【FF14】パッチ6.5メインストーリーから新アライアンスレイド、『Fall Guys』コラボまで吉田直樹氏にインタビュー
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『ファイナルファンタジーXIV(以下、FFXIV)』の最新大型アップデートとなるパッチ6.5"光明の起点(ゼロ)"。これまでのx.5パッチと同様に、メインストーリーはPart1とPart2の2回にわけて展開し、Part1が2023年10月上旬のパッチ6.5、Part2が2024年1月中旬のパッチ6.55で公開予定です。
パッチ6.5では、そのほかにもメインストーリーに絡んだインスタンスダンジョン"深淵潜行 月の地下渓谷"、新たな討伐戦・討滅戦"(極)ゼロムス討滅戦"をはじめ、アライアンスレイドダンジョン"ミソロジー・オブ・エオルゼア"第3弾"華めく神域 タレイア"、ヴァリアントダンジョン・アナザーダンジョン第3弾"アロアロ島"(パッチ6.51)など、多数のコンテンツの実装が予定されています。
今回はそんなパッチ6.5の魅力について、吉田直樹プロデューサー兼ディレクターにインタビュー。メインストーリーを中心に、各実装コンテンツの注目ポイントをうかがいました。
なお、本インタビューはファミ通ドットコム、電撃オンライン合同で実施。今回の記事で触れられていない内容についてはファミ通ドットコムで掲載されているので、そちらもあわせてチェックしてください。
※本インタビューは2023年8月17日に実施されたものです。
6.xシリーズの締めくくり、そして『黄金のレガシー』につながる物語が展開
――まず、パッチ6.5のタイトル"光明の起点(ゼロ)"に込められた意味を教えてください。
吉田直樹氏(以下敬称略):今回は、パッチ6.4とパッチ6.5のパッチタイトルを対にしようと考えました。その一方であるパッチ6.4 "玉座の咎人"では、ある人物がなぜ咎人と呼ばれているのか、その目的は何かといったことが、メインストーリーでうっすら見えてきたと思います。そして今回のパッチ6.5のタイトルは、"闇に飲み込まれている第十三世界に対して、光明の起点となるものが生まれるかもしれない"という期待感から名付けたものです。
あえて起点を"ゼロ"と読ませているのは、いろいろな想像をしていただこうと思っているからです。登場キャラクターのゼロを示している面もありますし、パッチ6.5が6.xシリーズの締めくくりとなり、そこから新たな物語・つぎなる展開が待っているという意味でも、"終点であり起点になる"といったイメージでつけさせてもらっています。
――この"ゼロ"は『黄金のレガシー』(パッチ7.0)へ向けての起点でもあると。
吉田:はい、その意味も込めています。
――メインストーリーはふたつのパートに分かれる形で展開するとのことですが、どのような流れになるのでしょうか? あくまでも予想なのですが、Part1でヴォイドにまつわる話が決着して、Part2で新拡張パッケージ『黄金のレガシー』に向けてのきっかけとなるストーリーが描かれていくのかな、というイメージなのですが……。
吉田:概ねそのイメージどおりと思っていただいて大丈夫です。Part1とPart2の間に、ロンドンと日本でファンフェスティバルが開催されますので、そこで発表されていく内容をもとに予想してもらいつつ、物語を楽しんでいただき、ワクワクした状態で『黄金のレガシー』に向かってもらいたいと考えています。ゲーム内のメインストーリーだけでなく、ファンフェスティバルでの発表もひとつなぎで考えていただけると、より楽しめるかと思います。
――『黄金のレガシー』は2024年夏発売ですが、2024年1月中旬のパッチ6.55から『黄金のレガシー』までのあいだには、どのような展開が用意されているのでしょうか?
