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劉琮&劉璋の少し残念な逸話。彼らがしっかりしていれば…【三国志 英傑群像出張版#20-3】

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 三国志に造詣の深い“KOBE鉄人三国志ギャラリー”館長・岡本伸也氏による、三国志コラム。数多くの書籍が存在するなか、“民間伝承”にスポットを当てて紹介しています。



 今月は呉蜀の紛争地《荊州(けいしゅう)》をテーマに民間伝承をご紹介しています。

 3回目の今回の一つ目は劉琮(りゅうそう)のお話。

 荊州の劉表(りゅうひょう)の息子で、劉表の跡を長男の劉琦(りゅうき)が継がず次男の劉琮が継ぐことになりました。三国志演義では、蔡瑁の策で遺書をすり替えたことになっています。

 その劉琮も、曹操が攻めてくると一戦も交えず腹心たちの意見に応じて降伏します。曹操は青州刺史に任じて厚遇しました。三国志演義では、曹操に殺されています。

劉琮(りゅうそう)、徳のある者を招く?

 劉表が亡くなった後、劉琮が荊州を引き継ぐことになった。その頃、曹操は八十三万の軍勢を率いて長江の南へ向かっており、手に負えないと見るや劉琮は途方に暮れた。

 彼はふと、この問題を助けてくれる人がいればいいと思い、部下に襄陽を守るために助けてくれる賢者がいないか尋ねた。

 すると部下は「峴山のふもとに白沙曲という村があり、そこに司馬徽(しばき)という人がいます。彼は天文学と地理に詳しく賢人だと聞いています。」と答える。

 劉琮は、面子を保つため、部下がそう言うのを聞いて知ったかぶりをして「あなたが言うこの人物のことは知っています。背が高すぎず、低すぎず、太りすぎず、痩せすぎず、顔は白く容貌もよく、有能で徳の高い人物だ」と言った(※適当なことをいっている)。さらに更に「彼を私のところに招待してください」と言った。

 官吏は急いで司馬徽の家に行き、扉の中に入ると、庭には菜園があり、柄杓を手にした老人が水をやっていた。

 彼は空を見て言った。「ここは司馬徽氏の家ですか?」「そうです。」「荊州牧である劉琮さまが来るようにといっています」老人は置いて中に入り、顔を洗い、髪をとかし、清潔な服に着替えて出てきた。

 司馬徽は笑って言った。「私は野菜と水やりしか知りません。」

 官吏は衝撃を受けたが、彼が確かに野菜を栽培していた老人であることを知ると見くびって帰っていった。彼は襄陽に戻り、劉琮にすべてを話した。

 それをうのみにした劉琮はそんな男はあまり有能ではないに違いないと思い、二度と彼を雇わなかった。彼の知識不足と人に対する無理解のせいで荊州を失うこととなった。

 劉備は司馬徽を見て、彼が普通でないことを見抜き、敬意を払い、広い心で助言を求め、忠告に耳を傾けた。結果、諸葛亮や龐統を得ることとなった。

劉璋、心を病む

 2つ目は劉璋(りゅうしょう)のお話。なぜ益州の劉璋の話が、荊州の話なのか? それは益州を劉備が攻略した後、劉備は劉璋を荊州の公安に移動させたからになります。

 劉璋はもともと臆病な男だったが、囚われの身となった今、さらに不安で用心深くなった。

 歩くと草や縄を踏んでしまい、葉っぱが落ちても脳が壊れそうで怖い。その姿を見た護衛の兵士たちは露骨に笑った。

 彼はほとんど毎日、誰かに殺されるのを恐れて家にこもっていた。食事の際には必ず象牙の箸で毒がないか確認し、兵士が持ってきた酒も口にしない。夜間は、いつも両手を頭の上に置いて眠り、緊張して一瞬たりとも気が抜けない状態だった。

 ある夜、劉璋が突然、自分の部屋から叫び声を上げた。「ああ、誰か早く来てくれ!ここに幽霊がいる!」

 見張りの兵士があわてて部屋に入ると、劉璋が掛け布団で頭を覆って寝所に横たわっていた。「幽霊はどこです?"」尋ねた。

 劉璋は、布団の下からゆっくりと頭を出し、「あそこだ、あそこだ」と部屋の隅を指差した。

 兵士はそれが猫であることがわかったので笑って劉璋に言った。「何を恐れておられるのですか?猫ですよ。」

 劉璋はよく見てみると、本当に猫であることがわかり怒り、「この化け猫め、首をはねろ!」と命令した。それを聞いた兵士たちは面白がって、猫を外に連れ出して殺してしまった。

 それから間もなくの午後、公安を警護していた傅士仁将軍から劉璋は酒席に招かれた。しかし、到着してみると飲めと言われても飲まないし、食えと言われても腹が減らないといって食べない。

 みんなが席を立つと、すぐに立ち上がって別れを告げて去った。傅士仁将軍は、彼の気弱な様子を見て、気になって兵士を数人送って見送った。

 その夜道、目の前に何か暗いものが見えたので、劉璋は数歩下がって「幽霊だ!幽霊だ!」と叫んだ。そう叫んだ後、彼は地面に倒れこんだ。

 護衛していた兵士が慌てて前に出て確認したが「木の切り株」であることがわかった。劉璋を地面から助け上げ、「怖がることはありません。切り株です!」と安心させた。

 劉璋は地面から立ち上がって、「この幽霊の切り株を切れ!」と言った。仕方なく、兵士たちは刀で切り株を切り刻んだ。途中、数人の兵士が顔を見合わせたが、誰も声を出さず、心の中で笑っていた。

