『どうする家康』28話感想。明かされる信長の過去…たった一人の友への思いに胸を打たれる
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- びえ
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毎週日曜20時からNHKで放送の大河ドラマ『どうする家康』。第28回“本能寺の変”のレビューをお届けします。
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— 大河ドラマ「どうする家康」 (@nhk_ieyasu) July 23, 2023
織田信長、最期のとき ── 。
ぜひ ご覧ください。
第28回「本能寺の変」
・7/23(日)
[総合] 午後8:00 [BSP/4K] 午後6:00
[BS4K] 午後0:15 (先行放送)
▼ 前回を振り返るhttps://t.co/8XDRFyk5E6#どうする家康#0723本能寺の変 pic.twitter.com/8rS1MPm4Sj
明かされる信長の過去…彼にとってたった一人の友とは
前回は、織田信長を討ち取るために計画を立てた家康がそれを実行に移し、思惑どおりに明智光秀を陥れ、彼らを分断したところが描かれました。
今回は、幼少期の信長の姿から始まります。前回のお話で、家康は彼のことを“一人で何でもできる”人物だと評しました。
しかし、いくら信長とはいえ、最初から何でも出来たわけではありません。出来るようになった、というのが真実で、その裏には父親による厳しい教育と彼自身の並々ならぬ努力がありました。
自分以外は何も信じるな、というのは、幼い子供に言い聞かせるにはあまりにも厳しい言葉です。信長自身がどう考えていたかは分かりませんが、置かれていた環境によってそう生きてこざるを得なかったのではないか、という印象が強い場面でした。
さて、場所は変わって、燃え上がる本能寺の外の様子が映されます。市民たちは、家康が信長を襲撃したと考えているようですが、はたして真相はどうだったのか。
時は、本能寺の変の三日前までさかのぼります。警備が手薄なことを知り、時は来たと覚悟を決める明智光秀。信長が共として連れてきていた人数は、異例の少なさだったといいます。
一方、家康は信長を討ち取った後のことまで考えており、準備を進めるために堺へと向かいました。信長と家康は、見事に入れ違いに。
当時の堺は、日本でも最大の貿易都市でした。人も物も、どんどん集まってくる場所です。そしてもちろん、お金も。ここで家康は、多くの有力者と交流し親交を深め、味方を増やしていきました。
信長を討っただけでは、戦は終わりません。天下を統一することを目的としている家康は、もっとずっと広い視野で物事を見ていることが分かります。
ところで堺では、驚きの出会いがありました。なんと、信長の妹・お市が来ていたのです。お互い大切な人を亡くした者同士、悲しい共通点ではありますが、だからこそ話せることもあるのだろうなと思えるシーンです。
お市は信長を恨んでいると言い切り、しかし家康は安泰だといいます。なぜなら、家康は信長にとってたった一人の友だからと。
信長の妹だからこそ見えているものがあるのでしょうが、すぐにはピンとこない言葉です。これまでの言動は、友達に対してのものとは到底思えませんから。
周囲に恐れられ、たった一人の友には恨まれ、一人ぼっちの信長のことを、あれほど哀れな人はいないとするお市。逆に、家康のことを羨ましがっていると言います。
自分に無いもの、それも昔に捨てさせられてしまったものを、ずっと持ち続けているから。どこまで行っても正反対の二人ですが、だからこそ認められるところもあるのかもしれません。
こいつになら殺されても悔いはないと思う友を、一人だけ…心の中に残りつづける言葉のために
再び、信長の回想シーンに戻ってきました。父親に家督を継ぐよう迫られ、孤独な道を進めというのかと問いかけます。それに対し、どうしても耐えられなければ、心を許すのは一人にしておけと返す父親。
こいつになら殺されても悔いはないと思う友を、一人だけ……この言葉が、信長の心にいつまでも残っているのでした。あまりにも辛すぎる選択をした信長に、つい同情してしまいます。
家康も、お市の話が忘れられず、戸惑いが隠せない様子。ただひたすら恨むだけなら、どんなに楽だったことか。信長の弱い部分を知ってしまい、優しい心の持ち主である家康は、きっとそこで動揺してしまったのでしょう。そして、自分の心の中にあるのが恨みばかりでないことを、知ってしまったのかもしれません。
いよいよ、本能寺の変の当日になってしまいました。着物一枚で、鎧を着た相手にも物怖じせず戦う信長ですが、とうとう後ろから刺されてしまいます。相手が家康ではないことを知り、いつもと様子が変わってしまう信長……。
血に染まった白い着物で大立ち回りを演じる信長は、流石というか、やはり迫力が違います。しかし、家康の名前を呼び続ける姿は、なんだか痛々しくて見てられません。
一方で家康は、苦渋の決断として信長を討つことを諦めます。自分の未熟さを悔いて涙を流す家康に、家臣たちが次々と励ましの言葉をかけるシーンでは胸を打たれました。
どこまでも家康を信じて、見守り、付いてきてくれる人たち。孤独な信長との対比が、キツすぎるくらいです。本当に心に突き刺さります。
そんな家康のところへ、茶屋四郎次郎が飛び込んできます。明智光秀によって信長が討たれたことを知らせ、すぐに逃げるよう進言する茶屋四郎次郎。なぜなら、明智が家康を討ち取るように命令を出したからです。
家康の身にも危険が迫っています。時を同じくして、羽柴秀吉もこの知らせを受け取りました。あまりにも有名な、中国大返しの始まりです。
帰り道で襲われるなか、何度も信長のことを心のなかで呼び続ける家康。同じように信長も、家康のことを呼び続けます。最後の最後でようやく心が通じ合ったような、そんな場面でした。どうしてもっと早くこうならなかったのか……。
光秀の顔を見て、明らかに落胆する信長。それもそのはず。こいつになら殺されても悔いはないと思う友を、一人だけ……信長にとって、この言葉が示す相手が家康だったのは明らかで、光秀では決してあり得ないからです。
この世は地獄。俺たちは地獄を生き抜くんじゃ! という回想シーンの信長の言葉が、非常に印象に残りました。“俺”ではなく家康に向かって“俺たち”と言ったところに、すべてが表れているような。
そして家康も、心のなかで信長を恨みながらも、どこかで乗り越えるべき目標、目指すべき背中として、彼のことを見ていたのかもしれません。それにようやく気づくことが出来たのでした。
ありがとう、我が友……できればそれを、直接、信長に伝えてあげてほしかった。それだけで、彼がどれだけ救われたことか。あまりにも悔しい気持ちでいっぱいですが、次回も楽しみに待ちましょう。
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