吉田:先日、北米でのファンフェスティバルでパッチ6.5x中の展開をお話させていただきましたが、じつはあれがすべてではなく、まだ一部なのです。つぎの拡張パッケージの発売までには、僕らが開発を進めるためにそれなりの期間をいただくことになります。
その間、遊ぶコンテンツがない、やることがないといったことを防ぐために、それに合わせた施策やコンテンツの展開を予定しています。その詳細はつぎのロンドンでのファンフェスティバルを楽しみにしておいていただければ。
――すでに発表されているものが全部ではないのですね。
吉田:現在公開されている情報はいま発表できるものだけですね。最初に全部を出してしまうと、全部の予定が決まり、それはそれで楽しみが減ってしまうので……(苦笑)。ファンフェスティバルをリアルで3回、グローバルで開催するということが久々なので、イメージが掴みづらくなっているかもしれませんが、以前のときのような、ファンフェスティバルでの情報公開の流れを踏襲させていただくつもりです。
――続いてパッチ6.5のメインストーリーについてうかがいます。先日のプロデューサーレターLIVE(以下、PLL)で発表されたスクリーンショットでいちばん驚いたのは、ゼロが第一世界でリーンと一緒にいるシーンでした。その第一世界には(第十三世界とかかわりの深い)ウヌクアルハイとサイエラがいます。彼らの物語はメインストーリーとは別に進行するものですが、そのクエストをプレイしていると物語中に何らかのつながりが発生するのでしょうか?
吉田:今回のパッチに限らず、僕たちはすごく細かくトークテキストを調整していて、クエストをプレイしている人とプレイしていない人で内容を微妙に変えたりしています。そのサポートは今回もしていて、彼らに関するサイドストーリーをプレイしている人は、つながりが感じられるものになっていると思います。
いつもよりは少し踏み込んでおり、『エデン(希望の園エデン)』にまつわるストーリーも含め、コンプリートしているとカットシーンやセリフが変わります。この辺りは「つよくてニューゲーム」で後追い体験も可能になったからこそ、踏み込みやすくなりました。気になる方はぜひパッチ6.5リリース前に、『三闘神(古の神々)』『エデン』などのサイドストーリーをクリアーしておいていただくとよいかと思います。
ただ、それらのクエストをプレイ済みか否かでゲームプレイ体験が大きく異なる、ということは避けていますので、展開が大きく変化することはありません。あくまでも、ロア(世界・物語設定)好きの方が見て「フォローされているな」と感じるぐらいと思っていただければ。
――パッチ6.1のメインストーリーから登場したゼロは、いまでは物語において非常に重要な存在のキャラクターになりました。ここまでゼロというキャラクターを描いてきた手応えを教えてください。
吉田:新規のキャラクターを拡張ではないタイミングから登場させて定着させるのは、今回が初めてに近いです。じつは『暁月のフィナーレ』を作っているときには、すでにゼロを登場させようと決めていて、ゼノスとつながりが強いという設定もその時点でありました。ただ、プレイされた方ならお分かりのとおり、6.0のストーリーではその片鱗は感じられないようにしています。
ゼノスとのコネクションがあるキャラクターなので、ゼノスのイメージを引っ張る人もいれば、「もうゼノスはたくさんだよ」という人、「これをきっかけにゼノスにまた新展開が?」と期待する人もいるでしょう。
ただ、ゼロはそことは切り離したキャラクターで、独自の個性を持っており、光の戦士や周囲のキャラクターと向き合っていくうちに、忘れていた感情を少しずつ取り戻していくキャラクターにしようと計画していました。この辺りは6.Xの物語がすべて完結した後で、振り返ってみれば、その繋がりのニュアンスが少し感じられるかもしれません。
ただ、同じライターがパッチ6.xシリーズの全シナリオを書いているわけではないため、パッチ間でいきなりキャラクターが変わりすぎたりしないよう、綿密に調整していくのはたいへんな作業でした。たとえばエーテルを吸収するという行為に対して、最初はゼロにとってエネルギー摂取行為でしかなかったものが、味覚を取り戻していくという"感情を取り戻す"のと等しい形に変わっていきます。
