『陰の実力者になりたくて!』原作者・逢沢大介が対談最終回に降臨。アニメ、ゲームのプロデューサーと作品の誕生秘話や制作の裏側を語る【電撃秋アニメ×ゲーム】

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 アニメ『陰の実力者になりたくて!(陰実)』と、その3DアニメーションRPG『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン(カゲマス)』の連続対談企画。

 ラストとなる第3弾は、原作者の逢沢大介先生、アニメのプロデューサー・菊島憲文さん、『カゲマス』プロデューサー・竹内正彦さんの対談です。

  • ▲左から菊島憲文プロデューサー、逢沢大介先生、竹内正彦プロデューサー。

●逢沢大介先生

 小説『陰の実力者になりたくて!』著者。2018年にWebサイト“小説家になろう!”で連載を開始。2023年9月29日14:00時点で累計ランキング第8位、総合ポイント654,414を誇る。

●菊島憲文さん

  アニメ『陰の実力者になりたくて!』プロデューサー。KADOKAWAにて『オーバーロード』シリーズ、『幼女戦記』シリーズなど異世界系の作品を中心に多数のアニメーションを手掛ける。

●竹内正彦さん

 『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』プロデューサー。2021年に発足されたAiming(エイミング)第二事業部で副事業部長を務める。

 なお、電撃オンラインでは2023年秋おすすめしたいアニメに関連するゲームを特集する“秋だ! アニメだ! ゲームも遊ぼう(電撃秋アニメ×ゲーム)”を展開中。この記事もその企画の一環として、Xでのプレゼントキャンペーンを実施中ですので、ぜひご参加ください。

※本記事はAimingの提供でお送りします。

『陰実』が世に出たのは“とりあえず”から!?

――『陰の実力者になりたくて!』という作品を書こうと思われたきっかけを教えてください。

逢沢先生:当時、年末年始は普通に休める仕事をしていたんです。大変な繁忙期を越えたところで疲れはあるものの、休みの時はリラックスして何かやりたいな、と。そこで「新作でも書くか」と思い立ち、いろいろな案を考え始めました。

 そのなかでなぜ『陰実』が生まれたかですが、正直に言うと、大きな理由はないんです。とりあえずこれを書いてみるか、と思い手を付けたものが後の『陰実』となっただけという話で。

 なので、始めは“勘違いコメディ”という要素は入れてなかったんですよ。確か2話あたりを書いていた時だったと思うのですが、朝起きてまどろんでいるなか、勘違いコメディ要素を入れたら面白くなるかも……って発想が浮かび、実践してみたらうまく形になっていきました。

――執筆のなかで出たアイデアが見事にハマったわけですね。勘違いコメディ要素を入れるとなったときに、最初のコンセプトから変化した部分などはありましたか?

逢沢先生:最初は本当に中二病の少年が異世界に行って願望を叶えていくという、シンプルなコンセプトでした。そこに勘違いコメディ要素が入ることで、作品自体に良い変化がついたと思います。

――小説自体はいつ頃から書かれていたのでしょうか?

逢沢先生:確か大学の終わりぐらいからなので、歴は結構長いです。

 僕が何かを始めるきっかけって、基本ネガティブなんですよ。今の現実がめんどくさく感じて、何かやりたいなと思って小説を書き始めたのが大学生の頃。動機は多分共感してもらえる方も多いと思うのですが、就職が嫌だなって(笑)。

 それと、昔からゲームが好きだったので、そういった架空の話を書いてみたいなと思ったのも理由の1つですね。

――ちなみにどんなゲームを遊ばれていましたか?

逢沢先生:当時は『バイオハザード』シリーズを結構遊んでいて、あと『ファイナルファンタジー』シリーズも好きでした。割と全般、いろいろなものを遊んでいたと思います。

 反面、アニメやライトノベルは見てはいたものの、全然詳しくはなくて。表面をなぞった程度の知識で、詳しいのは断然ゲームでしたね。

――菊島さんと竹内さんはどのあたりのタイミングで『陰実』に出会われたのでしょう?

