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レビュー&インタビュー:『神箱』はRPG、パズル、サンドボックスなどの要素が詰め込まれた神ゲー。PSとSteamで体験版も配信!【TGS2023】

あんまさ
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 グラビティゲームアライズがPS5/PS4/Switch/PC(Steam)で2024年に発売を予定しているワールドクラフトRPG『神箱(KAMiBAKO ‐Mythology of Cube‐)』のレビュー&インタビューをお届けします。

 『神箱』は断片された世界を修復していくRPGで、クラフト、バトル、パズルなど、さまざまなジャンルの要素が詰め込まれた作品で、まさに“世界を作る”ワールドクラフトRPGにふさわしい内容になっています。

 本作は東京ゲームショウ2023(TGS2023)に出展。インディーゲームコーナー【ブースNo.09-E65】のグラビティゲームアライズブースで、本作を先行プレイすることが可能です。

 また、PS StoreとSteam Storeでは体験版が配信されています。

主人公は断片化された土地を復活させる“修復者”

 物語の舞台は、東西南北で自然環境が大きく異なる“ゾフィール大陸”。次元の壁となる大分断により、5つの地域に分けられてしまった世界です。

 世界の断片化を憂いた女神クロエムが、主人公である修復者に断片化を食い止める使命を与えるところから物語が幕を開けます。

 本作のマップはマスで区切られていて、踏み入れたことがないマスは平面で表現。新しいマスに入ると立体的に表示され、詳細がわかる仕組みになっています。平面なマップがどんどん立体的になっていくのが、修復者という設定らしさを引き立てていますね。

 山のマスに踏み入れると一気に地面が隆起したり、森のマスに踏み入れると木々が生えてきたりするのが面白いギミックです。なお、ゲームの大筋としては、メインクエストをこなしつつ、サブクエストや素材集めなどをこなしながら物語を進めていくタイプです。

断片化した土地を修復するパズル

 メインクエストを進めていくと、断片化した土地が目の前に現れ、それを主人公が修復するといった試練が待ち受けます。

 その修復方法は、つながっているピースを引っ張ったり、同じ色のピースをその場で消したりと、シンプルですが奥深いパズルです。制限時間(ターン)内に特定のスコアを稼ぐことでクリアとなり、その土地が修復されて通れるようになります。

 ゲームを進めていくとマスの数やピースの種類が増えていきます。動かないピースや、一定数のピースを合わせないと消えないピースなどもあり、少しずつ難易度が上がっていくようです。

戦うのは仲間! スキルでの割り込みが重要なターン制バトル

 戦闘はターン制で行われ、ターンの開始時に土地から少量のマナが補充。修復者は、そのマナ(キューブ)を選んで仲間に分け与えます。

 マナを与えたあとは戦闘フェイズに移行。ここでは、仲間が自動で攻撃を行ってくれます。パーティメンバーに一定数のマナを与えていれば、装備している武器に対応したスキルが使用可能。スキルは行動順に関係なく即座に使用できます。

 攻撃や回復など状況に合わせて、誰にマナを補充して、どのスキルを使うかべきか戦略を立てるのが面白いバトルです。なお、オート機能による自動戦闘も用意されているので、レベル上げや素材集めでザコを相手にするときは、さくさく戦闘をこなせます。

 ちなみに、仲間になるアルクとミナスは職業がソードマンとアコライトです。

これぞワールドクラフトRPG! 装備やアイテム以外に町も作れる!

 本作のジャンルはワールドクラフトRPG。それが示すのは多彩なクラフト要素です。

 まず基本的なクラフトとして、集めた素材を使って武器や防具の製作、料理でステータスを上昇させるアイテムを作るといったことができます。街中にも武器や回復アイテムは売っていますが「上位のものは自給自足で作るべし!」といった開発者からのメッセージを感じました(笑)。

 さらに柵で囲ったフィールドに民家や施設を置くことで、自分だけの村や町が作れます。これが非常に作り込まれていて、施設によっては定期的に資源を生み出したり、発展次第でほかの町との交易が行われたりと、もはやRPGそっちのけでドハマりすることができます。