それはそれでよかったのですが、「つぎのパッチでいきなりグルメになっているのはちょっと違うよね」とか、都度、織田(万里氏。シニアストーリーデザイナー)や石川(夏子氏。シニアストーリーデザイナー)がチェックして、テンション感を合わせたりしていました。
――分担して執筆しているぶん、細かな変化にも気を配って調整する必要があると。
吉田: "暁"の結束が強くなっている中に異分子が飛び込んでくることになるので、不安ももちろんあったのですが、そういった苦労があったぶん、僕らの想像を超えてゼロが活躍してくれましたし、世界中の光の戦士の皆さんに気持ちよく受け入れていただけました。そこはチームの努力が実った形ですし、皆さんが丁寧に物語を見てくださったからだと思うので、本当にありがたいです。
――ゼロの行く末を含め、パッチ6.5ではどのような結末が待っているのか気になります。また、パッチ7.0にどうつながるのかも……。
吉田:パッチ7.0を発表したときに「また"暁"が出てくるのか」という声が一部あったのも把握しています。ただ、それ以上に「彼らが引き続き登場してくれてよかった」という声をいただいています。そしてもちろん、パッチ7.0では何人もの新たなキャラクターが登場します。
ちなみに僕らはひとつの物語を書くときに、登場人物すべての行動を考えているのですが、それはすごくたいへんな作業です。トークテキストのボリュームもそうですが、誰がこのタイミングで何をしているのかを考えるためにも、制御できる人数には限界があります。
――誰かが活躍している一方、登場していないキャラクターのファンから「〇〇はどうなっているのだろう」と言われたりしそうです。
吉田:そうなのです。それに加えて、ものすごく大きな事件が起きて、全員が活躍するシーンにしようとすると、とんでもない長さのカットシーンになったりして……。このあたりの足し算と引き算の部分は、長く続くシリーズものの作品としては悩みどころです。
――長く続くほど、登場人物が多くなりますからね。
吉田:光の戦士たちが紡いできた長い道のりの中で、それをきっかけに生まれて成長してきたキャラクターは、今回のリーンのようにいろいろな世界にいるので、そういったキャラクターの活躍は今後も機会が出てくると思います。
パッチ7.0では僕のお気に入りでもあるエレンヴィルを登場させよう、というところから始まっていたりしますから(笑)。今回に限らず、いろいろなドラマを皆さんが紡いできて、歩んできてくださったからこそつながっている物語なので、長い目でいろいろなキャラクターとの再会や新たな出会い、そして彼らとともに行動するといった部分を見ていただけたらと思います。
"ゼロムス討滅戦"では壮大なスケールでゼロムスの真の姿が明かされる!
――続いて、メインストーリー絡みで登場するであろうふたつのコンテンツについてうかがっていきます。まず新たなダンジョンである"深淵潜行 月の地下渓谷"ですが、公開されたスクリーンショットを見て、「『FFIV』のラストダンジョンのあの床だ!」とわかりました(笑)。やはり原作の『FFIV』を意識したダンジョンになっているのでしょうか?
吉田:じつはネタバレ的に、出せるスクリーンショットがあれしかなかったのです……(苦笑)。やはりパッチ6.xシリーズのフィナーレとなるダンジョンですので、演出まわりもすごくこだわっていて、あの画からは想像できないものになるとだけお伝えしておきます。おそらく、ニヤニヤしていただける方もいるのではないかと。演出の調整もちょうど先週行ったのですが、すごくおもしろい展開になっています。
――そして、こちらもメインストーリーで戦うであろう"ゼロムス討滅戦"ですが、現状のゼロムスの姿が黒いモヤがかっている状態で、まったくどういったバトルになるかが想像つきません……。ヒントとして、いわゆるフィジカル寄りか脳トレ寄りか、どちらになるでしょうか。
吉田:フィジカル寄りで、ノーマルに関してはわりと真っ向勝負なバトルが楽しめるかなと。ただ、仮組み段階のものをチェックした限りでは、少し物足りなさがあって、めずらしく僕からは「少し足してもよいのでは?」と話をしたところです。
――いつもは「強すぎる」とジャッジをすることが多いのですか?
