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西部劇×吸血鬼なアクション『Evil West』がおもしろい! 考えるな、なぐって撃て!! 爽快&豪快なステゴロバトルで脳汁出まくり【レビュー&感想】

まさん
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 オーイズミ・アミュージオが、2023年7月20日に日本語版をリリースしたPS5/PS4用ソフト『Evil West(イビル ウエスト)』。西部開拓時代を舞台に、血沸き肉躍る近接アクションと多彩な遠距離攻撃でスタイリッシュに戦える本作の魅力と、PS5版をプレイした感想をお届けします。

 本作は『SHADOW WARRIOR』シリーズなどのバイオレンスなものから、黒澤映画の世界で戦うような雰囲気に浸れる時代劇アクション『TREK TO YOMI』など、3Dアクションに定評のあるFlying Wild Hogが手掛けた最新作。吸血鬼ハンター“レンティエ機関”のエージェント、ジェシー・レンティエとなり、血に飢えた怪物・サングスージに立ち向かうスタイリッシュアクションとなっています。

 今回プレイしたものは、UIからストーリーまで完全日本語対応。細かい収集要素のテキストまで、問題なく日本語に翻訳されています。ただし、CEROのレーティングは“Z”指定。血の表現や寄生虫といった人によっては不快感を催す描写や暴力表現もあるので、そうした表現が苦手な方はご注意ください。

  • ▲蜘蛛の表現などは設定で非表示にもできるのですが、基本的な描写自体がバイオレンス。敵自体が生理的嫌悪感のある見た目をしています。

吸血鬼+西部劇な世界観で、縦横無尽に怪物をボコりまくれ!

 このゲームの特徴は、西部劇+スタイリッシュ! 西部劇と言えば銃でバンバン撃ち合うイメージがありますが、メインウェポンは己の拳。でっかいガントレット! しかも、電気を放つという少年漫画みたいなガジェット! これは心躍りますよ。

 なにせ、始めた直後に解禁される要素が近接攻撃ですからね。ゲームを進めれば遠距離武器が解禁されていくのですが、ガンマンが拳でぶんなぐるというインパクトが強くて、まずそこからほれ込みます。西部劇とスタイリッシュアクション、相性良し。電撃をまとうガントレットで吸血鬼や気持ちの悪い怪物をぶんなぐるのは豪快でスカッとしますし、主人公自体の性能も高い。というよりも、スーパーヒーロー的な強すぎるフィジカルです。

 スピーディなヒーロー・パンチで詰め寄り、アッパーカットからのキャノン・ボールパンチで敵を吹き飛ばす。簡単操作でコンボを決められるのが、この手のジャンル。コンボ自体はシンプルでわかりやすいですし、難しいキャンセルなどのテクニックは必要ありません。最終的にはほぼ全部のボタンを使うのですが、それぞれの武器ごとにボタンが割り振られていて、直感的に操作しやすくなっています。

  • ▲荒野の夕日を背景に、巨大な武器で怪物にフィニッシュ。西部劇のようでいて、何か違う近接主体のアクションが絵になる!

 これでもかと設置されているトゲトゲの障害物に向けて敵を当てたり、あからさまに置いてあるTNT爆弾を撃って一網打尽にしたり、フィールドのギミックを使って倒すのも快感! 近接主体で相手をボコボコなぐる爽快感を味わえます。とくに、敵が光ったときに攻撃すると出る“トドメの一撃”は、見ていてスカッとするうえに発動すればするだけオトク。発動中は無敵状態ですし、敵が体力ピックアップ(入手するとその場で体力回復)を落とすので、体力を維持しながら戦えます。

 腕が上達すればするほど、効率よく攻められて回復も出来るのでテンポ良く戦えるようになるんですよ。逆に言えば、体力ピックアップが手に入るように狙わないと辛いことに……。とくに、装備やパーク(スキル)が中途半端な中盤は、なかなか手ごわい戦いを強いられます。

 自分で使用できる体力回復スキルもあります。こちらは連続で使用することはできないものの、クールタイムが回復すれば再使用できるので実質無限に使えることは使えます。ですが、クールタイム自体が長いので本当にピンチな時の切り札。多少強引でも攻めて攻めて攻めまくり、体力ピックアップを拾って回復しながら戦うことが重要です。

