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『FF7リバース』開発者インタビュー。最も意識したのは“選択の自由度”! リメイク第2作に秘められた旅の魅力をひも解く

スズタク
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 スクウェア・エニックスより2024年2月29日発売予定のPS5用RPG『FINAL FANTASY VII REBIRTH(ファイナルファンタジーVII リバース)』。その開発者インタビューを掲載します。

 本作は『FFVII』のリメイクプロジェクト3部作の第2作。前作『FFVII REMAKE』でミッドガルを脱出したクラウドたちの旅の続きが描かれ、オリジナル版における忘らるる都までのストーリーが収録されています。

 インタビューのお相手はプロデューサーの北瀬佳範氏、クリエイティブ・ディレクターの野村哲也氏、ディレクターの浜口直樹氏の3名。「前作からの引き継ぎは?」「ゴールドソーサーの規模感は?」など、ユーザーの多くが疑問に思っているであろう点をうかがいます!


【北瀬 佳範(きたせ よしのり)】
『FFVII REBIRTH』プロデューサー。『FF』シリーズには『FFV』から参加し、『FFVI』で初のディレクターを務める。以降、多数のシリーズ作でディレクターやプロデューサーとして制作を統括。

【野村 哲也(のむら てつや)】
『FFVII REBIRTH』クリエイティブ・ディレクター。『FF』シリーズには『FFV』から参加し、『FFVII』ではキャラクターデザインを担当する。『FFVII REMAKE』ではディレクターとして参加。

【浜口 直樹(はまぐち なおき)】
『FFVII REBIRTH』ディレクター。『FFXII』制作にプログラマーとして参加し、その後『FFXIII』シリーズ、『メビウスFF』など数々の制作に携わる。『FFVII REMAKE』では協同ディレクターとしてチームを牽引。


 なお、電撃オンラインではTGS2023に出展されたプレイアブルデモの試遊レポートや、動画記事も公開中。ぜひ、こちらもあわせてチェックしてみてください!

■【FFVII リバース】プレイアブルデモ紹介(クラウド回想編)『ファイナルファンタジーVII リバース』

■【FFVII リバース】プレイアブルデモ紹介(ジュノンエリア探索編)『ファイナルファンタジーVII リバース』

※記事内の画像はプレイアブルデモから撮影したものであり、製品版とは異なる場合があります。

物語は“忘らるる都での出来事が終わる”まで! 前作からのデータ引継ぎは考えていない

――『FFVII REBIRTH』では新たに浜口さんがディレクターを務めていますが、ディレクターをまかされたときの心境はいかがでしたか?

浜口直樹(以下、敬称略):もともと『FFVII REMAKE』でCOディレクターとして開発に携わっていたので、『FFVII REBIRTH』でディレクターになっても特別大きな感情があったわけではありませんね。

 ただ、ユーザーさんに受け入れてもらった1作目を踏まえたうえで、今回はさらにワールドマップといった要素も入れていく必要がありました。そこをみなさんが期待するものにきちんと仕上げなくては、という使命感というか覚悟のようなものは感じていました。

野村哲也(以下、敬称略):1作毎に白紙から作るのではなく、1作目の段階で完結まで全体の構成も決めて、そこに向けて制作は進んでいるし、実際にどういうゲームになるかも示せているので。とは言え、自分のやってることは1作目から大きくは変わっていません。あと、浜口はリメイクプロジェクトがスタートした当初からずっと一緒にやってきているので、自分がどういう物を作ろうとしているのか把握してくれていると思います。

北瀬佳範(以下、敬称略):近年、『クライシスコア FFVIIR』やサービスが開始したばかりの『FFVII エバークライシス』など、リメイク以外にも『FFVII』の関連作品が広がっています。野村にはそれらの作品も俯瞰し、セブンユニバースをコントロールしてもらいたかったので、浜口と役割分担をした形です。

――そのほかの例えばストーリーの野島一成さん、シナリオデザインの鳥山求さん、前作で音楽を手掛けた複数の作曲家の方々なども引き続き担当しているのでしょうか?