吉田:じつは、いまと昔とでは仮組み段階のバトルのチェック方法を変えていて、現在は開発効率を上げるために、僕や、セクションを超えてリーダーをやっているスタッフたちで、仮組みの状態をいったん見て、その時点で「このギミックは活かす」、「攻撃が単調になるからこれぐらいの技なら重ねていい」といったようなチェックを行っています。そして僕と初見の7人で最終チェックをして、最後の数字のバランスを見るといった流れになっています。
いままでは仮組みを通り過ぎた後に僕のチェックが入って、いったん山盛りの状態になっており、そこからガラッと変えることも少なくありませんでした。とくにパッチ6.0を開発しているときにはそれが多かった印象です。
それに加えてコロナ禍でのリモートワークの影響もあり、6.xシリーズではその手前の仮組みの段階で一度チェックして、全体の雰囲気、マップの雰囲気も含めたトータルのチェックをしてから仕上げに入ろうという形を取っています。
話は戻りますが、"ゼロムス討滅戦"については、ちょうどその仮組みチェックが終わったところです。すごく素直に作られていたのですが、「ちょっと素直すぎるかもね?」とフィードバックを返しました。
大抵の場合は、ハード(極)も踏まえて作られているため、難しかったり展開が早すぎたりというケースが多かったのですが、今回はすごく論理的なスタッフが作っていて、ハードはハード、ノーマルはノーマルと分けて作っています。リソースの使いが上手で、すごくまとまっているのですが、それがゆえに少し物足りなさが感じられたなと。
――では、まだ調整している最中ということですね。
吉田:そうですね。まとまりがよすぎたので、少しそこを調整していく形になると思います。ただ、ここから脳トレ系のバトルに変わることはないと思うので、わりと真っ向勝負のバトルが楽しめるかなと思います。
――最終的にゼロムスがどんな姿になるかも含めて、気になりますね。
吉田:すでにパッチ6.4のときにモデルとスカルプトもあがっていたのですが、まだすごく粗い状態だったのです。中途半端なVFX状態だったので、「この段階のものは出さないようにしよう」となり、姿がわからないようにしたという経緯があります。
――なるほど。ではあの姿で戦うわけではないのですね。
吉田:それはないので安心してください(笑)。いまはスケールを調整したり、ライティングのテコ入れをしたり、いろいろと調整している最中です。大ボスというとハイデリンやゾディアーク、終焉を謳うものとか、あれぐらいのスケール感を想像される方も多いと思います。クオリティーや雰囲気はそれに沿うように最終調整中なので、ぜひご期待ください。あのモヤは取れます!(笑)
"華めく神域 タレイア"では、シリーズの中でもとくに美しい世界が展開
――パッチ6.5の大きなコンテンツとしては、"ミソロジー・オブ・エオルゼア"の完結編として、第3弾"華めく神域 タレイア"が実装されます。このダンジョンはどのようなイメージのステージ、コンテンツになるのでしょうか?
吉田:うーん、すごく説明が難しいですね……。
――属性としての残りが水と風なので、それを表現したものになるのかな、と予想していますが……。
吉田:ひとつ言えるとしたら、今回はこれまでと比べてもいちばんきれいなフィールドになっていると思います。「今回もよく作ったね」が最初に見たときの感想で、BG(背景グラフィック)のオブジェクトの動きもすごく完成度が高いです。そのあたりは、つぎのPLLで序盤ぐらいはお見せできたらなと思っています。もちろん、ご期待いただいている属性のイメージもしっかり入っています。
――アライアンスダンジョンシリーズの3部作の最後は、もっとも歯応えがあるイメージが強いのですが、そのあたりはいかがでしょうか?
吉田:"YoRHa: Dark Apocalypse(ヨルハ:ダークアポカリプス)"シリーズで開発された新要素がうまく取り込まれつつ、わりと真っ向勝負が多いですね。アライアンスレイドは、だいたい3体目のボスがいちばん強いように作っているのですが、今回は最後のボスがやや強いと感じるかもしれません。ただ、最終チェックがまだ終わっていなくて、ここから調整していくため、もしかしたらまだ変更されるかもしれませんが……。
――"ミソロジー・オブ・エオルゼア"のフィナーレとなるコンテンツなので、実装までにこれまでのふたつのアライアンスレイドを復習しておくのもよさそうですね。
吉田:そうですね。詳しくはお答えできないのですが、これまでのふたつのアライアンスレイドを改めてプレイしておくと、いいことがあるかもしれません。
――""ミソロジー・オブ・エオルゼア"シリーズは、ステージの美しさや十二神のキャラクターについて、プレイヤーの方々の反響も大きかったコンテンツです。完結はこれからではありますが、ここまでを振り返っていかがですか?
