マーダーミステリーってなに? 1度きりの体験と自分たちだけの物語が紡げる唯一無二の遊び! めちゃハマるのでぜひやって【初心者向け解説記事】
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- カワチ
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アニプレックスは、塩川洋介氏が手掛ける推理アドベンチャー『マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年』を2023年に発売予定です。この作品はタイトルの通り、マーダーミステリー(マダミス)を題材にしており、流行のマダミスをビデオゲームで遊べること、1人だけでも遊べることが見どころになっています。
というわけで、電撃オンラインでこのゲームを紹介していこう! ということになったのですが……ひとつ大きな問題がありました。
“マダミス”って皆さんご存知ですか?
“マダミス”を知らない人、まだたくさんいるんじゃない? 問題
マダミスというジャンルもかなり多くの人に知られるようになったとは思います……思いますが、まだまだ「なんとなくは知っている」「興味はあるけどやったことがない」という人もたくさんいらっしゃるんじゃないかと思います。
かくいう筆者もマダミスが“1回しか遊べない”と聞いたときに、“自分が失敗してゲームを台なしにしたらどうしよう……”という気持ちからだいぶ尻込みしました。
しかし、実際に遊んでみると、物語によっては犯人を助ける役が存在していてかく乱してきたり、途中のパートで新しい情報が追加されて議論が進んだりと、バランスが崩れないように多彩な工夫が行なわれており、初心者でも楽しめます。「自分が犯人です」と自供するようなルール違反を犯さなければOK。参加者みんなで盛り上がれます。
むしろ、マダミスは与えられた役割を楽しみ、自分たちだけのストーリーを紡いでいくのが醍醐味。間違えて口を滑らせてしまっても、うまくしゃべれなくて無口になってしまっても、そういうキャラクターが今回の物語にいただけ。成功や失敗などを考えず、楽しむことを考えればいいんです! ぜひ試しにやってみてほしいです!!
“マダミス”とはなんぞや?
ということで、この記事では“マダミス”の概要や、実際に遊んでみた筆者がゲームの流れを説明していきたいと思います。まったく知らずに参加するのは怖いと思いますので、この記事でどんな感じのゲームなのかイメージをつかむのに役立てば幸いです。ではます概要を説明しましょう。
“マダミス”ってこんなゲーム
マダミスは参加者全員が物語の登場人物になり、それぞれの目標を達成することを目指すゲーム。ポピュラーな形のものだと、殺人事件をはじめとした、さまざまな事件の容疑者や関係者のひとりとなって推理や物語を楽しむというもの。
シナリオを購入したり、マーダーミステリー専門店で遊ぶ方法もありますが、オンラインで遊ぶこともできます。オンラインは無償で配布されているものも多く、GM(ゲームマスター)が不要のものもあるので、まずは無償のものを遊んでみるのもオススメ。ゲームに対するユーザー評価が掲載されているサイトも存在するので、高評価のものをチェックしてみるといいでしょう。
参加者は最初にキャラクターの設定や事件前後の行動が記されているキャラクターシートを読み込み、そのキャラクターたちのように振る舞います。自由な議論で事件の真相を探っていくことになり、このリアリティがマダミスの魅力と言えます。作品にもよりますが、全員で議論する全体議論と、少人数だけで会話できる密談のふたつが用意されていることもあり、裏で口裏をあわせたり交渉をしたりすることができることも。
すべてを覚えるのは難しいので、シートを確認しながら会話をしてもいいですが、文章を読み上げるのはNG。書いてある真実をそのまま伝えることになってしまうので、あくまで自分の言葉で伝えましょう。
議論や調査中は、自分の秘密を隠しながら、ほかの登場人物と会話をしたり、現場を調査したりすることに。このパートが終わると、犯人として突き出したい人に全員が投票するという流れに。投票の結果やそのほかの条件にあわせてエンディングが分岐します。
なお、これらは一例で、そもそも犯人がいないシナリオや、犯人が自供したあとに新しい事件の展開に進むシナリオも存在するかもしれませんね。最近は多彩なシナリオが用意されているので、ぜひいろいろな作品を遊んでみて欲しいですね。
『ヤノハのフタリ』の感想をお届け!
