【オクトパストラベラー朗読劇:逢魔編 鑑賞レポート】『オクトラ』ファンでよかった…迫力の生演奏と旅人たちの掛け合いに涙

ことめぐ
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 スクウェア・エニックスのRPG『オクトパストラベラー』シリーズの5周年を記念して、9月9日(土)~10日(日)の2日間に渡って開催されたシリーズ初の朗読劇“OCTOPATH TRAVELER ~5th Anniversary Reading Live Stage~”。

 この記事では『オクトラ』シリーズが大好きな筆者・ことめぐが、1日目となる“逢魔(おうま)編”のレポートをお届けします!

 なお、記事内に掲載している一部の写真は2日目公演のものを使用しています。あらかじめご了承ください。

会場に入った瞬間の光景に驚き! “世界観”を感じさせる細やかな作り込み

 これまでも、コラボカフェなどの参加型イベントにはすべて参加してきた筆者としては、絶対に見逃せない催しだった今回の朗読劇。イチ『オクトラ』ファンとして、取材におうかがいさせていただけてとても光栄でした。

 思えば、シリーズ処女作の『オクトパストラベラー』を体験版からプレイし、スマホアプリの『オクトパストラベラー 大陸の覇者』、そして今年の2月に発売された『オクトパストラベラーII』に至るまで、常に私を夢中にさせてきてくれた本シリーズ。

 ゲームと声優さんが大好きな私は、ボイスが付いているゲームにハマると必ず「このキャラクターのこのセリフをいつか生で聞きたい!」と思ってしまうのですが。今回の朗読劇は、本当に待望にして感動のイベントでした。

  • ▲朗読劇の会場となった“ヒューリックホール東京”。何度か足を運んだこともあり、個人的になじみの深い場所でもあるため、ここで『オクトラ』のイベントが開催されたことがとてもうれしかったです(泣)。

 ロビーに入ると階段の踊り場にあるプロジェクターで、ゲームを起動した時に流れるオープニング映像がファンをお出迎え。見ただけで一気にテンションが上がりました。

 映し出される懐かしの映像を、多くのファンの方々が撮影していたのが印象的でしたね。

 ホールの中に入ると、オルステラの大地を吹き抜ける風の音、そして旅人たちの憩いの場である酒場のガヤガヤとした喧騒が音響として流れていて、雰囲気よし!

 正直なところ、シンプルにBGMが流れているくらいだろうと思い込んでいた自分としては、この演出にいきなりびっくり。開演前からすでに、世界観が構築されている……。こんなところにまで『オクトラ』チームのこだわりが感じられて、気持ちが高揚しました。

 ステージ上のセットには「これはゲームの中から持ってきたの!?」と錯覚するような小道具たちがズラリ。オルステラの世界を感じさせる椅子や譜面台、いかにも酒場なタルなどが置かれており、視覚からも聴覚からも『オクトラ』の世界に浸ることができたんですよね。

 正直、開演前からテンションMAXになりました。あえて『オクトラ』的に言うなら、ブーストMAXってところですね。

 このままのテンションで進むのかと思いきや、開演時間直前になるとにぎやかだった客席が急にしんっと静かに……。誰ひとりしゃべらない状態で流れる環境音に一体感を感じ、「今からみんなで『オクトラ』の世界に飛び込むんだ……」と胸がドキドキ高鳴りました。

 暗くなったステージに現れたのは、朗読劇を盛り上げる“キャットリン音楽隊”のみなさん。ヴァイオリンはAyasaさん、チェロは髙月怜さん、サックス&シンセリードは中村有里さん、ピアノは紅維流星さんで、全員がかわいらしい猫耳のアクセをつけていてニッコリしました。

 演奏が始まると、ゲームの映像がスクリーンに映し出されることに。オルステラの海、平原、雪山、森。崖と谷の合間を抜けると川、砂漠、高山地帯へ。そして最後には大きな扉の前へと辿り着きました。

 会場にいるみなさんは、町の中をじっくりゆっくりと進む映像を見つめ、トラベラーたちの旅に想いを馳せている様子でした。

 旅の始まりを告げるのは、やっぱり“メインテーマ”。グッと気持ちが高まったところで、客席後方から白色の明かりを灯したランタンを持ったメインキャストのみなさんがついにご入場です。

 この演出には思わず鳥肌が……。1日目で語られる“逢魔編”を演じる6人の声優陣が、手元の灯りを頼りに、ゆっくりとステージへ向かっていきました。

 それぞれがステージに上がると、演じているキャラクター名とドット絵の映像に合わせて、キャラクターのポーズを披露してくれたのが最高でしたね。

朗読劇“逢魔編”感想:不思議な少年との出会いが旅人たちにもたらしたものとは……?