吉田:エオルゼア十二神の設定は『旧FFXIV』から続くもので、キャラメイクのときに守護神として選択したり、各地に像や石碑が建てられていたり、語られている歴史があったりと、エオルゼア三大州に住んでいる人にとっては身近な存在です。プレイヤーの皆さんにとっては「名前ぐらいは聞いたことがある」という存在だと思いますが、それがいよいよ実体を伴って、明確に語られていったのが大きかったのかなと。
今回のシナリオを書いたライターは、ここまでの巨大コンテンツは初チャレンジでした。世代としても若いスタッフで、感性も新しく、思いもよらない展開やキャラ付けを丁寧に提案してくれました。本人が一生懸命だからこそ、まわりもそれをフォローしつつ作り上げていった結果が、いま実装されているコンテンツです。
リードにベテランを添えつつ、バトルチームも若手のメンバーで作っていて、その相乗効果もすごく大きかったと思います。こういった新しい世代のメンバーが、過去からつながってきた"エオルゼア十二神"がテーマのコンテンツを担当し、さらにクオリティーをあげてくれたので、見ていてすごく気持ちがよかったですね。
――プレイする側としてもすごく楽しいコンテンツで、"華めく神域 タレイア"のプレイが楽しみです。ちなみにその勢いは、パッチ7.0のアライアンスレイドにもつながっていくのでしょうか?
吉田:パッチ7.0のアライアンスレイドは、まったく毛色が違うものになっているので、何とも言えません(笑)。ただ、そちらも『FF』らしいアライアンスレイドになっていますので、ぜひご期待ください。
新たなお得意様があのキャラクターになった理由とは?
――PvPについてはクリスタルコンフリクトに新ステージ"レッドサンズ"が追加されます。新ステージのコンセプトを教えてください。
吉田:試合の展開の流れを変えるようなギミックがあるというのをコンセプトにしていて、それに準じた遊びが存在しています。クリスタルコンフリクトは今後もシリーズ、シーズンが続いていきますので、新ステージは画替わりや目新しさという意味も大きいですね。ギミックに関しては、まだ僕の最終チェック前でして、詳しくはお話できないのです。すみません。
――クリスタルコンフリクトはパッチ7.0以降もアップデートが続いていくという認識で大丈夫でしょうか?
吉田:はい、今後もアップデートを続けていく予定です。ただ、各ファンフェスティバルでリージョンチャンピオンシップという世界大会がありますので、その開催期間中はアップデートを入れないようにして、固定化されたバランスの状態で、プレイヤーの皆さんがトレーニングや最終決戦に臨めるようにしていきます。
ロンドンと日本での開催の合間にはバランス調整を行う予定ですが、パッチ7.0以降もいろいろと手を加えていこうと思っています。これはクリスタルコンフリクトだけでなく、フロントライン、ヒドゥンゴージに関しても同様です。
――無人島開拓もパッチ6.5でのアップデートが予定されていますが、こちらはパッチ6.5でアップデートがひと区切りとなるのか、パッチ7.0以降も無人島開拓というコンテンツに新規要素が加えられていくのか、どちらになるのでしょうか?
吉田:パッチ7.0でも細かいアップデートを入れていく予定ですが、6.xシリーズほどの大きなアップデートはいまのところ予定していません。7.xシリーズでは、無人島開拓とは別の生活系コンテンツを用意しています。
その新しいコンテンツにコストを割り振ることになるので、無人島開拓のアップデートはいったん止まることになると思います。ただ、プレイヤーの皆さんのお声が大きいようであれば、大型アップデートの再開ができるようにと考えています。
――パッチ6.5では、開拓完了後のコンテンツとして"ねこみみさんのおねがい"が実装されるとのことですが、どのようなコンテンツになるのでしょうか?
吉田:"ねこみみさんのおねがい"は、6.xシリーズでの開拓が最終到達地点まで到達した後に、デイリー、ウィークリーのようなイメージで"コツコツと島産品を出荷するとリワードがもらえる"という内容のコンテンツです。
せっかく最果てまで拡張したという方がそのまま放置するのではなくて、無人島を定期的に訪れるためのきっかけとして、報酬も用意しているという形になっています。
――新たなお得意様取引では、かなり意外な人物としてマーグラットが選ばれましたが、彼女が選ばれた経緯を教えてください。
吉田:彼女は尖ったキャラクターで、開発のシナリオチームからの人気が高いのです。じつは、マーグラットはライターが執筆に追われて作った、自己投影の強いキャラクターなのかな?(笑)。書いても書いても書きたいものが減らない、書きたいものを書こうとすると時間が足りない。そんな創作のおもしろさと、しんどさの両立を表現すべく描かれているキャラクターです。
僕たちのチームにはあのタイプの人間が多くて、自分たちの経験も踏まえておもしろいエピソードが作れるんじゃないかと提案されて、やろうという話になりました。しかもやるのであれば、新キャラクターが多数登場するパッチ7.0より前しかないと。それが決め手でした。
――ということは、パッチ7.0以降も新たなお得意様が追加されると?