浜口:そのあたりの構成も変わっていません。

――『FFVII REBIRTH』では、オリジナル版における忘らるる都までのストーリーが描かれる、ということも発表されましたね。

野村:分作形式である以上、そこはおそらくユーザーさんが一番気にしているところかと思うので、前作のように事前に発表することにしました。

 ただ、これは以前のインタビューでも触れましたが、ロケーションを訪れる順序はオリジナル版から変わっている部分があります。

 例えば今作では、本来忘らるる都の前に行くはずだったロケーションがなかったりしているのですが、これは完全になくなったわけではなく、あくまで順序が変わって次回作に移しているだけです。

――念のため確認しておきたいのですが、忘らるる都までというのは“忘らるる都で起きる出来事が終わる”までという解釈でOKですか……?

野村:合ってます。忘らるる都に到着して終わりとかではありません。

――ちなみに、前作で育てたキャラクターや入手した装備・マテリアはどうなりますか?

浜口:ここはいろいろ意見があると思うのですが、結論から言うと引き継ぎなどはありません。リメイクプロジェクト3部作はストーリーがつながっているのが大事なポイントですが、それと同時に各作品が1本の独立したゲームにするということも重視しています。

 基本的には1本のタイトルごとにゲームバランスを整えているので、前作から何か大きなものを丸ごと引き継ぐことは考えていません。

 ただ、前作を遊んでくれてセーブデータを持っている方には、召喚マテリアなど含めて一部のアイテムを持っていけるようなオプションは用意しています。前作プレイヤーに何もメリットがないわけではありません!

――『FFVII REBIRTH』のあとに出る3作目でも、きっとこの方式を採用するんですよね?

浜口:おそらくそうなります。引き継ぎありなしでゲームバランスが大きく変わるのは好ましくありませんから。

広大な大陸と海のすべてがシームレスにつながったワールドマップ

――TGS2023にはプレイアブルデモ2種も出展されましたが、試遊を2バージョン用意した意図とは?

浜口:まず本作の売りであるワールドマップを体感してもらうためにも、フィールド探索主体の試遊は外せませんでした。ここはいくらPVで見せても説得力が生まれないので、実際に触っていただいて広がりを感じてもらうのが一番だと。

 ただ、そうするとストーリーをメインにプレイしたい層の方には密度が下がりがちになってしまうので、ストーリーはストーリーである程度楽しめるバージョンも用意することにしました。

 たぶん試遊時間を考えると片方のバージョンのプレイだけで終わってしまうと思いますが、そこはSNS含めた情報交換や、各メディアさんの記事などで情報を確認してもらえるとうれしいです。今回はとにかくゲームの幅の広さをお伝えしたくて、このように試遊を2バージョン準備しました。

――実際に試遊をしてみてまず気になったのがフィールド移動時の“パルクール”なのですが、これはどういうアクションですか?

浜口:崖などの地形を軽快に移動するアクションですね。パルクールはフィールド移動時に○ボタンで行えますが、常にボタンを押し続ける必要はなく、ダッシュ時はオートパルクールになります。

 今作もフィールドはかなり広く、きっと大半のプレイヤーはほぼダッシュで移動すると思うので、パルクールの入力はそこまで意識しなくても大丈夫です。

――本作のワールドマップは、エリア単位の広い空間で構成されているのでしょうか? それともオープンワールド形式ですか?

浜口:オープンワールドの定義が何を指すのかによりますが、本作は西・東・北の大陸と中央の海がすべてひとつの空間としてシームレスにつながっています。

 エリア単位の大きな塊というのはありますが、それを結ぶ海も含めてマップ切り替えなしで任意に移動可能です。また、ゲーム進行に合わせていける範囲が広がっていくデザインになっており、ゲーム後半には海を移動することも可能になります。原作をプレイされている方には、何で移動するのかは伝わるかと思います(笑)

野村:オープンワールドと呼称すると、最初からどこでも自由に行き来できる印象が強いですが、原作ではストーリーの進行に応じて世界が拡がり、自由度が増して行き、最終的には自由にどこでも行き来できる、という形式でした。今作も基本的にはそれを踏襲しています。

