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『スターオーシャン セカンドストーリー R(SO2R)』試遊レポート。爽快感マシマシの新要素はシリーズファンの目にどう映る?

タダツグ
公開日時

 11月2日に発売予定となるSwitch、PS4/PS5、PC(Steam ※)用RPG『スターオーシャン セカンドストーリー R(以下、SO2R)』。往年の名作が新たな要素を盛り込んでリメイクされるということで、気になって夜しか眠れないファンも少なくないと思います。

(※)Steam版は11月3日発売予定。

 今回は、東京ゲームショウ2023に出展される試遊プレイ用ROMを遊んでみてのレポート記事をお届け。イチシリーズファンでもある、わたくしことゲームライターのタダツグが、実際に遊んでみて感じたアレコレを忖度抜きでしたためていこうと思います。ぜひ最後までお付き合いください。

 なお、遊ばせていただいたのはPS5版で、プレイの模様は動画でも収録してあります。順番としては、まず動画をご覧いただいてから記事をお読みいただければ、新要素などの理解も早いかと思いますのでご参考までに。

 ということで、触ってきました『SO2R』。遊んでみて最初に心に思い浮かんだ言葉、それは……「1998年から25年の時を経て、令和の時代にこの『SO2』をリメイクしてくれてありがとうございます」という感謝の気持ち。しかも、ご丁寧にしっかり現代のゲーム性にアジャストさせてくれていて……よくぞこれだけのものを! と感動してしまいました。

 すでに動画をご覧いただけていることを前提に、ポイントを絞って解説していきましょう。

『SO2R』のココが好き! その1:ピクセルアートのドット絵と3Dグラフィックが融合したことで実現したエモさ爆発の世界観

 まず、ゲームを起動して最初に引き込まれたのはビジュアル面でした。独自の技術でキャラクターをピクセルアートのドット絵で動かしつつ、背景やエフェクトなどを3Dグラフィックで表現する……テキストに書くのは簡単だけど、まったく温度感が異なる両者をものの見事に融合させているこの技術は脅威ですよ。


 僕はドット絵だけが持つ温もりってやつを信じていて。これはどんなに3DのCGが進化しても決してたどり着けない境地だと思うんですよね。リアルさを追求する3DCGとは一線を画した方向性だから、当たり前っちゃあ当たり前ですが、このビジュアル表現は懐かしさもありながら一周回って新しさも感じられて、僕は一瞬で虜になってしまいました。

 レナの勝利ポーズとか、ダメージを受けたクロードの表情とか、親の顔よりよく見たって人も多いと思うんですけど。本作ではこれをしっかり現代のドット絵技術でより美しく再現しているんだからすごい。素晴らしい。

  • ▲大きく手を広げるレナの勝利ポーズ、個人的にお気に入りなんですよね。

『SO2R』のココが好き! その2:“ブレイク”や“アサルトアクション”などの新要素を盛り込んで進化したバトルシステム

 バトルシステムに大きなテコ入れをしている点も、見逃せない部分です。正直、これはめちゃくちゃ勇気が必要だったと思うんですよね。というのも、『SO2』って『スターオーシャン』シリーズのなかでもとりわけ人気が高いというか、熱狂的なファンが多い作品なわけじゃないですか。ある意味、25年という時の流れのなかで神格化されているといってもいいわけで、ヘタに新要素などを入れようものなら、ファンにとって“これじゃない感”が出てしまう可能性もあるわけです。

 実際、本作のバトルシステムは大きな変化をとげているので、一部のファンには「違うんだよな……」って思う方もおられるかもしれません。たぶん、それはこの『SO2R』の開発スタッフだって理解しているハズ。それでも! ゲームの端々から

「あえて新しい要素を盛り込んで令和ならではの『SO2』を作りたい!」

 という開発スタッフの熱い想いが感じられるんですよね。その意気込みやよし、と僕は全面的に肯定したいと思います。

 なんといってもこの新しいバトルシステム。遊んでいておもしろいんですよ! いくら新しかろうが、それが本作のゲーム性を下方修正させているとしたら、僕だっていい気持ちはしません。その点、この『SO2R』のバトルはしっかり進化していて、それでいて原作の手触りも残っているという離れワザをみせてくれています。……いや、言うても40分ほどしか遊べていないし、ちょっとホメ過ぎか? でも、僕は本当にそう感じたんですよね。少なくとも、40分のプレイでその匂いは嗅ぎ取れた気がしています。

  • ▲ちなみに、本作はランダムエンカウントではなくシンボルエンカウントに生まれ変わりました。影のような敵のシルエットに触れることでバトルフィールドに移行します。

 特筆すべきは“ブレイク”という戦略要素の追加。詳細は動画をご覧いただきたいのですが、端的にいえば“敵のシールド値を削りきることで相手を一定時間無防備にできる”のがこの新システムの特徴です。ザコとのバトルではそこまで考えすぎなくてもよさそうな反面、いわゆるボスといった強敵との戦いでは必須となりそうな予感がしました。


  • ▲敵の頭上にある4つのアイコンがシールド値。これをすべて削りきるとブレイクが発生し、一定時間相手を行動不能にすることが可能!

 クロードやレナといった操作キャラたちの必殺技や紋章術(魔法)には、“与ダメージこそ低いもののシールド値を削りやすい技”なんかが用意されています。一方で、“シールド値はほぼ削れないものの、大ダメージを狙える技”も存在していて。つまるところ、ボス敵とのバトルでは“特定の技でまずは相手をブレイク”→“その後、大ダメージを狙える技をたたきこむ”のがセオリーになりそうです。

  • ▲ただただ使いやすい技をひたすら連発していた従来の『SO2』(まぁ、それが楽しかったんだけど……笑)とは、方向性や戦略性がちょっと変わった印象。これが楽しい!