吉田:はい。何かしら考えていこうと思っています。
――つぎに、6.51以降のコンテンツとして、 ヴァリアント&アナザーダンジョンの第3弾"アロアロ島"が追加されますが、どういったコンセプトのダンジョンになるのでしょうか?
吉田:概要自体がネタバレになるので、ほとんどお話できませんが、"とあるキーワードの回収"とだけお伝えしておきます。リゾート的な雰囲気があり、イメージとしてはパッチ7.0のトラル大陸に近いかもしれません。だから、気分的には『黄金のレガシー』をちょっとだけ先行体験できるかも、といった感じです。
武器強化コンテンツの方向性とふたつの意見
――パッチ6.55で実装される武器強化コンテンツ"マンダウィルウェポン"と、パッチ6.51で実装される主道具強化コンテンツ"モーエンツール"は、今回が最終強化になるのですか?
吉田:はい、それらの強化が最終強化となります。
――これまでのマンダウィルウェポンは、アラガントームストーンを使うことで、さまざまなコンテンツをプレイして強化を進められる形になっていましたが、最終強化も同じ方向性になるのでしょうか?
吉田:はい、今回のシリーズはそれを崩さないようにしています。これは過去の武器強化コンテンツの中で、どれぐらいのプレイヤーの方が何本の武器を作ったかというデータを見て決めました。
ただ、今回の強化方法を「手抜きだ」とおっしゃる方もいて、難しいところですね……。昔の武器強化コンテンツのように凝ったことをやると嫌悪感を示す方もいれば、今回のような強化方法は物足りないと感じる方もいます。ここはたぶん、相容れないだろうなと思っています。
――正反対の意見ですが、どちらも気持ちとしてはわかるような気がします。
吉田:いま、複数のロール/ジョブをプレイするのがプレイスタイルとして浸透してきていて、今回のように集めたトークンで強化していくという方法は、僕らとしても悩んだ末の結論でした。
トークンは何かしらのコンテンツを遊べば自然と貯まっていきますし、それが貯まったら武器を強化させる。そうしてパッチをまたいで強くして、デザインも変わっていく。いまの皆さんのプレイスタイルには、これがいちばん合うのではないかと思っています。
結果、武器を強化してくださっている方の人数はこれまででいちばん多いのですが、「手抜きだ」、「物足りない」という声もあって、やはり悩ましいですね。僕らとしては手抜きをしているつもりはなく、凝ったものを作れば作るほど武器を強化する人も少なくなってしまうので……。
――「コンテンツとして武器強化を楽しみたい」という人と、「武器が手に入りやすいシステムがいい」という人では、やはり意見は相容れないかもしれません。
吉田:そうなのです。さらにまた7.xシリーズで別の方向へ振ったら、「マンダヴィルウェポンの仕組みがよかったのに」という声も挙がってくると思います。それを踏まえて、どっちの方向でも強化できるようにすると、「どっちのほうが効率がいいか」という話になりますし、悩みは尽きない感じですね。
ただ6.xシリーズに関しては、強化の仕組みは一貫して同じコンセプトにしています。とはいえ、7.Xシリーズでこの方法が継続か、と問われるとそれはまた別問題で、データを見つつの再検討から始まることになります。ぜひ、引き続きフィードバックをお寄せください。
――一方で、モーエンツールも今回が最終強化という形になりますが、こちらの難易度はいかがですか?
吉田:モーエンツールの最終強化は引き続き難しいものになりますので、ぜひ、じっくりトライしていただけると嬉しいです。逆にモーエンツール無しでは作れない、といったアイテムレシピはありませんので、あくまでもやり込み要素に近いですね。
ヒルディブランドはやっぱり最後に飛んでいく!?
――サブクエストの"タタルの大繁盛商店"もこれでひと区切りとなるのでしょうか?