 町や村をクラフトする流れとしては、広いフィールドを見つけたあと、まず柵や城壁で囲いを作ります。そのあと建物や施設を配置することで開発レベルが上がり、村→町→庄とランクアップ。

 石切り小屋や採石場を配置すれば、武器や建物を作るのに必要な石を定期的に回収できるようになります。これ以外にも、クラフトに必要となる素材を定期的に回収できる施設が多く用意されていました。

 クエストを受注できる酒場、アイテムが購入できる商店など、旅に重要な施設も配置することができます。本作では時間経過で食料ゲージが減少していくので、道中に町を作ってパン屋を設置すれば食糧不足の問題も解決します。

 そのほか農作物の栽培と収穫も可能。本作の驚愕なポイントとして、各地域によって天候や土壌が細かく設定されており、さらには時間の進行によっても、採取量が変わるといった要素があります。農場経営シミュレーションとしても楽しめそうですね。

 街を開発していけば新たな農耕技術を覚えたり、交易が始まったりするほど、町作りは奥深い内容になっています。正直、このクラフト要素だけで1本のゲームになっていても違和感がないレベル!

 基本はしっかりと作られたRPGでありながら、シンプルで直感的に楽しめるパズル、戦略性豊かなバトル、農場経営シミュレーション顔負けのクラフト要素が1つの作品にまとまっている『神箱』。

 複数のジャンルが1つにまとまった作品は珍しくありませんが、ここまで複数のジャンルをこだわって作られている作品は、ゲーム史上で類がありません。ぜひ、一度プレイしてみて本作の奥深さを感じ取ってみてください!

設定資料集を作ってまで制作した、こだわりだらけの『神箱』プロデューサーインタビュー

 ここからは、『神箱』のエグゼクティブプロデューサーの神崎喜多氏と、アシスタントプロデューサーの石井政仁氏へのインタビューを掲載。本作の制作秘話やTGS2023で出展する体験版の情報などをお届けします。

――TGS2022で出展されていたときから、『神箱』は大きく変わりましたね。

神崎喜多氏(以下、敬称略):神崎:あの頃と比べると大分変わりました。ぶっちゃけ、開発規模として大きく膨らみました。1年前は2Dでしたが3Dになりましたし。

石井政仁氏(以下、敬称略):フィールドが広いのに対して、ユーザーが作ったものがフィールド上に反映されないのは寂しいと思ったんですよ。3Dにして、ユーザーが作ったものがそのまま反映される形を再現できるようになりました。

神崎:3Dにしたとき、石井がマップが狭いと言ったんですよね。その結果、マップが元の3倍ぐらいの広さになりました。

 ただ、それでも今の形になってないんですよ。マップが広がったことにより、町も3倍大きくにした結果、隣町との距離が近くなってしまったんです。そうすると石井が、「町を大きくすると隣町が近くなっちゃうじゃないですか。僕は冒険がしたいんです!」と言って……。そこで開発チームとも相談して、さらにマップを3倍に(笑)。

――3倍から3倍って、計9倍に広がってるじゃないですか(笑)

石井:本作のコンセプトとして、自分の町を作り、そこを拠点に冒険を広げてくようにしたかったんです。次の町が近いと町作りの必要性もなくなってしまうので。マップの拡大は必要だと思いました。

 ゾフィール大陸は海がテーマになっている部分がありまして、本作の物語が進んでくると、中盤あたりでどこにでも移動でいる船が入手できます。船が大陸を渡るだけの乗り物とならないように、海の方も広げることにしました。

――体験版で行けるところは、製品版と比べるとどのぐらいの大きさですか?