ここからは、より具体的にマダミスがどんな作品であるのかお伝えするために、『ヤノハのフタリ』の感想をお届けします。
※この記事を書くにあたって、特別に全編ネタバレの許可をもらっています。以下より『ヤノハのフタリ』の真相が書かれていますのでご注意ください。
※マダミスは一生に一度しかプレイできないゲームです。他の人のプレイの機会を奪ってしまうことにもなりかねません。記事の拡散自体は大変ありがたいですが、各種SNSへのネタバレ投稿は控えていただけますようお願いいたします。
今回、『ヤノハのフタリ』を遊んだのはマダミス専門店の第1号店でもあるRabbitholeの新宿店。筆者はマダミスの経験はあるものの、マダミス専門店でプレイするのははじめてだったので新鮮でした。密談のスペースにきちんと開く扉が施されており、ひっそりと小部屋で話しているような雰囲気を味わえたりと、普通の会議室で遊ぶよりも雰囲気がたっぷり。
また、今回集まったメンバーはマダミス初プレイの人がほとんどでしたが、お店の人のGMが親切で分かりやすく、スムーズにゲームを進めることができました。リピートしたくなるお店だったので、みなさんもぜひチェックしてみてください。
今回プレイした『ヤノハのフタリ』は、7人でプレイするゲームで、プレイ時間は3時間~3時間30分。ミステリーの難度は高くないですが、密談も用意されていたり、話し合いの時間が2回に分けられていて、話の内容の変化が楽しめたりと、はじめて遊ぶにはうってつけの作品になっています。なお、3時間と聞くと長く感じられるかもしれませんが、話し合いをしていると、アっという間です。
ストーリーは差出人不明のメールに呼び出され、廃墟と化した“矢野葉(ヤノハ)綜合病院”に7人の男女が集まるという展開で、そこで元院長の死体を発見し、彼を殺した犯人を探るというものになっています。
キャラクターこちらの7人。
・市立図書館の司書:市成千里
・千里の姉で市立病院の放射線技師:市成千春
・臓器コーディネーター:宇敷和子
・市立病院の外科医師:関下篤志
・ITエンジニア:日笠佐助
・コラムニスト:日笠祐助
・フリージャーナリスト:溝手光生
どのプレイヤーがどのキャラクターになるのかは、話し合いで決めました。筆者は司書の市成千里でプレイ。
このゲームの特徴は各キャラクターが行動ポイントを持っていて、行動ポイントを消費することでほかのキャラクターや死体現場の秘密が書かれた“秘密カード”を手に入れることができる点。この秘密カードに書かれている情報はどう扱っても自由。内容を話してもいいし、話さなくても構いません。場合によっては譲渡することも。これらの情報を元に会話を進めることができます。
話し合いに関してはAct.1とAct.2に分かれており、Act.1は2人きりの密談しかできず、Act.2からは3人以上の密談や全員との会話も可能に。そのため、Act.1は秘密カードや密談での情報収集がメインになります。
また、各キャラクターはスキルというものを持っており、スキルを使用することで秘密カードから追加の情報を手に入れることもできます。自分がスキルを持っていなかったり、持っていても数値が足りなかった場合はほかのキャラクターに協力してもらって情報を得ることが可能。
たとえば“医学3”であれば、医学のスキルを持っていそうなキャラクターに協力してもらい、追加の情報を得ることができます。カードを所持したキャラクターのみが情報を得ることができるので、情報を共有するかどうかは交渉次第になります。
自分が選んだ市成千里は過去に矢野葉綜合病院に入院していた人物で、病院で知り合った日笠祐助に恋をしているという設定でした。
そして、このゲームではキャラクターごとにミッションが用意されています。“殺人事件の犯人を探し出す”というのもミッションのひとつなのですが、それが全部ではないということ。
千里の場合は3つのミッションがありました。1つめは“病院が潰れた理由が父・溝手光生の記事が原因らしいので、その記事について知ること”。2つめが“日笠祐助のことを知ること”、そして3つめが“犯人を探し出すこと”でした。犯人ではなかったことにひと安心(笑)。
タイムテーブルを確認してもそんなに怪しまれるような行動もないですし、落ちていたメスで怪我をしたというアクシデントも隠す必要がないのかなと感じました。そのため、積極的に会話で情報を得ることにしました。
行動方針が決まったところでAct.1へ!
Act.1はそれぞれのキャラクターが“秘密カード”を取得していましたが、自分はせっかくなので密談をしてみることに。タイムテーブルで17時40分に宇敷和子と出会っていると書かれていたので、彼女を誘って探りを入れてみました。
話を聞いてみると、久しぶりに病院を訪れたので委員長に挨拶をしようと思ったものの、いなかったので会えなかったとのこと。怪しい(笑)。ただ、委員長が亡くなったのは総合ホールなので、違う可能性も考えました。あと、これはマダミスあるあるだと思うのですが、めっちゃその人が怪しくても密談だとなかなか詰めるのが難しい(苦笑)。
自分は古畑任三郎の大ファンなので古畑みたいに揺さぶりをかけたかったのですが、人間同士の会話で、しかもリアルの対面だと気を使ってしまってなかなか難しい(笑)。ただ、こういったリアルなところがマダミスのおもしろさ。相手がしどろもどろになっていても、その理由まで追求できないし、こっちもしどろもどろになってしまいます。
和子は怪しいと思いつつ、祐助についても調べなければなりません。なんと、この祐助は特殊なキャラクターで佐助と必ずペアで行動するという条件になっています。そのため、祐助と密談しようと思っても佐助と祐助の3人で話をするという特殊なルールが発生します。
