『どうする家康』25話感想。すべての責任を背負おうとする二人に、家康は…悲痛な叫びに涙が止まらない
- 文
- びえ
- 公開日時
毎週日曜20時からNHKで放送の大河ドラマ『どうする家康』。第25回“はるかに遠い夢”のレビューをお届けします。
【💨まもなく #どうする家康】
— 大河ドラマ「どうする家康」 (@nhk_ieyasu) July 2, 2023
戦乱の世の終わりを夢見て。
どうする、信康。
▼ 前回を2分でおさらい📝https://t.co/05BLC3xsvF#松平信康 #細田佳央太 pic.twitter.com/emm1pjbqZ6
世界を欺く、家族を守るために
前回は、瀬名がずっと心のうちに秘めていた、平和的に戦を終わらせようとする謀略が、ついに信長に露見してしまったところで終わりました。
理由はどうあれ、謀反であることは間違いありません。家康は信長へ向かって頭を下げることしかできませんでした。どうするかは自分で決めろと突き放す信長。
ある意味で、一番残酷な審判が下ったと言えるかもしれません。処分を自分で考え、自分で実行しなければならないのですから。人に言われて渋々やった場合のほうが、まだ自分に対して言い訳ができますからね。
瀬名と信康をどうするべきか、考えあぐねる家康に、瀬名が先手を打ちます。五徳へ信長宛に手紙を書くよう指示し、その内容として瀬名や信康の悪行を書き連ねるようにと。
自分が悪役となって、他の人たちを助けようとする瀬名の姿に、上手く言葉も出ませんでした。必死で瀬名を止めようとする五徳の姿に、ますます胸が苦しくなってしまいます。
こんなにお互いを想いあっている家族が、どうして引き裂かれなければいけないのでしょう。あまりにも辛く、こうした時代を恨まずにはいられません。
家康は、信長を騙し世の中を欺き、家族を救うことを決心します。心優しい家康ですから、家族を処分することなど最初から頭に無かったことでしょう。
とはいえ、信長は一筋縄ではいかない相手。上手くいくと良いのですが……。
瀬名と信康は自害させる、というウソの報告をし、どこか別のところへ逃がそうとする家康。身代わりを用意し、当然のことではありますが、かなり用意周到です。
名前を変えて、別人として生きていく……これもまた辛い選択ですが、それでも死ぬよりはまだマシと言えるかもしれません。
信康と五徳の別れの場面は、切ないのに優しくて、つい涙が出ました。岡崎の環境に慣れない様子も見せていた五徳が、「どこに行こうと私は、岡崎殿と呼ばれとうございます」と言う姿に、信康への深い愛情が垣間見えました。
すべての責任を背負おうとする二人に、家康は…
家康の作戦もむなしく、信康は身代わりを断って自ら処分の場へと向かってしまいます。これはむしろ、信康の高潔さに感動するべき場面でもあるのですが、それでも家康の心中を思うとあまり喜べません。
なんとしてでも家族を助けたい家康。その気持ちは痛いほどによく分かります。頼むから家康の言う通りにしてくれー! と、心の中で叫ばずにはいられませんでした。
それでもすべての責任を背負おうとする二人。そういう二人だからこそ好きなのですが、そういうところが嫌いだと、矛盾した思いを抱えてしまいます。なんとしてでも生き残って欲しいのに、と。
身代わりなんてこの二人が許すはずもないことを、きっと皆がどこかで分かっていたのかもしれません。それでも必死で行動を続ける周囲の人々。
そして、とうとう信康は自害してしまいます。その瞬間の、親吉のあまりの悲痛な叫びに、思わず画面から目をそらしてしまいました。あまりにも悲しすぎて、直視できませんでした。
介錯しようとする半蔵に対して、信康に縋り付くようにして守る親吉。どちらの気持ちも分かりすぎて、もう何も言うことができません。楽にしてあげたい、それでも生きて欲しい、どちらも信康を思う気持ちの深さには違いがありませんから。
あまりの結果に、心労からか倒れてしまう家康。知らせを受けて涙を流す人々の姿……勝頼の元から無言で去っていく千代の姿が、印象的でした。何も言わないからこそ、彼女の言いたいことが分かったような、そんな不思議な気持ちになりました。
さて、場面は変わって、瀬名と家康の最期の会話です。薄い靄の中に光が差して、とても美しい景色なのに、繰り広げられるやり取りはあまりにも悲しい。
国なんかよりも家族を守りたいという家康と、大切なもののために命をかけようとする瀬名。どうしてこの二人が、こんなに辛い思いをしなければならないのか……。
本当の自分は、家康の心のなかにいる、どんな悪名を背負わされようと、気丈に振る舞う瀬名の言葉が胸に響きました。
二人の思い出のシーンが流れるところでは、もうすでに涙で画面がよく分からない状態に。それでも最期まで見届けなくてはいけません。
一度は離れた家康が、瀬名のところへ戻ろうとする姿を前にしながら、瀬名は……泣き叫ぶ家康に、なんだか心が限界を迎えてしまって、筆者はしばらく何も手に付きませんでした。
なんだかもう、これで終わりにしてくれと、すべてを投げ出してしまいたいような気持ちに……家康ともども、立ち直れるかどうか。来週も楽しみに待ちましょう。
Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation). All rights reserved.
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります