レビュー:超大作『Starfield』を20時間遊んだ感想。ひとりの探検家として、宇宙で生きるということはどういうことか【スターフィールド】

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 ベセスダ・ソフトワークスより、2023年9月6日発売予定のXbox Series X|S/PC用ソフト『Starfield(スターフィールド)』。ベセスダと言えば、『The Elder Scrolls(TES)』シリーズや『Fallout』シリーズなどの超大型オープンワールドRPGが有名ですが、今回その系列に新規タイトルとして加わることになるのが本作です。

 まさに多くのファンが首を長くして待ち望んだ作品であり、前述の2つのシリーズとの違いが気になる人も多いでしょう。

 本記事では、序盤20時間ほどをプレイしてみてのインプレッションをお届け。他シリーズとの差はもちろんのこと、本作ならではの魅力を紹介していきます。

宇宙の探検家集団の一員として、未知に溢れた星々の海へ漕ぎ出す作品

 正直な話、20時間程度プレイしたのみでは本作の物語は中盤にも達していないという印象ですし、要素をすべて体験できているとも思えませんでした。本作のボリューム感はそれほどまでに多く、過去のどの作品と比べてもぼう大なものであると感じます。

 そのうえで本作の所感を伝えるならば、“未知を探求する”ゲームでしょうか。本作の物語は、ある企業の採掘員として働く主人公が、得体のしれない遺物“アーティファクト”を掘り出すことで幕を開けます。

 その結果、アーティファクトを収集している探検家集団“コンステレーション”にスカウトされる……といった流れなのですが、これは前述したシリーズ作品と比べると、静かな立ち上がりだと感じます。

 巨大なドラゴンに襲撃されることもなければ、コールドスリープ中に自分のパートナーを殺されることもなく、遺物を発見して「仲間にならないか?」と誘われる。これは、かなり穏やかなスタートと言えるでしょう。

 その後もメインストーリーとして、探検家仲間の手伝いをすることになるのですが……誤解を恐れずに言えば「なんだか盛り上がりに欠けるなあ」という印象でした。

 ひとまずそのまま進めていたのですが、何気なく通った道すがらに聞こえてくる噂話がタスクとして次々と記録されていくことに気づきます。人から依頼を受ける、という行為はもちろんあるのですが、こうやって耳に入った会話が自動で保存され、探検のフックになっていました。

 そして本作は宇宙を舞台にしたゲームである以上、ストーリーを進めているうちにいろいろな惑星を移動します。その過程で、ものすごい多くの惑星を横目に見たり、星図を見てその広大さにたじろいだり……とにかく序盤から行ける範囲の広さに驚きました。

 数多の情報が集まり、自由に動き回れる世界がある。

 そこで初めて「自分はどこにでも行ける探検家なんだ」という実感がこみ上げてきたのです。

  • ▲マップをできる限り引いた状態。これでも半分も入っていません。点のひとつひとつが星系であり、ひとつの星系には数個の惑星が存在しています。そしてそのほとんどには着陸可能!

 もちろん海賊勢力がいたり、危険な原生生物がいたり、戦闘する機会も多いのですが、それ以上に“未知のものがある”という情報量がものすごい!

 各惑星は独自の環境が設定されており、気温や重力、そして固有時間など、さまざまなものが異なっています。そんななかで、惑星から採れる資源や、動物や植物をスキャンしてデータベースを作っていくことができ、本作のベースが“探検”にあることを感じました。

 私はこの手の地道な作業は好きなのですが、別にやらなくても問題はないため、これまでのベセスダ製オープンワールドRPGのようにひたすらクエストをこなすのもOKです。

 なお『TES』や『Fallout』では世界が世界だけに、クエストはほとんど戦闘を伴うもの(むろん回避する方法もたくさんあります)でしたが、本作では戦闘をせずに回避できるものも多い印象です。

 そもそもが戦争の時期が終わっていて、比較的安定した時代を舞台にしているので、散発的な海賊の略奪行為などはあれど、派手にドンパチしているわけではないというのが新鮮ですね。