 敵の攻撃力が高いので回避やブロックで防がないとアっという間にやられてしまいますが、基本は攻めのゲーム。ブロックに感電効果があるので、防御すればわかりやすく攻撃のターンが回ってきます。とにかく、攻める気持ちよさに特化してますね。その分、序盤から敵の数が多め。しっかり考えて戦わないと道中で敗北(ゲームオーバー)することもよくあります。

 1対1だと負けないぐらい強いのですが、いかんせん多勢に無勢。前のステージのボスが通常の敵として登場し、2体3体と平気で同時に襲ってくる。そんなシチュエーションも盛りだくさん!

  • ▲ウッソでしょ、序盤のボスじゃなかったの!? そんな言葉が漏れるくらい、ボスだと思っていたはずの相手がイヤらしい組み合わせで襲ってきます。

 ボス級が2体も3体も……って、普通に考えたら理不尽な状況かもしれませんが、本作は回復ピックアップを入手できるシチュエーションが多く、主人公の性能が高いのでバランスが取れています。むしろ、たくさん出てきたら回復アイテムに見えてくるかも。敵同士をぶつけることもできるので、攻撃手段としても有効です。ストーリーの進行に応じて、ガードするだけで敵を感電させられるザッパー・ブロックや、ボスですら感電するクリップリング・ロッドなどの便利な武器も手に入ります。わかりやすく強化されていくので、進めれば進めるほどスタイリッシュ!

 敵の弱点を狙撃して回復ピックアップを拾う。トドメの一撃を当てて回復ピックアップを集める。体力を回復できるようにうまく攻撃を当てながら、群がる敵を沈めていく。このサイクルが楽しい作品です。強力な近接コンボと、種類の豊富な遠距離武器を瞬時に使いわけて戦い、多すぎる敵を相手に立ち回っていると脳汁が出そうに……! 状況を瞬時に判断しながらスタイリッシュに戦う楽しさにハマると、本作の魅力が見えてくるでしょう。大型のボス戦よりも、むしろ再生怪人のように通常の敵と混じって襲ってくる中ボスとの再戦にワクワクするゲームかもしれません。

 ちなみに、ちょっと変わっているのが遠距離武器。本作は近接攻撃と比べて、遠距離武器の攻撃力が頼りないです。けん制に近い役目だったり、残弾ではなくクールタイム制だったりして連射もできない物ばかり。そうなのです。このゲームに登場する遠距離武器や回復アイテムは、一部を除いてほとんどが弾数制ではなくクールタイム制。撃ち尽くすと一定時間補充されません。逆に言えば、リボルバーやライフルの弾を撃ち尽くしてもクールタイムが終われば補充されるので、残弾を気にしなくていい利点があります。むしろ、クールタイムがあることを把握してガンガン使っていかないと、中盤以降は苦戦するかもしれません。

  • ▲小さい爆弾を投げてくるなど、敵の遠距離攻撃も地味にやっかい。ライフルなどで狙撃しないと、死角からやられてしまうことも……!

 なお、中ボスや大型のボスには弱点を突けるタイミングがあり、◎で表示された弱点に遠距離攻撃を当てると有利に戦えます。ライフルやクロスボウで弱点を撃つと大ダメージを与えられたり、回復ピックアップを手に入れられたりと、弱点攻撃の恩恵は多大。とくに、大型のボス戦では近距離攻撃で部位を壊すと弱点が露出し、そこを攻撃しないと倒せない場面も。ザッパー・ブロックで感電させたり、アッパーカットで打ち上げたりしながら複数の敵を倒す通常戦闘とは違った、強敵に挑む感覚がたまりません。

  • ▲画面全体を覆う巨大ボスとの戦いは、手に汗握る興奮。攻撃パターンを覚えてひたすら回避しながら、反撃できるチャンスを見極めろ!

 通常のバトルもボス戦もクールタイムが終わり次第、持てる武器はすべて使うくらいのバランス。俗に言う死に武器……使えない武器はないので、全力で戦っている感覚になれるのもクールタイム制ならではですね。

  • ▲武器ごとに用途や効果が異なり、新たな操作が解禁されるので手に入るたびにワクワクしちゃいます。どれも強くて便利なものばかり!

