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レビュー:『イースX』の時系列は『セルセタの樹海』直前。アドルとカージャの2人1組のアクションが楽しく、冒険感も遊びごたえも抜群の良ゲー

Z佐藤
公開日時

 シリーズ35周年記念作品にして、ナンバリング10作目の節目を迎える日本ファルコムのアクションRPG『イースX -NORDICS(ノーディクス)-』。いよいよ9月28日の発売日が目前となった今回は、ストーリーのネタバレを回避しつつ、ひと足先にプレイして感じた手応えをお届けします。

最後までプレイしましたが遊びごたえたっぷりで、驚きと発見に満ちた冒険が楽しめました!

 各地に散りばめられたやり込み要素をコンプしつつエンディングまでプレイしましたが、大海原を舞台に謎と神秘に満ちた海洋ロマンを満喫できましたし、遊びごたえもたっぷりで楽しかったです! まさに冒険感デカ盛り。そんな本作の魅力をお届けできればと思います。

 まず、ここで物語の時代設定をおさらいしておきます。『イースI・II』と『イース セルセタの樹海』の間、アドルがエステリアで古代王国イースをめぐる冒険を終えたあと、セルセタの樹海へ向かうまでのタイミングになります。『イースI・II』からドギとフレア先生が同行していたり、セルセタに向かう目的なども語られますので、前後の物語を知っていれば新しい発見も!

 ただ、前後の物語を知らなくても本作1本で完結する内容ですし、なんなら『イース』シリーズについての知識がなくても、アドルの1つの冒険譚として楽しく遊べますので心配はいりません。

“『イース』シリーズらしさ”を大切にしながらもすべてを見直し、再構築・進化させた内容に大満足

 1987年に“今、RPGは優しさの時代へ”というコンセプトで開発され、シリーズとして動き始めた『イース』シリーズ。早いものでもう36年が経ちました。

 シンプルな操作で楽しめるスピーディで爽快なバトル、主人公アドル・クリスティンが残した冒険日誌をもとに、世界に満ちた謎と神秘に挑んでいくストーリー、冒険の途中で出会う人々やヒロインとのドラマ。そして“イースノリ”という言葉も生まれた軽快でノリノリのサウンド……“『イース』らしさ”を感じさせてくれるそれらの要素は本作でも健在で、シリーズのテイストを存分に満喫することができました。

 そこに本作ならではの新しい要素を追加していますが、単純に加えるのではなく、前作までのシステムや要素を引き継ぐものに関しても、あらためて磨き直していることが感じられます。


3人1組のパーティプレイ、EXTRAスキルを見直し、新たにクロスアクション+コンビスキルを搭載!

 過去作から見直された点として最も大きいのが、『イースSEVEN』以降、定番となっていた3人1組のパーティプレイでしょうか。本作では2人1組みのクロスアクションが基本となり、アドルとカージャのどちらか1人を操作して戦うソロモードと、2人のキャラクターを同時に操作するコンビモードを切り替えながら戦うシステムに変わりました。

 3人1組の形に慣れていたので少し寂しい気もしましたが、シンプルになったことで個々の戦い方やスキルの使い方などをより深く極められるようになり、キャラクターへの感情移入度がアップしています。

 また、EXTRAスキルを見直したことで、途切れることなく攻撃できるようになり、スピード感がアップ! スキルやコンビスキルによって爽快感も維持され、より洗練された本作ならではの形になっている印象を受けました。


移動に、謎解きに、難所の突破に! 多くの場面で活用していく4種類のマナアクションが楽しい!!

 アクション関連の新たな要素として、マナの紐を伸ばして振り子のように移動したり、物を動かしたり、敵に急接近できる“マナストリング”、グリンブルボードで地上や水上、そしてマナの流れを高速で滑走する“マナライド”、マナをチャージして解き放ち、アドルは炎、カージャは氷を一定範囲に生み出す“マナバースト”、ドルイドモノクル(古導具)を通し、地中に埋もれたアイテムを見つけたり、周囲の時間をスローにできる“マナセンス”という4つのマナアクションが登場。

 それぞれ使う機会が多く、とくにフィールドを高速で移動できるマナライドと、埋もれたアイテムを見つけるマナセンスは、探索活動で欠かせないものに。マナストリングやマナバーストは、ゲームの進行にかかわる謎解きに利用する場面もありました。


レリーズ・ラインにマナシードをセットして行うキャラクターの育成&カスタマイズも新感覚!