 よって依頼されるクエストも、務めている会社の待遇を改善するために内部工作を手伝ってくれというものだったり、盗まれたものをなんとか取り返してくれというものだったりと、人々の生活に根付いたものが多いように思えます。

 スペースオペラ的な派手なドンパチで解決できるものもありますし、交渉や賄賂、人知れぬ工作でどうにかなる場合もあり、よりキャラクタービルドによる攻略の幅が出そうですね。

 後述しますが、主人公が獲得していくスキルも戦闘外で役立つものも多く、いわゆるTRPG的というか、ロールプレイ要素が強いのかなと感じました。

 ここまでで、淡泊な印象を与えてしまったかもしれませんが、当然ながら盛り上がる展開も。プレイしていておもしろかった体験談をひとつご紹介します。

 とある失敗で犯罪歴が付いてしまったのですが、本作に登場する大きな組織のひとつである“コロニー連合”の海軍に捕捉され捕まってしまいました。「仕方ないから罰金を払うか……」と思っていたら、なんとお偉いさんが出てきて、海賊の一派“紅の艦隊”にスパイとして潜入しろという司法取引を持ち掛けられることに。

 そこから入念な計画に従って潜入することになるのですが、ひょっとすると紅の艦隊への入隊ルートはいくつも用意されているのかもしれません。

 私はスパイとしての入隊となりましたが、普通に海賊の一派になることもできそうでした。一員になると、これまで問答無用で襲い掛かってきた海賊たちが友好NPC判定になるため、廃墟などを漁る際にラクですね(笑)。もちろん、それ以外の場所でデメリットも発生するのでしょうが……。

 先ほど、戦争が終結している平和な時代とは言いましたが、それでもいくつかの巨大な勢力は小競り合いを続けているようで、戦闘の機会はそこそこあります。

 ただ一から十まで戦闘で突き進む、といった感じではなく、あくまでも“探検”に重きを置いている作品であるというのが、現段階での私の感想となります。

戦闘以外のスキルにもスポットが当たる、ロールプレイがはかどる作りに

 キャラクターの成長要素は『TES』や『Fallout』シリーズを遊んでいればさほど苦労することなく慣れるものでした。敵との戦闘やクエストのクリア、新たな場所の発見などで経験値を獲得し、一定以上溜まればレベルアップ。スキルポイントを得て、それを割り振ることで新しいスキルを習得することができます。

 スキルは“身体”、“ソーシャル”、“戦闘”、“科学”、“技術”の大きなカテゴリにわかれており、各カテゴリ内のスキルは4段階に細分化されています。

各カテゴリで習得できるスキルの方向性

“身体”……体力や耐性、所持重量の増加、近接攻撃など、肉体に関する能力に影響
“ソーシャル”……取引や交渉、スリ、仲間に関するボーナスなどに影響
“戦闘”……武器の扱いや、特定の敵へのダメージボーナスなどに影響
“科学”……製作物や研究、惑星のスキャン、拠点の管理などに影響
“技術”……宇宙船の操縦や戦闘関連のほか、ハッキングやジャンプパックなどに影響

 例えば2段目のスキルを習得するには、1段階目のスキルに3ポイント分のスキルポイントを割り振っていなければならない……という制限があるため、表の下のほうにあるスキルを取るためには、ある程度分類を絞って成長させていく必要があります。

 また、各スキルは1回習得したら終わりではなく、最大で4までランクを上昇させることが可能です。そのため、1つのスキルをランク3まで上昇させれば、その分類の2段目のスキルを習得することも可能。

 ただし各スキルのランク2以降は、それぞれに提示されたチャレンジを完了しなければ上のランクを習得することはできないため、スキルランクを上げようと思ったら、チャレンジを意識した行動も必要になります。

