感想:『アンジュ・リリンク』はループ世界が舞台の恋愛アドベンチャー。女の子ごとのマルチエンディングにより、全員がメインヒロイン扱いで…うれしい!

電撃オンライン
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 KADOKAWAとf4samuraiが贈る恋愛アドベンチャーRPG『アンジュ・リリンク』のレビューをお届けします。

1万回のループを抜け出して物語が始まる

 本作は、『アンジュ・ヴィエルジュ』の世界観やキャラクターなどが登場する後継作。もともと『アンジュ・ヴィエルジュ』は2013年にトレーディングカードゲームとして登場し、アニメ化やゲーム化が行われた作品です。

 そんな歴史のある『アンジュ・ヴィエルジュ』の後継作『アンジュ・リリンク』のジャンルは恋愛アドベンチャーRPGとなっています。

 舞台は青の世界、黒の世界、赤の世界、白の世界、緑の世界の5つが連結してしまった世界。“エクシード”と呼ばれる特殊な能力に目覚めた女の子たちが、“青蘭学園”で毎日を過ごしています。“エクシード”を持つ少女たちは“プログレス”と呼ばれ、主人公は“プログレス”を強化する力を持つ“αドライバー”という存在で、“青蘭学園”に編入したことで物語が始まります。

 筆者は学園を舞台にした恋愛アドベンチャーゲームを何度もプレイしたことがあり、とくにこういった異能+学園ものは大好物です!

 ワクワクしながら学園生活をプレイしてみると、ストーリーにかなり力が入っていることがわかりました。本作では、ストーリーが進むと時間が経過し、日付が進んでいきます。主人公が編入したばかりということで、最初の数日くらいは世界観や登場するキャラクターの紹介をするのかとも思いましたが、初日から物語が大きく進みます。

 実はこの世界は“ウロボロス”と呼ばれる存在によりループしていました。世界がループしているなんて序盤に明かされるようなことじゃないですよね。終盤に満を持して明かされるようなことが序盤に明かされて驚きましたが、逆にこれ以上のことが待っているのかとも思えるので期待は高まります。ちなみに主人公は世界がループしていることを知りません。

 そんな状態から主人公は“コードΩ00ユーフィリア”と呼ばれる少女と出会ったことがきっかけで、世界がループしているという秘密を知ることになります。世界のループは1万回を目前にしており、ループしていることを知っているのはユーフィリアだけ。

 1万回近くループを繰り返しながらも、ユーフィリアがループから抜け出すことを諦めていないのは、1年後に終焉を迎える世界の運命を変えるため。世界がループしていたり、ユーフィリアが未来から来ていたりと時空に関することがストーリーの大きな要素になっているようです。

 ループの原因である“ウロボロス”を倒せば、ループから抜け出せることをユーフィリアは知っており、戦っていましたが、1人の力では勝てませんでした。つまり、1万回近くも“ウロボロス”との戦いに挑み、その都度負けてしまっていたということです。

 そんなループも1万回目でついに抜け出すことができました。そのきっかけがこれまで“青蘭学園”にいなかった主人公とユーフィリアが出会ったことです。ループしていることに気付いた主人公が“αドライバー”の力を用いて、ユーフィリアに協力。ついに“ウロボロス”を倒して、ループを抜け出すことに成功しました。

 ただし、“ウロボロス”は1体だけというわけではなく、毎日現れて倒さない限り、その日が永遠にループしてしまいます。そこで、主人公はユーフィリアと協力して“ウロボロス”と戦うことになります。

 序盤から大きな展開がありましたが、結末はどうなるのでしょうか。非常に気になりますね。それにアプリゲームのストーリーと言えば、バトルなどの要素の合間に差し込まれたりすることが多いように思いますが、恋愛アドベンチャーRPGというジャンルの通り、本作のメインはストーリー。バトルなどの要素はありますが、あくまでストーリーを引き立たせるものというような感じですね。

マルチエンディングだからこそ仲良くなるヒロインは迷っちゃう

 ループする世界を中心にしたストーリーのキーキャラクターにはユーフィリアがいますが、舞台が学園ということもあってたくさんの女の子たちが登場します。

 学園には“プログレス”たちが集まっていますが、5つの世界が連結してしまったということもあってその種族はさまざま。青の世界には“青蘭学園”があり、人間たちが多く住んでいます。

 黒の世界は夜と魔法が支配する世界で、悪魔やエルフ、アンデッドが住んでいます。ゴシック系の服装をしている女の子たちも多く、種族的なイメージはピッタリなような気がします。

 赤の世界は黒の世界と打って変わって女神や天使が住んでいる世界です。豪華なドレスを着ていたり、キラキラしている印象です。

 ユーフィリアの出身でもある白の世界はアンドロイドたちの世界。アンドロイドが生み出されることもあってか、文明がかなり発達しているのが特徴です。世界がループしていることをユーフィリアが知っていたのもアンドロイドということが関係してたりするんですかね。

 最後の緑の世界にも人間が住んでいますが、軍が世界を統一しています。そういうこともあってか、学園でイメージするようなものではなく、ちょっと軍服を思わせるような制服を着ていたりしますね。

 どの世界や女の子たちにも違った魅力があり、物語を盛り上げてくれます。しかし、本作のおもしろいところはさらにそこから進んだところにあります。何度も書きましたが本作のジャンルは恋愛アドベンチャーRPG。ヒロインごとのマルチエンディングが用意されているほど、恋愛が重要な要素になっています。

 上記の女の子たちはあくまで一部。ゲーム内ではもっとたくさんの女の子たちが登場します。誰とのエンディングを目指そうか迷っちゃいますよね。

 女の子たちと仲良くなってエンディングを目指すには、まず好感度を上げなくてはなりません。1日の中で繰り広げられるストーリーの中には、任意で女の子とのストーリーを楽しめるパートが用意されています。

 そのパートで登場する女の子は決まっていますが、基本的に自由に選んでストーリーを楽しめます。さらに、条件を満たすと開放されるストーリーもあり、マルチエンディングとあわせて恋愛アドベンチャーとしてしっかり作られていることが感じられました。

 女の子とのパートでは、会話を楽しみながら、途中の選択肢によって好感度が上がるようになっています。好感度システムがあるのも恋愛アドベンチャーならではですね。

 さて、ここで気になる人もいると思うのが、基本的にやり直しの効かないアプリゲームで選択肢によるルート分岐や会話の違いを見られるのかということ。アドベンチャーゲームをプレイしたことがあれば、いちばんいいルートを目指すために、選択肢の前でセーブして、思い通りの結果にならなかったらロードして選択をやり直す。そんな経験もあるのではないでしょうか。

 アプリゲームだとセーブ&ロードという機能はないので、選択肢を選ぶのに慎重にならざるを得ない……なんてことはなく、ゲームを進めていれば過去の1日をやり直す機能が解放されます。特定のアイテムこそ必要ですが、選択肢をやり直すこともできれば、前回とは違う女の子とのストーリーを楽しむこともできます。

 こういったアドベンチャーゲームに欠かせない機能が用意されていることで、プレイしやすくなるのはありがたいです。が、逆に手軽に出来すぎて、女の子のストーリーをちょっと見てみようくらいの軽い気持ちだったのが、新しい一面を見て好きになってしまったり。ですけどそういった迷ってしまうことも含めて楽しめるのが『アンジュ・リリンク』です。

©KADOKAWA ©f4samurai

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