかと思っていましたが、その考えは甘かったなと思いつつ、こうしてスレッタと4号が再会し、言葉を交わし、わだかまりをなくし、力を合わせるところを見られたのは、本当に、本当に嬉しかったです。

スレッタとエリィだから起こったあの現象

 やっぱり気になってしまうのは、クワイエット・ゼロやガンダム各機が粒子レベルに分解されてしまうという部分でした。正解かどうかはわかりませんが、ここでは筆者は「こうではないか?」と考えたことを記載しておきます。

 改めてパーメットとは何なのか? 公式サイトの記載を見ると下記のような説明になっています。

 太陽系内に偏在する鉱物から発見された元素。個々のパーメット間で情報を共有する性質があり、パーメットを素材や推進剤などに混合させ制御することで様々な技術が開発される。パーメットを人体に流入させる身体機能拡張技術は宇宙に進出する基盤と考えられている。(公式サイトより)

 筆者は劇中の描写から、パーメットスコアがアップしていくことによって、できることが増えていく……という風にざっくり理解していました。それくらいの理解の上で、と前置きしたうえで、作中で起きたことを見てみましょう。

 24話でシェルユニットが虹色に光った時のパーメットスコアがいくつなのかはわかりませんが、スコアエイトよりもおそらく上なのだろうと推測します。大幅にオーバーライドできる範囲が広まり、それを利用したミオリネが「連合の動機をなくせばいいんでしょう?」と強制的に成立させた通信を介して、宇宙議会連合にグループ解散を伝えます。

 宇宙議会連合はミオリネの宣言を無視して、2度目のレーザー照射で強引に解決しようと図りますが、これを防いだのもオーバーライドによるものでした。

 そしてこのあとクワイエット・ゼロやガンダム各機の粒子レベルへの分解が始まるのですが「宇宙議会連合の動機をなくす」という点において、それが一番だということだったんでしょう。

 プロスペラが「スレッタだけがエリィのスコアを上げられる」と言っていましたが、スレッタとエリィがそろっておらず、エリィのパーメットスコアがエイトのままだったとしたら“粒子レベルへの分解”を含むもろもろの現象は発生しなかったのかもしれません。

 パーメットに関して言うと、24話では亡くなってしまった人物たちを呼び出すことができていました。4号やナディム、カルド・ナボ博士のみならず、ソフィやノレアまで現れていました。エルノラは「スレッタがエアリアルからみんなを呼んだのね?」と言っていましたが、エリィとスレッタがその気になれば(高いパーメットスコア以外になにか条件があってそれを満たすことができれば?)どこの誰でも呼び出せてしまったりはしないだろうか? と思いました。

 「誰でも」というのは、18話でも語られていたように、パーメットの情報を共有するという特性は、この世界のあらゆるシステム管理や制御を担っているくらい普遍的なもの――世界中にあるものだから、という部分からの推測です。

 また興味深い点は、パーメットを介して登場した人物たち――例えばナディムが「あの子たち」と言ったり、博士が「アンタはよくやった」と言ったりしたことです。これって、彼らが亡くなった時の記憶だけでなく、その後起きたことまで把握していたと考えることもできないでしょうか? そう考えると、本当にすごい粒子かつすごい技術というかなんというか。

 そして、パーメットを介した触れ合いの最後には、プロスペラの仮面が砕け――エルノラに戻って我が子を抱きしめることができました。ここでエルノラが「ごめんね。エリィ、スレッタ」と、エリィだけでなくスレッタにも「ごめんね」と言っていたところにジーンと来てしまいました。

 18話の最後でエリィとの会話の中で「そうね。スレッタは自由に生きていいのよね」と言ったように、エルノラにも元々スレッタに対して情はあったわけで、エルノラの中でわだかまりがなくなったのであれば、スレッタにとっていいことなんじゃないかなと思います。

3年後のエピソード。スレッタの夢は……

 シャディク、本当にミオリネのことが好きだったんだなというのが、エピローグのやり取りで伝わってきました。クワイエット・ゼロのことまで背負ったのは、ミオリネのためだったと思うんですよね。そのことを背負ったからと言って、シャディクにとってはプラスどころか罪が一層重くなるだけですし。ミオリネに別れを告げたシャディクの顔、晴れ晴れとしたいい顔でした。

 ペトラが生きててくれてよかったとしみじみ思うと同時に、株式会社ガンダムもGUND医療を行う会社として存続していることがわかりました。作品の最後に、こうしてGUND技術によって救われたキャラを描いてくれたのは、GUNDが少しだけでも呪いから解放されたようでよかったなと感じました。

 もちろん、ミオリネがクイン・ハーバーを訪れた時の住民たちの掲げていたプラカードや、その後のサビーナとの会話からも、ガンダムに対するネガティブなイメージや、世界の情勢、スペーシアンとアーシアンの対立関係は大きく好転したわけではないのでしょうが、それでも子どもたちが学校で勉強する様子など、ちょっとずつでもいい方向に向かっていることもあるよ、という描写があったのもよかったです。

 そうそう、学校と言えばスレッタの夢は「水星に学校を作る」というもので、ミオリネの「こっちのも学校作るの?」というセリフから、その夢は実現できたんだなとわかりました。