神崎:今回の体験版でプレイできるザンクトアリウムは9分の1ぐらいの広さで、今作ってるノーアトゥーンという北の国々の地方は、ザンクトアリウムの9倍の大きさになっています。

石井:マップ全体でいうと、町が全部で29カ所、ダンジョンが28カ所ぐらいです。

 体験版では2本のクエストが入っていますが、製品版では260以上のクエストを入れる予定です。重要な街では仲間にできるキャラクターがいて、特定の条件でメインストーリーが進むようにしています。

神崎:体験版では1本道のレールに沿って進むように思えるかもしれませんが、そこから先の製品版では、非常に自由度が高くなっていく予定です。

――TGSで出展される本作の体験版の見どころを教えてください。

神崎:TGSでは最初の導入部分が遊べるものと、クラフト要素のみが遊べるものをご用意します。本作に初めて触れる方は通常の体験版を最初に触っていただければと。より興味を持っていただいた方や、過去のイベントで体験版をプレイしたことがある方であれば、クラフト要素のみの体験版を触っていただきたいと思います。

 TGSに来れない方でも、PS StoreとSteam Storeで体験版を配信するので、そちらをじっくり遊んでみてください。

石井:体験版はメインクエストを進めるとゲームが終わってしまう作りになっていますが、そこに進まなければ町作りやマップ探索などはプレイし放題になっています。また、体験版のマップ内にダンジョンが1つ隠されているので、それを見つけてほしいです。

 あとは、体験版だと4つの町がありますが、クエストに関わる特定のキャラクターは時間によっては出現しません。ぜひ、そちらのキャラクターも探してみてください。

――ちなみに本作を制作するうえで、開発チーム内で本格的な設定資料集を作っているのは本当ですか?

神崎:本作はテーブルトークRPGみたいな作り方をしていて、ベースとなるものがない状態で町やダンジョンを置くだけですと、レベルデザインや背景考証がどんどん薄れていってしまいます。

 ファミコンやスーパーファミコンのゲームとかもそうですけど、歴代の名作RPGってそういったところをしっかりと考えて作られているじゃないですか? 本作では世界観から固めるため、菊池たけしさんに参加いただき、世界観設定を作りこみ、設定資料集という形にしてチーム内で共有しています。

石井:シナリオ制作的には、この設定資料集のおかげで助かりましたね。開発チームには20代の若い世代が多いんですが、上の世代の人間が若い人たちと共通認識を取るのが難しいんですよね。こういう設定資料集があると、開発チーム内での共通認識が浸透した状態で制作を進められたのでよかったです。

――個人的には麦畑の設定のこだわりに驚きました。普通のゲームだったらこの土壌は麦が収穫しやすくて、このマスは麦が育ちにくいという設定ぐらいじゃないですか? しかし本作では、麦が育つための土壌の設定から始まって、それと合わせて気候と雨量と風の環境によって麦の育ちが変わるみたいな。

神崎:本当は僕と今井秋芳さん(本作のディレクター)でやる予定でしたが、今井さんから「1回、若い子にやらせてみないか?」の提案があり、石井さんに相談しました。

石井:そうですね。そのときはゲーム作りじゃなくて論文を書いていたような(笑)。

 そのとき今井さんから「このゾフィール大陸の〇〇地方はなぜできたのか考察せよ」と言われました。基本設計や特産物の情報は、設定資料集に書いてあるんですが、それをリアルに再現すると太陽の動きなどを考える必要が出てきたわけです。

神崎:そこから「この地方はどういう気候なのか?」、「風の動きや雨量は?」という話をしました。

石井:今井さんが設定回りにこだわりを持っている方で、ゲームのなかでもしっかりとリアリティを作り込まないと、没入感が得られないと教えてもらいました。

神崎:ゲームから学ぶことって多いじゃないですか? 『神箱』もゲームから学びがある部分をちゃんと作っていくようにしています。

――本作は、どのようなゲームなのか言葉にして説明するのが難しいゲームですよね。どういった部分をユーザーのみなさんに楽しんでもらいたいですか?

神崎:『神箱』はいろんな人に遊んでもらいたいゲームです。例えば、パズルが好きな人は修復、RPGバトルが好きな人はレベリングしてダンジョンに挑戦、サンドボックスのように自分の世界を作っていきたい人は、とことんクラフトを楽しんでください。

 一応RPGなのでストーリー上のエンディングはありますが、ユーザーさんが好きなように楽しんでもらえるようになっています。ぜひ体験版をプレイして、本作がどのようなゲームなのかを体験してください。

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