武器のアップグレードとパークの獲得で、自分なりのスタイルに!

 本作には、レベルアップの概念と育成要素もあります。育成できる内容は主に2種類。ドルを消費して手に入った武器を強化する“アップグレード”。レベルアップで入手したポイントを割り振り、新たなスキルを獲得する“パーク”が用意されています。

  • ▲アップグレードをすると、持っている遠距離武器が強化されます。単純に強くなるので、惜しまずアップグレードしていきましょう。

 基本的に、どちらも可能な限りすることをオススメしますが、アップグレードに使うお金は意外とシビア。マップを探索して宝箱を漁り、漏らさずお金をかき集めてもギリギリです。パークは1レベルごとに1つ覚えられますが、習得にはレベル制限があるものも。自分の戦い方にあったものを優先して習得しましょう。どちらもステージの合間に戻れる拠点で振り直しできますし、使ったお金やポイントも戻ってきます。育成に失敗したと思ったら振り直すのもアリ。

  • ▲パークを1つ覚えるだけでも、ガラッと戦い方が変化します。たとえば、画像のプロジェクタイル・ブロックは飛び道具を破壊できるのでかなり強力です。

 そもそも武器がすべて揃うのは終盤なので、その都度手に入ったものや習得可能になったものを優先して覚えるくらいでもOK。ゴリゴリ攻撃できるアクション慣れしている人は、コンボや技の追撃が増えるタイプを優先するのも手。アクションがあまり得意じゃない人は、体力ピックアップを拾える確率が増えるタイプのピークを取ると安定して戦いやすくなるかもしれません。最終的には、自分のスタイルにあったものを覚えていくのが一番です。

いかにもな西部劇な風景から雪景色、気持ち悪い洞窟まで多彩なロケーション

 本作にはコッテコテのマカロニウエスタンなやり取りから、良い意味で西部劇とは思えないシチュエーションまでいろいろな場面があります。とはいえ、本質的にはファンタジーな西部劇です。舞台こそアメリカ西部ですが、砂漠で決闘するようなイメージよりも、ゾンビ物のようなロケーションが多め。そもそも、敵対する相手は吸血鬼(サングスージ)なのですが、出てくる敵が吸血鬼というよりもゾンビホラーです。見た目もグロいし、ヴァイオレンス! 気持ち悪い寄生虫などもいますし、絵面がトンデモないことになっています。CERO Zを生かした暴力表現で血もブシャッ!と出まくり。

  • ▲苦手な人にはゾワッとくるようなステージも。吸血鬼に空飛ぶ昆虫、巨大な怪物が次々に襲ってくるホラー西部劇です。

 敵が気持ち悪いからこそ肉片に変えるのが快感でもあるのですが、サクサクと敵を倒すだけのアクションではありません。先へ進むために物を動かして足場を作ったり、ギミックを解いてスイッチを入れたり、頭を使って仕掛けを解く場面も用意されています。あくまでも息抜き程度で難しくはないですし、火炎放射器で蜘蛛の巣を焼きながら道を作る。トロッコに乗って進みながら仕掛けを作動させるなど、激しい戦いの合間に挟まるちょっとしたアクセントになっていますね。

  • ▲道に迷ったら、周囲に動かせる物はないか。火炎放射器(スコーチャー)で燃やせる物はないか。目を凝らして辺りを観察しましょう。

 物語自体はしっかり翻訳されており、日本語で楽しめるのもうれしいところ。殺しても死ななそうな相棒のエドガー・グレイブノアをはじめ、主人公・レンティエ以外の登場人物もタフでエネルギッシュ。西部劇に出てきそうなひとクセもふたクセもありそうなキャラ造形が魅力的です。どう考えてもアメリカ(人類)がピンチな状況なのに、どいつもこいつも前向き!