 その会話の直前、季節は秋なんでしょうか? 黄金を思わせる草原の中で、子どもたちと遊ぶスレッタ。そしてそんなスレッタの奥には穏やかな表情のエルノラがいて……。ミオリネに気付いて笑顔で手を振るスレッタを見て、本当にいい作品、いい終わり方だなと思いました。

その他気になったこと

●ナディムたちの記憶について考えたところで、ふと――パーメットによって、人はある意味では死という概念を乗り越えてしまう可能性さえあるのかも……? と思ってしまいました。とは言え、それを突き詰めていけばナディムたちがプロスペラを止める必要もなくなってしまいますし、エリィは「これからもスレッタと一緒にいたい。お母さんとも……」と言っています。やはり死とパーメットを介して会うということには大きな差があるってことなんでしょうね。

●5号とノレアが窓越しに見つめあうシーンがありました。2人は何か会話をしたんでしょうかね? あの時ノレアは5号の名前を聞けませんでしたが、もしも伝える時間があっ他のならよかったなって少しだけ思いました。5号が柔和な笑顔だったのに対し、ノレアは微笑みつつもちょっと困ったような眉根を寄せた表情だったあたりでいろいろと想像がふくらみました。

●宇宙空間を漂うスレッタにミオリネが抱き着くシーン。そういえば彼女たちが出会った時も頭突きというか、ヘルメットがぶつかっていたなと思い出しました。

●さっくりとペイル社を見切ったエラン。3年後のシーンでセセリアが付き従っていたところを見ると、ヘッドハンティングをしたのは彼女なのかもしれませんね。グエルを煽るセセリアは心底楽しそうでした。

●ニカを迎えに行った地球寮の面々。ちょっとだけですがマルタン、なんだか貫禄出てきたな……と思いました。

●ミオリネとエリィの会話。なんだかんだ仲よさそうでほっこりしました。

●3年後もノレアが遺した絵の風景を探している5号。おそらく仕事(案外、株式会社ガンダムにいたり?)の合間などに探しているんでしょうが、愚痴りながらもずっと探し続けているあたりに彼の人柄がにじんでいる気がします。

●水星の人たちを喜ばせるために学校を作ったスレッタ。3年後は地球で学校を作ることにしたようですが、理由のひとつとして「お母さんもここが気に入ったみたいだから」と口にしていました。その理由がスレッタらしいものでいいなと思いました。エルノラの服装や、車いすに乗っていることからいろいろと考えることもできますが、ここでは止めておこうと思います。

●スレッタとミオリネ、ちゃんと左手の薬指に指輪をはめていましたね。エリィは自分のことを小姑って言ってましたし。

●何度か見直しているうちに気付きましたが、シャディクの面会後にミオリネの左手が映った時には指輪をしていませんでした。

●3年後には登場しなかったゴドイやケナンジが気になります。オックス・アースがどうなったのかなども。

●『水星の魔女』の最終回の中には、これまでのガンダムシリーズの最終回やラストをオマージュしたのかな? と思える描写がいくつかありました。気になった人は、もう一度見てみるといいかもしれません。

●本編すべてを終わったあとでまた『祝福』のPVを見ると、また格別なものがありました。“目一杯の祝福を君に”はこの曲にある歌詞の一部ですが、その祝福は何のためのものだったのか、その祝福は届いたのか。ミオリネに手を振るスレッタの笑顔にその答えはあると思います。

●2シーズン、全24話。本当に楽しませていただきました。制作に携わった皆様、どうもありがとうございました。そしてお疲れ様でした。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2

【スタッフ】※敬称略
企画・制作:サンライズ
監督:小林寛
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
原作:矢立肇/富野由悠季
キャラクターデザイン原案:モグモ
メインキャラクターデザイン:田頭真理恵
キャラクターデザイン:戸井田珠里/高谷浩利
メカニカルデザイン:JNTHED/海老川兼武/稲田航/形部一平/寺岡賢司/柳瀬敬之
チーフメカアニメーター:久壽米木信弥/鈴木勘太/前田清明
副監督:安藤良/綿田慎也
テクニカルディレクター:宮原洋平
設定考証:白土晴一
SF考証:高島雄哉
メカニカルコーディネーター:関西リョウジ
設定協力:HISADAKE
プロップデザイン:絵を描くPETER/えすてぃお
美術デザイン:岡田有章/森岡賢一/金平和茂/玉盛順一朗/上津康義
コンセプトアート:林絢雯
美術監督:佐藤歩
色彩設計:菊地和子
音響監督:明田川仁
撮影監督:小寺翔太
3DCGディレクター:宮風慎一
モニターグラフィックス:関香織
編集:重村建吾
音楽:大間々昂
製作:バンダイナムコフィルムワークス/創通/MBS

【出演声優】※敬称略
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那
ミオリネ・レンブラン:Lynn
グエル・ジェターク:阿座上洋平
エラン・ケレス:花江夏樹
シャディク・ゼネリ:古川 慎
ニカ・ナナウラ:宮本侑芽
チュアチュリー・パンランチ:富田美憂
デリング・レンブラン:内田直哉

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