 ここからは、公式サイトの情報をベースに“逢魔編”の物語について解説していきましょう。

 なお、この朗読劇は後日、映像作品としてリリースされることも決定しています。記事では革新についてこそ触れないものの、ストーリーについての感想も語らせていただききますので、ネタバレが気になる方はご注意ください。

■あらすじ

 様々な試練を乗り越えてきた旅人たちは、踊子プリムロゼのためにハイランド地方のエバーホルドに向かっていた。

 しかしその途中で道に迷い、谷間の集落に滞在することに。

 するとその晩、商人トレサはエミリオと名乗る奇妙な少年の声を聞く。

 その声は村外れの洞窟に来て欲しいとトレサに懇願するが、実はその村にはとある不吉な噂が立っており……。

■出演者
トレサ:青木瑠璃子
オルベリク:小西克幸
プリムロゼ:桑島法子
アーフェン:関智一
テリオン:松岡禎丞
ハンイット:甲斐田裕子

(※)ボイスのみの出演……オフィーリア:茅野愛衣、サイラス:梅原裕一郎

■朗読劇オリジナルキャスト
エミリオ:松永あかね
村長:星野佑典
バロガー:大泊貴揮

 朗読劇の物語は、遣いガラスによって学者であるサイラスからの手紙が届くところから始まります。その内容は、ハイランド地方の街・エバーホルドの宿屋に、この手紙を届けて欲しいというものでした。

 ここでシーンは夕暮れの山道へ。現れたのは、盗賊のテリオン、薬師のアーフェン、踊り子のプリムロゼ、そして商人のトレサ。エバーホルドを目指して山を登っていく彼らですが、どうやら道に迷ってしまっているようです。

 後ろのスクリーンでは、ドット絵のかわいらしいサイラス先生が、ちょこちょこと歩きながら4人を紹介してくれたのが印象的でした。

 なお、狩人のハンイットと剣士のオルベリクはサンランド方面へ別行動中とのこと。テリオンとトレサがケンカしたり、それをアーフェンがなだめたりと、いかにも“旅”を感じさせるオープニングに心をつかまれました。

 本作のアフレコは全員が集合してのものではなく、それぞれが1人ずつ録音していたということで、じつは一堂に会して声を合わせるのはこの朗読劇が初の試み。

 とはいえ、そうは思えないほどの阿吽の呼吸にはびっくりしました。4人の会話のテンポ感は絶妙というか、ゲームを遊んでイメージしていたとおりだったので、瞬時に引き込まれてしまったんですよね。

 道に迷いつつもテリオンが煙の立つ村を発見し、一行はひとまずその村で休息を取ることに。しかし、村人たちはみんな愛想が悪く、なんだか様子がおかしいようで……?

 そしてその夜、宿屋で寝ていたトレサは、不思議な少年・エミリオの声を耳にします。どうやら彼は、村のそばにある洞窟まで来てほしいようなのですが……。

 謎めいた物語に頭をひねっていると、ここでプロジェクターには神官のオフィーリアが登場(1日目は音声のみで出演)。幻想的な森のような場所にいる彼女が、やさしい天使のような声で語りかけてくる演出が。

 観客のみなさんを“キャットリンさん”と読んだり、会場の“ひゅーりっくほーる”のことを“巣穴”と読んだりと彼女の可愛らしさが爆発していて、このシーンはとても印象に残りました。

 一晩明け、トレサとアーフェンがエミリオを追って洞窟へ向かうことに。道中魔物に襲われる2人ですが、このタイミングでやってきたオルベリクとハンイットに助けられます。

 彼らは一度村へ戻り、6人の旅人が合流を果たすことに。ここで、今度はプリムロゼがエミリオの声を聞き、今度は全員で洞窟へ。そこで一行は、エミリオの願いを受け入れ、魔剣士・バロガーに挑むことになります。

