シブサワ・コウ新作は令和の将棋とも呼ぶべき良作。ガチゲー『三国志ヒーローズ』レビュー

まさん
公開日時

 コーエーテクモゲームスがHEROZと共同開発し、スマートフォン向け新作アプリとして配信予定の『三国志ヒーローズ』。本作の開発版をプレイしたライターによるレポートをお届けします。

 『三国志ヒーローズ』は、将棋や囲碁のようなターン制バトルで戦うボードゲームアプリ。三国時代の英傑達による戦場の駆け引きが、コマを動かして取り合う奥深いボードゲームとして再現されています。

 あのシブサワ・コウさんも携わる完全新作ということで、非常に気合が入った、そして新しいゲーム性が盛り込まれた良ゲーです。

 アプリ内にはHEROZ謹製の“HEROZ Kishin”をベースに、本作専用の特別チューンアップを行った戦略戦特化型AI“臥龍(GARYU)”を搭載。

 AIを担当するHEROZは、将棋の電王戦で史上初めてプロ棋士を破り名人にも勝利した“Ponanza(ポナンザ)”や、世界コンピュータ将棋選手権で1位を獲得した“Apery(エイプリー)”などのAI開発者がいることで知られており、入門レベルから上級者まで幅広い層が楽しめる高度なAIを開発しています。

※本記事の情報は開発中のテスト版によるものです。正式サービス時には、仕様・数値などが変更となる場合があります。

頭を悩ませながら戦うのが楽しい! これが令和の将棋!!

 ぎえーーー! また、負けた~!! ああ、すみません、取り乱しました。いや、もう『三国志ヒーローズ』がおもしろくて原稿が進まないんですよ。

 戦いだすと本当に悩みまくるので、同時に時間も奪われちゃって……楽しいけどツライ!

 物凄く頭を使うので知恵熱が出そうになるし、AIに負かされると泣きたくなるのですが、知恵を振り絞って突破するSLGが好きな自分にはたまりません。

 たまらないというか、純粋にボードゲームとしての完成度が高いです。スマホゲーは簡単に遊べる軽いゲームも多くそれはそれで楽しいのですが、こういうコーエーテクモらしい頭を使うゲームも良いものですね。

 頭は使いますが、それはあくまでも戦略的な部分。ルール自体は非常にシンプルです。一歩ずつ正面に動ける歩兵や斜め前に動ける斥候など、将棋を発展させたようなコマ(兵士または武将)を使って、相手の王(リーダーに設定した武将)を奪えば勝ち。

 こちらと相手が1手ずつ交互にコマを動かすなど、将棋をベースに発展させたような戦略型のボードゲームになっています。盤面自体もベースとなるのは5×5マスと狭く(アップデートにより様々な盤面が登場予定)、戦い方しだいで非常に早く決着がつくのも特徴です。

 当然ながら、ある程度実力が左右するゲームにはなっているのですが、コマの向きを変えて対処したり、コマを“覚醒”させて移動範囲を変えたり、リーダー専用の特殊な行動“計略”を使ったりと、状況を覆す逆転の一手となる要素も存在。

 最後の最後まで気が抜けません。自分の編制がどんなに強くても、動かし方が悪ければ勝てないのです。

 カードゲームのように最善の部隊編制をしつつ、実戦でのアドリブも重要になるという対戦型ゲームの魅力がたっぷり詰まっています。

 というわけで、今回はサンプル版を遊んでわかった本作の具体的なシステムや、その魅力を語っていきましょう。

5×5マスの盤面でイカサマなしの真剣勝負!

 本作はAI“臥龍”や全国のプレイヤーと戦うアプリになっており、三国志の武将たちが織り成す物語が楽しめる“ストーリーモード”と、対人戦を行う“ヒーローズマッチ”。期間限定で開催されて、特別な武将が手に入るイベント“最強AIバトル”などのモードが用意されています。

 バトルは主に5×5マスの戦場が舞台(様々な盤面が登場予定)。一定数の兵士や武将のコマが配置された状態で戦闘が始まり、規定ターン以内に相手リーダーを倒すか、相手よりも多く敵兵を撃破したほうが勝利となります。