菊島P:私は仕事柄“小説家になろう”の作品を読むことが多かったのですが、ランキング上位で人気があるのも分かっていたにも関わらず、当時は『陰実』をスルーしていて……。読み始めたのは、弊社で書籍化が決まったのを耳にしてからです。

竹内P:僕も最初の出会いは“小説家になろう”ですね。このサイトは日ごろから趣味で覗いていますし、なんといってもランキング勢なので(笑)。

 ただ、読み始めた当時、なぜか更新が止まっていたんですよ。すごく面白いのにどうして続きを書かないんだろう……と思っていたら、裏でいろいろと進んでいたことをあとから知りました。

菊島P:じゃあ私より早く出会っていますね。

竹内P:意外ですね。ただ、ゲームを作るとなったときは何度も読み直して、面白さや訴えたいものなどの理解を深め、自分のなかで貯め込むようにしたのを覚えています。

――ランキングのお話があったので、やらしい話で恐縮ですが、逢沢先生的に“小説家になろう”で『陰実』の人気が出た際、書籍化されたらいいなといった思いは持たれていましたか?

逢沢先生:もちろんそういった思いはありましたが、すごく人気だったかと言われると、そうでもなくて。日間ランキング1位はいただきましたけど、それ以上はまだ……といった段階だったんですよ。

 なので、そんななかで書籍化のお話をいただいて嬉しかったのは間違いありませんが、実感としてあまりなかったのが正直なところかもしれません。連載を開始して1か月も経っていない頃でしたから。

菊島P:本ができてようやく実感がわいてくる、みたいなところはありますもんね。

――書籍化に続きアニメ、漫画、ゲームと『陰実』は広がっていくわけですが、まずアニメ化しようと思われたきっかけをお教えいただけますでしょうか。

菊島P:第一はもちろん原作の面白さです。シリアスとコメディの緩急がしっかりしていて、すれ違いの要素も読み手を飽きさせない作りになっている。

 もう1つは、書籍化するにあたりイラスト担当の東西先生が描かれた第1巻の口絵、シャドウとアルファたちが並んでいる絵を見せてもらったときに、すごいパワーを感じたことですね。これを見て「アニメ化しよう!」と決心しました。

逢沢先生:あれはいつ頃でしたっけ。第1巻の発売が2018年11月ですから……。

菊島P:それの半年ぐらい前からなので、もう丸5年以上ですね。

――『陰実』をゲーム化、『カゲマス』を作ろうと思われた決め手はなんだったのでしょう?

竹内P:先ほどお話させていただいた通り小説を読んでいたというのと、菊島さんが本気でアニメを作るとおっしゃっていたからです。僕自身が、菊島さんが作られるアニメが大好きだったんですよ。

 なので社内で「『陰実』をゲーム化したいです」というのを熱弁させてもらい、今がある感じですね。

――アニメ化、ゲーム化されるというお話が来た時、逢沢先生はどう思われましたか?

逢沢先生:アニメについてはこれも結構前なので少しあいまいですが、もちろん嬉しかったです。でもやっぱり現実感はなかったですね。

 当然ながら映像はまだありませんし、放送時期なども特に決まっていなかったので「おお、そういう話があるのか」くらいだったと思います。

 ゲームに関しても規模などがまだわからない状態で、形態も昨今では家庭用機に加えてアプリやPCなどいろいろあるじゃないですか。ですので、話を聞いたときは単純に「嬉しいな」くらいの感想でした。

 本格的に喜べるのって、頭の中にリアルな絵が浮かんだときだと思うんですよ。書籍化も含め、初めてのことばかりでそういった絵が頭になかったので、実感がわかなかったのが正直なところです。

アニメ、ゲーム両スタッフの熱意が最高の作品を生んだ

――『陰実』のアニメ、ゲームが作られることになった際、逢沢先生から何か注文を出されましたか?

