サブスク時代こそニッチが光る。『聖剣伝説』の石井浩一氏が作ったドラゴン育成レースゲームが見事に沼ゲー【JET DRAGONレビュー】
- 文
- セスタス原川
- 公開日時
みなさんは“Apple Arcade”をご存じでしょうか?
月額600円を支払うことで、登録されている多くのオリジナルゲームをプレイできるサービスです。ひと言で言えば“ゲームのサブスクライブ”ですね。
月額600円で200種類以上のゲーム遊び放題
音楽や映像、最近では食品までもがサブスクで我々の元に届く時代。もちろんゲームにもその流れは来ており、そのサービスの1つが“Apple Arcade”というわけです。
“Apple Arcade”はスマホ1つで簡単に登録でき、ゲームのラインナップは200タイトル以上。しかも、その中には多くのハイクオリティなゲームがあり、月額600円としては十分すぎるサービス内容となっています。
さらにアプリゲームとは切っても離せない課金も“Apple Arcade”では不要。一度登録してしまえば、コンシューマーゲームを遊ぶ感覚で好きなだけ遊べます。
しかし、そこまでタイトルが多くなれば、逆にどれで遊ぶか迷ってしまう問題もあります。そこで、今回は電撃オンラインからオススメの1作品をピックアップしました。紹介するのは、株式会社グレッゾのドラゴン育成・レーシングゲーム『JET DRAGON』です。
そもそも、株式会社グレッゾとは、以前までスクウェア・エニックスで『ファイナルファンタジー』シリーズや『聖剣伝説』を手掛けてきた石井浩一さんが代表を務める会社。これまで石井さんが培ってきたゲーム制作のノウハウがつぎ込まれた作品と考えて良いでしょう。
ドラゴンとレースに挑む育成シミュレーションゲーム
『JET DRAGON』はドラゴンをレースで競わせる育成シミュレーションゲームです。
舞台となる世界ではドラゴンによるレースが競技として認定されており、プロレーサーなども存在する世界。プレイヤーはプロデビュー直後のレーサーとしてドラゴンと共に生き、飛び、一流の選手を目指していきます。
世界観については、ドラゴンに乗って飛ぶという胸躍るファンタジーな要素に、プロや昇級システム、スポンサーなどリアルテイストな要素が加わっています。ただのファンタジーにとどまらない作り込まれた世界観に引き込まれます。
ゲーム性は、ドラゴンを飛ばす(操作する)レース要素と、レースに備えて準備を行う育成要素が絡み合ったシステム。ただレースをするだけでない、育成シミュレーションの要素がゲームの奥深さを引き立ています。
ゲームの流れは、1週間ごとに時間が経過していき、育成とレースを繰り返していく形。12週目にTOP3以内に入っていれば、シーズン最後に行われるGPレースに出場できます。目標はGPレースの出場とそのレースでの優勝です。
今回は、レース要素と育成要素それぞれを細かく紹介していきます。
ドラゴンとレースの特徴を見極めて1位を目指す
プレイヤーがレースで目指すことは単純明快で、レースで1位を獲得することです。しかし、後先考えずにとにかく勢いよく飛び続けるわけではなく、1位でゴールするためにベストな飛び方を考える必要があります。実際の競馬にあるようなペース配分の概念を考えるとわかりやすいでしょう。
画面の右下に表示されているメーターがスタミナの数値。これを消費して、一時的なブーストをしたり、後述するスキルを発動したりします。メーター上部の小さい数値は現在の速度を示しています。
ただ飛ぶだけでもステータスによって差は生まれますが、このブーストをどのタイミングで使うのかが大きな差に繋がります。
ブーストは一気にスピードアップして、徐々に速度が元に戻っていく仕組み。連打すればもちろんトップスピードを維持できますが、そうすると早い段階でスタミナ切れを起こしてしまいます。
逆に、一度ブーストしてからその勢いを利用して進み、また速度が落ちてきたタイミングでブーストをする、いわゆる人間の平泳ぎのような形で進むと、レース全体を平均して早い速度で走れます。このペース配分がレースの鍵です。
もう1つのスタミナの使い道がスキルのコストとして使う方法です。ドラゴンは育成することで、ジェット加速やブレス攻撃などスキルを使用できるようになります。
ただブーストにスタミナを消費するだけでなく、状況に応じてこのスキルを使って差を付けることも大切。逆に、他のドラゴンたちにスキルを使われて逆転される……という展開もあるので、リードしていても周囲のドラゴンの挙動にも目を光らせなければいけません。
スキルの効果についてはそれぞれ参照されるステータスがあるので、スキルを使ったレースを展開するのであれば、それに応じた前提の育成が求められる……というわけです。
ドラゴンにも元々のタイプとしてスピード特化、スタミナ特化、瞬発力特化といったタイプがあり、素質も異なります。
また、その時々で変わるコースとドラゴンの相性もあります。レースは直線、曲がり、上昇、下降の4つの道なりがあり、天候も変わります。ドラゴンには得意な環境があるので、同じステータスでもレース環境によっては全く違う結果に……ということもあるわけです。