 魔剣士バロガーといえば、『オクトラ』ファンにとってはなじみの深い強敵。彼を倒すことで上級ジョブである“ルーンマスター”が解放されると書けば、思い出せる方も多いのではないでしょうか。

  • ▲ゲームではバロガーを撃破することで、ルーンマスターへのジョブチェンジが可能となりました。トレサをこのジョブにつけていた方も多いのでは?(※写真はNintendo Switch版『オクトパストラベラー』より)

 ちなみに、エミリオはこの朗読劇オリジナルとなる登場人物。彼の正体について語るのは無粋だと思うのでここでは伏せますが、とにもかくにも旅人たちは、強大な力を誇るバロガーを相手に激しいバトルを繰り広げることになるわけです。

 BGMに“理を司る者”が流れる中、各々の技を繰り広げながら“弱点”を探りあてていく描写は心憎い演出。ゲームでのバトルを彷彿とさせ、臨場感は最高潮でした。

 トレサが“緊急回避”を繰り出す際におなじみの「ヒュイン」というSEが鳴ったり、技名を叫ぶと照明の色が変わったりと、朗読劇ならではの演出に魅入られます。

 無事に試練を乗り越えた一行が知ることになる真実とは……? 個人的には、ゲーム中で語られることこそなかったものの、しっかりと『オクトラ』らしい展開で納得感も高く、最後までとても楽しめました。

アフタートーク感想:朗読劇とのギャップがたまらなかったアフタートーク。パーティーチャット発表会では贅沢なフルボイスが……

 朗読パートが終了すると、先ほどまでの厳かな雰囲気から一転! アーフェン役である関さんの元気いっぱいな司会で“アフタートーク”コーナーがスタートしました。

 小西さんが「ハイ! オルベリクです!」と先ほどまで演じていたカッコいいオルベリクとはイメージが異なる元気ハツラツな姿で登場したり、桑島さんが自分の席が分からず迷子になってしまったりと(クールなプリムロゼとのギャップにキュン)、会場を沸かせてくれました。

 こういうキャラクターと声優さんのギャップが見られるコーナーは個人的にお気に入り。お話を聞くことで、キャラクターや作品への解像度も爆上がりした気がします。

 全員が席に着き、いよいよ朗読劇の感想をたっぷり聞けるのかと思いきや、出演者同士の軽妙な掛け合いがスタート(笑)。

 小西さんが「衣装が暑かったでーす!」と言うと、話題はキャラクターをイメージした衣装のお話におよぶことに。桑島さん、青木さん、甲斐田さんがクルッと回転して衣装を見せてくれたことで、会場中が拍手に包まれ、とても温かい雰囲気になりました。

 そしてみんなお待ちかねの“お気に入りパーティーチャット発表会”コーナーに突入。こちらは『オクトラ』のゲーム内でも度々出てくる旅人たちの何気ない会話を、フルボイスで楽しめるという夢のような内容です。

 なお、今回披露されるチャットは事前に“X(旧Twitter)”にて募集し、その中からいくつかをキャストのみなさんが生でアフレコしてくださいました。

 まず紹介されたのは、トレサの商人魂が光るチャット“それ買い取ります!”です。

 チャット終了後に関さんが「最近買い取ったものはありますか? または買ってもらったものは?」と青木さんに質問すると「女性声優さんから水はおごってもらいましたけど(笑)」と回答。

 そのあとは、関さんと小西さんのお話をきっかけに“おごってもらったこと”についてのトークに花が咲き、会場は爆笑の渦に(笑)。

 ほかにも、お酒好きな3人の仲睦まじい様子が描かれた“酒を飲もう”や、ハンイットの可愛らしい一面が見られる“3章テリオン&ハンイット”、“商売繁盛”、“4章プリムロゼ&ハンイット”、動物たちについて女の子たちが語る“動物たち”、最後にエアハルト戦後の印象深い“3章オルベリク&テリオン”が生アフレコで披露されました。

 もちろん、すべて最高でしたよ……。

  • (※写真はNintendo Switch版『オクトパストラベラー』より)