 攻撃力や体力の概念は存在しません。相手のコマがいる場所に移動して自分のコマをぶつけることで、どんな相手でも一撃で撃破できます。

  • ▲自軍の歩兵が、相手リーダーを正面にとらえた状態。いわゆる王手です。次のターンで相手リーダーがいる位置に移動して攻撃すればこちらの勝利となります。

 基本的には将棋と同じようなルールですが大きく違う点として、コマの向きを4方向に変えられること。

 相手のコマを撃破しても自分のコマにはならないこと。一定ターンが経過すると増援として手持ちにあるコマを戦場に出撃させることが可能になることなどが挙げられます。

 騎将兵のように正面への突破力(3マス以上移動できることも)が強い兵種もいれば、盾将兵のように特定の方向(主に正面)からの攻撃を無効化できる兵種もいます。

 盤面によっては、1手間違えただけでもあっという間に決着が着くこともあり、1手、1手が重要で奥が深いバトルが魅力です。

  • ▲ストーリーモードではじっくり長考できますが、対人戦やイベントなどでは制限時間があり、時間切れになると何もできず相手のターンに。焦りながら最善の手を導き出す感覚がシビれる!

 なお、本作には“士気ゲージ”と呼ばれるゲージが存在しています。このゲージはターンが経過するごとに蓄積し、一定数貯まるとリーダー(王にあたるコマ)が持つ“計略”が使用可能となり、盤面を大きく動かす特殊な効果が発動。

 特定の位置にいる敵を撃破したり、増援を追加で呼び出したりと、使い方しだいで戦局が一気にくつがえることも……!

 また、士気ゲージを消費すると兵士や武将を“覚醒”させることもできます。覚醒すると移動範囲が拡大し、死角となっていた射程が埋まってコマがより強力に! 覚醒は、本作においてとても重要です。

 将棋の“成り”と同じように移動範囲が増えてパワーアップする要素ではあるのですが、移動範囲の強化はかなりの脅威!
(ただし、“成り”と違って覚醒を継続するためには士気ゲージを消費することになり、そこもまた戦術となります)


  • ▲覚醒して移動範囲が広がることで、横や背後などの射程の穴がふさがります。たった1人の覚醒が、戦局を左右する場面も多く油断できません。

 さらに、ターンの中盤になると“ブーストタイム”が発生。増援が出せるようになって士気の増加量も2倍になり、盤面はさらに複雑化していきます。

 もう頭がこんがらがって大混乱! じっくり考えられるとはいえ、起死回生の一手を予想外の方向から潰されて思わず叫びたくなることもあるのですが、この感覚が楽しいのです。

“臥龍指南”によるヒントや“待った!”機能もアリ!

 頭を悩ませて考えることが楽しい戦闘ではありますが、ただ理不尽に難しいゲームではありません。ストーリーモードでは、ちゃんと初心者や苦手な人への救済措置も用意されています。

 それが“臥龍指南”と“待った”機能。

 “臥龍指南”を選ぶと、1つのバトルで最大3回までAI“臥龍”が最適の手を教えてくれます。ただし、1試合につき3回までしか使えないのでここぞという場面で頼ったほうが良さげ。使いどころには気を付けましょう。

  • ▲AI“臥龍”が最善の手を矢印で示してくれます。もちろん、あくまでもヒントなので無視しても構いません。

 “待った”機能は、文字通りの「待った!」です。「今の手は失敗だったので、やっぱり取り消して!」という“待った”ができます。

 “待った”機能は、課金やアイテムで利用可能です。心に余裕が生まれるので有効に活用しましょう。

 ほかにも、アイテムを使ってターン数を伸ばすといった救済措置は用意されているので、この手のゲームが初めての人でも安心です。

 まあ、救済措置がないとAI“臥龍”は本当に強いので……。難易度が低いうちは、手を抜いてくれてると感じるときもあったのですが、AIの難易度が上がると正確に嫌な手を打ってきます。

 ストーリーモードは難易度により部隊編成が変化。ノーマルモードでは自分の部隊は使用できますが、ハードモードでは固定編成のため、完全な“詰将棋”状態になり、かなりガチ!