これらの要素を意識しながら1位を目指すことが本作のレース要素の面白さです。
育成はドラゴンのタイプと調子を見て慎重に
続いては育成要素です。ただ育成といっても、本作の育成はRPGのような形ではなく、シミュレーションゲームのステータスアップの積み重ねの形です。
ドラゴンには、スタミナ、スピード、加速、バランスの4つのステータスがあります。
前述のレース説明でした通り、これらは異なるコースの要素に影響してくるステータス。自分のドラゴンがどういう飛び方を目指しているのかに合わせて育成をしていく必要があります。
「それなら全てのステータスを上げればいいじゃん!」と思うかもしれませんが、それができないのが本作の難しいところ。強化のための特訓をするたびにドラゴンには疲労が溜まっていき、溜まりすぎると調子が悪くなりレースで本領が発揮できなくなります。時には、毎週行われるレースを休んでドラゴンの疲れを取ることも大切です。
ドラゴンの育成の場であるタワーシップは施設強化が可能。より多くのドラゴンを保有できたり、育成効率の向上も狙えます。また、人員配置によって施設の性能が変化する要素もあり、施設強化と担当ライダーの指定によってもドラゴンのステータスは影響を受けます。
ドラゴンだけでなくライダーにも育成要素があり、各ドラゴンのステータスを補助する効果を強化できます。こちらもドラゴンと同じく疲労の概念があるので注意が必要です。
リアリティのあるシミュレーション要素が多数
育成をするためには資金が必要になりますが、これをどうやって工面するのかも本作を進める上では重要な要素です。
方法は大きく3つあり、1つはレースの賞金を獲得すること。2つ目はスポンサーを付けて得られる金額を上乗せすること。3つ目は“フェスタ”という祭典で商品を売ることです。
1つ目の賞金はすぐわかると思いますが、2つ目と3つ目が特徴的ですよね。
本作にはスポンサーの概念があり、ドラゴンにグループのロゴマークを付けてレースに参加できます。スポンサーごとに「ロゴを付けて飛べば報酬」「優勝すればボーナス」などサポート体制が異なるので、相性の良いスポンサーを見つけましょう。
3つ目は、定期的に開催される祭典で商品を売って利益を出す方法。この販売時には、自分たちがレースでどれだけ活躍していて注目されているのか、商品1つあたりに利益がどれくらい出るのかといった、本当に商品販売をしているかのような販売予想を立てることになります。
こうしてさまざまな方法で資金を獲得して、育成費用を工面しつつ、施設の機能を向上させたり、サポートしてくれるアイテムを商人から買ったりしましょう。
ただ、施設を大きくしすぎると今度は維持費がより多く掛かってしまいます。このように、ドラゴンと飛ばすレースゲームとは思えないリアリティのあるシミュレーション要素があることには驚きました。実際に走るさまざまな競技レーサーとチームもこういったことを考えているのだと思いますが、本作はそれをドラゴンのレースという架空の世界に現実世界の要素を落とし込んでいるわけです。
12週ごとにシーズンが更新され、その都度報酬が配られ、次のシーズンを戦う組み合わせが再び決定されます。
シーズン後には、前シーズンの結果を踏まえて新たなスポンサーも決定。シーズンが変わっても、リセットボタンを押したことにはならず、プレイヤーが続ける限りドラゴンとのレースは続いていくのです。
1週ごと、シーズンが変わる12週を区切りと見ることもできますが、シーズンが終わってもその結果を踏まえて次シーズンが来るので、プレイヤーのライダーとしての活動に終わりはありません。
まさに本作は、この世界でのドラゴンレースのライダーとしての一生を体験できる作品なのです。シーズンごとに違う展開が待っているので飽きることもなく、遊び甲斐は十分すぎるほど。さらに、全ての行動がその後の展開に繋がるので、ずっと遊び続けたくなる中毒性があります。ザ・沼ゲー!
そのうえ、本作は“レースドラゴン・育成シミュレーション”。主役であるドラゴンは、交配によって作り出すことができます。交配によって高めた能力、子孫代々受け継いだ能力でより速く、より強いドラゴンを作り出し、名だたるレースドラゴンたちの頂点を目指しましょう。
月額でいろいろなゲームを遊べる時代で多くのゲームが平均点以上なんてことも増えてきました。でも、だからこそそのなかで存在感を示すことも必要になってきていると思います。そんななかでのドラゴン育成×レースゲームというニッチで尖ったテーマ……そこがいい!
蓋を開ければ本作はしっかりと戦略性のあるレースと、その準備でリアルなシミュレーションを楽しめる遊びごたえのある作品。本作だけで月額分の楽しみは味わえているとさえ感じます。
そんな濃厚な本作は“Apple Arcade”に登録するだけでプレイできるうえ、他のゲームで遊ぶこともできます。初月は無料体験もできるので、まずはこの『JET DRAGON』をプレイしてみてはいかがでしょうか?
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