 キャラクターは経験値が規定値を越えるごとにレベルアップして成長しますが、それに加えてレリーズ・ラインにマナシードをセットすることでも強化&カスタマイズが可能。初めのうちはとりあえずレリーズ・ラインのスポットを解放し、あちこち入手できるマナシードをセットしていくだけで精一杯になりますが、セットできるスポットとマナシードの種類が増えてからが本番です!

 マナシードには、勇猛:攻撃特化型、堅固:防御特化型、楽観:攻防以外の能力に優れたタイプ、暗黒:何らかのリスクを持つタイプがあり、プレイヤーの判断でキャラクターに個性付けをすることが可能になっています。今回プレイしたときは平凡なセッティングになってしまったので、製品版で遊ぶ時はもっと偏らせようと思います……尖った装備で冒険したい……。


大海原というフィールドをサンドラス号で大航海! 未知の海域を切り拓いていくのが新鮮!!

 移動や探索に関して新たな見どころになっているのが、帆船・サンドラス号を操作し、海図を手掛かりに大海原を航海していくところです。

 船内を自由に歩き回って船員たちと会話ができるほか、ときには敵船と砲撃戦を繰り広げたり、敵船にアボルダージュ(接舷攻撃)を仕掛けたり。さらに未開の島に上陸して探索したり、海に沈んだ宝を引き上げたり、商船と取り引きをしたりと、街や村をめぐるのとはまた違った感覚で楽しめました。


 あちこちで出会うキャラクターたちが船員として乗船すると船の基本性能がアップしたり、新たな機能が追加されたり、特別なイベントが発生することも。そのほか船の外観や発射する砲弾が変えられるなど、自分なりにカスタマイズすることも可能です。

 船の移動速度が遅い序盤は少し移動に時間がかかりますが、ゲームを進めることで船の性能が上がり、またトラベルポイントが設置された島や場所には地図で指定して移動(ファストトラベル)できるので快適に進められるようになりました。



グリーガーに占領された島の解放を目指す奪還戦は、海で繰り広げる冒険の1つの目玉に!

 オベリア湾の各地にはグリーガーに占領された島があり、そこに近づくと奪還戦に挑戦できます。奪還戦は、サンドラス号で敵艦と砲撃戦を行う海上戦と、上陸して島のグリーガーを掃討する地上戦に分かれていて、戦いに勝利するとさまざまな報酬をゲット。さらにその島がファストトラベルのポイントになり、その後の移動の足掛かりになります。

 船員の仲間たちから支援を受けられる点など、雰囲気的には『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』の迎撃戦や制圧戦に近い印象ですが、海の冒険を題材にしたテイストにアレンジされており、また自分の縄張りを拡大するような意味合いもあって楽しめました。

 ストーリーの進行上必須となる奪還戦以外はスルーできたり、“急襲の狼煙”というアイテムを使えば地上戦だけに挑戦することもできるなど、進め方を選べる点も好感触です。


寄り道的に楽しめるやり込み要素があちこちにドッサリ。盛りだくさんなところも嬉しい

 宝箱の回収、海底財宝の探索、埋もれた財宝の探索、危険な敵の討伐、釣り、料理、ピッカードの捜索、海洋生物の捜索、人物メモの開封――などなど、さまざまなやり込み要素が用意されていて、腰を据えてじっくり楽しめる充実ぶりです。


 達成すると報酬が入手できるクエストもありますので、その時点で挑戦できることをやり尽くしてからストーリーを進めるのがよさそうですね。

 そのほか、海上を進んでいると、乗船しているキャラクターたちのボイスが再生されます。かなりバリエーションがありそうな印象ですので、海上で放置するか、自動前進に設定し、セリフを聞きながらのんびり進むのもオススメです。


 シリーズ35周年を記念する作品として、いよいよ発売日を迎える『イースX -NORDICS(ノーディクス)-』。シリーズをずっと追いかけているファンの方々はもちろん、これまでシリーズに触れたことがなかった人、そ
して昔はプレイしたけど最近は離れている人もぜひ、新時代の『イース』を体感していただければと思います!

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