逢沢先生:ちょくちょく言わせていただいたこともありました。ただ、最初の方でのやり取りが多くて、そこさえ固まってしまえばあとは流れで空気を察していただけました。

菊島P:割と初期の頃は逢沢先生からお電話をいただいて、アニメのシナリオや絵コンテに関してなどのやり取りをよく行ってましたよね。

 先ほど仰っていたとおり初めての体験だったと思いますので、アニメのこういうシーンはこういう意図で作っています、アニメはこうしていきたいです、といった話をさせていただいていました。

 それが出来上がっていくうちに、逢沢先生としても面白く作ってくれていると感じていただけたと思っていて、やり取りも数回になり、あとは現場を信頼して作らせてくださいました。ゲームも同じような流れでしたよね。

竹内P:そうですね。企画書も最初は漫画や小説の絵しか貼ってないんですよ。これでゲームをイメージしてくださいというのが無茶だよね、と(笑)。

 物を組み立てて動くものを作り、キャラクターを構築し、そこで初めてどんな形で動くかのイメージを共有させていただいたり、あとはそれをどういう順番で遊ぶのかなどをお話させていただきました。

 ゲームループっていうんですけど、そこが初めて1周して僕ら開発側自身も「そうそうこんな感じ」みたいな。

 あと一番初期の頃で言いますと、ゲーム化されるにあたり逢沢先生はどのぐらい良いものができるかを気にされていたように感じたので、熱量やプロジェクトに対する想いをすごく伝えさせていただいた記憶があります。

――アニメでのキャストに逢沢先生は関わられましたか?

菊島P:逢沢先生にお伺いしたときに「わからないんでお任せします」という話だったので、中西和也監督(以下、中西監督)を含めたアニメチームで決めていきました。

逢沢先生:僕はあまり声にこだわりがないんですよ。決まったものを聞かせてもらったときも「みなさん上手だなあ」と(笑)。キャラにぴったりの声優さんばかりで嬉しかったです。

菊島P:でもおかげさまで、中西監督的にも理想のキャスティングになったと思います。七陰とシャドウはオーディションを行い、ほかのキャラクターは決め打ちに近い形でしたが、奇跡的に中西監督の第一希望の声優さんが決まっていきまして。

竹内P:僕も正直声優さんはそこまで詳しくありませんが、それでもわかるぐらい強いキャスティングですよね。KADOKAWAさん本気なんだなというのはこういうところでも伝わっていました。

 ただゴージャス過ぎて、ゲーム側の収録のスケジュールを押さえるのがすごく大変な面も……。

菊島P:そこまでは考えてなかったですね……。ゲームがフルボイスって時点で「おお……!」となりましたし。

竹内P:こんなことになるとは思わないですよね(笑)。恐ろしい物量だったので実現できてすごいよかったなと思います。

――ご自身で生み出したキャラクターが絵になり、アニメーションや声がついて、ゲームでも動く。これらを目にしたときどんな感情を抱かれましたか?

逢沢先生:もちろん嬉しいのと、あとは世界観など小説を書くなかでフワッとしていた部分がしっかりと固まってきた印象があります。

 キャラクターのビジュアルを含め、僕はあまり絵を思い浮かべないタイプなんです。東西先生にキャラクターデザインをお願いするときも、髪の色と年齢と性別といった基本設定しかお渡ししていませんでした。

 動いているのを見てそれらがしっかりしてきたように思いますし、小説を書いていくうえで動かしやすくなった部分もあるかもしれません。

――演出などもしっかり作られていますもんね。個人的には映像になった“アイ・アム・アトミック”にすごく驚かされました。

逢沢先生:迫力がすごかったですよね。アニメだとあんな感じになるんだ、と感動しました。

菊島P:小説の一文からあの演出を生み出す中西監督はすごいと思いました。

逢沢先生:すごく膨らませてくださるんですよね。

菊島P:行間を読む力が強いというか、原作に書かれている意図を深掘りして演出に反映させてくれています。

 あのシーンはアフレコでもシャドウ役の山下誠一郎さんが何パターンも演じてくださったんですよ。カッコよく言うパターンや、テンション高く必殺技さながらに言うようなものもあって、結果的にアニメでも流れたウィスパーな形になりました。

 ただ、シーン自体は結構シリアスなので、このノリが伝わるか心配だったんですが、視聴者さんの反応も良かったですし、『陰実』といえばこのシーンを思い浮かべる方が多いぐらい印象的なものにできたのも嬉しかったですね。

  • ※アニメ第1期第5話より。

――自分もその1人です(笑)。そんな『陰実』ですが、それぞれでこだわられている点はどこでしょうか?