 とはいっても、基本的にそのスキルを使った行動を行えばいいものがほとんどなので、プレイしていればいずれは条件は満たせそうでした。

 『TES』や『Fallout』と違うのは、スキルを習得しないと、そもそもその機能を使用できないということ。わかりやすい例でいうと、スキルを持っていなければ人にスリを行うことはできません。

 こういった要素を加味して自分のキャラクターを作り上げていくのですが、当然ながらすべてを網羅したキャラクターはおそらく作れないだろうということは頭に置いておきたいところ。

 ゲームが戦闘偏重ではないことによって、さまざまなスキルに日の目が当たるように感じましたし、スキルビルドを考える楽しみは、同社の他の作品に比べると増していると思います。

 前後しますが、キャラクター作成時にはキャラクターの素性と特徴を設定することができます。素性は初期スキルを設定するためのもの。そして特徴はメリットとデメリットが混在するもので、最大3つまで自由に選択が可能です。

 キャラクターの能力として重要なことは間違いないのですが、設定としても細かに書かれているため、今までこのキャラクターがどうやって生きてきたのか、どんな性質をもっているのかという面をイメージしながらキャラクターを作るのが楽しく、ロールプレイに熱が入る良いフレーバーになっていると感じます。

 ガンガン戦いたい人は戦闘向きのスキルを持っている素性を選ぶのもいいですし、逆に設定としておもしろそうな素性を選ぶのもプレイヤーの自由。先にも述べた通り、本作は戦闘スキルを持たなくてもなんとなかるクエストも多いため、イメージ優先でキャラクターを作っても、困ることは少なそうです。

 なお素性については、NPCとの会話で素性ならではの選択肢が出ることもありました。

 ちなみに本作の戦闘はFPS/TPSスタイル。主観と三人称、どちらでも好きなスタイルでプレイ可能です。基本的には銃を扱うことが多くなるでしょう。経験者は『Fallout』に近い戦闘をイメージしてもらえれば間違いないかと。

 しかしレスポンスはかなり向上しており、FPSとそん色ないスピーディーな戦闘も楽しめます。当然、持っている武器によって快適さは変わりますが……。ただし『Fallout』のV.A.T.S.のようなシステムはないため、原則として自分で狙い、撃つことになります。このあたりはシューターが苦手な人はやや注意が必要でしょうか。

 近接ビルドもできそうなので、射撃が苦手な方は近接スキルに寄らせるのもアリかもしれません。

 ちなみに、敵のレベルも表示されるのですが、自分よりもレベルが高い敵でもそれなりに戦えており、戦闘がキツイと感じたことは今のところありません。大勢の中に単騎で突っ込むといった無茶なことをしなければ、戦闘の難易度自体はそこまで高くはないと思います。ただ単に激ヤバ生物にまだ出会っていないだけという可能性は十分ありますが……!

広い宇宙で何をするのかは、プレイヤーにゆだねられている

 ベセスダのお家芸である豊富なクエスト群は、もちろん本作でも健在。これを遊びつくすだけでも相当な時間がかかることは容易に想像できますが、本作の恐ろしいところは、さらに遊べる要素が増えているということ。

 まず思い浮かぶのは惑星の調査。これ自体は必須のものではないのですが、惑星のほとんどは最初に降り立った時点では、どんな動植物がいて、どんな資源が取れるのかが非表示になっています。

 そこをスキャナーを使って、自分で埋めていくという作業ができるのです。これが何に役立つかというと、例えば依頼で「○○の鉱石を集めてきてくれ」と言われた際に、下調べ済みの惑星でその鉱石が採れるなら、探す手間が省けます。

 これは植物や動物も同様で、動植物からも有機物の素材が採取可能。採取した素材は研究素材として使用され、装備の強化関連などに必要となります。

 別に自分で強化しなくても、敵が落とした良質な装備を奪っているだけでも十分戦えるので、クラフトとかまどろっこしいことはしたくないという人も安心です。

 私は図鑑集め的なコンテンツが好きなため、スキャン作業が楽しくて、延々と惑星のスキャンを繰り返していました。

 少し話はそれますが、NPCから直接受ける依頼以外にも、ミッションボードという掲示板から依頼を受ける簡易的なクエストがあり、「鉄650個」など大量の素材を要求されることがあります。