吉田:はい、今回で物語がひと段落します。
――となると、いったいどんなエピソードの振り返りになるのかがすごく気になります。
吉田:今回が大オチなので、これは話せないです(笑)。これまで"タタルの大繁盛商店"を楽しんできてくださった方々が満足できる内容だと思うので、これはぜひ実際にプレイしていただけると。
――同じくサブクエストの"帰ってきたヒルディブランド"も今回が完結になり、さらに早くもつぎの拡張パッケージでの展開が発表されました。6.xシリーズのフィードバックも含めて、今後どういう方向性を予定しているかお聞かせください。
吉田:たぶんまた、今回のラストは彼がどこかへ飛んでいくと思います(笑)。そこはお約束というか、奇想天外なお話を作っていくためにも、1回流れはスパッと切っておきたいなと。
今回、久しぶりにヒルディブランドの物語を描くにあたり、新たな担当者が今回のシリーズを書ききってくれたのですが、モチベーションが高いまま続けていけたのはすごくよかったですね。カットシーンを作っているスタッフも、「ヒルディだからこそ遊べる」と、いろいろなことを試して、それがメインストーリーのカットシーンのテクニックにも反映されていたりして……(笑)。キャラクターモーション班も含めて、今回は全員がノリノリでした。
――ブラディヒルンド(ローポリゴンのヒルディブランド)のような斬新なキャラクターも登場して、かなり楽しませていただきました。
吉田:ブラディヒルンドも、確か"ローポリぶどう"が話題になってからデザインが決まったはずです(笑)。そのライブ感も含めて、ヒルディブランドは作り手側もスキルアップが見込めるおもしろいキャラクターなのです。
日本でも人気ですが、とくに欧米で人気が強いキャラクターで、ファンフェスティバルなどのリアルイベントでは「つぎはないの?」とよく聞かれていました。それもあって、先日のファンフェスティバルの基調講演では、人気のある青魔道士やヒルディブランドなど7.xシリーズで継続するものに関して、いったんすべて発表させていただきました。
ちなみに、今後のシリーズは「蒼天編」などの拡張タイトルをつける形ではなく、 "〇〇〇ヒルディブランド" か、"ヒルディブランドの〇〇〇"というタイトルにしようと決めています。つぎは"ヒルディブランドの夏休み"かもしれないし、"旅立ちのヒルディブランド"になるかもしれない(笑)。タイトルでもノリを大切にしていこうと思います。
――パッチ6.55で"友好部族 エクストラストーリー:暁月編"が追加されることも注目を集めています。『漆黒のヴィランズ』では第一世界が舞台だったので難しかったというお話がありましたが、今回は『暁月のフィナーレ』の集大成のようなお話が楽しめそうで期待しています。
吉田:僕らが予想していた以上に友好部族エクストラストーリーを待ち望んでくださった方が多くて。すでにパッチ7.0の作業が始まっていく段階ではあったのですが、シナリオチームから「今回は何とかまとめを提示してあげたい」と提案され、うまくコスト管理をしてくれて成立することができました。
今回はつなぎやすいキャラクターたちが多く、とくにレポリットはプレイヤーの皆さんからすごくかわいがっていただいているキャラクターですので、そこを中心に楽しんでもらえたらうれしいです。屈託のなさや、「どんな困難でも乗り越えていこう」というレポリットの特徴も健在です。ある意味、『暁月のフィナーレ』のアフターストーリーの区切りでもあるので、エピローグとしてもお楽しみいただけるかと思います。
――あの男(ナザ・ア・ジャーブ)がまた出てくるのかもすごく気になりますね……。
吉田:ご期待には沿えるかと思います……彼がどうなるのかもぜひお楽しみいただければ(笑)。
『フォールガイズ』コラボは期間限定のコンテンツに
――ファンフェスティバルでは、『フォールガイズ』(『Fall Guys』)とのコラボも発表されて、すごく驚きました。コラボに至った経緯をうかがえると幸いです。
吉田:『フォールガイズ』のチーム内にも光の戦士の方が多くいらっしゃって、そのことは前々からSNSなどで見ていたり、開発会社の知人経由で聞いていたりしていました。その中で「光の戦士が喜ぶようなコラボレーションを『フォールガイズ』側で出させていただけませんか」というコンタクトをいただいたのです。
僕たちのチームにも、開発の合間に『フォールガイズ』を遊んでいるスタッフが多かったですし、"希望の園エデン:再生編1"の暗闇の雲とのバトルの床が抜けるギミックでも、ネット上で「『フォールガイズ』だ」と話題になったりしていましたから、僕たちとしても「何かコラボができたらいいね」と話していました。
そういった中でご提案をいただいて、こちらも「『FFXIV』にも『フォールガイズ』のオマージュを実装するのはありですか?」と返答したら、そこから話が進んでいったという形ですね。今回のコラボは宣伝チームが中心になって先方とずっとやり取りをさせてもらっていて、先方に実装されるもののクオリティチェックもさせていただいたので、『フォールガイズ』側に実装されるものについても、僕らとして自信があるものが提供できたと思います。逆に『FFXIV』側でも、先方からマップリソースなどをいただいて、本格的なものが作れているかなと。
――いったいどういうコンテンツが実装されるのか気になるのですが、今後永続的にプレイができるコンテンツになるのでしょうか?