  • ▲主人公に黙って吸血鬼で実験した挙句逃げられ、ガントレットを修理できるという恩を着せて始末を頼むヴァージル。ここまで勝手で調子がいい性格だと、逆に憎めない。

 敵側にも人間と意思疎通できる吸血鬼がいますし、フェリシティのようにカワイイ吸血鬼娘だっています。まあ、やってることは残虐なのですが……。人間を笑いながら焼き殺しますからね。そうした怪物たちがうごめき、恐怖心を煽る暗い洞窟や雪景色といったホラーなロケーションも見どころです。

 世界観も良い感じですが、収集できるアーカイブがまたいいんですよ。拠点やステージ中で拾えるアーカイブを読むと、いかにも本当の歴史ですと言わんばかりにイラストや文章で設定が捕捉されていて、ニヤニヤしちゃいます。完全に嘘っぱちなのですが、こういった部分でリアリティを構築する努力が素敵。新しい敵と出会った時に追加されるサングスージの解説も、いい味出してます。


 さっさと進んでも良いのですが、こうしたアーカイブを集めていくことで世界観の理解がより深まります。ステージ内を寄り道するだけではなく、息抜きも兼ねて拠点内を探索するのはオススメですよ。ちょっと探索すれば、簡単に見つかります。

 もちろん、本作の魅力は何といってもバトルに尽きます。ストーリーを気にせず、アクション面だけを期待して遊んでも十分楽しめるでしょう。冒頭でも語ったように、主人公がやたらと強い! 強いうえに、どんどん新しいアクションを覚えてより強くなっていく。1対1なら無敵と言っていいでしょう。

 しかし、そんな主人公でも相手は複数で攻めてくるので油断するとボッコボコ。しかも、前のステージのボスが複数で混じってくるんですよ。進めば進むほど、ボスだと思っていた敵が混じってくる。主人公の強化もインフレしていますが、敵側のインフレも熱い! ついさっきまで戦った相手が群れを成して襲ってくるなんてあり得ない! それをなぐり、撃ち、引きちぎり……ふふふふふ、楽しい! 楽しすぎる!!

 理不尽過ぎるシチュエーションに、培ったテクニックでスタイリッシュに対処する。多彩な遠距離武器と強すぎる近接攻撃でバッタバッタとなぎ倒す。これこそが、本作の醍醐味です。臨機応変にブロックするか回避するかを考えつつ、次々に切り替わる状況に対応するのは手が忙しいけどハマります。

 何も考えずにぶんなぐってスッキリ――しようと思っていると手も足も出ずにやられてしまうかもしれません。スタイリッシュに戦うためには瞬時の判断が必要ですが、電気をまとったガントレットでボッコンボッコンなぐるのは単純に気持ちよくて脳汁が出ます。次々に来る増援をしのぎきった時は、得も言われぬ感慨が……。防御を含めた主人公のスキルがどれも強力で、かなり無茶が効くんですよ。

 感電させながらまとめて引き寄せたり、逆に接近したり、撃ちあげてから一気に追い打ちをかけたり、主人公が覚えていく能力はまさにチート級。それを使いこなせる自分は凄いのでは!? そんな錯覚を抱けるゲームでしょう。

 いざというときは、ゲージを消費して強化された状態になる“スーパーチャージ・モード”という切り札だってありますし、どんな戦い方をしてもコンボのランクやクリア評価が表示されて気持ちが萎える……なんて心配もありません。腕に自信がない。魅せプレイが苦手な人でも勝てばいいのです。とにかく何かをなぐりたい。アクションにはある程度の手ごたえが欲しい。グロい怪物をぶちのめしたい。そんな欲求に思う存分応えてくれますよ!

7月27日の電撃ゲームライブでプレイあり! 脳汁出まくりのプレイは21時から!!

 ゲームの電撃が送るゲーム情報&実況番組“電撃ゲームライブ”。7月27日に配信される“電撃ゲームライブ2023夏SP”では、本作のプレイをお届けします! パーソナリティを務めるのは前田佳織里さん、村上奈津実さん。『Evil West(イビル ウエスト)』のコーナーは21時ごろより開始予定ですので、お見逃しないように!

電撃ゲームライブ #106 2023夏SP第1夜

 

(c)2022 Evil West, a game developed by Flying Wild Hog and published by Focus Entertainment. Evil West, Focus Entertainment, Flying Wild Hog and their respective logos are trademarks or registered trademarks. All other trademarks, registered trademarks or their logos belong to their respective owners. All rights reserved. Licensed to and published in Japan by Oizumi Amuzio Inc.

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