 そういったときにスキャンを使って、鉄が埋蔵している惑星へ行って集めるのですが、650個を手作業で集めるのは大変ですよね。

 そこで役立つのが拠点の作成。『Fallout 4』で登場した拠点機能と似たような要素で、惑星のほとんどの場所にプレイヤーの拠点を作ることができます(建てられる最大数は決まっているもよう)。

 拠点には家具や設備を設置して、自分の家のように飾り立てることができるほか、資源の自動採掘設備などを設置することも可能。ですが当然ながら、採掘施設は目当ての資源が埋蔵している場所の上にしか設置できません。その埋蔵の有無を調べるのも、スキャンの仕事なのです。


 地表でスキャンを使用すると、埋蔵資源がある場所は地面がハイライトされ、資源の名称も判明します。

 その付近の拠点を構え、自動採掘設備を作ることで準備は完了。これで大量の資源を要求してくる依頼にも対応できるということですね。

 なお、埋蔵資源が近くにあるかどうかは、惑星全体のスキャンで確認可能です。

 私は当初、惑星に着陸する際は、最初から表示されている町などのアイコンしか選べないと思っていました。「惑星の数は多いけど、さすがに降りられるエリアは決まっているんだなあ」などと考えていたのですが、惑星スキャンを実行すると、明らかにアイコン以外の場所まで採掘可能な資源が表示されるではありませんか。

 惑星の好きなところに着陸することができると気づき、資源の採集はラクになったのですが、逆にこの広さを各惑星で実現しているとなると、すべてをあらかた巡るには一体何年かかるのかと恐怖しました(笑)。

 そして忘れてはならないのが宇宙船。これは『TES』にも『Fallout』にもなかった本作ならではの特徴であり、星の海を渡る探検家のホームともいえる場所です。

 宇宙船関連の要素に関しては、まだしっかりと触わることができなかったのですが、宇宙船を乗り換えたり、パーツを組み換えてカスタマイズしたりと、こちらもさまざまな要素が用意されていました。


 また宇宙船にはクルーとして味方を何人か待機させられたり、一定の容量のアイテムを保管しておけたりと役立つ機能も。

 作りもかなり凝っていて、コックピットに座って離陸準備をする際のビジュアルや、実際に操縦しているときにエネルギーの割り振りを自分で決めるところなど、SF好きならワクワクする要素もたくさんあります。

 とくに感動したのが宇宙船同士のドッグファイト。宇宙船のドッグファイト自体は、割とよくあるスペースコンバットシムのような感じなのですが、敵の船のエンジンを止めて強引にドッキング。からの移乗攻撃を行えるのがかなり興奮します。

 民間船を襲う海賊行為もできるので、アウトロープレイが好きな人にはたまらない要素かと思います。

 アウトローといえば、禁制品を扱ったトレーダーになることも可能。ただし治安がいい惑星付近は海軍が巡回しており、近づいただけで船内スキャンをされてしまうため、行動範囲に制限がかかりそうです。それも込みで悪党プレイはおもしろいのですが。

20時間では到底味わい尽くせない楽しみがここにある

 というように、20時間程度では要素を味わいつくせないほどのボリュームであることは間違いありません。「とにかく戦闘がしたい!」というゲームではないように感じましたが、“広大な宇宙でひとりの探検家として生きている”という体験は、これまでにない感覚でした。

 宇宙が好きな人、探検が好きな人、そしてロールプレイが好きな人はとくに楽しめると思いますので、ぜひプレイしてみてください。

『スターフィールド』先行プレイ配信を9月1日14時ごろより実施!

 こちらの記事でレビューした『Starfield』のプレイの模様を、電撃オンラインchにて9月1日14時からスタートします。実際にプレイしている様子を楽しみたい人は、こちらもお見逃しないように!

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