 なお、いわゆる“ブレイク特化”の必殺技はクロードの“兜割”などが該当します。触ってみて気づいたときは、思わず「今回の開発陣、わかってますねえ!」と口にしてしまいました(偉そうでごめんなさい!)。だって、当時みんな多用してましたよね、“兜割”。その技を今回も連発することになるわけですよ。おかげで根底のプレイフィールというか、手触り自体は『SO2』を踏襲できているわけで。それが単純にうれしかったんですよね、僕は。

  • ▲リーダーエネミーをブレイクすることで“ブレイクエフェクト”が発生。周辺のザコエネミーも同時にスタンさせられるのが最高に気持ちいいです。たぶん、みなさんも狙っていきたくなると思いますよ、この気持ちよさはね!

 ……どうしても旧来のファンに目線を合わせてしまうのですが、この“ブレイク”を織り交ぜたバトルは、過去作を遊んでいない新規プレイヤーにもしっかり刺さるんじゃないかと思っています。ただ単純にボタンを連打するだけではなく、ボタンを押すことに意味や戦略性が盛り込まれている。たくさんのゲームにいくらでも触れる機会がある現代のゲーマーにとっては、むしろなくてはならない要素だとすら思います。「この『SO』というゲーム自体の裾野を広げよう」という意志を汲み取れますし、イチファンとしては僕はこの方向性を支持したいなって思いました。

  • ▲×ボタンで繰り出せるバックステップでの緊急回避“ジャストカウンター”。敵の攻撃をジャストカウンターできればエフェクトが発生して敵の背後に回り込めるほか、MPが回復するメリットも。

 バトルメンバーに入っていない仲間が“アサルトアクション”で活躍してくれるのもいい感じです。ゲームを遊んでいるとパーティが固定化してしまう人も少なくないと思いますが、控えに回ってしまう仲間にも日の目を当ててあげたいですもんね。その点、ゲージさえたまっていればいつでも発動できるアサルトアクションはとても便利。個人的には、回復役として常にレナの背後に隠れがちだったノエルが、めちゃくちゃ輝くことになるのではないかと踏んでいます。

  • ▲アサルトアクションの追加で、戦闘がよりワチャワチャとにぎやかになったのも個人的に好きな部分。

 ちなみに本作では、戦闘を止めるカットインを伴う紋章術(例:レオンの“シャドウフレア”など)において、演出をスキップすることも可能になりました。必殺技や紋章術はエフェクトも現在の技術で強化されていてカッコいいんですけど、どうしても戦闘のテンポを崩しがちですから……。スキップの追加は英断だと思いましたね。正直、僕も何度か見た演出はスキップしてしまいそう(現代のゲーマーは時間がないから……汗)。

  • ▲ボタンひとつでスキップできてしまうので、テンポ感のアップ+戦闘時間の短縮につながります。まあ、この大仰な演出やド派手なエフェクトこそが『SO』の真骨頂でもあるのですが。ちゃんと見たい人はスキップを使わないという選択もアリかも!

『SO2R』のココが好き! その3:バンドサウンドにアレンジされたバトル曲がアツすぎ! 桜庭統氏の新曲にも期待が高まる

 アクションRPGのサウンドといえばこの人! そんな領域まで達しておられるコンポーザーの桜庭統氏。今回、そんな桜庭氏による描き下ろしの新曲があることも明かされています。もちろんこちらにも期待が高まるわけですが、個人的には通常バトルのBGMである“Stab the Sword of Justice”がめちゃくちゃカッコよくアレンジされていてシビれました。惚れ直すとはまさにこのこと。

 『SO2R』は、このバトル曲をはじめとするいくつかの楽曲が他ならぬ桜庭氏によってバンドサウンドにアレンジされて演奏されているそうです。僕ももちろんまだすべてを聴いたわけではありませんので、はたしてどの曲がどんなアレンジを施されているのか今から気になって仕方ないです。

 サウンドのカッコよさこそ、僕ごときのテキストを読むより実際に動画で確認を……と言いたいところですが、今回の動画はコメンタリー形式にしてしまったので、イマイチ伝わりづらい部分があったらごめんなさい……。よろしければ、公式さんのPVなどをご覧いただき、情報を補完していただければと思います。

 ということで、『SO2R』のTGS2023試遊バージョンを遊んでみてのレポートでした。仕様的にバトルシステム重視のレポートになりましたが、RPGファンの皆さんが気になっている最たる部分のひとつがバトルシステムだとも思うので、動画を含め、少しでも参考になったのならうれしいです。

 個人的には、最新のナンバリングである『スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE』や、スマホアプリで人気を博した『スターオーシャン:アナムネシス』へのリスペクトも感じる、じつにいい具合のハイスピードバトルに仕上がっていると感じています。

 その一方、バトルの密度が上がったことで、難易度調整やゲームボリュームの調整もたいへんになっているんだろうなと想像もしていて。せっかくおもしろいシステムになっているので、よりよいバランスに仕上げてもらえればうれしいです。ストーリーもしっかり楽しみたい派の僕としては、ひたすらバトル一辺倒になるようなバランスはこってり過ぎてすぐにお腹いっぱいになっちゃうかもしれませんからね。そこらへんも含めて、製品版にも期待しています。

 とにもかくにも、試遊バージョンをプレイすることで発売日がさらに楽しみとなったこの『SO2R』。体験版も用意されていますし、記事を読んで気になった方はぜひプレイしてみてほしいと思います。きっと新しい体験が待ち受けていると思いますのでね。それでは、今回はこのへんで!


(C) 1998, 2023 SQUARE ENIX Original version developed by tri-Ace Inc.

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