逢沢先生:一番は読者にとって面白いかというところですね。それがありつつ、自分が楽しいこともやっていくようにしています。

菊島P:アニメは原作から膨らませていただいている部分が多いんですよね。というのも“小説家になろう”で初期から読んでいるくらい、中西監督が原作の古参ファンでして。

 原作の理解度が高く『陰実』ファンが求めているものを出してくれるので、中西監督が想像しているもの、こうしたいと思っているものを極力叶えよう、実現させようという形で動いているところが大きいです。

竹内P:アニメ第1期の最終回だと、原作ではそこで登場しないはずのシェリーの今がチラッと描かれたりなどもありましたよね。

菊島P:そうですね。あと実はアニメの企画もスタートした当初、全何話でやるか決めていなかったんです。

 企画を進めていた当時は原作が第2巻まである状況で、中西監督とアニメーションスタジオのNexus(ネクサス)さんもまじえ「何話で作ります?」といった話をしたときに、「20話ぐらいあれば大丈夫じゃない?」となり、じゃあそれで行きましょう、と(笑)。

 下手に12話とかにして原作の面白い要素が落ちていっていってしまうぐらいなら、中西監督がやりたい話数をやってもらおうという感じでした。

――『カゲマス』ではいかがでしょうか。

竹内P:原作とアニメ、両方の面白さを出来る限り取りこぼさずにファンの方からもゲームで再現したよねと言われるように努めました。

 あと、僕が原作と向き合った一番最初に感じたのは、新しい話が早く出ないかなという飢餓感だったので、そこを補うのがユーザーニーズにもつながると思い、ストーリーやキャラクターの設定の幅を広げていっている、といったところです。

 もちろん、キャラクターの個性として、こういうときにはこういう会話をするよねといった根っこの部分は守りつつ。

 そういう意味だと、僕が読みたかったものを作らせてもらっているかな、という風には感じています。

――シーズナルイベントなど、原作のパラレルストーリー的な期間限定イベントの脚本などは、すべてエイミング側で作られているのですか?

竹内P:脚本という言い方が正しいのかわかりませんが、こういった物語を作りたいという大枠を逢沢先生や菊島さんに見ていただき、OKが出たら詳細を書いて進めていく流れになっています。

菊島P:エイミングさんはシナリオやデザインの精度が高いので、監修はもちろん行いますが、とても信頼しております。

  • ▲リゾート地で展開される期間限定イベント“黄昏のセンチメンタルサマー”。

――正史として原作やアニメを補完する“七陰列伝”と“付章”は、逢沢先生がベースを書き下ろされています。これらの物語は始めから構想があったのでしょうか?

逢沢先生:空白期間は「何かあっただろうな」くらいのフワッとしたものしかなく、形にしていったのは『カゲマス』で描くと決まってからです。

 小説っていろいろな書き方の人がいると思いますが、僕は設定やプロットを決めないタイプなんですよ。詳しいところは考えておらず、点在しているアイデアをつなげていって話を作っています。

 このやり方が“小説家になろう”にもマッチしていたように思いますね。読者の反応も見ながら、その時々のアイデアも取り入れやすいですし、今、この瞬間の面白さだけを考えて書けますから。

――“七陰列伝”と“付章”を作ることになった経緯を教えてください。

竹内P:まず“七陰列伝”を提案するきっかけになったのは、開発を進めていた当時、菊島さんからいただいたアニメを見たときです。

 七陰がシャドウの元を一時的に離れ、その後再会したときにびっくりするぐらい成長していたんですよ。夕暮れで「お別れよ」と言うシーンもすごく印象的で。

 これらの絵と、離れていたのが2年間と具体的に言ってくれていたこともあり、この期間をゲームで描いてみたいと思い“七陰列伝”を提案しました。

  • ※アニメ第1期第3話より。
  • ※『カゲマス』“七陰列伝”第1話より。

菊島P:“付章”も割と同じような感じで、竹内さん側からやりたいと思ったものをご提案いただいています。

  • ▲“付章:Interlude”ではアニメ第2期につながる物語が展開。

竹内P:許諾いただいた内容が逆に小説最新話で出ていたのを見たときは「あれ、これ拾ってくれたのかも!?」と勝手に喜んでいました。

逢沢先生:ちょくちょく拾わせていただいています。

竹内P:ありがとうございます。公式化ってゲーム側はすごく持ちづらい看板なんですよ。原作で単語を出していただくなど、逆輸入のようなことをやっていただけるのは本当にありがたいです。

菊島P:アニメにもゲームから取り入れてるものがあるんですよね。例えばとあるキャラの衣装などがそうなのですが、気づいてくれた方がいらっしゃったらうれしいです。

アニメ第2期にもリアルタイムで楽しめる施策が満載!