 負けると悔しくなりますが、最適解を見つけてAIに勝ったときの嬉しさは、相手が強いからこそですね。

  • ▲1手足りなくて負けることもあり、AIの的確な動きに翻弄されることも。負けて悔しいのでついついリベンジしたくなっちゃいます。

 とくに、期間限定イベントの“最強AIバトル”は相手も本気。今回の開発版では一番上の難易度を攻略するとリーダー武将の孫尚香が手に入ったのですが、途中から強くて涙目で遊んでました。

 自由に部隊を編制してリベンジできるので、強いコマを揃えてから挑んだほうが良さそうですね。

  • ▲勝ったと思っていたのに的確に孫尚香の弓の前へ追い込まれて、完全に詰んだ図。勝ったと思っても油断してはいけません。いけなかったのです。

詰将棋のようなストーリーから対人戦まで完備!

 上で書いたように、本作のメインは三国志の武将を使って戦う“ストーリーモード”です。まずは、ノーマルモードで好きに編制して基本的なルールを覚え、慣れてきたらハードモードの制限編制に挑戦してみましょう。

  • ▲各勢力の物語も読めるストーリーモード。ハードモードをプレイすることで「このコマには、こんな使い方があるのか!」という意外な発見があることも。

 そして、本作でもっとも熱くなるのが対人戦の“ヒーローズマッチ”。こちらでは、自分で組んだ部隊を使ってAI“臥龍”や全国のプレイヤーと対戦が楽しめます。

 マッチングできずに相手が見つからない時はAIが敵として出てくるので、練習にもなるモードです。

 こちらは、自分が組んだ部隊とコマの配置がものをいう実力勝負の世界。「待った」などもできないですし、時間制限もあるので白熱すること間違いなし!

 人間ならではの予想外の動きが楽しめるので、対戦ゲーム好きにはたまらないと思います。

  • ▲うまい人同士のリプレイを見ることも可能です。上位陣から有効な戦略を学び、自分で使いこなせるようにしましょう。

召喚で武将を集めて自分だけの部隊を作り上げよう!

 本作では、いわゆるガチャ(召喚)で新しい武将が手に入るようになっており、武将を手に入れることでより複雑な一手を打てるようになります。

 ガチャは勢力がすべて混ざった状態ですが、1つだけヒント召喚石が存在。その石を引くと、さらにランダムで勢力が1つ表示される仕組みです。

 8つの召喚石をすべて引くと、中央のオマケ召喚石を獲得できます。オマケ召喚石は★4以上が確定でレアな武将が手に入りやすいのですが、レア武将ばかりがいても良いわけじゃないのが本作のおもしろいところ。

 部隊のコストがオーバーしないように組む必要があるので、最初は弱い兵士や武将を混ぜる必要があるのです。

 部隊編制時は同じ勢力同士で組まないとコストが上がってしまいますが、どうしてもこの武将の動きが欲しい、というときは別の勢力の武将を入れることも可能です。

 プレイヤーレベルが上がれば編制コスト上限が増えて強い武将を入れやすくなりますが、弱い武将でも動かし方や部隊編制しだいで何とかなりそうなのが良いところ。

 また、召喚で同じ武将が被ってしまった場合は“開眼”が発生し、部隊に編制するときのコストが-1になります。

 被っても無駄にはなりませんし、武将のレベルを上げることで士気の消費値が下がるといった成長要素もあります。

 もちろん、強い武将がいるだけでは勝てないのが本作の特徴。それだけに、頭を悩ませてぶつけ合って勝ったときの気持ちよさも大きいのです。


まとめ:カードゲームや将棋、囲碁が好きな人には特におすすめ

 実際に遊んでみると、シンプルでありつつも非常に本格的な対戦ゲームになっていることがわかります。DCG(デジタルカードゲーム)が好きな方や将棋や囲碁が好きな方。シミュレーションが好きな人にオススメですね。もちろん、三国志が好きな方はコーエーテクモの新しいタイトルとして楽しめます。

 SLG系のボードゲームですが計略などの逆転要素や育成もあり、SRPG的なタイトルとしても楽しめそうです。頭が痛くなりそうなほど高難度のAIは手ごわいですが、それだけしっかり作られているので知的な楽しさがあります。

 知略でねじ伏せる感覚は三国志とマッチしていてハマりますし、ぜひ遊んでみてください!

※本記事の情報は開発中のテスト版によるものです。正式サービス時には、仕様・数値などが変更となる場合があります。
©コーエーテクモゲームス / HEROZ, Inc. All rights reserved