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『どうする家康』34話感想。いつの間にか家康の心を縛り付けていたもの…解放されたきっかけはやはりあの人

びえ
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 毎週日曜20時からNHKで放送の大河ドラマ『どうする家康』。第34回“豊臣の花嫁”のレビューをお届けします。

石川数正は本当に裏切り者となってしまったのか!? 動揺する家康たち

 前回は、家康が信頼を置く部下である石川数正が、豊臣方に出奔した衝撃の場面で終わりました。

 なにか考えがあってのことだと思いますが……とはいえ、もし本当に寝返ったのだとしたら、家康側の情報が秀吉側に筒抜けとなってしまう一大事。家康たちは大いに動揺します。

 万が一に備えて城の守りを固めますが、その際も今までに使っていた戦法そのままでは、もし数正が情報を漏らしていた場合に対処できないため、いつもとは違う方法で対策を立てることに。

 自分たちのことを何もかも知っている相手だけに、敵となってしまうとなかなか厄介なものですね。。

 ただでさえ大変な時期なのですが、さらに悪いことに“天正地震”と呼ばれる巨大地震が起こってしまいました。どこも被害は甚大で、とても戦どころの話ではありません。

 より被害が大きかったのは秀吉の領地のほうで、結果的に家康は窮地を救われたのでした。と言っても、地震のせいで苦しんでいる人たちが大勢いますから、あまり喜べる状況でもありませんが。

 秀吉はなんとか家康を上洛させようと、自分の妹・旭を正室として嫁がせることに。旭は飾り気がなくて明るくて、素朴な感じが筆者としては好印象でした。家康のほうがもっと歩み寄れば、良い関係にもなれそうですが、まだちょっと難しいかもしれませんね。

ようやく重荷から解放された家康…きっかけはやはりあの人

 さて、話題は数正のことに。どうやらあまり重用されず、秀吉には飼い殺しにされてしまっているようです。ちょっと可哀想な気もしますが、逆に活躍されてしまうと苦しむのは家康たちのほうですから、これで良かったのかもしれません。

 数正のことが好きではなかったと本音を漏らす家臣たちも、それでも彼のことは尊敬していたと口々に言います。長いあいだ家康を支え続けた功績は、そんな簡単に消えるものではありませんね。

 数正が裏切り者扱いされているところを見続けるのはちょっと苦しかったですが、これで少し報われた気もしました。

 さて、痺れを切らした秀吉は母親までも人質として送り込み、ほとんど脅迫のような手段に出てしまいました。振り回される女性たちのことを思いやれる余裕もなくなってしまい、家康らしくない言動が目立ちます。

 そんなときに、数正がいつも手を合わせていた仏像の中から押し花を見つけた於愛は、それを家康に見せます。どこか瀬名のいた築山の風景を思い出させるようなその花に、数正の真意を見た家康たちは、改めて彼のことを想うのでした。

 いつの間にか、瀬名の残した言葉に縛り付けられてしまっていた家康は、この時ようやく解放されてもいいのだと気づきます。

 これまでは、きっと生きる支えでもあったはずの言葉ですが、気づかぬうちに家康を苦しめる枷にもなってしまっていたのかもしれません。

 それでも、自分は諦めてもいいのだろうかと家臣に許しを請う姿は、涙なしには見られませんでした。離れたところで家康のことを考えながら、そっと微笑む数正の表情が胸にしみます。

 優しい自分を取り戻した家康は、旭のことを気遣い寄り添います。やっと家康らしいところが見られた気がしますね。今まではちょっと気を張りすぎていたようです。

 表情も柔らかくなり、ほっと安心しました。旭ともこれから良い関係を築けていけそうで、良かったですね。

 瀬名との思い出が刻まれた木彫りのウサギをしまう姿には、なんだか感慨深いものがありました。決して忘れたわけではありませんが、けれども縛られているわけでもない。

 これからは大切な思い出として、そっと大事にしまわれていくのでしょう。なんだか憑き物が落ちたような、そんな気持ちになる今回のお話でした。

 晴れ晴れとした顔で上洛を決意した家康は、また新しい夢を見つけたようです。9月10日の放送はお休みとなり、次の放送は9月17日になります。次回も楽しみに待ちましょう。

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