『FF7 エバークライシス』インタビュー。配信開始となった“リメイクのもう一つの可能性”の見どころを聞く
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本日9月7日よりスクウェア・エニックスから配信された、iOS/Android用アプリ『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS(ファイナルファンタジーVII エバークライシス)』。その開発者インタビューをお届けします。
本作は、『FFVII』の世界観をスマホで満喫できるシリーズ最新作。オリジナル版『FFVII』から『CRISIS CORE -FFVII-』を始めとするストーリーと、完全新作オリジナルストーリーが楽しめます。
インタビューのお相手はプロデューサーの市川翔一氏、ディレクターの鳥山求氏、クリエイティブ・ディレクターの野村哲也氏の3名。ついにリリースされた『FFVII エバークライシス』の魅力を掘り下げていきます!
『FFVII』編と『CCFFVII』編はオリジナル版そのままではなくダイジェスト構成
――いよいよ配信開始となった『FFVII エバークライシス』ですが、本作が『FFVII』の作品群のなかでどのような位置づけになるのか。立ち上げの経緯なども含め、あらためてお聞かせください。
市川翔一氏(以下、敬称略):『FFVII』自体が25年以上前の作品ということもあり、愛してくれているファンの方々の年齢層もだんだん高くなってきています。『FFVII REMAKE』や『FFVII REBIRTH』などのタイトルも動いてはいますが、より多くの人に『FFVII』という作品をお届けするためにも、まずはモバイルのプロジェクトを立ち上げることになりました。
そして、その作品をどんな人にお届けするか考えたときに、真っ先に浮かんだのが往年の『FFVII』ファンです。これまで応援してくれたファンの方々がしっかり楽しめる作品にすること、収録している作品の大きな流れをまとめつつキャラクターにも愛着を持ってもらうことを第一としました。
コアなファンの方々に楽しんでもらえる再現性と、新しいファンの方にお話を知ってもらうための要素を組み合わせたのが、この『FFVII エバークライシス』になります。
――本作のプロジェクトが動き出したのは、具体的にいつ頃だったのでしょうか?
市川:もう5年以上前になるかと。『FFVII REMAKE』や『FFVII THE FIRST SOLDIER』の開発と並行して本作も動いていました。
――本作には『FFVII』編、『CCFFVII』編、『FFVII THE FIRST SOLDIER』編の3本の物語が収録されていますが、各作品はどういう扱いになっているのでしょうか?
市川:『FFVII エバークライシス』のなかで、3タイトルそれぞれをオムニバス形式で楽しめます。
ポイントとしては、『FFVII エバークライシス』のなかで育てたキャラクターはほかのコンテンツで共通して使用できることです。それぞれの作品で鍛えたキャラクターで自分好みのパーティを作り、キャラストーリーやシーズナルイベント、高難易度ダンジョンなどで戦わせることができます。
大きなコンテンツとして3本のタイトルのストーリーモードがありますが、それ以外にもコンテンツを潤沢に用意していますので楽しみにしていてください!
鳥山求氏(以下、敬称略):今後、追加されていくシーズナルイベントや配信イベントにも、新規のストーリーが入っています。3作品は時代が違うので交わることはありませんが、それぞれの物語の脇で起きていたさまざまなエピソードが見られます。
――『FFVII』編と『CCFFVII』編に関しては、リリース時点である程度まとまったストーリーが配信されるのでしょうか?