――ジュノンエリアを探索するバージョンでは、試遊の範囲だけでも相当な広さが感じられました。

浜口:あそこも今回の試遊用にほんの一部を切り出しただけなので、本物のジュノンエリアはもっともっと広大です。

――ジュノンエリア探索編ではあらかじめ3つのパーティセットで固定されていたので、製品版では好きなメンバーによるパーティ編成も醍醐味となりそうです。

浜口:製品版ではもちろん自由な編成が可能です。今回の限られた試遊時間のなかで、メンバーも装備もマテリアも全部イジれるようにするとあっという間に時間が過ぎてしまうため、それなりに戦えるプリセットを設定させてもらいました。

 クラウドの回想編のほうは難易度をだいぶ易しくしているので、全体通してサクサク進めると思いますし、セフィロスの強さも十分味わえるかと。ジュノンエリア探索編はそれよりも少し歯ごたえがある難易度で、パーティセットによる戦術の違いも楽しめる設計にしています。

――『FFVII』のパーティメンバー入れ替えと聞くとオリジナルにあった“PHS”を思い出しますが、さすがに本作には……?

浜口:PHSはないですね(笑)。そもそも本作ではパーティメンバーが全員一緒に行動するので、連絡する必要もなくて。今後メンバーが増えていくと、フィールド移動時の画面がどんどんにぎやかになってなかなか壮観ですよ。

――公開された新トレーラーではケット・シーの参戦も確認できましたが、残るシドとヴィンセントについては本作でどういう扱いになりますか?

野村:事前にお伝えしておくと、シドとヴィンセントに関しては『FFVII REMAKE』のレッドXIIIに近い扱いとなります。

――キャラクター絡みでお聞きしておきたいのですが、バレットの声優がこれまで担当されていた小林正寛さんから船木まひとさんに変更となったのはなぜでしょうか?

野村:とても残念ですが、小林さんご本人の事情になります。今は演じる世界の世界から身を引いているため、今回は新たに船木さんにバレット像をしっかり引き継いでもらいました。

――もう一点、ユーザーがどうしても気になっているのがレノの存在だと思います。藤原啓治さんが演じていたレノは、『FFVII REBIRTH』ではどうなるのでしょうか?

野村:今作のレノは藤原さんのままになります。『FFVII REBIRTH』の収録を行う少し前に訃報が入りまして、すぐに代役を立てるという気持ちには切り替えられませんでした。そのため、過去に録っていた藤原さんのボイスを使って、今作までは藤原さんのレノでいかせてほしいとシナリオ班に頼み、調整してもらいました。ファンの方々、特に海外のファンの方々には申し訳ないのですが、今作はレノの出番が少なくなっています。次回作では新たなキャストで、レノの活躍も増える予定です。

ゴールドソーサーで夢中になったミニゲームの数々がリメイクで復活!!

――ゲームの基本的な作りは『FFVII REMAKE』がベースになっていますが、システム的に前作から一番変わったのはどんなところですか?

浜口:一番意識して変えたのは選択の自由度でしょうか。前作はシナリオ主体のゲーム進行だったので、先に進むと前のロケーションのクエストを受けられなくなるといったこともありました。ですが、今回はどれだけメインストーリーを進めても、例えば最初の街のカームのクエストをいつでも受けられるようになっています。

 プレイヤーがゲームを起動して「どこから始めようか」と考えた際に、メイン進行を必須にするのではなく、ほかの要素を遊んでもいいという選択の自由があります。メインストーリーを進めるときも自分の意思で選んでプレイするので、全体的に“やらされている感”はすごく軽減されていると思います。

――前作にあった武器強化システムは試遊では見当たりませんでしたが、こちらについては?