そこで、まずは祐助の“秘密カード”を調べることにしたのですが、“佐助が庇う”というカードが連続で登場。彼らによっぽどの秘密があることだけがわかりました。佐助ェ……。密談で直接情報を聞き出そうとトライしたのですが、「記憶喪失でなにも覚えていない」と言われてしまいました。怪しい。
その後に調査を進めるなかで、死体がストレッチャーで移動されていたことや、関下篤志が死ぬ間際の被害者を見つけて応急処置をしていたことなどが判明。こうして見ると篤志はかなり怪しまれるキャラクターですよね。ですが、プレイしていた人が自分から不利な情報を開示したりして身の潔白を証明。積極的に事件をまとめる役回りをしたりと解決にも貢献をしていて、ほかのプレイヤーたちの信頼を得ていました。
また、もうひとり上手かったのは市成千春役の人。千春は篤志を庇っていて服に血が付いたりしていましたが、そのことについて語らず、“秘密カード”も開示されなかったため、彼女に対して議論が進むことがなく、自然と容疑から外れていきました。
ほかのメンバーでこのゲームを遊んでいたら、篤志や千春が疑われていて、疑心暗鬼が深まるようなシナリオになっていたかもしれません。役割が同じでも演じる人によって展開やストーリーが大きく変わるのはマダミスならでは。
今回のプレイはAct.2で、ほぼすべてのプレイヤーが和子を犯人と認識しており、さらなる証拠集めや、ミッションをこなすプレイになっていきました。
和子とも密談をすることになり「誰が怪しいと思いますか?」と聞かれました……が、さすがに疑いを隠し切れずに「みんながあなたを疑っています」と本音を伝えました。あのときの和子の「そうですか……」という悲しそうな声は忘れられません。
また、証拠を集めるなかで、被害者の独白が書かれた封筒を手に入れることができましたが、秘密カードからスキルで手に入れた情報が秘密カードだったりと、かなり手こずる内容。多くのキャラクターと協力しなければたどり着くことはできないので、この情報を開示できたのは盛り上がりましたね。
Act.2の時間も少なくってきて、いよいよ全員での議論に。和子が怪しまれましたが、祐助がいることで人数の辻褄が合わないことを主張。そこを解決しないことには納得できないと反論。しかし、祐助の“秘密カードには佐助が庇うもの以外に、1枚だけ“佐助の口ぶりで話しているのは、佐助だ。祐助はどこにもいない”というカードが!
祐助はすでに死んでおり、佐助が生んだ人格であることが証明されました。なお、このカードを引いて持っていたのは佐助で、今回のゲームではかなり鉄壁に祐助の正体を隠すことができました。
ただ、ミステリー好きならば、すでに祐助が存在しておらず、ミスリードであることは気づきやすいかもしれません。なお、祐助役をやった人はマダミス初体験だったらしく、いきなり死んでいる役で驚いたとのこと(笑)。ただ、記憶喪失という設定だったり、怪しまれたら佐助が庇ってくれるので遊びやすかったそうです。
ちなみに自分は感情移入しながらプレイしていたので、祐助がすでに亡くなっていることは悲しかったですね……。推理はもちろん、ドラマ性が高いシナリオが多いのもマダミスの魅力といえます。
続いて動機の件で溝手光生が怪しまれるも、証拠に先述の委員長の封筒があり、今回の殺人には関係ないという流れに。なお、プレイ後にお店の人からもらったアドバイスによると「動機は話の展開が盛り上がるおもしろいポイントである一方、決定的な証拠にはならないので議論は進まないことも」と教えてもらいました。確かに事件を解決するのは物的証拠やアリバイのほうが重要だなと思いました。ものすごく勉強になるアドバイスでした。
篤志や千春が疑われる展開はなかったので、最終的に和子が票を集めることになりました。
予想通り犯人は和子だったのですが、役を演じた人もマダミス初体験でした。最初にキャラクターシートを開いて犯人と書いてあったときは冷や汗を掻いたそうです。つまり、自分が最初の密談でなにをしていたのか聞いたとき、まさに犯行に及んでいたわけですね。
犯人側からすると、かなり苦しい展開だったと思いますが、推理の穴をついてきたり、ほかのキャラクターに注意を向けたりと、いろいろな抵抗をしてきたので、クライマックスはかなり盛り上がりました。また、ゲームが終わったあとにお互いのミッション内容などを確認するのも楽しかったですね。
また、犯人が和子であることをブラインドする行動をとっていたのが千春だったのですが、上でも書いた通り千春役の人のプレイングが大変うまく、疑いがまったく向かいませんでした。もしも和子がもっと千春に疑いを向けるように動けていたら、結末は変わっていたのかもしれません。
とてもおもしろかったのですが、もう2度とこのメンバーでこのゲームは遊ぶことはできません。さらに言うと、本来はこうやってゲームの展開を文章に書いてネットにアップにすることもNG。でも! だからこそ!! ひとつひとつのゲームが思い出になりますし、ほかのゲームも遊びたくなるんですよね。
というわけで、“マーダーミステリーとはなんそや?”を紹介させていただきました。少しでも雰囲気が伝われば幸いです。
『マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年』紹介の準備は整った!
というわけで、後日改めて別の記事で『マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年』について紹介していきたいと思います。いったいどんな“マダミス”なのでしょうか? それは後日公開される記事をお楽しみに!
🄫Aniplex
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