市川:はい。例えば『FFVII』編では、『FFVII REMAKE』と同じくミッドガル脱出までのストーリーが配信されています。
鳥山:もともとの作品とストーリー展開は同じでも、『FFVII エバークライシス』用にそれぞれスマホで体験しやすくる章立ての構成や細かいセリフを現代的にアレンジするなど、新しく作り直しています。配信時点で新規スマホゲームを3本分リリースしているようなものなので、ボリュームは相当多いと思いますよ。
野村哲也氏(以下、敬称略):誤解のないように言っておきたいのですが、オリジナル版で体験できたフルボリュームの内容が『FFVII エバークライシス』にも入っているわけではありません。オリジナル版そのままを体験できるわけではなく、ストーリー進行上の重要なポイントだけを切り出して、章立てで遊べる感じです。
――あくまでストーリーの重要どころをピックアップして構成されているということですね。
鳥山:スマートフォンで遊ぶ関係上、短い時間でもストーリーを理解できるようまとめる必要があったので、そのあたりは適宜調整しています。オリジナル版の流れの全部が重要なやり取りということでもないので、ダイジェストとして物語が際立つようにおいしいところだけをまとめています。原作からのファンの皆様には、原作との細かな違いも楽しみつつプレイしていただければと思います。
市川:こう話すと「オリジナル版から内容が減っただけ」と思うかもしれませんが、逆に『FFVII エバークライシス』で新たに掘り下げられるキャラのストーリーや、幕間の出来事なども盛り込まれています。
――『FFVII』編のストーリーや登場人物などは、オリジナル版と『FFVII REMAKE』のどちらを基準にしているのでしょうか?
野村:基本的にはオリジナル基準ですが、デザイン全般や時代に合わせた変更まで踏まえると、ミックスですかね。
市川:事実関係などは基本的にオリジナル版をベースにしていますが、モバイルゲームのプレイ体感を意識するなかでアレンジしている部分もあります。例えば『FFVII REMAKE』にはフィーラーなどオリジナル版にいなかった存在も出てきますが、こういったキャラクターは本作の『FFVII』編のストーリーには登場しません。
――細かい話になりますが、例えばオリジナル版では七番街プレート支柱でレノと戦いましたが、『FFVII REMAKE』ではレノ&ルードと戦いました。このようなバトル部分は『FFVII』編でどうなっているのでしょうか?
市川:七番街プレート支柱のバトルに関しては、オリジナル版と同じくレノだけと戦います。ただ、伍番街スラムの教会で初めてレノと遭遇したときは、『FFVII REMAKE』のようにレノとのバトルが発生します。
これは、章の終わりである区切りにはボス戦を入れたほうがいいだろうという考えでそうしました。野村が言ったように、オリジナル版と『FFVII REMAKE』のどちらかだけを基準にしたのではなく、ミックスですね。
野村:ストーリーの重要な部分をピックアップして再構成したり新しいエピソードを見せたりと、これも“リメイクのもう一つの可能性”の一環だと思っていただければ。そうした章立て構成に合わせたゲームデザインにはなってます。
――これから『FFVII REBIRTH』が発売され、その後にリメイク3部作の最終作も出るわけですが、その間の橋渡しというのも本作の役割なのでしょうか?
市川:もちろん、そのミッションも背負っています。ここから『FFVII REBIRTH』が発売されるまでの間、そして次のリメイク最終作が発売されるまでの間も『FFVII エバークライシス』を遊び続けてもらいたいと思っています。
一方で、本作には『FFVII THE FIRST SOLDIER』編やキャラクターにフォーカスしたキャラストーリーという、まったく新しいお話も盛り込んでいます。これらをプレイすることで、『FFVII』の世界やクラウドたちキャラクターのことがより深掘りできるようになっています。
なので、我々としては決して“つなぎ”程度に収まるつもりはなく、なんなら『FFVII エバークライシス』のほうが楽しすぎて『FFVII REBIRTH』に手を出せない、なんて状況にしたいと思っているほどです(笑)。
鳥山:本当にそうなったら困っちゃいますけど(笑)。ただ、今後『FFVII REBIRTH』などをプレイするうえで、「このキャラクターやエピソードって何だったっけ?」と振り返りたい瞬間があると思います。
そういったときに『FFVII エバークライシス』が手元にあると、ゲームを遊びながら手軽に確認できます。こういう楽しみ方もこのゲームのいいところかなと。
我々の知らないセフィロスの新たな物語を見せてくれる
――リリース時点でボリュームたっぷりなことがうかがえる本作ですが、今後コンテンツはどれくらいのペースで更新されていくのでしょうか?