浜口:武器の強化自体はありますが、ちょっと形を変えています。前作では武器ごとにスキルツリーがありましたが、当初そのままの仕様で試作してみたら、今作はパーティメンバーが多いこともあって非常にゴチャゴチャしてしまいました。

 プレイヤー目線で見ると強化の作業感も目立ったので、武器強化のシステムはシンプルに作り直しています。スキルツリー要素は別途キャラクターにひもづいたものを用意していて、どの項目を成長させるかという選択の遊びは残っています。

 試遊でも体験できた連携アクションや連携アビリティなどは、キャラクターごとのスキルツリーで習得できるようになっています。

――連携アビリティは連携ゲージがたまらないと使えないことを考えると、リミット技のような奥の手に近い位置づけなのでしょうか?

浜口:イメージとしてはそうですね。連携アビリティに必要な連携ゲージはATBゲージを消費するほどたまっていくので、こまめに操作キャラクターを変更してコマンドを実行しないとなかなか連携アビリティは使えません。

 リミット技も連携アビリティもいわゆる“BOM”のような位置づけですが、リミット技は攻撃を食らってピンチになるほど使える頻度が増えるのに対し、連携アビリティはキャラクター切り替えを駆使してアグレッシブに戦うほど頻繁に使えるという違いがあります。

――新トレーラーでは、ゴールドソーサーの存在がとくに目を引いたと思います。本作のゴールドソーサーの作り込みや規模感がどれくらいなのか、可能な範囲で教えてください。

浜口:あの世界の最大のエンタメ施設であるゴールドソーサーは、ショーやミニゲームが盛り込まれたとても華やかなロケーションとなっています。

 当時オリジナル版で夢中になったファンが、ゴールドソーサーのリメイクに期待を寄せているのも理解しています。新トレーラーでチョコボレースや3Dバトラーなどをお見せしましたが、基本的にはオリジナル版にあったミニゲームはリメイクで復活させています。

 ただ、そのミニゲームのすべてがゴールドソーサー内にあるわけではなく、解釈を変えてワールドマップの遊び要素として移しているものもあります。

野村:オリジナル版のゴールドソーサーのミニゲームのなかには、ロケーションにひもづいたものもありました。『FFVII REBIRTH』であの世界の全ロケーションが登場するわけではないので、ロケーションに関連したミニゲームは今作ではまだ登場しないものもあります。もちろん、そうしたものは3作目のほうで登場します。それでも今作のミニゲームのボリュームも、充分満足していただけると思います。

北瀬:ゴールドソーサー内に限らずですが、今回はミニゲームが数多く山ほど詰め込まれています。アクション型のミニゲームだけでなく思考型のものもあって、前作以上に幅広い遊びを体験できると思います。

――最後にTGSに出展されている試遊の見どころや発売を楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。

北瀬:リメイク3部作の2作目となる『FFVII REBIRTH』ですが、前作から続くストーリーがどんな展開を迎えるのか、楽しみにお待ちいただければと思います。

 ゲーム中には前作の物語のダイジェストが入っていたり、前作とのバンドル版も発売されたりと、『FFVII REMAKE』未プレイの人へのサポートも行っています。これを機に、新規の方もリメイク作品の世界に飛び込んでみてください。

浜口:今回のTGSでは、テーマの異なる試遊を2つご用意しました。ジュノンエリア探索編では、チョコボに乗って広い世界を駆けめぐりつつ多彩な遊びも体験できます。みなさんが期待していたワールドマップ探索の片鱗をしっかり味わえると思います。

 クラウド回想編ではあのセフィロスを操作でき、5年前の物語の一部も見られます。どちらのバージョンも違った魅力が込められていますので、会場にお越しの方はぜひ試遊していただければと!

野村:発売日も発表して一安心ではありますが、これから発売日まで突っ走り、そのまま3作目へと向かいます。もし良ければ、『FFVII エバークライシス』も好評ですので、是非遊んでみてください。

 TGSの会場では、可能な限り試遊台を用意していますが、もし会場で遊べなかった場合は申し訳ありません。9月23日には浜口が新映像を流しながらゲーム紹介するステージもあるので、試遊だけでなくこちらもチェックしてもらえるとありがたいです。

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スズタク:RPGとアクションをこよなく愛するライター。近年、シミュレーションRPGのおもしろさに気づき始める。


※記事内の画像はプレイアブルデモから撮影したものであり、製品版とは異なる場合があります。
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