 にぎやかなパーティチャットコーナーのあとはグッズ紹介コーナーへ。BGM“海風を聴く街”が流れるなか、青木さんが演じるトレサが会場で物販されていたアイテムを紹介してくれるという、なんとも凝った演出に感心してしまいました。

 これには思わず財布のひもが緩んでしまったファンの方も多かったのではないでしょうか。

 そうこうしているうちに、いよいよ最後のご挨拶の時間に。

 エミリオ役の松永さんは「初めての朗読劇でとても緊張しました。こんなにステキな作品に、ステキなキャストさんと関われてすごく幸せでした」、村長役の星野さんは「この『オクトラ』の独特の世界観を、会場のみなさんと共有できて最高に幸せでした」、バロガー役の大泊さんは「大先輩のみなさんの演技に圧倒されながらも、終始楽しくできました」とコメント。

 そしてシメとして、メインキャストのみなさんが1人ずつご挨拶。

 ハンイットを演じた甲斐田さんは「久しぶりに生の舞台でお客さんの前でお芝居ができてうれしかったです」とお客様の前で朗読劇ができたことを喜ぶ表情を見せてくれました。

 テリオンを演じた松岡さんは「この『オクトパストラベラー」はとても素晴らしい作品で、きっとみなさんも即ハマられたかと思います。ドットが基調のグラフィックが懐かしい思いにさせてくれたんですよね。5年という月日が経って、朗読劇で久々にテリオンを演じられてうれしかったです」と、自身の『オクトラ』への熱い想いを語ってくれることに。

 プリムロゼ役の桑島さんは「5年経って、朗読劇があるというのはすごいなと思いながら参加させていただきました。プリムロゼは孤独な女性だと思っていましたが、今日はこんなにもステキな仲間がいることを実感できました」と、仲間と一緒に過ごせたことに感動したご様子。

 オルベリク役の小西さんは「5年経って朗読劇ができるのはすごいと思っているんですよね。(開催できたのは)応援してくれたいる方がいたからだと感じています。今後ともよろしくお願いします」と感謝を伝えてくれました。

 トレサを演じた青木さんは「HD-2Dのゲームには初めて関わったのですが、ゲーム画面を見て“どういう作品になるんだろう?”と思っていて。今日はみんなで一堂に会して、こんな風にトレサが旅をしていたんだなと感じられたことがとても楽しかったです」とコメント。

 最後にアーフェンを演じた関さんが「51歳になって体を壊すことが多くて。薬の大切さを身にしみて感じています。なので、アーフェンを身近に感じています。だから自宅で自分で薬を作れたらいいなと思ってます」と、自虐を込めつつアーフェンへの想いを語り、会場の笑いを誘いました(笑)。

 最後までとても素敵な演奏を届けてくれた音楽隊のみなさんにも、感謝してもしきれないですね。

 1日目の“逢魔編”は、謎の少年の声に導かれ、試練に挑むというお話でした。映像やSE、照明を匠に使った臨場感あふれる演出が相まって、ストーリーの引力がとてつもなかったです。とくにバトルのシーンの迫力たるや……! 技を出している時のボイスを生で聞くことができたのは、本当に、本当にうれしかったです(泣)。

 なお、1日目はサイラスとオフィーリアは音声のみでの出演ということで、どんな演出になるのか興味深かったのですが、“手紙”と“夢”を織り交ぜる凝った演出に感激してしまいました。

 全体をとおして、この5年間ずっと想像してきた旅人たちの会話のテンポ感がイメージどおりに再現されており、終始本当に気持ちよかったです。本当に想像どおりすぎて震えましたよ……。

 物語も『オクトラ』の世界観を掘り下げる内容で、1本のゲームストーリーをクリアしたかのような満足感が味わえました。

 アフタートークでのメインキャストのみなさんの仲睦まじい様子を見て、みなさんがこのキャラクターたちを演じてくださってよかったと、図々しくもイチファンとして強く思いましたね。

 本公演は2日に渡る公演で「次の日もまたこのオクトラの世界観に浸れるんだ……!」と、1日目の公演後もワクワクが止まりませんでした。

 ……とまだまだ語りたりませんが、次回に続くので今回はこの辺で。次回はついにメインキャスト8人が集合した2日目“黎明編”のレポートをお届けしますのでお楽しみに!


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