市川:コンテンツの更新という意味では、けっこう細かいペースで行っていきます。大きなところとしてまずストーリーがありますが、こちらはだいたい1カ月に1章分を配信していく予定です。
それにくわえてシーズナルイベントがある場合はその開催、強めのボスイベント、マルチのクエスト更新など多岐にわたります。少なくとも配信からしばらくは、常に新しくやれることであふれている状態だと思います。
――キャラクターの衣装や武器も本作の見どころだと思うのですが、これらはかなりの種類があると思っていいのでしょうか?
市川:そうですね。PVでちょくちょくお披露目していますが、ユーザーのみなさんが十分楽しめるだけの量があると思ってください。リリース時に各キャラのウェアが用意されていますが、今後も各イベントや通常更新などで種類を増やしていきます。
――衣装に関しては野村さんもチェックしているのでしょうか?
野村:目は通しています。数が多いので、毎週何かしらの衣装のチェックをしているような状況です。オリジナル版や『FFVII REMAKE』にも衣装替えはありましたが、今回は運営型タイトルなので、それ以上にコスチュームのバリエーションは豊富になっています。
実装できる衣装が少なめのゲームの場合、なるべく元のイメージを崩さないデザインラインにするのですが、『FFVII エバークライシス』は方向性の幅が広いです。かなりの数のコスチュームがあるので、本来だったら選ばないような攻めたデザインもいくつかあります。そういう意味では、見た目でもすごく楽しめる作品だと思います。
――『エバークライシス』で初めて見るキャラクターとしてグレン、マット、ルティア、あとは若いセフィロスがいますが、これらのキャラクターデザインはどなたが?
野村:その4人は自分がデザインしています。若いセフィロスが持っている武器はデザインで軍刀は持たせはしていましたが、その方向性で詳細を別途、弊社の武器職人にデザインしてもらいました。今後もメインキャラクターの元デザインは自分が起こし、藤瀬にゲームに落とし込んでもらう形になると思います。
――セフィロスといえば正宗のイメージが強いですが、若いセフィロスが持つ武器にも何か名前があるのですか?
市川:“無銘”という軍刀ですね。名無しの刀で、神羅から支給される武器の1つとのことです。
――いよいよ配信された『FFVII エバークライシス』ですが、心待ちにしていたファンの方々にメッセージをお願いします。
市川:本日より配信が開始されました。ぜひみなさんに『FFVII エバークライシス』を楽しんでいただければと思います。本作はファンの方はもちろん、今まで『FFVII』に触れてこなかった人にも向けて作られています。
とくに、昔はディテールが表現できなかったチビキャラの所作や、カットシーンでのやり取りの再現性など含め、『FFVII』という世界観を感じられる作りになっています。ぜひ、そういう細かいところにも注目してもらえるとうれしいです。
あと、サービス開始後は何かとご不便をおかけすると思いますが、我々はみなさんの声に真摯に耳を傾けていきますので、よろしくお願いいたします。
鳥山:『FFVII REMAKE』のバトルはアクション性が高いものでしたが、『FFVII エバークライシス』のバトルはオリジナル版のATBを、より戦略性が高いコマンドバトルに進化させています。
武器やウェアの性能を考えてとことん奥深く戦うこともできますし、逆にAIのオートバトルに任せて気楽に進めることもできます。スマートフォンゲームらしい、新たな遊び方の『FFVII』をお楽しみください。
野村:アンケートの結果などを見ると、『FFVII エバークライシス』はストーリーに期待を寄せられている作品だと感じています。鳥山にディレクターとして入ってもらったことで、ストーリー部分を『FFVIIリバース』など他シリーズとの関連性も密に持たせてもらえているので、このあたりはきっと今後も楽しんでいただけるかと。
それと、本作ではセフィロスの語られてこなかった部分が明るみになるのも見どころです。セフィロスは有名なキャラクターではありますが、まだまだ謎が多い人物でもあって、若いころに何があってみなさんが知るセフィロスになっていったのかは気になるところだと思います。
PVにも出てきた「我々はまだセフィロスを知らない――」という言葉は現状を示したそのままの意味で、そこにセフィロスの新たな物語を見せてくれるのがファーストソルジャー編を内包する『FFVII エバークライシス』となっています。
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