――『陰実』の好きなところ、魅力だなと思うところはどこですか?

逢沢先生:主人公ですね。全てにおいて主人公ありきで、彼さえいればどんな世界でも成立するような話が『陰実』の特徴だと思います。

菊島P:やっぱり私もシャドウです。彼が『陰実』の根幹を成しているというか。彼が幸せにした人もいるし、不幸せにした子もいっぱいいるなって。

竹内P:僕もお二人と同じです。『陰実』ってここが良いよねって話も散々しているし、聞かせてもらっているんですけど、そのなかで見せていただいた、中西監督が最初に書かれたメモがすごく印象的で記憶に残っています。

 シド、シャドウがいないこの世界ってすごく暗くて、重くて、苦しい世界なんだけど、彼が考えている妄想、構想で面白おかしくなっているという走り書きみたいなものがあったんですよね。それがすごくその通りだなと。

菊島P:メモ書きは中西監督がアニメの企画をやると決まったときに書かれたものなんですけど、ゲームのベースにもなっていますよね。

 世界観をこうしていきたいなどの構想が、シーンによってはイラストも入った状態で書かれてたんですよ。それがあったおかげで我々としてもイメージしやすく、方針を定めるのにも役立ちました。

 メモ書きの内容はアニメのBlu-ray第1巻の特典ブックレットにチラッと収録されているので、気になる方はぜひ買ってください(笑)。

――『陰実』関連で印象に残っていることを教えてください。

逢沢先生:昨年末のパーティーがすごかったですね!

竹内P:年末のパーティー……ああ、お疲れ様会ですね! ゲームも無事にリリースできたということで、関係各社さん集まって打ち上げをやったんですよ。逢沢先生とはその時もいろいろお話させていただきましたし、サインもすごい量書いていただきました(笑)。

菊島P:ずっとコロナ禍が続いていたのもあり、実際にゲームのスタッフさんとお会いしてご飯を食べる機会が本当に少なかったので、お疲れ様でしたと伝えられたのは嬉しかったです。

 アニメはコロナ禍だった影響でやれてないので、第2期が終わるころには第1期分も含めて盛大にやりたいです。

竹内P:僕視点ですけど、ゲームのプロジェクトが始まってからお会いした回数は片手で数えられるくらいなんですよ。

菊島P:ですよね……1回テストプレイさせていただいたのと、パーティーの時と。

竹内P:本当に機会がなくて。実はこの場もすごい貴重なんです。

菊島P:私が印象に残っていることで言うと、ゲームがリリースされる瞬間でした。ドキドキでしたね。

竹内P:そうなんですか!? アニメよりも!?

菊島P:アニメはもう自信があるって言ったら変ですけど、ゲームは門外漢でわからない部分もあったので、内容はもちろん、アニメとの連動性がどう受け入れられるのだろうといったところはすごく気にしていました。あと、いきなりメンテナンスになったらどうしよう、とか(笑)。エイミングさんが完璧な準備を整えてくれていたのですべて杞憂でしたけどね。

竹内P:僕はこの体制でやれていることが現在進行形で印象深いです。僕らゲーム開発者って、原作者さんとお会いできることがまずないんですよ。

 そこを菊島さんが開いてくださったおかげで逢沢先生が考えているもの、大事にしているものをダイレクトに聞けました。菊島さんの度量というか、裁量が成功を生んだ1つの要因なんだろうなという風に感じています。

――あまり直接会って話す機会がないとのことでしたので、聞きたいこと、伝えておきたいことなどがあればお願いいたします。

竹内P:ではせっかくなので……。書籍化のオファーはいつ頃から、どのぐらいの出版社さんから来ていたんですか?

逢沢先生:だいたい日間ランキングに載って1週間以内でしたね。具体的なところは伏せますが、複数の出版社からお声がけいただきました。

竹内P:そのなかでどうしてKADOKAWAさんを選ばれたんでしょう?