 またある時、劉璋が「誰か早く来てくれ! 幽霊が出たぞ!」と叫ぶ。数人の兵士があわてて部屋に入ると扉の枠を押さえて全身を震わせている劉璋が見えた。

 兵士は「幽霊はどこですか?」と聞いた。劉璋は寝所を指差して、震えながら言った。「そこだ、そこだ、ここだ、この幽霊を斬り刻んでくれ。」と。

 実は、寝所で寝ていたのは彼の妻だった。劉璋が部屋に入って来た時妻は頭を上げた。髪を降ろしている彼女を見て、幽霊だと思い叫んだのだ。

 それを聞いた妻は寝所から起き上がり、膝をついて「私は幽霊じゃない、私はあなたの妻よ!」と慈悲を乞うた。「ああ!」と、劉璋は目を見開き、妻を認識してから口ごもった。

 いかがだったでしょうか?

 1つ目の劉琮の話、曹操が侵攻を始めた頃に人材を集め始めても遅すぎますね。

 人生経験豊富な劉備の「三顧の礼」のようなことは出来ないにしても若い彼は余りに無知過ぎました。こんなタイミングで跡を継ぐことになったというのも不幸でもあります。

 ちなみに司馬徽とは三国志演義で孔明や龐統を劉備に勧める「水鏡先生」の事。史実では年齢不明ながら、三国志演義では龐統より5歳年上とあり34歳位です。老人ではありません。

 2つ目の劉璋の幽霊話、非常に心が病んでいる様子がわかります。かわいそうになってきますね。

 史実には彼の晩年について詳しく書かれていませんが住み慣れた益州を離れ、荊州に移住させられてしまい楽しく暮らせはしなかったようですね。

 荊州では彼がずっと泣いていてそれが元で丘陵になったという短い民間伝承もあったりします。史実では荊州が孫権に奪われた時、劉璋はそのまま帰順して家臣となり、孫権に益州牧に任じられたが間もなく病死したそうです。

 早々に降伏した「劉琮」、抵抗を続け最終的に降伏した「劉璋」どちらの判断が正しかったのか? 幸せだったのか? 皆さん思われますか?

 次回もお楽しみに!

第五回「桃園の智会」イベント実施報告

 先日、三国志交流イベント 第五回「桃園の智会」を実施しました。一人一言を原則として全員が平等に話しあえる三国志イベントです。

 小学生から大人の方まで幅広く今回もご参加いただきました。

 ちょうど先日、俳優の堺雅人さんが林修先生と三国志武将で野球の打順を組んだらどうなるか談義をしていたので、1コーナーを使い我々も一緒に考えてみました。

 以下がそれです。細かく検証というよりは、思いついた感じのまま発表しあっていますので大事な人が抜けて居たりもしていますが、その点がご理解くださいませ。皆さんのご意見もまたお聞きしたいです。

 次回の「桃園の智会」は正月休みに実施予定。今度はサッカーチーム考えてみようかなと思っています。気楽にご参加ください!

皆で出し合った「三国志野球打順」

【魏】
1番ショート 楽進
2番セカンド 夏侯惇
3番センター 張遼
4番ファースト 許褚
5番レフト 張郃
6番ライト 李典か于禁
7番サード 曹仁か満寵
8番キャッチャー 程昱
9番ピッチャー 曹操
抑え 賈詡
代打 司馬懿と龐徳
代走 夏侯淵
監督 荀彧
コーチ 郭嘉

【呉】
1番レフト 甘寧
2番セカンド 朱然か朱桓
3番センター 周瑜
4番ライト 孫策
5番レフト 呂蒙か孫堅
6番サード 太史慈
7番キャッチャー 程普
8番ショート 丁奉か周泰
9番DH 陸遜
ピッチャー 魯粛
代走 祖茂
監督 張昭
コーチ 張紘
コーチ 顧雍

【蜀】
1番センター 馬超
2番セカンド 孫乾か王平
3番レフト 姜維か趙雲
4番ファースト 張飛
5番ライト 趙雲か法正
6番サード 馬岱
7番ショート 徐庶か龐統
8番キャッチャー 諸葛亮
9番DH 関羽
ピッチャー 黄忠、魏延
代打 馬謖、厳顔
代走 周倉
監督 劉備
コーチ 馬良

【後漢】
1番センター 張角
2番セカンド 陳宮
3番レフト 公孫瓚
4番ファースト 呂布
5番ライト 皇甫嵩
6番サード 袁紹
7番ショート 劉表
8番キャッチャー 馬騰
9番ピッチャー 董卓
代打 顔良、文醜、華雄
代走 左慈
監督 王允
コーチ 李儒
トレーナー 華佗


岡本伸也:英傑群像代表。「KOBE鉄人三国志ギャラリー」館長。元「KOBE三国志ガーデン」館長。三国志や古代中華系のお仕事で20年以上活動中。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志エンタメサイトや三国志グッズを取り扱うサイトを運営。「三国志祭」などイベント企画。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!



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