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『どうする家康』25話感想。すべての責任を背負おうとする二人に、家康は…悲痛な叫びに涙が止まらない

びえ
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 毎週日曜20時からNHKで放送の大河ドラマ『どうする家康』。第25回“はるかに遠い夢”のレビューをお届けします。

世界を欺く、家族を守るために

 前回は、瀬名がずっと心のうちに秘めていた、平和的に戦を終わらせようとする謀略が、ついに信長に露見してしまったところで終わりました。

 理由はどうあれ、謀反であることは間違いありません。家康は信長へ向かって頭を下げることしかできませんでした。どうするかは自分で決めろと突き放す信長。

 ある意味で、一番残酷な審判が下ったと言えるかもしれません。処分を自分で考え、自分で実行しなければならないのですから。人に言われて渋々やった場合のほうが、まだ自分に対して言い訳ができますからね。

 瀬名と信康をどうするべきか、考えあぐねる家康に、瀬名が先手を打ちます。五徳へ信長宛に手紙を書くよう指示し、その内容として瀬名や信康の悪行を書き連ねるようにと。

 自分が悪役となって、他の人たちを助けようとする瀬名の姿に、上手く言葉も出ませんでした。必死で瀬名を止めようとする五徳の姿に、ますます胸が苦しくなってしまいます。

 こんなにお互いを想いあっている家族が、どうして引き裂かれなければいけないのでしょう。あまりにも辛く、こうした時代を恨まずにはいられません。

 家康は、信長を騙し世の中を欺き、家族を救うことを決心します。心優しい家康ですから、家族を処分することなど最初から頭に無かったことでしょう。

 とはいえ、信長は一筋縄ではいかない相手。上手くいくと良いのですが……。

 瀬名と信康は自害させる、というウソの報告をし、どこか別のところへ逃がそうとする家康。身代わりを用意し、当然のことではありますが、かなり用意周到です。

 名前を変えて、別人として生きていく……これもまた辛い選択ですが、それでも死ぬよりはまだマシと言えるかもしれません。

 信康と五徳の別れの場面は、切ないのに優しくて、つい涙が出ました。岡崎の環境に慣れない様子も見せていた五徳が、「どこに行こうと私は、岡崎殿と呼ばれとうございます」と言う姿に、信康への深い愛情が垣間見えました。

すべての責任を背負おうとする二人に、家康は…

 家康の作戦もむなしく、信康は身代わりを断って自ら処分の場へと向かってしまいます。これはむしろ、信康の高潔さに感動するべき場面でもあるのですが、それでも家康の心中を思うとあまり喜べません。

 なんとしてでも家族を助けたい家康。その気持ちは痛いほどによく分かります。頼むから家康の言う通りにしてくれー! と、心の中で叫ばずにはいられませんでした。

 それでもすべての責任を背負おうとする二人。そういう二人だからこそ好きなのですが、そういうところが嫌いだと、矛盾した思いを抱えてしまいます。なんとしてでも生き残って欲しいのに、と。

 身代わりなんてこの二人が許すはずもないことを、きっと皆がどこかで分かっていたのかもしれません。それでも必死で行動を続ける周囲の人々。

 そして、とうとう信康は自害してしまいます。その瞬間の、親吉のあまりの悲痛な叫びに、思わず画面から目をそらしてしまいました。あまりにも悲しすぎて、直視できませんでした。

 介錯しようとする半蔵に対して、信康に縋り付くようにして守る親吉。どちらの気持ちも分かりすぎて、もう何も言うことができません。楽にしてあげたい、それでも生きて欲しい、どちらも信康を思う気持ちの深さには違いがありませんから。

 あまりの結果に、心労からか倒れてしまう家康。知らせを受けて涙を流す人々の姿……勝頼の元から無言で去っていく千代の姿が、印象的でした。何も言わないからこそ、彼女の言いたいことが分かったような、そんな不思議な気持ちになりました。

 さて、場面は変わって、瀬名と家康の最期の会話です。薄い靄の中に光が差して、とても美しい景色なのに、繰り広げられるやり取りはあまりにも悲しい。

 国なんかよりも家族を守りたいという家康と、大切なもののために命をかけようとする瀬名。どうしてこの二人が、こんなに辛い思いをしなければならないのか……。

 本当の自分は、家康の心のなかにいる、どんな悪名を背負わされようと、気丈に振る舞う瀬名の言葉が胸に響きました。

 二人の思い出のシーンが流れるところでは、もうすでに涙で画面がよく分からない状態に。それでも最期まで見届けなくてはいけません。

 一度は離れた家康が、瀬名のところへ戻ろうとする姿を前にしながら、瀬名は……泣き叫ぶ家康に、なんだか心が限界を迎えてしまって、筆者はしばらく何も手に付きませんでした。

 なんだかもう、これで終わりにしてくれと、すべてを投げ出してしまいたいような気持ちに……家康ともども、立ち直れるかどうか。来週も楽しみに待ちましょう。

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