逢沢先生:やっぱり大手だという点と、お話をくださった出版社さん全員に「もし『陰実』を修正するとしたらどこにしましょうか?」という質問をして、一番しっくりきた回答をいただいたのがKADOKAWAの編集者だったんです。

 きちんと『陰実』を見てくれているなと思いましたし、感性が合っていないと互いにやりたいことがズレていってしまうと感じていたので、自分とは違う意見だけどわかる、理屈ではなく感覚的に理解できる、と思えるかどうかは重視しました。

竹内P:ありがとうございます。いやぁすごいですね……。連載開始から1週間とか、そんな時期から動かれている出版社さんもですけど、逢沢先生の判断の早さにも驚かされます。僕にはきっとできないだろうなぁ(笑)。

――菊島さんはいかがですか?

菊島P:私は推しキャラがシェリーなので、彼女のファンを代表して「シェリーを出してください!」というのをお伝えさせていただきます(笑)。

逢沢先生:あれだけ大きな伏線を張っておいて、出さずに終わることはないと思います。ただ、それがいつになるかはお約束できません(笑)。

菊島P:いやそれでも安心しました。待っています。

  • ※アニメ第1期第7話より。

――10月4日からアニメ『陰実』のシーズン2がついに始まります。今の心境をお聞かせください。

逢沢先生:僕としてはもう割とフラットいうか、電車がレールに乗って走っている感じなので、ただただ楽しみに放送開始を待っています。

 第1期は初めての体験ばかりで何もわからず、山を登った先に崖があったりするんじゃないかと心配もしていましたが、今はもう全然安心して放送開始を待っています。

菊島P:バタバタしていますが、社内外の関係者の皆様のお力添えもあって準備は順調にできているので、あとは放送を待つ、という感じですね。

 ちなみに第2期は第1期でシリーズ構成を担当されていた加藤還一さんが全話脚本を書き、中西監督が全話絵コンテを切られているので、第1期以上に密度の濃い『陰実』を楽しんでいただけると思います。

――『カゲマス』の今後の展開をお教えください。

竹内P:第1期のときもやった手法ではありますが、アニメを見てリアルタイムにゲームも楽しんでもらえる施策を用意しています。

 オンラインエンターテインメントと言いますか、ゲームとリアルをつなぎ、『陰実』ファンの方が「あそこのゲーム面白いことやっているな」という熱量を感じてもらえるようなことを実現していきたいですね。

 もちろん期間限定イベントや“付章”はこれからも続けて展開していきます。

 また、9月21日にはいつも『陰実』『カゲマス』を応援してくださっている、ホロライブの桃鈴ねねさんを登場させていただきました。

 本日9月29日の20時から実施する生放送でも、スペシャルな新情報を発表予定です。ぜひリアルタイムでチェックしてください。

――最後に読者、『陰実』ファンの方々に向けてメッセージをお願いいたします。

菊島P:第1期放送中、放送後にたくさんの応援や第2期を望む声をいただき、大変感謝しております。

 みなさんからの声を裏切らないよう制作を続けていますし、中西監督をはじめNexusさんが素晴らしいアニメを作ってくださっているので、期待してお待ちいただければと思います。

 いろいろなサプライズも用意していますので、ぜひリアルタイムでご視聴ください!

竹内P:いつも『カゲマス』をプレイして応援してくださっている方、ありがとうございます。

 重複にはなりますが、アニメの放送に合わせてゲームも一緒に楽しんでいただき、アニメ×ゲームの乗算効果をどう生み出すかを一生懸命考えつつ、ゲームだからできる展開をお届けしていきたいと考えています。

逢沢先生:ファンの方々には感謝しかありません。僕は元々飽き性で10万字以上書いたことがなかったような人間ですし、エネルギーもすぐに使い切ってしまうので、ここまで続けられているのは応援してくださっているみなさんのおかげです。本当にありがとうございます。

 この恩を返せるよう、10月30日に発売予定の新刊 第6巻もすごく力を入れて書かせてもらったので、10月4日から放送されるアニメ、10月24日に発売されるコミックスと合わせて楽しんでいただけると幸いです。

■陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン

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