吉田:いえ、常設コンテンツではなく、何ヵ月かおきに開催されるものになると思います。ずっと遊べるようにすると、更新なしでは飽きてしまうと思うので、パッチの合間などに遊べるようにしたいなと。
期間などは実装が迫ったら告知させていただく予定です。期間限定開催だからこそ人が集まりやすくなるかと思います。もちろん、専用の報酬もちゃんと用意していますので、そちらもぜひご期待いただければ。
――実装時期としては、6.55よりも後になるイメージでしょうか?
吉田:いえ、可能であればもう少し早く実装できればと思っています。
ファンフェス、東京ゲームショウでの展開を含めて楽しんでほしい
――パッチ6.5、ロンドンや東京のファンフェスティバル、そして来年夏の『黄金のレガシー』へと展開が続いていきます。今回のパッチ6.5を中心として、それら全体の流れに関して、どのように楽しんでいただきたいか、光の戦士の皆さんへメッセージをお願いします。
吉田:いま、まさに新生10周年を迎え、ゲーム内、ゲーム外を含めて、いろいろなことを展開しようとしています。例えば先日発表されましたが、伊勢丹さんとの第2弾のコラボも開催することが決まりました。
前回すごくご好評いただいたので、すさまじい数の協業メーカーさんがついて、催物場を使って展開することになりました。東京ゲームショウも新生10周年ということで気持ちを新たに出展させていただきますし、まだ発表していない10周年の企画もたくさん用意しています。
日々の生活の中で『FFXIV』が見え隠れするといった施策はこれからもまだまだ続くので、そのあたりも含めて楽しんでいただければと思います。
つぎのお祭りである新拡張パッケージ『黄金のレガシー』が2024年夏に発売予定ですが、それまであっという間に感じられるように、ゲーム内・ゲーム外の動きが用意されています。その盛り上がりに乗っかっていただけると、より『FFXIV』が楽しくなるかなと。
『FFXVI』をきっかけに『FFXIV』を始めてくださっている方も多くて、いっしょに盛り上がって、さらにコミュニティを大きいものにしていけたらうれしいです。僕らも精一杯、開発チームだけでなくコミュニティチーム、宣伝チームを含めて全チームで盛り上げていこうと思っていますので、引き続き楽しんでいただければうれしいです。
――ファンフェスティバルと新生10周年、そして新拡張パッケージが重なって、皆さんすさまじく多忙かと思います……。
吉田:とくに室内(俊夫氏。グローバルコミュニティプロデューサー)はたいへんかもしれないですね(笑)。また、ここ数年、コロナ禍の影響で、宣伝チームはリアルイベントにも参加させてあげたくても開催自体ができなくて、新しい戦力として入ってきてくれた人たちの中には、まだリアルイベントを経験できていない人もいたりします。
リアルイベントでは、"自分たちがやっている仕事がどれだけリアルの人たちに届いていて、そういった人たちが、どういう顔や雰囲気でゲームやイベントを楽しんでいらっしゃるか"を肌で感じられます。僕たちとしても、とてつもないエネルギーをいただけますし、モチベーションにもつながります。もちろん、準備はたいへんではありますが、チームがまた一段と大きくなるきっかけにもなると思っています。
――東京ドームで開催されるファンフェスティバルもすごく楽しみです。
吉田:その前に、まず欧州ファンフェスティバルですね。これからロンドンの基調講演の下書きと、構成表を書かなきゃ……なのではありますが、ぜひ今後もご期待ください!(笑)
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